ちょっと!!勉強の邪魔しないでよ!!   作:狂骨

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ミスコンは面白いが、瓦割りはもっと面白い。そして文化祭は終わりが早い

 

 

『ミスコン』

 

それは正に学校一の美女を決める名物の一つ。ステージの辺りには既に人だかりができており、壇上へと上がり次々と自身の特技を披露する生徒を見ていた。

 

 

そんな中、後ろの待機場所で待機していたねじれは彼女の親友である甲矢と共に最終チェックを行っていた。

 

「いよいよ次だね。しっかりやりなよ?未来の旦那さんが見てるんだから」

 

「うん…!」

 

彼女の言葉にねじれは頷くと、ステージへと向かっていったのであった。

 

初めて参加したのは1年生の頃からであった。甲矢やクラスの皆の勧めによって参加してみてからは自身の個性を披露する舞台として気に入り、毎年参加するようになった。

 

そしてこの日はいつもよりも気分が高揚し、何でも出来るような気がすると共に身体を流れるエネルギーも穏やかになっていた。

 

 

その理由は拳太郎が見に来てくれているからだ。

 

○◇○◇○◇○◇

 

ステージの周りにいた生徒達はねじれが現れた事でざわめく声を止めて彼女へと目線を集中させる。

 

 

「ふぅ…」

 

壇上へと進み、皆の前へと出たねじれは始まりの合図と共にゆっくりと息を吸いながら今までの練習を思い出し、心を追いつかせる。

 

 

そして

 

 

ねじれはゆっくりと個性を発動させると空へと飛び立ち_____

 

 

 

 

______舞った。

 

身体から溢れ出すエネルギーが彼女の周りで彼女の動きに合わせて美しく弧を描きながら次々と溢れ、ゆっくりと空気へと溶けて消えていく。

 

 

その姿はまるで天女の様であり、その姿を見ていた周囲の生徒達からは次々と歓声が巻き上がっていった。

 

 

「(梅雨ちゃん…麗日さん…通形に天喰も…拳ちゃんも…みんなみんなビックリしてる…不思議)」

 

舞う中、自身のやりたいようにやっていたねじれはその様子にただ笑みを浮かべながら優雅に壇上へと着地すると、頭を下げた。

 

 

その瞬間

 

「「「「おおおおおおお!!!!!」」」」

 

先程まで静まっていた会場中から大歓声と拍手が飛び交うのであった。それはライバルである他の出場者達の目も奪い、彼女達も盛大な拍手を送っていた。

 

その様子にねじれが手を振る中であった。

 

「……綺麗」

 

「…ッ!!!!」

 

どこからともなく聞き慣れた_____否、脳内に保存して決して忘れないように植え付けた『声』が聞こえ、その場へと目を向けると、そこには壊理を頭に乗せながら頬を染め、拍手をする拳太郎の姿があった。

 

それを見たねじれは心の中でようやく自身が愛する人が自分の晴れ舞台を見てくれた事を確信すると、満面の笑みを浮かべながら更に快活に手を振るのであった。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

それからミスコンを身終えた拳太郎は緑谷やミリオ、壊理とともに文化祭を回った。(拳太郎は準備を9割引き受けたため、当日は自由)

 

どれもこれも個性的な雄英生徒達が作り上げたもので独自な創造性などがあり楽しいものばかりであった。

 

 

 

そんな中でも、特に注目度が高いのは______

 

 

 

______《瓦割り》

 

 

要するに力試しである。主催者はセメントス先生であり、彼によって生成されたセメント瓦を個性などを使って砕いていくものだ。

 

因みに硬さや量を選ぶ事ができ、硬さは三段階で普通、硬め、最高硬度である。特に最高硬度はセメントス自体が全力で作った瓦であり、その硬度は爆弾でさえも傷一つつかないため、大体の生徒達は普通もしくは硬めを選んでいった。

 

「よし。さぁ並んで並んで!順番だよ!壇上に上がったら希望する枚数を言ってね。くれぐれも観客を巻き添えにしないように!」

 

セメントスの注意と共に次々と男子生徒たちが壇上へと上がり、瓦割りを行っていった。

 

 

 

中でも最も多く割ったのは『爆豪勝己』である。

 

 

「死ねぇえええええ!!!!!」

 

 

Dooooonッ!!!!!

 

 

激しく巨大な爆発によって粉砕された瓦は『最高硬度』であり、なおかつ他の硬度を選んだ者よりもダントツで多い20枚であった。

 

その光景は周囲の生徒達の目を奪い、先程のミスコンよりも観客席からは歓声が巻き上がっていた。

 

 

「す…凄いな…かっちゃんは…」

 

「いや…もっと凄いのが来そうだよ」

 

「え?」

 

相変わらず発揮される彼の圧倒的な個性のテクニックセンスと格闘センスに緑谷が驚きの声を漏らす中、ミリオは次の挑戦者へと指を向けた。

 

ミリオの言葉に緑谷が壇上へと目を向けると、そこには拳太郎の姿があった。

 

「神堂くん!?」

 

○◇○◇○◇

 

「…あ?んだよテメェか舐めプ野郎…」

 

「どうも。ボンバーかっちゃん」

 

「誰がボンバーかっちゃんだぁ!?」

 

壇上へと上がった拳太郎はセメントスへと目を向ける。

 

「取り敢えず…“50枚”硬さは“最高硬度”のもので」

 

「えぇ…!?」

 

 

「「「「…!?」」」」

 

その言葉に会場中がざわめき始める。

 

____何言ってんだアイツ!?

 

__爆豪でも20枚だったんだぞ!?んなもん割れる訳ねぇだろ!?

 

 

そんな声が飛び交う中、拳太郎はセメントスへと問う。

 

「どうしました?無理なんですか?」

 

「いや…うん。分かった」

 

拳太郎の要求に応じたセメントスは瓦を用意して積み上げた。拳太郎の目の前には爆豪の時よりも高く積み上げられた瓦の山があり、その高さはなんと拳太郎の目線とほぼ同じ位置までであった。

 

その積み上げられた瓦をしばらく見つめていた拳太郎は思わず笑みを浮かべる。

 

「瓦割りか…改めて考えてみれば初めての体験」

 

そう言い拳太郎はゆっくりと自身の頭ひとつ上まで積み上げられた瓦に手を置いた。

 

「だけど、ここは雄英。こんな煎餅みたいな土の塊を、何枚割ったところで何の強さの目安にもなりませんよ…」

 

拳太郎が手を置くと同時に周囲の声は止み、全員がその結末がどうなるのか見守っており、その目線の的となっていた拳太郎も自身の目の前に聳える瓦の山を見つめていた。

 

 

 

すると

 

 

「すぅ…!!」

 

拳太郎の息を吸い込む音と共に髪がゆらめき出し、瞳孔が完全に消え去り猛獣のような白い目へと変化する。そしてその顔は牙を剥き出しにする程の満面の笑みに包まれ_________

 

 

 

 

 

 

 

______手が置かれていた瓦を押し潰すように砕いていったのだった。

 

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

その光景を目にした周囲の皆は何が起こったのか認識できず、驚きのあまり口を開けてしまう。爆豪でさえも完璧に破壊ができなかった瓦が、たった1本の腕に掛けられた圧力によって、全て木っ端微塵となっていったのだ。

 

「ぜ…全部粉砕…」

 

セメントスの震えた声が聞こえた事によって、一同はようやくその現実を認識し、周囲はざわめき出す。

 

___おいおい嘘だろ!?振り被りもせずに割ったぞ!?

 

__い…いや…そんなもん絶対にありえないって!!多分、指先から衝撃波を出す個性とかだろ!?

 

 

 

「んん?なぜそんなに…ただ割っただけなのに」

 

辺りから声が上がる中、勢いのあまり振り下ろした手が地面へとつくと、拳太郎は立ち上がり息を吐き、舞台から降りるのであった。

 

 

拳太郎が降りていく中、爆豪は散らばった瓦の一部を拾い上げると、その破片や断面を見つめる。

 

そこには衝撃を流した際に内部が砕け散った跡など一切なかった。故に____

 

 

 

「…(ハッタリじゃねぇ…アイツ…手の圧だけでぶっ壊しやがったんだ)」

 

____本当に拳太郎は手の力のみでこの瓦を割ったのだと確信した。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

その後も拳太郎は緑谷やミリオ、壊理と共に色々な出し物を回った。自身のクラスが作ったお化け屋敷や開発科の解説、そしてアスレチックや、ミスコンの表彰式など。

 

多くの出店を回って行った事で拳太郎達は満喫して壊理も満面の笑みを浮かべていったのであった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

それから数時間後。盛大に賑わった文化祭はチャイムと共に終わりを迎え、閉会式と共に周囲の皆は出し物の片付け作業へと移っていた。

 

だが、A組は既にダンスを終えた直後に片付けを終えていたために特に行う事はなく、壊理を見送りに来ていた。

 

「緑谷ちゃん、壊理ちゃんもう帰っちゃうの?」

 

「うん。今日は特別だからね。本当は入院してなくちゃいけないらしいんだ」

 

「そっか〜…寂しいね」

 

蛙吹の質問に緑谷が答えると、彼女と一緒にいた麗日も残念そうな表情を浮かべながら壊理の頭を撫でる。

 

そんな中であった。

 

「あ…あの…ダンス凄かった!!また来ても!いいですか!?」

 

今まで特定の人物しか心を開かなかった壊理は皆へと問い掛けた。その様子にクラスの熱血男子である切島が真っ先に頷く。

 

「おぅ!いつでも来ていいんだぜ壊理ちゃん!!」

 

「そうそう!」

 

そして彼に続くように麗日も頷き彼女の頭を撫でていった。

 

 

 

 

すると

 

「お〜い!壊理ちゃ〜ん!!」

 

校舎の方から声が聞こえ、見るとそこにはミスコンの優勝者に送られるティアラを被ったねじれと、彼女に引っ張られながら歩いてくる拳太郎の姿があった。

 

「うぉ!ミスコン優勝者!!!なぜこんなところに____って神堂!?」

 

「何でアイツが一緒に!?しかも手ぇ繋いでやがるぞ!?」

 

ミスコン優勝者であるねじれと共に拳太郎がいる事に峰田と上鳴が驚きの声を上げる。

 

そんな中、ねじれと拳太郎の姿を見た壊理はパァと顔を輝かせると大きく手を振った。

 

 

「パパ〜!!ママ〜!!」

 

 

「「「「「「「パパぁ!?ママぁ!?」」」」」」

 

「「……」」

 

その言葉を耳にしたA組全員(緑谷を除く)の声が重なる中、壊理の声にねじれは駆け寄ると彼女を抱き上げた。

 

「よく言えたね〜!えらいえらい♪」

 

「えへへ!」

 

ねじれに抱き上げられた壊理は頬を紅潮させながら笑みを浮かべ、そんな彼女を抱き上げたねじれも頬を擦り寄せていく。

 

「ごめんね壊理ちゃん。パパとママ、忙しいからしばらく会えなくなっちゃうんだ」

 

「ううん。また会えるならいい!寂しいけど我慢できる!」

 

「偉いねぇ!じゃあお外に出れるようになったら遊園地に行こっか!ねぇパパ♪」

 

「……」

 

ねじれが目を向けると拳太郎はすぐさま目を逸らす。その行動を見たねじれは拳太郎の顔を掴み無理やりこちらへと顔を向けさせる。

 

「ねぇ…?パパ♪」

 

「は…はい…」

 

拳太郎の顔からは何故だか血の涙が流れており、その様子を見ていたA組の皆の何名かは震えあがったのはまた別の話である。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

それから壊理は相澤とともに車に乗ると、窓から皆に笑顔で手を振りながら雄英を去っていったのであった。

 

そして、彼女を乗せた車が見えなくなると、ねじれは両手を拳太郎の肩へと乗せた。

 

「家族旅行が楽しみだねパパ♡」

 

「……転校しよ…」

 

 

ーーーーーーーー

 

その日の夜、拳太郎の携帯には一通のメッセージが届いた。

 

〜♪

 

『ハロー ダーリン!元気してる!?今度パパの仕事の付き添いで日本に遊びに行く事になったからその時はエスコートお願いね♡』

 

_______あなたのフィアンセより

 

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