それから日が経ち休日へと入った。
壊理は入院で治療を続けており、そんな彼女の元へとねじれも拳太郎を連れて毎日おとずれていた。今まで暗い雰囲気を見せていた彼女だが、拳太郎やねじれ、ミリオ、緑谷と接していくにつれて、少しずつその表情が和らいで行ったという。
○◇○◇○◇○◇
雄英高校は文武両道なために休日であろうとも文化祭の手は抜かず、殆どの生徒達が校舎内で準備に励んでいた。
それは拳太郎も同じである。
「こんなもんでいいか」
そう言い拳太郎は額から出た汗を拭き取ると制作した看板を立て掛けた。それはお化け屋敷の看板である。
「あとはどうしよ。何かつける?」
「いや、こんくらいでいいだろ」
「よし。じゃあ何か食べ物でも買ってこようか」
「おぅそうだな」
それから拳太郎は心操と共に休憩を取ると近くのコンビニへと向かった。
「そういや、お前、文化祭が終わったら企業の見学にも行くって言ってただろ?どこにしたんだ?」
「ここにしようと思ってる。IT系に興味あるから」
そう言い拳太郎は会社のホームページを検索して心操へと見せる。そこには『Feel Good Inc.』という名前の会社が映っていた。国内でも有数の超大手IT企業であった。
「へぇ…大手じゃねぇか。気合い入ってるな」
「うん!」
それから拳太郎はクラス分の飲み物(全部2リットル)を購入すると校舎へと戻った。
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
ー
「ハッハッハッ!!俺様のありとあらゆる少数派原子を自在に操る個性『マイノリティ』でこの世界を支配し____ぐぼへぇ!?」
「この僕の放射性物質を自在に操る個性『放射能』で世界を__がへぇ!?」
「邪魔ッ!!!!」
校舎に戻る道中で突然と現れた2体の敵を地面に叩きつけた拳太郎に心操はふと何かを思い出した。
「そう言えば、お前の助けた女の子…壊理ちゃんだっけ?いまはどうしてるんだ?」
「病院で入院してるよ。文化祭に来れるように相澤先生が校長先生に交渉してるらしいけど」
「そうか。でも大丈夫なのか?聞けばその子、ずっと監禁されてたんだろ?いきなり大勢の前に出すのは早すぎるんじゃねぇのか?」
「まぁそこは通形先輩や緑谷くんがいるから大丈夫でしょ」
そんな中であった。
「やぁ!!神堂くん!やっと見つけたよ!」
「あ!心操くんも!」
寮から校舎に続く道からからミリオと緑谷が歩いてくる姿があった。その姿を見た拳太郎も歩く足を止める。よく見れば彼らだけではなく、なんと入院していた壊理も一緒である。
「ん?壊理ちゃん?外出オッケーになったんですか?」
「うん!今度の文化祭にも来られるようになってね!今この子を案内してるんだ!それに神堂くん。君にも会いたがってたよ!」
「僕に…?」
拳太郎が首を傾げる中、ミリオが壊理の背中を優しく押すと壊理は駆け寄り、ぺこりと頭を下げた。
「あの…あの時は助けてくれて…ありがとう…」
「あの時…あぁ〜」
その言葉に拳太郎は治崎を殴り飛ばした時を思い出すと彼女の頭を撫でた。
「気にしないで。それよりも無事で良かったよ。またあんな輩に会ったら言いな。僕がぶっ飛ばしてあげるから」
「…」
拳太郎が優しく頭を撫でる中、その手を当てられた彼女の顔は何故だか表情が和らいでいき、ついには撫でるその手を両手で握り締めた。
「あれ?どうしたの?」
「やっぱりね!助けてくれたのが神堂くんだから一緒にいると安心するんだと思うよ!俺なんて見てるだけで何もできなかったからね!」
「いや、僕は別にそこまでのことは」
「いやいや!してるんだって!良い加減に自覚しなよ!」
すると
____おお〜い神堂〜!!心操〜!!そろそろこっち手伝ってくれ〜!!
校舎の方から手を振りながら呼び掛ける同級生の声が聞こえてきた。
「あ!そうだ!作業の途中だった!!」
その声を耳にした拳太郎は壊理を撫でる手を止めるとすぐさま立ち上がる。
「じゃあ、僕はこれで」
「あ…待っ…パ…」
去り際に壊理が声を震わせながら呼び止めようとするも、それは拳太郎に届かず、そのまま行ってしまった。
「あ…あのデクくん…今のって聞き違いかな…何か凄いこと言っちゃってた気が…」
「いや…普通に聞こえちゃいました…」
そしてそれを聞いたミリオと緑谷は耳を疑ったが、その後、ねじれの元まで向かい、彼女と再会した壊理の言葉を耳にし、顎が外れるほどにまで驚愕したのだった。