ちょっと!!勉強の邪魔しないでよ!!   作:狂骨

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愛にプラスもマイナスもない

 

「拳ちゃあああ〜ん!!!」

 

「ねじれさん!?」

 

群衆の奥から飛び上がったねじれは大きく手を広げながら此方へ迫ってきた。しかも、彼女だけではない。

 

「バァ〜!!」

 

「壊理ちゃんも!?ぐほ!?」

 

彼女の背中から壊理も顔を出し、着地したねじれと壊理はすぐさま拳太郎に抱きついた。

 

「うわぁ〜ん拳ちゃん〜!!心配したんだよ!?突然いなくなったんだから!」

「うぅ…寂しかったよ…」

 

「大丈夫!大丈夫だから離れてください!壊理ちゃんもごめんね!?だから泣かないで!ていうか角!!なんでそんなに大きくなってんの!?」

 

そう言い拳太郎は2人を引き剥がそうとする。

 

そんな中であった。

 

「……あれ?」

 

抱きついていたねじれは市民や皆から向けられた目線に気づいたのか、擦り寄せていた頬を離すと、周囲に目を向けた。

 

「ねぇねぇ何があったのこれ?なんで皆、拳ちゃんにそんな目を向けてるの?ねぇ拳ちゃん。どういうこと?」

 

「それは…」

 

「私が説明しますわ」

 

拳太郎が説明しようとすると、裁量の良い八百万が代わりに彼女に説明した。

 

「へぇ〜。そうなんだ」

 

八百万からここに至るまでの経緯を聞いたねじれは鋭い目を市民達へと向けると、問い掛ける。

 

「…ねぇねぇ。ちょっと聞きたいんですけど。避難する時って、皆さんどうやってここに来たんですか〜?」

 

「それは…歩いて…」

 

「俺は車で…」

 

ねじれの鋭い視線に怯みながらも質問された市民の皆は次々と答える。それについてねじれは首を傾げた。

 

「おかしいな〜。その時って、まだ完全に警察の人達が警備体制敷けてなかった時だよね?敵とかダツゴクとか、たくさんいたよね?それなのによく安全に来れたよね?」

 

「そ…それは!偶然出会わなかっただけで…」

 

「偶然?ねぇねぇ知ってる?偶然には何かしらの理由があるんですよ〜?ねぇ拳ちゃん、何してたの?」

 

「…緑谷くんとの決闘のためにダツゴクと敵共を蹴散らしてた」

 

「へぇ〜」

 

ねじれが問い掛けると拳太郎は自身が病室を去った後の緑谷との決闘について話し、それを耳にしたねじれはエンデヴァーにも尋ねる。

 

「ねぇねぇエンデヴァー!それって本当なの?」

 

「あぁ。間違いない。俺も現場にいた」

 

拳太郎のみならず、判定係であり、現状No. 1のヒーローであるエンデヴァーからも答えを聞き確信したねじれは市民へ身を向ける。

 

「ねぇねぇ!てことはさぁ!拳ちゃんと緑谷くんが戦った事でたっくさんのダツゴクや敵が捕まえられたから、安心して避難が出来たって事だよね?それで責め立てるなんて______

 

 

 

 

__________おかしいんじゃないですか…?」

 

その瞬間

 

___!?

 

その周囲一体に寒気が走る。普段は満面な笑みに包まれている彼女の表情は眉間には皺が寄り、目は鋭く血走っており、完全に一変していたのだ。

 

「ちょ…波動先輩…!落ち着いて…!!」

 

「落ち着けるわけないでしょ…ネットの情報だけで私の拳ちゃんを悪者扱いして…許せない…!!」

 

後輩である麗日が必死に抑えようとするもねじれの怒りは収まらず、それは今まさに市民達へと個性を発動させる勢いである。

 

 

そんな中であった。

 

「そ…そもそも君は部外者だろ!?」

 

「そうだ!!ヒーロー活動してるのを見かけた事があるけど、そこまで親密な関係じゃないはずだ!!!」

 

そう言い皆は次々に声を上げていく。彼らからすれば何であろうと、それが拳太郎の行ってきた事が全て潔白であるという証明だと認識出来ないからなのだろう。

 

それに対して、ねじれは叫んだ。

 

「部外者じゃありませんッ!!!」

 

市民を一喝し黙らせたねじれは拳を握りしめながら答えた。

 

「私は…拳ちゃんの…神堂拳太郎の______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______妻です…ッ!!!」

 

「「「「なぁああにぃいいい!?」」」」

峰田・上鳴「「なぁああにぃいいい!?」」

その言葉に市民や緑谷達の驚きの声が湧き上がる。

 

更に追い討ちをかけるかの様にねじれは壊理を抱き上げる。

 

「そしてこの子は娘です!」

 

「「「「子供までぇええええ!?」」」」

 

「因みに、婚姻届も。あとはどっちの苗字になるかだよ拳ちゃん♪」

 

「ぎゃあああ!!!いつ作ったのぉおおお!?」

 

彼女の手には“波動家と神堂家の実印”が押された婚姻届があり、更にその手の薬指には指輪があった。

 

「あ、あと拳ちゃん。指輪、無くなさないでね♡」

 

「え…」

 

その言葉に拳太郎はすぐさま自身の薬指を見ると、そこには彼女と同じ指輪が嵌め込まれていた。

 

「わぁぁぁ〜!?いつの間にぃいいい!?」

 

それだけではない。今度は壊理が拳太郎の腰に抱きついた。

 

「ねぇパパ!弟と妹っていつ生まれるの!?早く欲しいよ!!」

 

「「「「「2人目もぉおおおおお!?」」」」」

 

「壊理ちゃぁぁぁん!!!誤解招くからやめてぇえええ!!!」

 

既婚者どころか子供そして2人目を孕っているかの様なその発言に市民達は驚きが爆発してしまった。

 

「おいアイツもっとヤバいぞ!?既婚者で子供までいるって!!」

 

「しかも2人目も妊娠してる可能性があるぞ!!」

 

緑谷と拳太郎への非難の嵐は止んだものの、先程とは別の意味で大混乱な状態に陥ってしまった。

 

八百万「け…拳太郎さん!それは…ま…マジなのですか!?////」

 

拳太郎「んな訳ないでしょうが!!子作りなんてしてないですよ!!」

 

ねじれ「そうだよ!卒業してからするんだよ!今はゴムで____」

 

拳太郎「黙ってて!!」

 

峰田「しぃいいいいんどぅううう貴様ぁあああ!!!彼女作るどころかゴールインしやがったのかぁぁああ!!!」

上鳴「羨ましいだろうがチクショおおおおああ!!まさかメリッサさんともしやがったのかぁあああああ!!??」

轟「できちゃった婚って言うんだっけか」

爆豪「人生の墓場乙w」

蛙水「ごめんなさい。まだ結婚祝いと出産祝い、送れそうにないわ」

耳郎「マジでアンタ忙しいね」

緑谷「お…おめでとう…」

 

拳太郎「あんたらも黙れッ!!!」

 

もう先程まで緑谷を非難していた声などない。あるのはねじれによって暴露された彼女と拳太郎との濃密な関係と壊理との親子的な関係に対する疑問の声だけである。

 

 

そんな中であった。

 

その騒動の中、拡声器を手に持った麗日が皆へと呼びかける。

 

「波動先輩の言う通り、緑谷くんと神堂くんのお陰で助かった人もたくさんいると思います!!だからお願いします!!少しの間だけ休む事を許していただけませんか!?絶対に迷惑は掛けさせません!!お願いします!!!___

 

 

____どうかここを彼らのヒーローアカデミアでいさせてください!!!」

 

 

『『『『___ッ!!』』』』

麗日のその主張は隅々まで響き渡り、緑谷は涙を流し始める。そしてその発言を耳にした市民も、非難一方であったが、迷いが生じ始める。

 

 

すると

 

「緑谷兄ちゃん!!」

 

人混みの中からツノの生えた帽子を被った少年と狐のような顔を持つ大柄な女性が飛び出し、緑谷の元へと駆け寄って行った。

 

その光景を目の当たりにしていた市民は自身らの行動に疑問が生じてしまったのか、完全に声を上げなくなり黙り込んでしまう。

 

 

そんな中であった。

 

「ヒステリックに糾弾する前に、話ぐらい聞いてもいいんじゃねぇか?」

 

人混みの中から星型の髪型をした中年男性が現れた。

 

「その二人の兄ちゃんはここに常駐するわけじゃない。そう言う事だろ!?校長さんよ!」

 

男性の問い掛けに根津は頷く。

 

「俺は気づかなかったよ。オールマイトという平和の象徴によって、危険と隣り合わせだった生活が消えて、いつしか平和を願うばかりかヒーローに全部頼るようになった。それに答えるようにヒーローもいた。だが、オールマイトが引退してから俺は気づいたよ。オレ達は声援や野次を送るだけの『観客』で、ヒーローはその舞台上の『演者』だってな。これ以上責め立てて何になる!?ヒーローがいなくなったら俺達に何が残る!?

 

そんで、そこの長髪の兄ちゃんの言った通り、ここにいても100%安全って訳じゃねぇ!!たらい回しにしてもどのみち、死柄木は俺らを殺しにくる!!

 

だから冷静になろうぜ…俺たち…いつまで観客でいるつもりだ…!?」

 

 

その中年男性の呼びかけに市民の皆は震え始める。そんな中、緑谷を批判していた一人の男性が震えながらも尋ねた。

 

「ここで…休めば…取り戻してくれるのか…?俺達は普通の日常に戻れるのか…!?」

 

それについて緑谷は頷く。

 

「ここにいる皆となら…必ずさせます…約束します!!!」

 

宣言されたその一言は周囲に響き渡ると共に、彼らを非難していた市民達の耳へと深く入っていく。

 

そして、その言葉が遂に市民達の不安を取り除いたのであった。

 

 

その後、周りの市民の皆は、緑谷達へと駆け寄り傘を差し、中へと入っていく形で寄り添って行く。重要な関門を突破した事で、緑谷や拳太郎は一時の休息へと入ることができるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____いや、拳太郎にはまだ休みはない。

 

 

ガシッ

 

「拳ちゃんはこっちだよ〜♪」

 

「へ?」

 

突然とねじれが拳太郎の腕を掴むと、1-Aとは全く別の寮へと引き摺り出した。

 

「ごめんね皆〜。拳ちゃんちょっと借りるね♪」

 

そうねじれが皆に言うと、その穏やかな雰囲気の裏にある“圧倒的な圧”にA組の皆は一部を除いて身体を震わせる。

 

「「「「「ど…どうぞ…」」」」」

 

「ちょっとぉおおお!?誰か助け___もぐ!?」

 

叫ぼうとした拳太郎の口をねじれは虚な瞳と共に手で無理矢理ふさぐ。

 

「喋んないでよ…勝手にいなくなった分…ちゃんと私の相手してもらうからね…」

 

その後、3-Aのロビーでミリオと天喰の3人でトランプをしていた壊利はねじれの部屋から、何かを打ち付ける音を耳にし、その後、満面の笑みを浮かべたねじれと、やつれた拳太郎が出てきたという。

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

同時刻。

 

日本とアメリカを隔てる広大な海『太平洋』の上空にて。数機の機体とそのウチの一つに生身で乗りながらその空を進む影があった。

 

『俺達知りませんからねスター!なんの命令も要請もなしに出撃なんて!』

 

「いずれ行かなきゃならないさ。今か後かそれだけだろ?」

 

その影は次第に鮮明になっていく。戦闘機のその上に立っていたのは2メートルに達する長身と筋骨隆々な肉体を持つ女性。その髪型とアメリカを強く主張する服装は色素とシルエット要素からオールマイトを彷彿とさせる。

 

そして、その女性はオールマイトと同じくニカッと笑みを浮かべた。

 

「マスターが困ってる!二の足を踏む理由がどこにあるってのさ!それにミスターオーガばかりに任せてたら顔が立たないだろ!」

 

 

 

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