その後、ついに準決勝が行われる事となった。最初のAブロックではA組の飯田天哉と轟焦凍が戦う事となったが、結果としては轟が個性を応用する事で飯田の個性を使用不能にし、行動不能とさせる形で勝利した。
そして、その試合から間も無くして、皆が待ちくたびれていた組み合わせの試合が始まるのであった。
『遂に来たぜぇえええ!!!お前らも待ってたんだろぉー!?この組み合わせをよぉおおお!!!一触即発!!!口が悪いが色々的確!!!どんな事にも手を抜かねぇthe几帳面男『爆豪勝己』ィイ!!!そしてここまでA組の猛者どもを蹴散らし勝ち進んだスーパールーキーィィ『神堂拳太郎』ォオオオ!!!!!』
その実況と共に、観客席の歓声を浴びながら入場した爆豪と、彼の睨む先には同じく入場する拳太郎の姿があった。
「よろしくお願いします。爆豪くん」
「るせぇ」
「えぇ!?」
相手側から決まり文句なのか、挨拶がくるも爆豪はそれを一蹴し構える。
『それじゃあ準備はいいかぁぁ!?Bブロック準決勝Staaaaartッ!!!』
互いにリングに登ったところで、遂に戦いの火蓋が切られるのであった。
始まる中、爆豪はこちらを見たまま動かない拳太郎に対して今までの彼の戦闘方法について振り返っていた。
「…(奴の戦闘方法は肉弾戦…必ず接近してくるがそれを見切らなきゃなんねぇ…)」
彼が相手にしているのは『無個性』であり、彼の性格上見下す相手ではあるが、爆豪は決して油断などしていなかった。
ヒーロー科にはヒーロー基礎学というものがある。俗に言えば工業科や農業科とかによくある実技がメインの専門科目だ。その訓練では今まで無個性であった緑谷に敗北してしまった事があり、爆豪にとっては屈辱に他ならず忘れたくとも決して忘れる事ができない出来事となったのだ。
だからこそ、その出来事がトラウマとなり彼はたとえ無個性だろうと油断できず、寧ろ一層に彼を警戒していた。
無個性であるにも関わらず、八百万や常闇を瞬殺したその強さ。無我夢中に個性で攻撃したとすれば隙を見せた時には一瞬で場外に放り出されてしまうだろう。
「(出鱈目な爆発は避けるべきだな)」
「どうしました?お腹痛いんですか?」
「んなわけねぇだろぉおお!!!この舐めプ野郎がぁー!!!!」
拳太郎の言葉に叫びながら返した爆豪は両手の掌を後方へと向ける。
その瞬間
Dooooonッ!!!!!
巨大な大爆発が起き、それによって爆豪の身体が一瞬にして拳太郎へと迫った。
『爆豪が仕掛けたぁぁー!!!』
飛び上がった爆豪は拳太郎目掛けて手の甲を向けた。
「しぃいいいねぇええええ!!!!」
「いやぁああああ!!!怖ぁぁぁぁい!!!!」
すると、迫り来る爆豪に対して拳太郎は驚いたのか、その場から跳躍する形で爆豪の爆破を避けると上空へと飛んだ。
『うぉおお!?飛んだ!?飛んだぁぁぁ!?マジかよ!!キックに続いて今度は規格外のジャンプを見せやがったぁ!!だが爆豪も逃がさなぁぁい!!』
上空へと回避していった拳太郎に対して、爆豪は笑みを浮かべながら両腕を構える。
「飛んだんじゃ俺の思う壺だぜ舐めプ野郎がぁ!!」
その言葉と同時に、爆豪の掌から巨大な爆炎が巻き起こった。
「しぃいいねぇええええ!!!!」
「おわっ!?」
発生した爆炎が次々と連鎖的に向かってくる中、拳太郎はその追撃に気づいたものの、気づいた時にはもう遅い。拳太郎が回避するよりも速く、発生した爆炎は拳太郎を飲み込んでいくのであった。
「…」
爆破させた爆豪は爆炎によって発生した煙が舞う中、警戒を解く事なく、その場を見つめていた。確かに直撃はしていた。これが仮に個性を扱う者でも切島の様な身体を硬化させる者でなければ確実に火傷など傷を負う事は確実であるはずだ。
だが、拳太郎はこの直撃程度では絶対に倒れないだろうと爆豪は考えていた。
すると
「いやぁ〜!びっくりしたぁ〜!!」
予想通り、爆風の中から煙を纏いながら拳太郎が現れ、リングの上へと着地した。
だが、意外な事にその身体には体操服が破ける程度であり身体的な外傷は何処にも見当たらなかったのだ。
「まさか爆発する個性なんてとんでもないですね〜!!モロに食らったらひとたまりもないですよ〜」
「(無傷?まさかコイツ…寸前で躱しやがったのか!?)」
爆豪が驚くその一方で、拳太郎は拳を鳴らし始める。
「それよりも、流石はヒーロー科の中でも入試首席のトップ。少しばかりか油断しておりました。僕も早い段階ではありますが…」
拳を鳴らし終えた拳太郎はゆっくりと脚を振り上げるとリング上へと振り下ろした。
「本気で行かせていただきましょうか…!!!」
その瞬間
_______ッ!!!!!
巨大な破壊音と共に拳太郎の足場を中心に次々と周囲へ亀裂が生じ、それと同時にリングの破片が浮かび上がった。
『なぁ!?何だぁぁぁあ!?神堂の踏み込みによってリングがぶっ壊れたぁぁぁ!!!!何をする気だ!?何が狙いなんだぁぁー!?』
プレゼントマイクの実況の中、拳太郎の踏み締めによって上空に打ち上げられた瓦礫へと拳太郎は跳躍すると爆豪を睨みつける。
「いきますよ爆豪君」
そして
身体を唸らせた拳太郎は脚を振り回しながら次々と空中に舞う岩石を次々と爆豪目掛けて蹴り落としていった。
「ほっはっほっへっ!!」
拳太郎によって蹴り落とされた岩石は流星の如く爆豪に向けて降り注いでいった。
だが、それに対して爆豪は慌てる事なく両手を向ける。
「麗日と同じ手かぁ!?んなもん一網打尽だよぉ!!!」
その言葉と共に爆豪の手が光出すと迫り来る岩石を破壊していった。
その一方で、拳太郎は着地すると、先程と同じ様に地面を踏み締めると、先程より小さいながらも人間の頭程の大きさの破片を浮かび上がらせ、それを爆豪目掛けて蹴り飛ばしていった。
「ふんふんふんふんふんふん!」
「オラオラオラオラオラァッ!」
次々と蹴り飛ばされていく岩石。対して爆豪も怯む事なく迫り来る岩石全てを爆破で破壊していった。
『凄ぇ凄ぇすげぇええええええ!!!神堂も爆豪もすげぇデットヒートだぁぁぁ!!!』
「「「「「「うわぁああああ!!!!」」」」」」
リングの上で繰り広げられていく攻防の迫力に客席のボルテージは更に上がっていく。
その熱狂している合間にも2人の攻防は進んでいった。
「ふっふっふっ!!!」
拳太郎が次々と石を飛ばしていく中、周囲は爆豪の爆破によって発生した煙によって視界が悪くなり、爆豪のみならず拳太郎の姿も互いに見えなくなっていった。
そんな中、爆豪は笑みを浮かべる。
「ハッ!!ようやくテメェの魂胆が見えたぜぇ!!」
そして、爆豪は背後の何も見えない方向へと腕を向けた。
「要するに目眩しだろぉ!?んなもんお見通しなんだよぉおおお!!!」
その言葉と共に、爆豪の両腕が凄まじく発光し始める。
そして爆破が発生すると同時に煙が晴れ、そこには背後から迫ろうとした拳太郎の姿があった。
「しぃいいいいいねえぇええええ____」
その時であった。
「あぶな!?」
「うぉ!?」
突如として拳太郎の姿が一瞬で爆豪の目の前に接近するとその両肘を掴んで両腕を上に上げる様にして向けた。
DOOOONッ!!!!!
それによって爆豪の放とうとした爆破は上空へと発射されたのであった。
「ッ!?」
一瞬にして距離を詰められ、あろうことか爆破の軌道さえも読まれてしまった事で爆豪は歯を噛み締めながら拳太郎を睨む。
「て…てめぇ…!!」
その瞬間
「ちょっと!!!危ないでしょうがぁ!!!!」
「ぶべらぁ!?」
拳太郎の掌が爆豪の頬へと打ち込まれると共に、彼の身体を場外まで吹き飛ばしたのであった。
「「「「「「「え…?」」」」」」」
会場中が凍りつく。プレゼントマイクの実況の声も響かない中、審判であるミッドナイトが恐る恐る旗を上げた。
「ば…爆豪くん場外…神堂くん決勝戦進出!!!」