ちょっと!!勉強の邪魔しないでよ!!   作:狂骨

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拳太郎vsAFO


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絶望があるからこそ希望は光る

 

 

「マイノリティ…?んだよそれ…反則じゃねぇかよ!」

 

緑谷からAFOの新たなる個性について聞かされると峰田や皆は顔面を蒼白させてしまう。それもそうだ。回復のみならず攻撃の無効化など、そんな馬鹿げた個性など、聞いたこともないのだから

 

すると

 

「皆これを!神堂くんが…!!!」

 

映像を見ていた飯田が叫び、皆がその映像へと目を向けると固まってしまった。見ればそこには、拳太郎が苦しみながら膝をついている姿が映っていたのだ。

 

「神堂くん!?」

 

「おかしいだろ!?何でアイツに個性が通じるんだよ!?いっつもアイツ俺らや敵共の個性おかまいなしだったろ!?」

 

初めて拳太郎が膝をついているその様子に、緑谷は勿論、峰田も驚きの声をあげる。すると

 

『君に個性が通じないのは___

 

 

「「「「!?」」」」

 

映像にてAFOが拳太郎の個性について言及していた。それを耳にした皆は不安を募らせながらも、今まで拳太郎に個性が通じなかった理由を知るべく眼を向けた。

 

『君の強大な力を宿す身体を構成する一つ一つの細胞が個性因子を分解するからだよ。だから弔の崩壊も、その他の身体に影響を及ぼす個性も通用しなかった。だがこのマイノリティによって、君の膨大な細胞の中に存在する『分解しない』作用を持つ細胞達を強制的に多数派にすることで、個性を通用させることができるのさ』

 

その一言は皆から希望を消し去った。

 

いや、拳太郎の細胞自体が個性因子を分解している故に個性が通じなかったという理由にも驚きだが、それすらAFOの個性によって無効化されてしまうという事実によって、絶望へと書き換えられてしまったのだ。

 

AFOの言葉に、八百万は口元を震わせながら緑谷へと尋ねる。

 

「じゃあ拳太郎さんは…今は完全なる無防備…!?」

 

「うん!だから不味いんだ!アイツは死柄木の個性も奪い取ってる!いくら神堂くんでも5本指で触れられたら危ないよ!」

 

緑谷が八百万に答えている合間にも、更に不安な絶望を煽るかのようにAFOは個性を発動させていく。

 

「おいお前ら!ヤバいぞ…あの野郎、どんどん個性発動してきやがった!!」

 

「「「「!?」」」」

 

峰田の声に皆が映像へと目を向けると、そこには全身から巨大なオーラを光の如く発しているAFOの姿があった。

 

『『筋骨発条化』+『瞬発力×100』+『膂力増強×100』+『筋繊維強化×100』+『骨格強化×100』+『心肺強化』+『光』+『金剛体』+『細胞分裂加速』+『疲労回復』+『エネルギー効率化』 

今僕の中にある無数の個性の中で、君を殺すためだけに選んだ個性だ。肉体の強度は全盛期の数千倍…そしてその強靭な肉体から繰り出される肉弾戦の威力を無限に近い値まで上昇させる『光』そのスピードの慣性力をものともしない『金剛体』』

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

AFOと相対した時の個性よりも大量かつ強大な個性に皆は硬直してしまう。

 

「嘘だろぉおお!!いくらなんでもこんなの反則じゃねぇかよぉ!!」

 

「あんな個性の攻撃なんか受けちまったらひとたまりもねぇぞ!?」

 

峰田は絶叫し、切島もいつものポジティブな性格が消え去り、額から冷や汗を流しながら焦り始めていく。その様子に皆も拳太郎を見つめていった。

 

いや、その時には既に攻撃の手が拳太郎へと迫っていた。

 

『ソラァ!!』

 

___ッ!!!

 

AFOの拳が放たれると共に拳太郎の身体が吹き飛ばされた。そして、そこからは正に独壇場である。カメラでさえも、追う事ができず、動作自体を捉える事は不可能であったが、次々と肉を叩く鈍く重い打撃音が聞こえ、AFOの連撃が拳太郎を襲っていった。

 

「おい…おいおい!!もうやめろよ!!!これ以上は!!!」

 

切島の悲痛な声が静かに響くも、攻撃の手が止まらない。

 

 

そして、ようやく攻撃が止まった時には既に拳太郎の身体は上空へと投げ出されており、その拳太郎に向けてAFOが迫っていた。

 

「何やってんだよぉおお!!!避けろよ神堂ぉおおお!!!!」

 

「拳太郎さん!!!」

 

峰田や八百万達の声は届く事なく、AFOの渾身の一撃が_____

 

 

『終わりだぁああ!!!!神堂拳太郎ォオオオ!!!!!』

 

 

_______拳太郎へと炸裂し、あたりを閃光に包み込んだのであった。

 

 

 

 

 

その映像を目にしていた数人は、あまりにも信じられない状況に、その場に崩れ落ちた。

 

「嘘…でしょ?アイツ…」

 

耳郎が声を震わせる中、八百万は涙を流し、上鳴達はその場に崩れ落ちた。

 

「神堂もやられちまったなんて…あ…あんなの…どうやって倒せばいいんだよ…!!」

 

 

拳太郎でさえも圧倒する覚醒したAFOのその力に、皆は希望を見いだせなくなり、完全に絶望に染まっていた。

 

 

____もう誰もAFOを止める事はできないのだろうか。

 

 

 

 

 

 

そんな中であった。

 

「なに慌ててんだ」

 

その映像を静かに見ていた爆豪が声を上げる。見れば爆豪はいつもの無表情であった。

 

「かっちゃん…!?」

 

「おい爆豪!何でそんな冷静でいられんだよ!?アイツがやられちまったんだぞ!?」

 

「やられたダ?」

 

佐糖に対して爆豪はため息を吐くと、絶望している皆に目を向ける。

 

「出久もお前らも、どんだけアイツがキレてる姿を見てきた?どんだけ戦ってる姿を見た?」

 

「「「「?」」」」

爆豪のその言葉に皆は理解できず、飯田が尋ねる。

 

「どう言う事だい…?」

 

「思い出せって言ってんだよ。ブチギレてるアイツの殺気に比べれば、AFOなんて、全然大した事ねぇだろ」

 

その言葉に緑谷、轟、飯田、八百万など、拳太郎の強さを間近で感じた皆はようやく理解した。

 

それだけではない。爆豪はまだ飲み込めていない生徒のために壊利へと目を向ける。

 

「分かってねぇ奴らは、ソイツを見ろ。一番知ってる奴がこんな表情してりゃ、一目瞭然だろ」

 

爆豪の目の先にあったのは、悲しみも不安も何一つなく、ただ自信に満ちた笑みを浮かべている壊利の姿だった。

 

「そうだろ?」

 

「うん!」

 

爆豪の問いに壊利は頷いた。

 

「パパはこんなんじゃ絶対やられない!!」

 

○◇◇○◇○◇○

 

それは彼女だけではない。

 

別の待機地点にて、皆がその戦いぶりを不安な表情で見つめる中、ミリオ、サー、天喰と共にその戦いの行く末を既に知っているかのように笑みを浮かべながら見つめる少女の姿があった。

 

それは、日本から数キロ以上も離れた島『I•アイランド』でも同じである。超巨大モニターに放映された最終決戦を群衆が見つめていく中、同じようにその闘いぶりを眼鏡をかけた長髪の少女も笑みを浮かべながら見つめていた。

 

 

 

「「大丈夫。拳ちゃん(ダーリン)はこんなんじゃ倒れない」」

 

○◇◇○◇○◇○

 

 

その念が同時に交わされた時、八百万が声を上げる。

 

「見てください!!!煙の中から拳太郎さんが!!」

 

見えてきたのは、AFOの拳を受け止めている拳太郎の姿だった。

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

「な…!?」

 

放たれた渾身の一撃。勝利を確信していたが、その表情は一瞬にして消え去っていた。その拳が片手で受け止められていたのだ。

 

「なぜだ…!?僕の動きについてこられなかった筈…!!」

 

「最初はビックリしたよ。だけど、すぐ順応できた。……オラァ!!」

 

「!?」

 

拳太郎の拳が動揺するAFOの頬へと打ち込まれ、彼の身体を地面へと叩きつけた。

 

「がぁ…ク…クソォ!!ありえない!!僕が!!若返った上に最高の個性を持ったこの僕が!!!」

 

「はぁ?」

叩きつけられた岩盤から身を起こすと、そのすぐそばに拳太郎が着地する。

 

「何寝ぼけたこと言ってんだよ。個性は持ってた奴が使うことで真価を発揮する。借りパクしたテメェじゃ半分どころか、全然効果は発揮できねぇだろ」

 

※普通に100%フルに使いこなしてます

 

 

その時であった。

 

 

「…………ブフォ!?」

 

突如として拳太郎の肩から切れ目が走ると共に血が吹き出し、更に口からもクシャミと共に血が吐き出された。

 

「あら?なんだ…いきなり血が…」

 

地面に滴る血に拳太郎が首を傾げていると、それを見たAFOは_____

 

 

 

「…は…ハハハ…ハハハハハハハ!!!!」

 

 

_____高らかと声を上げながら笑い声をあげた。それもそうだ。初めて拳太郎に明確なダメージを与えられたのだから、その高揚感は計り知れない。

 

「そうだ!!やはり効いてるじゃないか!!僕の攻撃は無駄じゃなかった!!いくら君でもあんな攻撃を呆然と喰らってれば無傷では済まない!!ようやくこれでハッキリした……君を殺すなら___

 

 

 

 

 

 

______ゴリ押しが一番だ…!!!」

 

その言葉と共にAFOの全身から再びオーラが現れ始め、天地を揺らし始める。

 

「やはり個性こそ至高の力!!そしてそれを無数に兼ね備える僕こそこの世を統べる魔王に相応しいッ!!!!」

 

 

その声に呼応するかのように大地が揺れ始める。

 

 

 

 

 

すると

 

「個性が至高の力?ブフォ…!」

 

その言葉に拳太郎は笑みを浮かべた。

 

「何がおかしい…?」

 

「ただ呆然と無抵抗な人間を殴りつけて血を流した程度で、個性を最強と決めつけるアンタの短絡的な思考回路に呆れちまってな」

 

「ほぅ?じゃはその血は何だい?強靭な肉体をもって生まれた君なら…今までそれほどな怪我を負った事がなかった筈だ。それなのにその言葉…まさか痩せ我慢とでも言いたいのかな…?」

 

「今まで怪我を負った事がない?強靭な肉体をもって生まれた?アッハッハッハッハ!!!!」

 

「…は?」

 

突如として高らかと声を上げながら笑う拳太郎。

 

「バカだなぁ〜!そんなのあるわけないじゃん!擦り傷とか逆剥けとか色々とあったし!何度も死にかけたし何度も死を覚悟した事だってあったよ!まさか生まれた時点で身体が頑丈だったなんて思ってたの?あ〜ハッハッハッハ!!本当にアンタ最高だよ!!最高の______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________アホだ」

 

ピキッ

 

「そうか。それは悪かったねぇ」

 

その言葉にAFOは目を血走らせると、全身から溢れ出るオーラを纏い、一瞬にして拳太郎へと接近する。

 

「じゃあ今度はちゃんと死のうか…!!!」

 

個性 『光』+『マイノリティ』+『崩壊』

 

防御や概念すらも無効化させる個性の組み合わせにより、AFOの5本の指が拳太郎の心臓に位置する胸元へと置かれたのであった。

 

「死ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、

 

「なに…!?」

 

拳太郎の身体が崩壊する事はなかった。流石に予想外であったのかAFOは表情を歪ませる。

 

「どういう事だ!?僕はマイノリティ・ワールドを発動させた上で崩壊を………」

 

戸惑う中、何かに気づいたAFOは再び拳太郎を見つめる。そこには何の変化もない拳太郎の姿があったが、明らかに様子が違っていた。

 

目元は黒く変色し、白い眼球の中に蠢く黒い目玉がコチラを捉えており、更にその全身からはドス黒い血と赤い稲妻が入り混じったオーラが溢れ出ていたのだ。

 

更にその殺気は先程の比ではない。まるで細胞全てが敵意を向けているかのようであった。

 

「少数派が見られない…!?まさか…全ての細胞を“統一”させたのか…!?」

 

「何言ってるんだ。僕はただ決意しただけだよ。お前を“動物”と認識してぶち殺すことをな」

 

「はぁ!?」

 

何を言っているのかさっぱり分からなかった。だが、これだけは言える。今まで明確な殺意こそ感じなかったものの、今の拳太郎の全身からは自ら命を取る事を厭わない殺気が漏れ出ていた。

 

「まさか…ここで初めて明確に殺そうと思った…とでも言うのかい…!?」

 

「御名答。いくら僕でも人の命は奪わないさ。命を奪うときは食う時だけと決めてる。アフリカゾウもワニもグリズリーも、殺してきた動物は皆食ってきた。だが、アンタは違う。今まで僕を邪魔してきた愚行の数々に加えて、大切なねじれを殺そうとした……たとえ罪悪感に蝕まれようとこの場で駆除すべき“動物”だと認識したんだよ。だから…確実にぶち殺す…ッ!!!」

 

 

すると、拳太郎は両腕を空へと高く掲げると、握り締めた。

 

「死ぬ前に見せてやるよ。地球に君臨していた“最強の無個性の動物”を。お前がそこまで個性至上主義を貫き通したいなら、その借りパクした個性でぶちのめしてみろ」

 

「…!?」

 

その構えに、攻撃を仕掛けようとしたAFOは咄嗟に警戒して動きを止める。

 

 

 

その瞬間____

 

 

_____空気の流れが変わると共に、拳太郎の姿勢がゆっくりと変化していった。

 

「…?(なんだ…奴を中心に風が…それにあの構え…拳法か…?あんな低姿勢な型は聞いた事がない)」

 

突如として周囲の空気が変化し、更に拳太郎の姿勢も今まで見た事がない形に変形していく事にAFOは何が何なのか理解できず、ただ呆然と眺めていた。

 

 

そして、その姿勢が完成した時であった。

 

 

「___ッ!!!」

 

今まで呆然と眺めていたAFOの目が大きく開く。まるで、先程までそこに“いなかったもの”が“突然と現れた”かのように__。

 

 

 

あまりにも奇妙な構えだった。

 

右足は後方へとしなり、地面を抉るように接地。左足は地を踏みしめるというよりも、地そのものを制圧するかのごとく前に突き出されている。

 

背は弓のように反り、拳は低く地面へ、もう片方は高々と天を仰ぎ――

それはまるで、「突撃前の古代の怪物」そのものだった。

 

無駄を排した筋肉が、「重さ」を纏い始める。

風が止まったような静寂の中で、“それ”は起きた。

 

 

「__!!」

 

AFOはようやく視認したのだ。

 

拳太郎の背後に_____

 

 

 

 

 

───顕現した“古代生物”を

 

「こ…コイツは…!!」

 

三本の角。

板のように分厚い襟巻き。

踏み鳴らす大地ごと相手を粉砕する古代の暴走機関。T-REXさえもライバルとして認識するその古代生物の名は____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____トリケラトプス

 

数多の肉食恐竜達をその三本の角で串刺しにしてきた最強の草食恐竜である。

 

それは幻影。

されど”ただの幻影”とは思えない。

 

 

統一された細胞達による一切の無駄のない姿勢とその気迫により、空間が、“重さ”で圧されている。

 

超常の個性を数多持ち、その存在を神に近づけた男が――

ただの“構え”に驚愕しているのだ。

 

それは幻影ではない。

それは演出ではない。

 

この構えこそが、

この“型”こそが――

 

地上最強の突進を宿す、古生代からの証明だったのだ。

 

象形拳『トリケラトプス拳』

 

 

この時、モニター越しに見ていた全人類もようやく視認した。健太郎の背後に佇むトリケラトプスの幻影を。

 

 

古代生物を顕現させた拳太郎はその黒い目を向けると笑みを浮かべる。

 

「ぶちかますぞ。最高出力で」

 

 

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