ちょっと!!勉強の邪魔しないでよ!!   作:狂骨

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主人公です。AI生成


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大騒ぎのあとは呼び出し

 

その後、敵連合は取り逃したが敵連合の黒幕であるオールフォーワンは無事に逮捕された。

 

敵連合とヒーローの衝突、そして多大なる被害を負った事からこの事件は『神野の悪夢』と記されるようになった。

 

 

そしてその神野の悪夢はオールフォーワンの逮捕のみならず、様々な傷跡を残していった。

 

最も大きいのは平和の象徴たるオールマイトの引退である。オールフォーワンとの激闘によって個性の力を全て使い果たし、戦闘モードであるマッスルフォームへの変身も3分へと激減したことで最早まともに戦う事さえもできなくなってしまったのだ。

 

 

だが、もう一つ問題があった。

 

 

それは

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

バリバリバリバリ

 

「…」

 

神野の悪夢より数日。とある警察署の取調べ室にて。煎餅を齧る音が響き渡っていた。

 

「「…」」

その空間の中に座っていたのは刑事である塚内、そして引退し、通常の痩せ細った姿のままスーツを着用しているオールマイトであった。

 

 

そして、2人の目の前には____

 

「…」

 

メチャメチャ不機嫌そうに煎餅を齧る拳太郎の姿があった。なぜこれほどまでに不機嫌なのか?その理由を知らずに対面していた塚内は震えながら

オールマイトへと耳打ちする

 

「ちょっとオールマイトぉ…!なんで彼はあんなに不機嫌なんだい…!?」

 

「あの日の翌日に試験があったらしいんだけど、会場があの様子だろ…!?中止になって凄く怒ってるんだ…!!しかも今日は無理に呼び戻しちゃったから余計に…!!」

 

そう言いオールマイトは震えた声で話す。

 

あの後、オールマイトは塚内やイレイザーヘッドといった拳太郎の力を知っている教師や警部に彼が現れた事や、彼がオールフォーワンを倒した事を伝えた。

 

体育祭での出来事もあってか、その話を聞いた全員がそれについて信じると共に、彼が一体何者なのか、どういう者なのか真偽を問わなければならないという結論に至ったのだ。

 

そして、歩けるまで回復したオールマイトは拳太郎の元を尋ね、彼と共に警察署へと向かい、今に至る。

 

 

「「…」」

2人は再び拳太郎へと目を向ける。

 

「…何ですか?2人して見てきて」

 

相変わらずどころか、先程よりも目が鋭くなっており、明らかに怒っていた。

 

「あ…えっと、お腹空いてないかな…と思って。よかったらカツ丼でも…」

 

「そういう対応するって事は、そんなに僕って悪い事したんですね…?頑張って備えてきた試験も中止…その上に酔っ払いをぶっ飛ばしただけで逮捕…」

 

「いやいやいや!!とんでもない!寧ろ感謝したいくらいだよ!今回は話を聞いて欲しくて呼んだだけだから!別に逮捕とかじゃないからさ!だから落ち着こう!ね!?」

 

「…わかりました」

 

塚内の言葉にようやく拳太郎は落ち着きを取り戻すのであった。

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

それから差し出されたカツ丼を食べる中、塚内は拳太郎へと全て話した。昨晩にオールマイトと戦っていた男が誰なのか、そして、どれほどの人物なのか。

 

「…なるほど。つまり僕がぶっ飛ばした不審者はめちゃめちゃ強い奴だったって事ですか?」

 

「あぁ。それもとびっきりのね」

 

拳太郎の言葉に塚内は頷く。

 

「オールマイトが戦えなくなった今、より一層、敵による騒ぎが多発する。だから我々としても、警戒を強めなくちゃならないしオールフォーワンを倒す程の力を持つ君を放っておく訳にもいかないんだ」

 

塚内の言葉にオールマイトも頷く。もしも拳太郎が敵連合の残党によって唆されて向こう側に渡ってしまえば、明らかに不利な状況に陥るだろう。

 

「はぁ…別に僕程度でやられる奴って事は相当弱ってたか酒に酔ってたとかじゃないんですか?あの不審者、へんな事ばかり言ってましたし。それにオールマイトだってボロボロでしたし、どうせあの不審者と戦う前にメチャメチャ強い敵と戦ってたんでしょ?」

 

その言葉にオールマイトは首を横に振る。

 

「いや全く。寧ろその日の為に完璧に備えた状態だった。まぁ、それでもこの様だがね」

 

「そうなんですか(凄い謙遜してるな。僕程度で倒される奴ならオールマイトならイチコロだと思うんだけど)」

 

それからカツ丼を食べ終えた拳太郎は丼を机に置くと尋ねた。

 

「それを話して僕にどうして欲しいんですか?」

 

「…」

 

その言葉に対して塚内は少し言葉を詰まらせながらも、ゆっくりと口にしようとした。

 

「今後は…どうか僕らに____」

 

「塚内くん」

 

塚内が言い掛けたその言葉をオールマイトは遮った。

 

「…やはりよそう。彼はまだ学生だよ」

 

「そうだね…うん」

塚内の出かけたその言葉をオールマイトが止め、塚内も頷き、それ以上は言わなかった。

 

「ん?どうしました?」

 

「なんでもないよ。ただ、君には自分の立場を分かってもらいたいんだ」

 

「立場…?」

 

「うん。以前接触した死柄木弔にオールフォーワン…奴らと接触した事で君の顔は確実に裏の世界に知れ渡るだろう。そうなればいつ命を狙われてもおかしくはない。それがたとえ学校にいる時や家にいる時もね。だから今後は気をつけてほしい。勿論、雄英側も今後はセキュリティを大幅に強化すると思うけどね」

 

「はぁ…」

 

その後、取り調べを終えた拳太郎は警察署を後にし、下宿先であるねじれの元へと戻ったのであった。

 

 

彼が車で送られていく姿を見送ったオールマイトは塚内へと言葉を投げかける。

 

「ダメだよ塚内くん。確かに彼は強いけど…だからと言って大人の事情に付き合わせちゃ…彼の将来を潰しちゃうよ」

 

「確かに思い返すとそうだったな…」

 

そのオールマイトの言葉に塚内も自身の言葉を思い出し、後悔するかのように手で顔を覆った。

 

 

「警察の面目丸潰れだよ」

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

それからしばらくして夏休み中に突然と新たな行事が舞い込んだ。『家庭訪問』だ。

 

度重なる敵襲撃によって、校長自身も痺れを切らし、兼ねてより考えていた全寮制を実施することにしたのだ。

 

それによって全校生徒の実家へと多くの教師達が駆り出され、それぞれの家に赴き、今回の事態についての謝罪および全寮制についての説明と同意を受けに向かった。

 

当然ながら、その時に実家へと帰省していた拳太郎とねじれの元にもそれぞれ担任が尋ね、2人は説明を受けるとともに、その寮への住み込みに同意したという。

 

雄英襲撃に加えてオールマイトの引退。波乱に満ちた1学期が終了し、遂に2学期が始まるのであった。

 

 

 

だが、ここである違いに拳太郎は気づく。

 

「あれ…?なんで普通科の棟に僕の部屋がないんだ…?」

 

二学期が始まる前日。拳太郎に送られてきたその案内図には、普通科や経営科、サポート科そしてヒーロー科のそれぞれの寮が設置されている場所が示されていたが、拳太郎の割り当てられた部屋が普通科の棟には無かったのだ。

 

「僕ってどこに……え?1のA…?」

 

 


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