ちょっと!!勉強の邪魔しないでよ!!   作:狂骨

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海にいようと射程圏内

 

その後、オールマイトとも無事に再会し、話すことが出来た緑谷は疲れたのか、ソファーに座っていた。

 

「ふぅ…」

 

「お前も休めよ?体力よりも、精神的に疲れてんだろ?」

 

緑谷がソファーへと沈み込むと、風呂へと入り終えた轟が、栄養ドリンクを飲んでいる拳太郎へと休むことを勧めた。

 

それに対して飲み干した拳太郎は首を横に振る。

 

「別に。僕はいつでもAFOが現れても良いように起きてますから…」

 

「お前なぁ…前の作戦からずっとそれじゃねぇか」

 

「当たり前です。死柄木は緑谷くんに譲ったから、僕は残り物のAFOをぶちのめすだけ。生きる事が嫌になるようになるまで」

 

そう言い拳太郎は不快感を露わにしながら腕の骨を鳴らし出す。魔王に単身で挑むどころか追い詰めるその発言に周りの皆はドン引きしてしまう。

 

そんな中であった。

 

「ねぇねぇ。何で神堂は緑谷と決闘なんかしたの?」

 

「…」

 

唐突に芦戸が今回の騒動の目玉となる拳太郎と緑谷の決闘について尋ねた。それについて拳太郎は一瞬ながら表情を曇らせるも答えた。

 

「意見の違いですよ芦戸さん。僕は死柄木を死ぬ直前まで追い詰めたい。緑谷くんは奴を救いたい。緑谷くんの意思にムカついて今回の決闘を申し込んだ。それだけです」

 

「救いたい…か」

 

拳太郎の言葉に焦凍が納得する一方で、拳太郎の目が緑谷へと向けられる。

 

「緑谷くん。一つ聞きますが、救うとは具体的にどうやって…?」

 

「…」

 

その質問について、緑谷は死柄木の意識と合間見えた時の状況を語り出した。

 

「前に接触した時…見たんだ」

 

個性に宿る意思と相手の意識との邂逅。因子どうしが混濁する中、その因子に宿る意識が互いに干渉し、自身とこれまでの先代の継承者達。そして死柄木とそれに絡みつくAFO。

 

「あそこまで行くと…もう命を助けるのは難しいと思う…だから今は倒すしか方法はない…長く苦しませないように…」

 

「なるほど。楽にしてやるって事ですか」

 

緑谷の考えに拳太郎は頷く。

 

 

そんな中であった。

 

「あそうだ」

 

拳太郎は何かを思い出したかのように、緑谷へとあることを尋ねた。

 

「これはただの質問なんですが、も〜っと簡単に救える方法があったらどうします?」

 

「え…?」

 

目を変えた拳太郎の問いかけに緑谷は首を傾げる。

 

「ど…どう言う事…!?」

 

「“ある子”からの提案です。上手くいけば______

 

 

 

 

 

 

______敵戦力をAFO1匹だけに追い詰めて、それ以外の連中は救う事ができる」

 

「「「「!?」」」」

 

衝撃のその発言に緑谷のみならずA組の皆やオールマイトも驚愕し固まってしまう。

 

「神堂少年…その方法とは…!?」

 

「簡単です。それは____」

 

恐る恐るオールマイトから尋ねられた拳太郎はその方法を口にしようとする。

 

 

その時であった。

 

突然とオールマイトの携帯が鳴り出す。その音に皆は会話を中断しオールマイトへ目を向ける。

 

「…あぁ失礼。私だ…………なにぃ!?」

 

「「「「?」」」」

 

突然と驚くオールマイトに皆が首を傾げる中、通話を終えたオールマイトは静かに携帯をポケットへとしまう。それはまるで、驚きと同時に懐かしんでいるかのような表情であった。

 

「キャシーが…あの子がここへ来るのか…!」

 

「オールマイト、キャシーとは?」

 

緑谷が尋ねるとオールマイトは答える。

 

「私の友人でね…彼女が幼い頃からの付き合いでね…今の彼女の名は現アメリカのNo. 1ヒーロー【スターアンドストライプ】だよ」

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

場所は代わり、太平洋上空。オールマイト達へと助力すべく、アメリカから何もかも手続きなしに飛んできた最強のヒーロー『スターアンドストライプ』は、突如として上空に現れた謎の黒い影と対峙していた。

 

「手厚い歓迎だね。アンタが、AFOかい?」

 

鋭い目が捉えた先には___

 

「さぁ、俺ってなんだろうな…?」

 

___長い長髪にスーツで身を整えながら、飛行型の脳無に乗る死柄木の姿があった。

 

『違うぜスター。ありゃトムラ・シガラキだ。EMP攻撃を使用するらしい。各自、防電モード展開。自動運転を解除。一応聞くがスター!迎撃か?それとも回避か?』

 

「勿論SMASHッ!!!!」

 

その言葉にパイロット全員は頷き、すぐさま陣形を展開させる。

 

 

 

すると

 

死柄木がこちらに目掛けて右腕を向ける。それを見たスターはすぐさま飛び立つ。

 

「避けろ!!!」

 

 

その瞬間 

 

『電荷』+『押し出す』+『重荷』

死柄木の向けられた掌から超極太の巨大な電磁光線が放たれ、避けたスターを横切り、空へと消えていった。

 

「どっちが先に触れられるかだアメリカ最強!!!」

その個性はもはや兵器さえも凌駕する完全なる神の技とも言うべきものだろう。

 

だが、スターは姿勢を一切崩さない。

 

「手の内が分かってても対策しようがないってのが最強なんだぜboy!!」

それを目にしたスターは完全に危険性を認識すると、すぐさま別の戦闘機に飛び降り、拳を握り締める。

 

 

「____【新秩序(ニューオーダー)】…これより大気は私の正面100メートルに存在できない…!!!」

 

 

 

 

その瞬間

 

 

「…!?」

 

死柄木の全身から筋が湧き上がり、口や目からは血が吹き出した。息などできない。大気が抜かれた箇所は完全なる真空となり、何もかも存在しない空間が死柄木へと襲いかかって行った。

 

この馬鹿げた能力こそ、彼女『スターアンドストライプ』の個性【新秩序】である。一度に二つまでルールを指定することができ、その種類は無限大であり、今のように大気を消すこともできるのだ。

 

「コイツで死んどけッ!!!」

 

「…!!(欲しい!!この個性!!)」

 

対して口元を抑えながら落下する形でその空間から脱出した死柄木はその個性の性能に感動しながら欲を表面に出す。

 

 

そしてその動きをスターは決して見逃さない。

 

「レーザー発射!!」

 

その指示によって、すでに死柄木の周囲に旋回していた戦闘機の射出砲口が光だし、レーザー砲が発射されると落下する死柄木へと放たれた。そのレーザーによって死柄木の全身が熱によって焼き尽くされていく。

 

『やったか!?』

 

「…いや…まだだ!!」

 

その状況にパイロットの一人が勝利を予感するがスターは首を横に振る。

 

 

 

その時であった。

 

『反射』+『拡散』

 

死柄木の全身を焼き尽くしていたレーザーが突然と方向を変え、逆に放たれた方向へと反射した。

 

次々と反射されていくそのレーザーをパイロット達が避けていく中、その内の一本がスター目掛けて向かっていく。

 

「ふん…!!」

 

対して、スターは咄嗟に個性を発動し、そのレーザーを受け止めた。

 

新秩序【レーザーは持てる】

 

だが、それによって死柄木を閉じ込めていた真空の空間が消滅してしまった。そして、それによって死柄木は咄嗟に新秩序の制限について気づき始めてしまう。

 

 

「(勘付かれたか…いや、寧ろ遅いくらいだ…!!)」

 

その様子に対してスターはここから更に苛烈な戦いになる事に覚悟を決めると共に本領を発揮させる。

 

「いくよBrosッ!!!」

 

 

 

 

だが、次の瞬間

 

 

死柄木の身体が一瞬にしてスターの前に現れた。

 

「な…!?」

 

何の前触れもない。予備動作もない。

明らかに先程とは全く違う異常なスピードに、スターは勿論だがパイロットの皆も驚愕する。

 

 

 

すると

 

「弱いなぁ…」

 

「…!?」

目の前に立っていた死柄木の目が向けられた。その目は真っ黒に染まっておりまるで眼球がないかのように光沢も消え失せていた。

 

「弱い…弱いすぎるし鈍い!!アイツに!!神堂拳太郎に比べればどうってことないねぇ!!!」

 

「こ…コイツまさか…!!!」

 

スターは最悪な状況を読んだ。死柄木の身体は神堂拳太郎との闘いと彼から得た特大のダメージによって、ダメージを受けたその肉体と動体視力までもが進化してしまったのだ。

 

 

「く…!?」

 

もはや自身の個性が奪われる事は確定した。故に咄嗟にスターは個性を発動させようとするが、すでに死柄木の腕がスターの顔へと迫っていた。

 

「俺(ぼく)が…上手く使ってやる…ッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時であった。

 

「出てきたと聞いて来てみれば、今度は空かよ」

 

「!?」

 

背後から突然と聞こえてきた声を耳にした死柄木はスターへと伸ばしていた手を止めた。

 

「よぅ死柄木弔」

 

そこには、長い髪を揺らしながら、全身からドス黒いオーラを発する拳太郎の姿があった。

 

 

「何でお前がここに…!?神堂_____」

 

その後の言葉はもうない。

 

「オラァアッ!!!!」

 

言い終える前に拳太郎の拳が死柄木の頬を深く殴りつけ、太平洋目掛けて殴り飛ばしたのであった。

 

 

 

_____ッ!!!!!!

 

 

 

水に叩きつけられ巨大な破裂音と共に水飛沫が吹き上がる中、その水飛沫に顔を濡らしながら、颯爽として現れた拳太郎に驚いたスターは目を細める。

 

「oh…まさか其方から来るとはね。Mr.オーガ」

 

「はい?僕の名前は拳太郎ですが?」

 

 

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