決勝戦の終幕。それによって全ての競技が終了し、優勝は決勝戦において轟に勝利した拳太郎となった。
「あれ、優勝した!?え!?」
すると、
「「「「「うぉおおおお!!!!」」」」」
「!?」
普通科陣営から大歓声が上がった。
___すげぇぞ神堂!!!
___まさかマジで優勝しちまうなんてよぉ!!!
___一年最強はお前ダァ!!!
次々と湧き上がるその歓声に拳太郎は特に表情を変える事なく、
「ワ〜イ!ワ〜イ!」
両手を上げ下げするのであった。
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それからしばらくして、芝生のみとなった競技場に全1年生が集まった事で、今年の体育祭のトップ3が壇上に上がった状態で現れた。
だが、
「うごぉぉーー!!うごうごうごぉぉぉ!!!」
表彰台の3位に立っていた爆豪は何故か全身に拘束具を装着させられていた。口枷までも。
その様子にA組の生徒達は見慣れているのかやれやれと首を横に張っていた。彼と交流がある切島によると目覚めてからずっと暴れていたらしく、あぁなっていたらしい。
だが、それよりも皆が注目するのはやはり拳太郎である。無個性でありながら1位など前代未聞だろう。ましてや実践訓練がなく個性が活かせない普通科では。
◇◇◇◇◇◇◇
それから準備が整ったために表彰式が始まった。
『それではメダル授与よ!!今年のメダルを贈呈するのは勿論この人!!!』
すると
「HAーHAHAHAHA!!!!」
ドームの天井に太陽をバックに1人の男が現れた。その男のシルエットを目にした皆はテンションを上げていき大歓声を上げる。
そうだ。No. 1ヒーロー『オールマイト』である。
「とぅッ!!」
そして、ミッドナイトの呼び掛けにオールマイトはその場から飛び降りる。
『『わ(わ)れ(た)ら(し)が(が)ヒーロー(メダルを渡しに)!【オールマイト】!!!(来たぁー!!!)』』
被ってしまったのはまぁ無視しよう。
それからオールマイトはミッドナイトからメダルを受け取るとトップ3の3位からメダルを授与していこうとするが、
「うごぉぉ!!!うぐごうごぅごぉ!!!」
「「「「「「「1発目からこれかよ…!?」」」」」」」
まさかの初っ端から問題児へのメダルの授与である。見た感じ、メチャクチャ不機嫌であり、下手をすれば拘束を解いた瞬間に個性を暴発させそうな勢いである。
「いやぁ爆豪少年!結果は……おおっと。これがあると話せないな…」
オールマイトは恐る恐る口枷を外した。
すると
「オールマイトぉ…こんな順位…何の価値もねぇんだよ!!!1位じゃなきゃ無意味でゴミなんだよッ!!!!」
「か…顔すげえ…」
爆豪は今まで見せた事がない程なまでの剣幕で怒りをブチまけた。その顔はもはや人外そのものであり、オールマイトでさえも声を出す程 引いてしまった。
「うむ!確かに今回は残念であったがまた来年もある!今回の反省点としてメダルは受け取っとけよ!」
「いらねえって言ってんだろぉ!!ガフ!?」
それから爆豪の口にメダルを引っ掛ける形で授与し、轟にも授与し終えた事でいよいよ1位の拳太郎の元へとやってきた。
「神堂少年!優勝おめでとう!まさか普通科にも君みたいな猛者がいたとはな!障害物競走での神速やバトルにおける強さ、私も驚いたよ!」
「ありがとうございます。オールマイト」
オールマイトの言葉に拳太郎は緊張する事なく返す。大抵のヒーロー科の生徒はオールマイトの活躍に触発されヒーローを目指したので彼から直々に言葉を投げかけたもらうと緊張するだろう。
だが、拳太郎は既にヒーローではなく社会人として生きる事に決めたため、あまり彼には憧れを感じておらず、ただ頷くだけであった。
「ですが、今回の大会で改めてヒーロー科は強い人達で溢れてるんだなと実感しました」
「うんうん!体育祭は他の科と競える数少ない機会だ。それが君にとっても良い経験になったのならばそれを糧に今後とも頑張っていくと良い!」
そう言いオールマイトは拳太郎へと金のメダルを授与した。
『さぁ!今回はこの3人だが!ここにいる誰もがこの壇上に上がる可能性があった!ご覧いただいた通り競い!高め合い!更にその先へ昇っていく姿!次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!!」
その言葉と共にオールマイトは指を高く高く空に向ける。
「……てな感じで最後に一言!!皆さん御唱和ください____」
それから閉めの言葉として、会場の皆はオールマイトの合図と共に『pulls ultra!!!』と叫んだが、オールマイトが『お疲れ様でしたぁ!!!』と叫んでしまいブーイングの嵐となったのはまた別の話である。
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それから数日後。
「あの、なんでしょういきなり」
拳太郎は何故か校長室へと呼び出されていた。目の前の巨大な机に座っているのはネズミのような姿をした小さな生き物である。この動物こそこの国立雄英高校の教職員を纏める校長である。
一応、拳太郎はパンフレットなどの資料で見ていたために驚きはしなかったものの、突然すぎる呼び出しであった上に、左右にはヒーロー科の担任 相澤そしてオールマイトも立っていた事で拳太郎は少しばかり緊張していた。
「呼ばれた理由は何だか分かるかな?」
「調理室で勝手に持参した肉焼いた事ですか?」
「いや違う____ってそんな事してたの!?」
校長は即座に咳払いすると調子を戻す。
「突然だけど神堂拳太郎くん。君に幾つか聞きたい事がある」
「は…はぁ」