雄英高校ヒーロー科。倍率300倍の試験を乗り切った猛者が集まるクラスであり、AとBの二つのクラスに分けられている。
「そういえば前に授業中に襲撃事件があったんだっけ?」
「あぁ。だから今年の1年は骨があるって話題になってるらしい」
「へぇ…凄いなぁ…」
「いやお前の方が凄いから」
廊下を歩いていくと、前方に人だかりと共にAクラスとBクラスと書かれた札が取り付けられた教室が見え始めた。
「あれ…?もう人だかりが…」
「俺たちと同じだろうよ」
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それから敵情視察を終えた心操は拳太郎と共に帰路に就いていた。因みに心操が自身や普通科の心情を語りヒーロー科編入の旨を伝えた事が主であり特に宣戦布告などは行わなかったようだが、それでも初めて見るヒーロー科の面々に拳太郎は驚いていた。
「心くん!さっきの人怖かったね!?あんな怖い人がいるんだヒーロー科って…」
「まぁ…誂え向きな個性を貰って色々とうまくやってこれたから傲慢になってんだろ。正直羨ましい…けどよ、あんな奴よりも俺はお前を警戒してるよ」
「へ?」
心操が立ち止まりそう告げると、拳太郎が首を傾げる。
「お前は間違いなく優勝すんだろ。そうなりゃヒーロー科への編入資格も取れる。下手すりゃ今年中には決まっちまうだろう」
「そ…そんなぁ!僕にはそれほどの」
「いや、確実にそうなる」
そう言い心操は拳太郎へと目を向ける。彼の秋田県から静岡県まで走ってくる超常的な身体能力は勿論だが、その身体能力から繰り出される拳や蹴りの威力も未だ未知数である。
そんな彼が体育祭に出れば、下手をすれば独擅場となるだろう。
「う〜ん。でも、別にそうなっても僕は行かないかな」
「へ?」
予想外の言葉に心操は首を傾げる。
「仮に僕が編入できたとしても、今の僕にはヒーローとしての心構えとか配慮できるほど器量がないから…入った途端に精神面的についていけずに除籍とかになっちゃいそうだよ」
「…」
「だけど、やるからには全力でやるよ。何があっても」
「…そうかい」
拳太郎のヒーローへの志は相変わらず無いが、それでもスポーツマンシップとして全力を出す姿勢に心操は笑みを浮かべる。
「まぁ。くれぐれも怪我人ださねぇようにな。じゃあな」
「?」
そう言い心操は忠告とも取れるような言葉を残し、帰宅していった。彼のその言葉に拳太郎は理解できず、ただ首を傾げるのであった。
「さて、僕も帰るか。帰りに沖縄寄って…ん?」
その時であった。
ドドドドドドドドド
「わぁー!!みぃ〜つけたぁ〜!!」
「ひぃ!?」
背後から土煙を巻き上げながらこちらに向けて駆け寄ってくる音と共に声が聞こえてきた。その声を耳にした拳太郎は身体を震わせる。
「こ…この声は…」
振り向くとそこには
「拳ちゃ〜ん!!!」
両手を広げながら飛び掛かってくる水色の髪を持った少女の姿があった。その女子生徒を見た拳太郎は声を震わせる。
「ね…ねじれ…さん…!?」
「バァ〜!!」
「むごが!?」
その直後に飛び出した女子生徒は拳太郎へと抱きつき頬を擦り寄せた。
「やったぁ〜!!ようやく会えたねー!!久しぶりだねぇ〜!おばさん元気〜?」
「い…いたい!苦しい〜!!たすけ…」
その抱きつき具合に拳太郎は心操へと助けを求めるも、既に彼の姿は無かった。
「ちょっとぉおおおお!離れてぇぇ!!!いたいよぉおお!!!」
『波動ねじれ』
雄英高校ヒーロー科の3年生であり、全学年のトップ3通称ビッグ3の一人だ。そんな彼女の最も特徴的な点は見るもの全てに興味を持つ『好奇心』である。
「ねぇねぇねぇ!どこで下宿してるの!?今度お泊まり会しようよ〜!!」
「歳を考えなさいやぁぁぁ!!!!」
そんなこんなで色々とあり、いよいよ雄英高校…否、日本国内においてビッグイベントの一つである雄英体育祭が始まるのであった。