ちょっと!!勉強の邪魔しないでよ!!   作:狂骨

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初めてのヒーロー活動は緊張する

 

 

「え?神堂くんをインターン活動に?」

 

超常解放前線が壊滅させられてより数日後。リューキュウの元にある知らせが届いた。それは雄英高校普通科1年生である『神堂拳太郎』のインターン受け入れの申請であった。

 

「う〜ん…彼か…ウチで預かるにはちょっと」

 

リューキュウは事前に拳太郎の過去の情報について知らされているため、自身の事務所や同じくインターンとして活動しているねじれ達の事を踏まえて、安易に頷く事ができなかったのであった。

 

 

そんな中であった。

 

「ねぇねぇリューキュウ!どうしたの?そんな難しそうな顔して!」

 

「ん〜?」

 

背後からねじれが手を回しながら抱きついてきた。それに対してリューキュウは彼女の頭を撫でながら答えた。

 

「それがね。君の旦那さんをインターンとして雇ってほしいって通達が来たんだけど____」

 

 

その瞬間 ねじれの目が変わった。

 

「拳ちゃんが…来るの…?」

 

「まだ考え中だよ?いくら強くてもこれ以上、受け入れは……

 

 

バン!!!

 

最後まで言い終えようとしたと同時にねじれの両手がまるで逃げ道を無くすかの様に壁に押し付けられた。

 

「リューキュウ…お願い…拳ちゃん…入れてあげて…?」

 

「えぇ!?いやいや!受け入れるにしてもだよ!?ねじれ達はヒーロー基礎学とか色々学んでるからあれだけど、神堂くんは全くの初心者で……ヒェ!?」

 

リューキュウが拳太郎を雇うことに躊躇する理由を話す前に俯いていたねじれの顔がゆっくりと上げられた。

 

「はぁ…!はぁ…!はぁ…!」

 

その顔は真っ赤に染め上がっており、青い目はハート型、そしてその口元からは涎が流れ出ていたのだ。

 

「拳ちゃんとヒーロー活動…!拳ちゃんと夫婦で…!夫婦の共同作業…!!!」

 

「ちょっと!幾ら何でも豹変しすぎじゃない!?」

 

「活動…遠征…ホテル…旅館…!!拳ちゃんと2人きり…拳ちゃんと夜通し…!!!」

 

「全く関係ないよね!?後半完全にプライベートだよね!?」

 

「お願いリューキュウ!!!推薦書が必要なら何枚でも何十枚でも書くから!!!お願い!!!」

 

「ぐぅ……」

 

その後、ねじれの数時間に及ぶ説得と拳太郎の魅力について語られた事で流石のリューキュウも折れたのか、承諾するのであった。

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

インターン当日。リューキュウの事務所へと到着した拳太郎をねじれは手を大きく広げながら抱き締めた。

 

「拳ちゃ〜ん!!聞いたよ!ヒーローになるんだってね!これで2人で一緒に事務所が開けるね!!早く卒業して事務所開いて初の夫婦コンビのヒーローになろう!!ね!ね!!」

 

「うぅ…」

そう言いねじれは次々とキスしていく。

 

その光景を固まりながら見ていた麗日と蛙吹の目の前でやれやれと首をふっていたリューキュウは全員が集まったことで席を立つ。

 

「さてと…それじゃ、いつも通りパトロールに行くよ。ねじれは少年が分からない事があったら教えてあげて」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

それから5名は活動へと移る。因みに皆はヒーロー活動のため、それぞれ個性を活用できるコスチュームを着用していた。因みに拳太郎はコスチュームではなく、雄英高校のジャージである。

 

「まずは街の見回り。特に私やねじれ、ウラビティやフロッピーは立体的に動けるから高い場所や海上での救助活動が多いのよ」

 

「なるほど…」

 

リューキュウの説明を聴きながら拳太郎はヒーローとしてのノウハウを頭の中に埋め込んでいく。彼女の活動圏は広く、地上は勿論だが、筒抜けになりやすい空も管轄範囲なのだ。その上、街ゆく人たちは次々と彼女の写真を撮っていた。

 

「基本的にパトロール、次に困っている人を見つけたら手助け。これが流れね。ま、何も起きないのがベストなんだけど」

 

「まぁそうですよね」

 

「因みに、人を助けた経験はある?」

 

「いえ、あまり」

 

その時であった。

 

「……ん?」

 

突如として、リューキュウの耳元に装着された通信機からすぐさま通信が入る。

 

「…了解。すぐに向かうわ」

 

通信を切ったリューキュウは4名に指示を出す。

 

「早速出番だよ。近くの銀行に強盗が入ったらしいわ」

 

 

○◇○◇○◇○◇

 

件の銀行はその場から遠い距離ではなく、一同はすぐさま駆けつけた。現場には既に警察が到着しており、リューキュウが到着すると、警備隊のリーダーらしき男性が敬礼する。

 

 

内容としては10人ほどの強盗集団が銀行員と客の数十名を人質に立てこもっているらしい。

下手に突入すれば人質の命はないため、警察や警備隊も動けないのだ。

 

「私の個性だと、ビルごと崩れて巻き込む可能性があるわ」

 

「じゃあ私とフロッピーでいきます…!」

 

リューキュウが悩んでいると、お茶子と蛙吹が名乗りをあげる。確かに彼女らの個性ならば、別通路から侵入して撹乱することも可能となるだろう。

 

だが、それでも彼女らはまだ学生である。リスクが大きすぎるのだ。

 

「ねぇねぇ2人とも…!確かにいい考えだけど、作戦が難しすぎるよ!ここは一回拳ちゃんに任せてみた方が…」

 

「いや、神堂くんはまだ初心者だ。こんな難易度の高い救出作戦は………あれ?神堂くん!?」

 

ねじれの提案にリューキュウが首を振る中であった。5名のうち、もう一名である拳太郎の姿がない事に気づく。

 

「え!?ちょ…ねじれ!あの子は!?」

 

「トイレに行くって言ってたよ」

 

「はぁ…こんな時に………」

 

 

 

 

 

その時であった。

 

 

____うわぁ!?なんだコイツ!?どこから入ってきやがった!?

 

 

「「「「!?」」」」

 

突如として銀行の中から声が聞こえてきた。

 

 

「何だ!?何が起きているのだ!?」

 

その直後。

 

 

___おい!コイツよく見たら雄英体育祭の優勝者じゃねぇか!?

 

「「「「え…!?」」」」

 

続けて聞こえてきた声に一同は耳を疑う。ここら辺でヒーロー活動をしている雄英体育祭の優勝者など、1人しかいない。

 

すると、案の定、その侵入者の声が聞こえてきた。

 

 

 

___どけぇえええ!!!漏れるんだよぉおおお!!!!

 

 

その声と共に

 

ドガシャァァァァァン!!!

 

銀行の窓ガラスを突き破りながら武装した強盗の1人が飛び出してきた。それだけではない。

 

 

___な…なんだコイツ!?弾をキャッチしやが…

 

ドガシャァァァァァンッ!!!

 

___うわぁぁぁ!!!コイツ銃を分解しやが……

 

ドガシャァァァァァンッ!!!

 

 

1人、また1人と立てこもっていた強盗たちが次々と銀行の窓ガラスを突き破りながら飛び出してきていった。しかも、全員もれなく顔面に一撃をもらっており、頬は大きく腫れ、歯もへし折れていた。

 

「凄いな…声しか聞こえないが、彼が大立ち回りをしているのが分かる…どんな速度で動き回っているんだ…!?」

 

「ね…ねぇ先輩…神堂ちゃんって昔からあんな感じだったの…?」

 

リューキュウがその様子に圧倒される中、震えながら尋ねる蛙吹にねじれは頷いた。

 

「うん!拳ちゃんって、ヒーローに興味がないって言いつつも無意識に助けちゃうんだよ!」

 

 

それから数分後。最後の1人が飛び出すと共に中の騒ぎが収まり静かになった。

 

「終わった…のか?一応、これで話にあった通りの人数だが…」

 

状況を冷静に観察していたリューキュウは警備隊長と連携し、彼らと共に中へと向かった。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

中へと入ると、そこには多くの客と銀行員達の姿があり、なんと全員が無事であった。

 

「よかった…皆無事だ!すぐに誘導するよ!」

 

リューキュウの指示に3名は頷き、警備隊と協力しながら被害者達を外へと誘導していった。

無事に犯人も逮捕されたために誘導はスムーズに進められていき、大勢いた銀行の中身が次々と空になっていく。

 

 

そんな中であった。

 

 

「よし。もうすぐ全員外に…あれ?」

 

次々と人質が解放されていく中、リューキュウは今回の功労者である拳太郎の姿が見えない事に気づき、周囲を見渡した。

 

「神堂くんの姿が見当たらないんだけど…」

 

「あ!あそこに!」

 

「「「「え?」」」」

 

ねじれが声を上げて、彼女の指が向けられた方向へと目を向けると、そこには隅にある椅子に大人しく座る拳太郎の姿があった。

 

「拳ちゃ〜ん!」

 

それを見たねじれはリューキュウ達よりも早くすぐさま彼に駆け寄ると首に手を回しながら抱きついた。

 

 

「全くねじれは……まぁいいか。神堂くん!今回はお手柄だったよ。ただ、人質がいる中で下手に突入すると命に関わるからあんな真似はやめた方が…………ん?」

 

 

そんな中であった。今回の救出劇を好評していたリューキュウは、座っていた拳太郎からある違和感を感じた。

 

「ねぇ2人とも…あの子って…あんなに座高があったかしら?」

 

「「え?」」

 

リューキュウの言葉に麗日と蛙吹はねじれに抱き付かれる拳太郎へと目を向ける。見れば彼の小柄な身体に似合わず、何故か座高が高いのだ。それどころか、一向にその椅子から立ちあがろうとしない。

 

 

____何があったのだろうか?

 

 

 

すると

 

拳太郎はただ笑みを浮かべながら目元から涙を流した。 

 

 

「皆さん______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________誰にも言わないでございまする…」

 

 

「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」」」」」

 

その場に大勢の驚く声が響き渡ったのであった。

 

 

 

 

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