ようこそ I 世。実力至上主義の教室へ   作:コーラを愛する弁当屋さん

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第2話 大空の元に集いし者達

 

「ねぇ皆、先生が来る前に自己紹介でもどうかな?」

 

 そうクラス全体に向けて発言したのは、爽やかな印象少年だった。

 

 イタリア人に興味津々なクラスメイト達に通せんぼされていたので、入れなくて困っていたところだったので助かった。

 

 彼の言葉に従い、皆が自分の席へと戻っていく。

 その様子を見ながら、彼はにこやかに微笑んだ。

 

 俺と桔梗も自分の名前が書いてある席に座った。

 

「皆ありがとう。じゃあ、まずは僕から自己紹介させてもらうよ。僕は平田洋介。中学ではサッカー部に入っていたから、高校でもサッカー部に入るつもりだよ。皆、これからよろしくね!」

 

 最後にまたひと微笑みを決めると、クラス中から黄色い歓声があがった。

 

(うむ、99%は女子のものだな)

 

 あの容姿に加え、出会ったばかりのクラスメイト達をまとめようとするリーダーシップ。集団の先頭に立って指揮を取るタイプのようだ。俺とはまた違うタイプのリーダーだな。

 

「じゃあ次は……さっきから注目の的の、君にお願いしてもいいかな?」

「! 俺か?」

「うん、ぜひに」

「分かった」

 

 2番目の自己紹介は、洋介の指名で俺がすることになった。

 椅子から立ち上がり、クラス全体を見回して、まずは一礼する。

 

「俺は沢田家康。見た目で分かると思うが、少し前にイタリアから日本に帰化したばかりだ。日本語の勉強はしてきたから問題はないと思うが、もしも変なところがあったら遠慮なく言って欲しい。最後に、これから皆と一緒に学校生活を送れることを嬉しく思っている。皆、仲良くしてくれると嬉しい」

 

 少し長めの自己紹介を終えて、再度頭を下げる。すると、洋介の時と同じくらいの歓声が上がった。

 

「わ〜い♪ よろしくね家康〜♪」

 

 少し離れた席に座っている、桔梗が手を叩いて歓迎してくれているのが見えた。

 なぜか俺のことを家康と言うようになっているが、まぁどちらでも構わないだろう。

 

 その後、短かすぎたり長すぎたり拒否したりと色々な自己紹介がなされ、全員が自己紹介を終えた頃。

 

 ——ガララっ。

『!』

 

 教室の前の方のドアが開かれ、廊下から長い黒髪を後ろで結った女性教師が教室に入ってきた。

 

 女性教師は教室の前にある少し大きめな机の前に立つと、クラスメイト達を見回しながら口を開いた。

 

「私はこのDクラスの担任、茶柱佐枝だ。最初に言っておくが、この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。ゆえに卒業までの3年間は私がお前達の担任を務めることになる」

 

 そう言うと、先生は生徒達にとある資料を配布し始めた。

 

「その資料には、この学校の特殊なルールについてが書かれている。入学前にも各家庭に配布はしてあるがな」

 

 俺は1週間前に未来に来たばかりだ。当然この資料も見たことはない。

 よく目を通しておかなければな。

 

 ——資料の内容はこんな感じだ。

 

①この学校では、生徒全員に敷地内にある寮での学校生活を義務付けると共に、在学中は特例を除き外部との連絡を一切禁じている。

 

②たとえ肉親であったとしても、学校側の許可なく連絡を取ることは許されない。当然ながら許可なく学校の敷地から出ることも固く禁じられている。

③敷地内には数多くの施設が存在する(カラオケやシアタールーム、カフェ、ブティック等)

 

④Sシステムの導入

 

(……)

 

 ①〜③はともかく、④のSシステムとは何だろうか。

 

 そう気になっていると、都合よく先生が説明を始めてくれた。

 

「おそらく全員が気になっているであろう、Sシステムについての説明をする前に、今から学生証端末を配布する。学生証と敷地内での通信端末の役割を兼ねたものとかんがえてくれ」

 

 今度は資料ではなく小型の機械が配布された。数名の男女が「よかった〜、スマホなしで3年間とか過ごせねぇし」「通信機器の持ち込み禁止って言われた時はまじ無理って思ったよね〜」などと言い合っている。

 

(なるほど、これはスマートフォンとかいう通信機器の代用品というわけか)

 

 リボーンから存在は聞かされているが、実際に触ったことはない。一体どのような通信機器なのかと、配られた機械を観察しようとしたのだが先生の説明は続く。

 

「それを使えば、敷地内にあるすべての施設を利用したり、売店などで商品を購入することが出来るようになっている。つまりはクレジットカードのようなものだ。ただし、ポイントを消費することになるので注意が必要だぞ。学校内においてこのポイントで買えないものはない。学校の敷地内にあるものなら、何でも購入可能だ」  

 

 クレジットカードとは、確か個人の信用情報を記録したもので、買い物時の支払いを後払いにすることができるという画期的なカードだったか。

 

 ポイントは確か……実在店舗はもちろん、ネットワーク(?)上でも現金の代わりにできるという代物だった。

 

 つまり、この学校では現金じゃなくそのPPが貨幣扱いで、全て学校に管理されている。そして、実際の買い物では学生証端末がクレジットカードの代わりになるということか。

 

 ——ふむ、なんとも便利な世の中になったものだな。

 

「施設では機械にこの学生証端末をかざすか、提示することで使用可能だ。使い方はシンプルだから迷うことはないだろう。それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。全員に平等に10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき1円の価値がある」

 

 10万ポイントという単語に教室の中がざわついた。学校側から日本円価値で10万のお小遣いを貰ったということだからな。子供にしてはかなりの大金であることは間違いない。

 

「ポイントの支給額が多いことに驚いただろう。この学校は実力で生徒を測るのだが、無事に入学を果たしたお前達にはそれだけの価値があるということだな」

 

 ざわざわし始めた教室内で、先生はぐるりと生徒達を見渡す。

 

「質問は無いようだな。では今日のホームルームは終わりとする」

 

 そう言い終えると、先生はさっさと教室から出て行ってしまった。

 

「よーし! ゲーセン行こうぜ!」

「おお!」

「ねぇねぇ、この後カフェに行かない?」

「いいねいいね♪」

 

 ホームルームが終わると、クラスメイト達はすぐに荷物を片付け始め、思い思いの場所へと散って行った。

 

 まだ教室に残っている数人は、波に乗り遅れた者達だな。

 ——ん? 以外なことに桔梗もまだ残っている。

 

 女子達とお茶をしに行くものと思っていたが、桔梗は女子達に「先に行ってて」と告げて教室に残ったようだ。

 

「——ふふっ♪」

「!」

 

 桔梗は女子達が教室を出たことを確認すると、ニコッと笑って俺の席に歩み寄ってきた。

 

「ねぇ、家康!」

「どうした桔梗。女子達でカフェに行くんじゃないのか?」

「行くよ。でもその前に……これっ!」

「ん?」

 

 桔梗はブレザーのポケットから学生証端末を取り出して、俺に差し出してきた。

 

「学生証端末がどうかしたか?」

「連絡先を交換しよっ♪」

「連絡先交換?」

 

 連絡先交換……あれか? 現代では携帯電話、もしくはスマートフォンでどこからでも連絡が取れるそうだが、その為に必要なことなのか。

 

「……もちろんだ。だがすまない」

「え? すまないって何が?」

「俺、こういう最新機器を使ったことがないんだ。だから悪いんだが、桔梗にやってもらえると助かる」

 

 そう言って、逆に俺の学生証端末を手渡す。

 

「……うんっ! まかせて!」

 

 桔梗は一瞬驚いていて固まっていたようだが、すぐに笑って学生証端末を受け取ってくれた。

 

「えーっと……うん、これでOKだね!」

「ありがとう」

 

 桔梗から返された端末を見てみると、端末の表面に櫛田桔梗という名前が表示され、その下にローマ字や番号も表示されている。

 

 これが桔梗の連絡先……うん、記念すべき連絡先1号だな。

 

「また後でメールすると思う」

 

 メール……携帯電話やスマートフォンで交わせるインターネット上の手紙、のことだったよな。

 

「ああ、分かった」

「じゃ、私はカフェに行くね? また明日っ♪」

 

 どうやら連絡先交換の為に残っていたらしく、桔梗はその後教室から出て行った。

 

「……よし、俺も帰るか」

 

 自分の荷物を纏め、席から立ち上がろうとすると、後ろからも椅子を引く音が聞こえてきた。 

 

「……」

(綾小路清隆、彼も帰るところか)

 

 綾小路清隆——表情は全く変わることなく、今日1日ずっと飄飄としている男だ。

 

 バスで見た時から思っていたが、是清と瓜二つの容姿をしており、さらに名字まで同じだった。そして、それはここにいない堀北鈴音も同じだ。

 

 ……俺のの後継者がⅩ世、つまり子孫だったことを考えるに、是清と美鈴の持つも子孫に継承されていてもおかしくはない。

 

 そうなると、綾小路清隆や堀北鈴音が、この時代の是清の懐中時計や美鈴の髪飾りを持っている可能性も十分ある。

 

(この時代のを探し出すことについては、希望が見えてきたな)

 

 ——とは言え、いきなり「君は懐中時計持っているか?」などと聞けば、不審に思われて距離を置かれてしまう可能性が高い。高いというか、ほぼ確実に引かれる気もする。

 

 一度、距離を縮めてから聞いてみた方が、答えてくれる可能性は間違いなく高いだろう。

 よし、まずは彼らと仲良くなることから始めよう。

 

 そう考えた俺は、今まさに教室を出ようとする清隆を呼び止めた。

 

「待ってくれ、清隆」

「!」

 

 名前を呼ばれた清隆は、立ち止まって俺の方に振り返った。

 

「……何か用か、沢田」

「呼び止めてすまない。実は頼みたいことがあってな」

「……頼み?」

「ああ。俺はイタリアのすごい田舎で生まれ育ったんだが、おかげでスマートフォンのような最新機器とは縁遠くてな。正直使い方がよく分からないんだ。だから申し訳ないんだが、これの使い方を教えてくれないか? 買い物の仕方だけでもかまわない」

「……」

 

 清隆に言ったことは本当だ。学生証端末の操作の仕方も分からないし、それにこれを機に仲良くなれるかもしれない。俺にとっては一石二鳥の接近方法なのだ。

 

「……俺はこれから日用品の買い出しに行く。付いてくるか?」

「! いいのか?」

「ああ。ついでだしそれくらいなら構わない」

「そうか、恩に着るよ清隆」

「……お前、出会ったばかりの人も名前で呼ぶのか?」

「え?」

 

 そうか。日本ジャッポーネでは、いきなりファーストネームで呼ぶのは失礼に値するのか。そういえば昔美鈴にも馴れ馴れしいと怒られたな。

 

「すまない、イタリアではファーストネームで呼ぶことが多くて、それを引きずってしまった。不愉快なら綾小路と呼ぶよ」

 

 俺がそう返すと、清隆は少し考え込み、やがて首を横に振った。

 

「……いや、いい。別に名前呼びでも構わないさ。その代わり、俺も家康と呼ばせてもらう」

「! ああ、もちろんかまわない。ありがとう」

「……何で礼を言うんだよ」

「嬉しかったからな。それに、感謝の気持ちを伝えたいんだ」

「……さっさとコンビニに行くぞ」

 

 清隆は照れ臭そうに、ぽりぽりと頬を掻きながらそう言った。

 

「ああ、よろしく頼む。——コンビニ?」

「そうだ」

 

 コンビニ……確かコンビニエンスストアの略で、大抵の物が揃っている、便利な商店だったか。

 

「コンビニエンスストアのことか。それは楽しみだ」

「……家康、コンビニを正式名称で呼ぶ奴はいない」

 

 

 —— 敷地内、コンビニ ——

 

「ここだ」

「ほう、小さめの店だな。もっと複数階ある大きい店かと思っていた」

「それはデパートとか、業務用スーパーだな」

「そうなのか? 清隆は博識だな」

「……そんなこともない。そんなにお前と変わらないと思うぞ」

 

 清隆は俺の賛辞を流しながら先にコンビニの中へと入っていく。

 

「あ」

「ん?」

 

 店内に入ってすぐ、1人の女子生徒と目があった。

 

「……嫌な偶然ね」  

 

 目があったのは堀北鈴音だった。

 

 これは運がいい。仲良くなりたい者達が同じ空間に居合わせている。

 

「そんなに警戒するなよ。と言うか、お前もコンビニに用事か?」

「ええ。必要なものを買いに来たのよ」  

 

 今日からは全員が寮生活を行うことになる。必要な物は買い揃えないとならないし、女子は男子よりも色々と必要だろう。

 

 鈴音が手に取っているのはシャンプーなどの日用品だ。 手早く選んでいるが、どれも値段が安いものばかり選んでいる。

 

「女子って、シャンプーとかにはこだわるんじゃないのか?」

「人それぞれよ。お金は大事にしないとだわ。いつ必要になるかわからないもの。……というか、勝手に人の買うものを見ないでくれる?」

 

 冷ややかな視線を向けられる清隆。

 俺も見てはいたが、口に出すのは紳士的じゃないぞ清隆。

 

「それにしても、あなた達が一緒にいるのは意外ね。綾小路君はクラスメイトの輪に参加するようなタイプには見えないのに」

「ああ、それは俺が頼んだからなんだ」

 

 清隆の名誉を守る為に口を挟む。

 

「頼んだ?」

「ああ。実は俺ってイタリアでもかなりの田舎者でな。電子決済? というものをしたことがない。だから清隆にやり方を教えてほしいと頼んだんだ」

「……そう。それで仲良くなったのね」

「うん」

「……仲良くなったわけではないがな」

 

 おや、清隆は素直じゃないらしい。

 

 鈴音が無言で買い物を再開したので、俺達もコンビニの中を徘徊する。  

 

 会話はないが、こうして3人でいると、出会ったばかりの事を思い出すな。確か出会った当時の俺達もこんな感じだった。

 

 適当に店内を回ってみると、気になる商品を見つけた。

 

 

「カップ麺……」

「……こんなに種類があるんだな」

 

 俺がカップ麺のコーナーを見ていると、清隆もカップ麺を物色しはじめた。

 

「これ、食べ物だよな。美味いのだろうか」

「美味いぞ……多分な」

「やっぱり男の子はそういうのが好きなの? 身体に良くないと思うけど」

 

 2人でカップ麺を見ていと、なんと鈴音から会話に加わってくれた。

 あちらから歩み寄ってくれるとはありがたい。

 

「好きっつーかなんつーか」

「食べたことないから気になるんだ」

 

 カップ形状のものを1つ手に取ってみる。値札は156円と書かれている。

 

「これ、高いのか?」

「……わからん」

「このコンビニの商品は外と同じくらいの価格ね。というか日本円表記なのが助かるわ」

 

 どうやら適正価格らしい。

 

「鈴音は博識だな」

「お前、それ俺にも言ってたぞ」

「これくらい常識よ。というか名前で呼ばないで、沢田君——っと、ごめんなさい。国の文化の違いだもの、それを無理に変えろと言うのは酷ね」

 

 お、鈴音も意外にもすんなりと名前呼びを認めてくれたな。

 

「意外だな。2度と名前で呼ぶなと釘を刺すかと思ったが」

「……そう、あなたには苗字すら呼んで欲しくないかもね」

「……」

 

 またも正直な発言で、清隆が鈴音を怒らせている。

 

「清隆、もう少し異性に対する発言は考えたほうがいい。嫌われてしまうぞ」

「そうか? 素直な発言なんだが」

「……それはそれで最低ね」

 

 今の発言が決め手となったのか、鈴音は1人でお会計をすませてコンビニを出て行ってしまった。

 

 俺達も商品を選び、端末の操作方法を清隆に教わりながら会計を済ませる。

 

 コンビニを出た後に、清隆が「会話って難しいな……」と、呟いていたのが少し可笑しかった。

 

 

 —— 学生寮 ——

 

「今日は本当に助かった。ありがとう清隆」

「ああ。じゃあまた明日学校でな」

 

 買い物を終えて学生寮にやって来た俺達は、フロントで部屋のカードキーを受け取り、エレベーターに乗り込む。俺と清隆は同じ階らしく、自分達の部屋がある階のロビーで別れた。

 

(……すでにリボーンは部屋にいるだろうか。学校に入ってからまだ一度も見てないが) 

 

 俺の部屋は角部屋で、1番ロビーから遠かった。

 部屋のドアの前に立ち、ドアノブ下の挿入口にカードキーを通す。

 

 すると、カチッと言う電子音が鳴った。音が鳴った後にドアノブを下ろしてみると、ドアは無事に開いた。

 

(こうやって鍵を開けるのか。清隆にカードキーの使い方を教えてもらっておいて正解だな……ん?)

 

 ドアを開いて玄関に入ると、なぜか玄関にはすでに7人分の靴が並べられていた。

 

 この部屋に誰かが居たとしても、それはリボーンだけのはずだ。なのに7人分の靴がある。

 

 ……まさか、ブラックルームの手の者か? 

 

 ……いや、カードキーは今受け取ったばかりだし、誰かが入るにはリボーンが招き入れるか不法侵入するしかない。でも、特に押入られた形跡もない。靴もわざわざ脱ぐ必要はないだろう。

 

 ——そうするとリボーンの客人か?

 でもリボーンが呼ぶ客人なんて、この学校内にいるのだろうか。

 

(……)

 

 一応警戒しつつ、玄関からキッチン付きの廊下に入る。

 少し進むとドアがあり、ドアを開くと一人暮らしにはピッタリのワンルームが現れた。

 

「……リボーン」

「お、帰ったなジョット」

 

 部屋にはベットと机が備え付けていたが、そのベッドの上にリボーンの姿が見えた。

 

 ——そして、リボーンを取り囲むように、俺と同じ制服を着た7人の高校生が立っていた。

 

『……』

(……玄関の靴はこの者達の靴か)

 

 リボーンを囲むのは6人の男子と1人の女子だ。当然だが誰1人として知る者はいない。

 

 ——だが、なぜか懐かしい気持ちになってしまう顔が揃っていた。

 

 銀髪で強面の男子。

 黒髪で優しげな顔の男子。

 両腕にテーピング、鼻には絆創膏を付けた男子。

 紫色で独特な髪型をした男子。

 1人だけ少し離れて、窓辺に腰掛ける男子。

 ブレザーの下に牛柄のシャツを着た男子。

 ——そして、右目に眼帯をした女子だった。

 

「……この者達は?」

「ああ、紹介する。こいつらはボンゴレⅩ世の守護者達だ」

「! Ⅹ世の?」

 

 リボーンは頷くと、全員に自己紹介をするように言った。

 

「どうもボンゴレ I 世。ボンゴレ10代目の嵐の守護者、獄寺隼人です」

「同じく雨の守護者、山本武!」

「晴の守護者、笹川了平! 座右の銘は、極限だぁ!」

「クフフ。腐れマフィアの祖に、自分からこの肩書きを名乗るのは嫌ですが、霧の守護者の六道骸です」

「……霧の守護者代理、クローム髑髏」

「雲雀恭弥。——雲の守護者だけど、そう呼ばないでね。僕はこの肩書きが嫌いだから」

「俺は雷の守護者、ランボです。リボーンに10年後から無理やり呼びだされて来まし……グハァ!」

 

 ランボと名乗る男子だけ、なぜかリボーンに蹴りを喰らわされた。

 

「ぐふっ……が・ま・ん……」

 

 目に涙を溜めながら、蹴られた部位を抑えるランボ。

 

「アホ牛は無視して続けるぞ。ジョット、こいつらはツナの呪いを解く為に召集したサポーターだ」

「サポーター?」

「ああ。お前には伝えてなかったが、お前をサポートしてもらう為に、この7人には学校に入学してもらっている」

 

 この7人も、俺と同じように、新1年生として潜入したわけか。

 だが、それは悪手じゃないか?

 

「ブラックルームはⅩ世の入学を阻止したと思ってるんだろう? それなのに、Ⅹ世の守護者が学校内にいたら、すぐに不審がるんじゃないか?」

「ああ、だろうな。だから、こいつらもツナとジョット同様に誤魔化すんだ」

「! 俺とⅩ世みたいに誰かと混沌融合させて、見た目を変えるって言うのか?」

「その通りだぞ」

「いや、誰と融合させるつもりなんだ」

「もちろん、ジョットをサポートするのに最も適した奴らにだ」

 

 リボーンはそう言うと、突如アタッシュケースを取り出し、中からⅩ世のボンゴレギア、「大空のリング ver.X」を取り出した。

 

 そしてそれに伴い、Ⅹ世の守護者達もそれぞれにアイテムを1つずつ手にした。

 

 獄寺隼人は「嵐のバックル ver.X」。

 山本武は「雨のネックレス ver.X」。

 笹川了平は「晴のバングル ver.X」。

 六道骸は「霧のイヤリング ver.X」。

 雲雀恭弥は「雲のブレスレット ver.X」。

 ランボは牛の頭を模した「雷のヘルム ver.X」。

 

 ボンゴレリングがⅩ世ファミリー専用に姿を変えたシリーズ、「ボンゴレギア」がこの場に7つ揃ったようだ。

 

 

 ——よぉ、久しぶりだな。

 

「!」

 

 その時、部屋の中に突如声が響いた。

 

「……この声は」

 

 その声はとても懐かしく、しかし忘れようもない頼もしい相棒の声そのものだった。

 

「……久しぶりだな、G」

「おう」

 

 そう言葉を交わすと、獄寺隼人のバックルから光が放たれ、その光の中からは初代嵐の守護者——Gが姿を現した。

 

 はっきりと姿は見えているが、その存在はどこか朧げだ。

 

「そうか、お前は嵐のボンゴレギアに宿った、Gの意思か」

「ああ。お前は生きているんだよな。大空のリングの中にもお前がいるのに、なんか不思議な感覚だぜ」

 

 俺は過去から来た、まだ生きていた時代のジョット本人だ。

 故に、大空のリングの中には俺とまた別のジョットが存在していることになるのだ。

 

「そうだな。俺としても不思議な感覚だよ。別の自分がいるなんてな」

「うむ、不可思議でござるな」

「ああ。究極に不思議だな!」

「……興味ないな」

「ヌフフ、さすがは7³の起こす奇跡ですね」

「はぁ。もう何でもいいものね」

「! お前達!」

 

 Gとは別の5つの声が響き、雨・晴・雲・雷・霧のボンゴレギアからも光が放たれる。そして、光の中からは俺の守護者達が現れた。

 

 初代雨の守護者——朝利雨月。

 初代晴の守護者——ナックル。

 初代雲の守護者——アラウディ。

 初代霧の守護者——デイモン・スペード。

 初代雷の守護者——ランポウ。

 

 これで I 世ファミリーが勢揃いである。

 

「お前達……。また会えて、とても嬉しいよ」

 

 かつての友との再会に、俺は思わず笑みを浮かべた。

 

 だが、すぐに気を引き締めなおしてリボーンに声をかけた。

 

「リボーン。俺のファミリーに、Ⅹ世のファミリーと融合してもらうのか?」

「そうだぞ」

「そうか……だが、クローム髑髏と融合する者がいないぞ」

 

 クロームは守護者代理だ。だが俺のファミリーに守護者代理はいなかった。

 必然的にクロームは余ってしまう。

 

「心配いらねぇ。クロームと融合する人物も用意しているぞ」

「? 誰だ?」

 

 そう聞き返すと、なぜか「ヌフフ」とデイモンが笑った。

 

「 I 世、お見せいたしましょう。これはそう、私と彼女の深き愛に魅せられ、霧のボンゴレギアが起こした奇跡です」

 

 デイモンはそう言うと、自分の隣に藍色の光を作り出した。そして、その光の中に手を伸ばし、ゆっくりと伸ばした手を引いていく。

 

 少しして、デイモンが手を引き出すと、その手には綺麗な女性らしき手が握られていた。

 

 そして最初は手だけだったのだが、少しづつ体が引き出されていき、最後には綺麗な1人の女性がひっぱり出された。

 

 その女性は貴族らしき高級そうなドレスを身に纏い、左側だけ耳を出した美しいブロンドの髪は、風もないのに揺れていた。

 

 ——俺は、この女性を知っている。

 

「……君は」

「……お久しぶりね ジョット。——いいえ、私の最も尊敬するリーダー、ボンゴレ I 世」

「——エレナ」




読んでいただきありがとうございます♪
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