『ギガントマキア』
それはAFOと共に恐れられてきた大男。彼からは数多くの個性を分け与えられており、
異常なまでの体力を持つ『耐久』
痛みを感じなくなる『痛覚遮断』
興奮することで体を巨大化させる『巨大化』
鋭敏な嗅覚と聴覚を持つ『犬』
僅かな栄養と水分で長時間活動可能となり、睡眠時間も短縮される『エネルギー効率』
硬く強靭な筋肉になる『剛筋』
土中を移動する事に適した形態へと変化できる『土竜』
といった、超攻撃型の個性をその身に宿していた。その暴れ振りは凄まじく、一種の災害であり、1ヶ月もの間、死柄木達と戦いながら周囲の環境へと影響を与えたのだ。
更に特筆すべきは異常なまでの忠誠心であり、それはAFOの言葉自体が彼の鎮静剤になるほどであった。
そして、異能解放軍と戦う前に死柄木達と争う中で彼の内に秘められた力と風貌から彼を第二の主人として認め、改めて彼にも忠誠を誓ったのであった。
その力はもはや、超常解放前線でもNo.2と言えるほどだろう。
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「やれマキアぁ!!!そのガキを潰せぇ!!!」
「ヴォオオオオオ!!!」
死柄木の指示を受けたマキアは雄叫びを上げながらその3メートル程度の身長が一瞬にして20メートルへと達した。
「に…逃げろぉー!!!」
「巻き添え食らうぞ!?」
拳太郎を取り囲んでいた超常解放前線の戦士達が周囲へと散らばる中、その中にポツンと取り残された拳太郎を睨みつけながらギガントマキアは目を光らせると死柄木の指示を実行するべく拳を振り上げ、拳太郎目掛けて振り下ろした。
「ヴォオオオオオ!!!!」
その時であった。
____ギガントマキアの何メートルもある巨大な腕が脆い音を鳴り響かせながら折れ曲がった。
「「「「!?」」」」
その光景を見た一同は驚きのあまり目を疑った。なんとマキアの巨木よりも太い腕の所々がへし折れると共に、突き出す形で露出した骨とその傷口からは大量の血が吹き出していたのだ。
「なんだこのふざけたパンチは?3年前に戦ったアフリカゾウより全然弱いな」
「!?」
「ま、アレより全然小さいから弱いのは当たり前か」
その言葉を耳にした死柄木が目を向けると、拳太郎は笑みを浮かべながらマキアの腕を片手で受け止めていた。
「な…!?片手で受け止めやがったのか!?」
「当たり前だろ。鍛えてるし、それより強くてデカい奴と戦ったんだから」
死柄木が驚く中、拳太郎は再びギガントマキアへと目を向ける。
「おいデカブツ。一つ言っておくぞ?パンチってのはなぁ…」
すると、拳太郎の右腕が握り締められた。それを見た死柄木は即座にマキアへと叫ぶ。
「マキア!!!避けろ!!!」
それをみた死柄木は最大の警戒信号を取り、叫ぶが、遅かった。彼の声がマキアへと届いた時には既に拳太郎の身体はマキアの顔の前に迫っていた。
「こうやるんだよ!!!」
その瞬間
_____ッ!!!!!
ギガントマキアの顔面が激しく歪むと共にその場に凄まじい突風が吹き荒れ、マキアの身体がその場から地下の土を突き抜けながら吹き飛ばされていった。
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ーーーーー
ーー
それから時間が経過し、巨大な突風が収まると、死柄木はゆっくりと目を開ける。
「嘘…だろ!?」
それを見た死柄木や周りの皆は言葉を失ってしまった。
そこに広がっていたのは______
_______施設ごと破壊され空と街並みが見える程まで完璧に開けられた風穴であった。
そして
「…」
その風穴の目の前に立っていた拳太郎の目は真っ赤に輝いていた。発達した筋肉に加えてゆらめく髪そしてその真っ赤に染まった目。その姿ははまさに“鬼”であったのだ。
それを見た構成員達の心意気と希望は失われた。
「ば…化け物だぁぁぁぁー!!!」
「逃げろ!!早く逃げろぉおお!!!!」
構成員達はパニックとなり、泣き喚き、叫びながらつきつきと空いた風穴を通って逃げていった。
「待て!どこへいく!?おいトランペット!彼らを!!」
その光景を見たリ・デストロは横に立っていたスーツを着用した高身長の男トランペットこと『花畑孔腔』へと命令する。彼の個性は『煽動』彼の言葉によって心を許す者へ勇気と共に眠る力を呼び覚ませる正に参謀や指揮役に相応しい効果を持っているのだ。
だが、そんな彼も顔から大量の冷や汗が流れ出ており、全身を震わせていた。
「おい!」
「無理…ですよリ・デストロ…。あんな…あんな化け物…にどう立ち向かえと…!?」
「なに!?」
リ・デストロの命令を拒否したトランペットの目からは、もはや解放を主義とする考えや行動などへの意識は完全に失せていた。
「あんな…外典を一撃で…ギガントマキアを殴り飛ばす子供に…我々のような“パッと出”が敵うわけないでしょうが!見えなかったのですか!?殴り飛ばして尚も余裕な表情を!」
○◇○◇○◇
その一方で、拳太郎は風穴の前へと一瞬にして移動すると、逃げようとした構成員達を次々と殴り飛ばしていった。
「ソラァ!!!」
「がぁ!?」
最も手前に立っていた構成員目掛けて蹴りを放ち、天井へと蹴り飛ばし
「ソラソラソラァ!!!」
「ぐふぅ!?」
「ぐべぁ!?」
「ぺぶ!?」
さらに周囲に立っていた3人、5人、8人と次々と構成員達を蹴り飛ばし、殴り飛ばして行き、次々と吹き飛ばされた構成員達が壁へと叩きつけられていった。
「やめろ!!来るなぁぁぁぁ!!!!!」
「先にやったのはそっちでしょ?仕返しされる覚悟くらい持ってろよ」
その言葉と共に拳太郎は泣き叫ぶ構成員の1人の身体を蹴り飛ばした。
そして、その数は1秒経過するごとに増えていき、10秒経過する頃にはその場にいた2000名のうち、9割以上もの構成員達が拳太郎の周囲に倒れていた。
「つ…つえ…」
「なんなんだよ…コイツ…」
足元で倒れていた数名の構成員が細々とした声を漏らすと拳太郎は周囲のまだ立ち尽くしている構成員達へと目を向けた。
「どうした?さっきまで息巻いてただろ。その調子でこいよ」
「テメェはテメェで調子乗りすぎなんだよ」
「ん?」
その時であった。背後から声が聞こえ、振り向くと群衆の中から荼毘が跳躍する形で現れ、蒼い炎を纏った右腕を拳太郎へと向けた。
「エンデヴァーの野郎に浴びせてやりたかったが、先にテメェにプレゼントしてやるよ!!最高火力をよぉ!!!」
その言葉と共に纏われた炎が巨大化すると共に渦を巻きながら拳太郎へと放たれた。
「お?」
放たれた炎は拳太郎の身体を業火へと包み込んだ。
「…この距離から撃たれりゃ皮膚ごと爛れちまうぜ…!」
飛び降りた荼毘は拳太郎を飲み込んだ炎が青く燃え盛る中、その光景を見つめる。
「さて、多少は効いたか?」
「いや全く」
「なに!?___がはぁ!」
炎の中から突然と声が聞こえると共に、拳太郎が飛び出し、荼毘の顔を掴み上げた。
「テ…テメェ…何で火傷すらしてねぇんだよ!?」
「ドライヤーごときで人なんざ焼けねぇよ」
「ドライ…ヤー!?」
その言葉が言い終えると同時に_____
_______拳太郎は荼毘の身体を壁へと叩きつけた。
「筋肉つけて出直してこいッ!!」
「ゴハァ!?」
その衝撃によって荼毘の口元からは胃液が吐き出される。
「荼毘!!貴様よく___グハァ!?」
「後ろががら____ごふぅ!?」
「邪魔」
荼毘を戦闘不能へと陥れ、それに怒りを露わにさせスピナーと背後から不意打ちしようとしたMr.コンプレスは拳太郎目掛けて武器を振るうも、拳太郎はそれに向けて拳と蹴りを放ち、武器ごとスピナーとコンプレスを吹き飛ばした。
「荼毘!!スピナー!!コンプレス!!」
「全く。襲い掛かってくる割には大した事ないな」
トゥワイスが叫ぶ中、2人を瞬殺した拳太郎は地面へと着地すると、今度は立ち尽くしているリ・デストロとトランペット、そしてスケプティックへと目を向けた。
「アンタ等はともかく、社長と四ツ橋さん。テメェら2人はマジで許さねぇぞ?この僕を騙したからには全治11ヶ月くらいの重傷を負わせねぇと気が済ま____ん?」
拳太郎が立ちすくむ2人に向けて殺気を放とうとした時であった。
「捕まえたぞ神堂…!!」
首元に何者かに掴まれる感触が伝わり、みれば死柄木が5本全ての指を突き立てる形で首を掴んでいたのだ。それだけではない。拳太郎の首元に一本の注射器も打ち込まれていた。
「死柄木!?」
「おぉお!!!流石我らを導く者…!!!」
それを目にしたスケプティックは驚き、リ・デストロは歓喜の声を上げる。死柄木の個性は5本の指で触れた瞬間に対象を問答無用で朽ち果てさせる『崩壊』それは本人でも制御できず、5本で触れれば確実に発動してしまうのだ。
そして、その指がいま、拳太郎の首へと全て当てられていた。
「終わりだ神堂拳太郎…!!テメェは個性を無効化する個性か何かを持ってるかもしらねぇが…もう使えねぇな…!!オーバーホールから奪って量産したこの薬でテメェは…!!!」
だが、
現実はそれをアッサリと否定した。
「何言ってんだお前?」
「「「は…!?」」」
個性の発動要件を満たしているにも関わらず、拳太郎の身体に全く変化は起きなかったのだ。それを見ていた3人の声が重なる、
「うそ…だろ…?なんで…何で効かねぇぇんだよぉおおお!!!!!!!」
「うるせぇ」
“あの日と同じく”個性が効かないと確信すると死柄木は拳太郎から離れるも、拳太郎は狙いを死柄木へと変えて、彼目掛けて身体を回転させると_____
「どっかいってろ…ッ!!!」
「ガハァ!?」
その顔目掛けて強烈な回し蹴りを放った。それによって、その場に脆い音が響き渡ると共に、死柄木の身体は荼毘達と同じく吹き飛ばされていったのであった。
「嘘……あんな…あっさり…?しかも個性効かないって…」
構成員のみならず、最高指導者までも倒された事でついに四ツ橋達は完全に戦意を失ってしまった。
「あ〜スッキリした。さて…」
その一方で、死柄木を蹴り飛ばし、首元についた注射器を抜き取り握り潰した拳太郎の目がついに四ツ橋やトゥワイス達へと向けられた。
「残りの奴らも殴りたいけど…」
「「「ひぃ!?」」」
その目を向けられたスケプティック、四ツ橋ことリ・デストロ、トランペットの3名は全身を震わせる。
その目は今まさに自身らを食い殺そうとする獣の目であった。身体から発せられる殺気に当てられた事で生み出された恐怖感によって、もはや彼らは喋るどころか立ち上がる事さえもできなかったのだ。
すると
「…まぁいいか。これ以上はやりすぎだな」
突然と拳太郎の雰囲気が変わり、ここへ来た時と同様におとなしい様子へと戻った。それと同時に周囲に漂っていた殺気や威圧感も晴れていき、重くなった空気も少しずつ軽くなっていく。
そして拳太郎はくるりと向きを変えると、開けられた風穴の方へと歩いていった。
「…私達の事はいいんですか…?」
「別に。僕はちょっかい掛けてきた人以外は相手にしないので」
トガの問いに答えながら拳太郎は手を振りながら歩みを進めた。
「失礼しますね皆さん。2度とこんなくだらない事に僕を巻き込まないでくださいよ。僕だけでなく____
______僕の大切な人も」
その一言を最後に、拳太郎は倒れている構成員達を跨ぎながらこの場を去っていったのであった。
その場に取り残されていたのは死柄木と荼毘を介抱するトガ、トゥワイス、Mr.コンプレス、スピナー。そして地面へと崩れ落ちているリ・デストロ、トランペット、スケプティック並びに地面に倒れ臥す1800名もの構成員とその場に泣き崩れたり叫び声をあげパニックに陥っている200名もの構成員であり、その中で意識があったリ・デストロも呆然としていた。
午後17時58分
和歌山県 群訝山荘跡地。
超常解放前線という総勢11万人もの大規模団体は結成されてより数時間。たった1人の少年の手によって幹部3名及び各支部の筆頭2000人のうち、1800名を重傷に追いやられ、本部は完全に壊滅させられた。
そしてそれらの情報は全て余す事なく“スパイ”から“警視庁”と“上位ヒーロー達”へと伝えられたのであった。
拳太郎に倒された『超巨大アフリカゾウ』
体長97メートル
体高50メートル
足の直径9メートル
総重量数千トン
個性:『俊足』『個性無効化』
アフリカのサバンナで突然変異で生まれた超巨大なゾウ。あまりにもデカすぎる上に全身が筋肉の塊で防御力もあり、個性『俊足』でチーター並みに素早いため、戦車などが投入されたが、全く叶わず、当時のオールマイトに討伐が依頼されるも、彼が到着する前に拳太郎に殺され、肉は数日掛けて全て喰われた。
個性を無効化する個性も持っているため、下手をすれば スターやAFOでも勝てないかも。
全体重を乗せた両足踏みつけは、本気で行えば大陸全土を揺らしてしまう。