雄英体育祭。それは国内におけるオリンピックに等しいと言われるほどのビッグイベントであり、日本中から観客は勿論だが、将来のヒーローをスカウトするべくプロヒーローも集まるのだ。
『雄英体育祭!!ヒーローの卵達が我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!どうせテメェラあれだろ!?コイツらだろぉ!?敵の襲撃を受けたにも関わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!ヒーロー科1年A組ィィィィィィィィィィィィィ!!!!!』
プロヒーローにして雄英高校の英語教師であるプレゼントマイクのエキサイティングな実況の元、次々と選手達が入場口を潜り抜けていった。
勿論だが、ヒーロー科への注目が大半どころか9割9分を占めており、A組とB組が現れた途端に大歓声が巻き起こった。
それもそうだ。未来で活躍するヒーローの卵であるのだから。
『B組に続いて普通科のC、D、E組!!サポート科F,G,Hも来たぞぉ!!そして経営科_____』
A、B組への注目度が高すぎる故に、普通科へと寄せられる歓声は先程よりも僅かに減るのであった。
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それから選手全員が入場し、列へと並ぶと、雄英高校の教師であり、プロヒーローでもあるが、際どい衣装へと身を包んだ妖艶な18禁ヒーロー『ミッドナイト』が壇上へと上がった。
「それでは!選手宣誓!1-A爆豪勝己!!」
ミッドナイトの呼び掛けと共に、指名された一人の目つきの悪い少年が壇上へと上がった。
それを普通科の列で見ていた拳太郎は心操へと小声で尋ねる。
「あの人って前の…!?首席だったのか…」
「ふん。入試と相性が良かっただけだろ」
拳太郎の言葉に心操が返す中、壇上へと上がった爆豪はマイクに顔を近づけ宣言する。
『宣誓_______俺が1位になる』
「「「「「「「!?」」」」」」」
その発言に拳太郎は勿論だが、彼の所属するヒーロー科でも騒ぎが巻き起こった。
___調子に乗んなよA組こらぁあー!!
___なぜ品位を貶めるような事をするんだ君はぁー!!
__Boooooo!!!!!
「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」
次々と巻き上がる文句やブーイングに爆豪は冷静に煽り返していったのであった。
それを遠目で見ていた拳太郎は苦笑する。
「よ…よっぽどの自身家なんだねあの人…」
「ふん。それよりも、最初の競技始まるぞ」
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『それじゃあ早速第一種目といきましょう!!!さて…今年の運命の第一種目は〜〜〜これよ!!』
ミッドナイトのアナウンスと共に彼女の背後にある巨大なモニターに種目が表示された。
【障害物競走】
『計11クラスによる競争よ!コースはこのスタジアムの外周4キロ!!我が校は自由が売り文句だからコースを守れば“何をしたって”構わないわ!!では生徒の諸君!位置につきまくりなさい!!』
そのアナウンスが終わると、皆は次々と出入り口へ集まり始めた。
それは拳太郎も同じだ。
スタートへと位置についた皆は次々と走り出す姿勢へと入り、固唾を飲みながら合図を待つ。
その瞬間
______スタートッ!!!!!
巨大なチャイムと共に目の前の出入り口が開閉され、皆は一気に出入り口へと向かっていった。
だが、
「うぎゃぁあ!?」
「出入り口狭すぎるだろ!?」
狙いがあったのか、全員が一気に倒れるほどまで出入り口は広くはなく、押し寄せる人波によって、皆は走れなくなり速度を落としていった。
そんな中であった。
「…」
スタートで皆が出鼻をくじかれている中、背後からその光景を見つめていた拳太郎は懐からテープを取り出すと手首足首へと巻きつけていく。
「…ふぅ」
テープを巻き終えると息を整えながら状態を前に倒し、ゆっくりとクラウチングスタートの体勢を取ると、目の前の狭くとも縦に長い入口のガラ空きな上側へと目を向けた。
「(初めから…全開で…ッ!!!)」
その瞬間
「フッ…!!!」
健太郎の姿が一瞬にしてその場から飛び上がり、一瞬にして人混みのある出入り口の上側を通過して前へと飛び出したのであった。
「よっ……と!!」
そしてその場に着地した直後に拳太郎は全身に力を込めると一気に駆け出した。
ドドドドドドドドド!!!!
土煙を巻き上げながら拳太郎は次々とコースを駆け抜けていく。その速度はまさに新幹線…否、下手をすれば新幹線どころか音速をも凌駕する程の速さであり、駆け抜けた後は突風が発生し、一瞬にして第一のトラップ、第二のトラップ…といった、用意されたギミックを潜り抜けて突破していった。
その速度は速すぎるあまりもはや________
__________モニターにも表示されず、誰にも見えなかった。
それによって拳太郎はまだ走り始めている選手がいるにも関わらずゴールへと到着してしまったのでだった。
「…これって入っていいのかな…?」
すると
「あら?何か忘れ物?」
先程まで壇上に立っていたミッドナイトが現れ声を掛けてきた。それに対して拳太郎は首を横に振る。
「いえいえ…」
「だったら早くいきなさい!せっかくの見せ場なんだから!!!」
「はぃいいい!!!」
その言葉に拳太郎は頷くと、再びコースを走るのであった。
神堂 拳太郎 障害物競走2周目へ。
ーーーーーーー
「ハァ…ハァ…ハァ…!!」
ロボットの大群を抜け、更に崖、そしてそれを乗り越えた先にある最後のトラップである地雷平原の手前にて、ロボットの壊れた装甲を背中に背負った一人の男子生徒が地雷を次々と掘り当てていた。
__ヒュンッ(拳太郎2周目)
「よし…ここだ…!!」
_ヒュンッ(拳太郎3周目)
『緑谷出久』
ヒーロー科の一年であり、今回の体育祭の目玉であるA組の所属である。そんな彼の個性は『ワン・フォー・オール』とあるヒーローから受け継いだ個性であり凄まじい力をその身に宿すという。
だが、その個性の力が強大すぎる故に彼の鍛え上げた肉体でも、その力が完全にコントロールできずに発揮した際に身体を深く傷つけてしまう欠点があるのだ。
そんな彼は同じA組の爆豪と轟というクラスメイトがデットヒートを繰り広げ、それに皆が続いていく中、地雷を集めていたのだ。
そんな中であった。
「へぇ!地雷をこんなに…発射台にでもするんですか?」
「え?」
突如として第三者の声が緑谷の耳に届き、緑谷が顔を上げる。
そこには、先程までずぅ〜っと走っていた拳太郎の姿があった。拳太郎は緑谷の様子に興味を持ったのか、彼を見つめていた。
_____拳太郎 現在4周目
「えっと…君は…」
「あ、始めまして。普通科の神堂 拳太郎です。以後お見知り置きを」
「あ…これはご丁寧に…って違う!!すぐに行かないと!!危ないから離れてて!!」
「え?あ、はい」
拳太郎を少し離れさせると、緑谷はロボットの装甲へと乗り、地雷を起動させた。
その瞬間
Dooooooooooonッ!!!!
巨大な音と共に積み上げられた地雷が大爆発を起こした。それと同時に発生した爆風は緑谷の乗ったロボットの装甲を前へと飛ばした。
そして、爆風によって飛ばされた緑谷は次々と選手を抜かしていき、遂には先頭を走る爆豪と轟の二人の前に落下したのであった。
「はぁ!?デクてめぇ!!!」
「緑谷…!!」
突如として後方にいた緑谷が前に飛び出してきた事で二人は驚くも、すぐさま速度を加速させて彼を追い抜こうとする。
だが、それだけでは緑谷は止まらない。彼らが走っているのは地雷平原であり、足元にはまだ複数の地雷が配置されていた。
それを見抜いた緑谷はすぐさま地雷に対して掴んだ装甲を叩きつけた。
その瞬間
Dooooooooonッ!!!!
再び地雷が爆発した。先程とは異なり地雷は一つしかなかった為に飛距離は先程よりは低いが、それでも爆豪と轟から離れる程の威力で吹き飛んでいった。
「よし!!」
そして、落下したと同時にすぐさま体勢を立て直すと、すぐさま全速力でゴールに向けて駆け出した。
その時であった。
「凄いですね!!まさか本当に地雷を起爆剤にするなんて!!!」
「へ……?」
横から声が聞こえ、見ればそこには先程まで地雷平原にいた拳太郎の姿があり、並走していた。
「え………えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」
それを見た緑谷は勿論だが、
「「「「ええええええええ!!!???」」」」
会場中の観客までもが驚きの声を上げていた。そんな中で同じく驚いていたプレゼントマイクは疑問を抱えながらもハイテンションになりながら実況する。
『なぁぁんとおおお!!!緑谷が地雷を火力に飛び出したのは驚きだがこれまた驚きだぁぁぁー!!!トップへと躍り出た緑谷と並走しているのは普通科所属の神堂 拳太郎だぁぁぁ!!!!どうやって!!??一体どうやってあの場所から一瞬で移動してきたんだぁぁぁ!?』
この日 初めて普通科の生徒へと全観客が注目するのであった。
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場所は変わり、目を輝かせながら並走する拳太郎に緑谷は何が何だか分からずただ疑問の声を上げる事しかできなかった。
「何でいるのぉおおお!?」
「え?いや走ってきたので」
「ええぇ!?」
そして、二人はそのまま駆け抜けていき_________
___________見事に同時ゴールしたのであった。