ようこそ I 世。実力至上主義の教室へ 作:コーラを愛する弁当屋さん
リハビリも兼ねてかなり短めですが、こちらも亀更新で頑張りたい……。
「エレナ……」
俺の前に現れたのは、過去に俺の判断ミスのせいで守り切ることができなかった大切な友人。そしてデイモンの最愛の女性、公爵令嬢のエレナだった。
「ふふっ。久しぶりの再会なんだから、もっと何か言うことはないの?」
「……そうだな。ずっと君に、どうしても伝えたいことがあったんだ」
「あら。何かしら?」
俺はエレナの前に歩み出て、そのまま深く深く頭を下げる。
「ジョット? ちょっと、頭を上げてよ」
「……すまなかった、エレナ。そしてデイモン」
「!」
「……」
突然の謝罪にエレナは困惑し、デイモンは頭を下げる俺に対して真っ直ぐに視線を向ける。頭を下げたまま、俺は言葉を続けた。
「あの時、君が死んでしまったあの日。俺はボンゴレ本部の警備を限界まで少なくし、街の警備に回した。デイモンからはもっと本部の守りを厳重にするべきだと言われていたのに、俺はそれを却下した。そのせいで……そのせいでエレナ、君はその命を……大切な友であるデイモンは最も大切な人を……失うことになってしまった。本当にすまない」
いつか俺が死んだ時、あの世でエレナに会えたら言おうと思っていた懺悔の言葉だ。今更謝罪したところで、エレナの命が戻って来るわけでもないし、これは俺の自己満足なのかもしれない。
「……頭を上げて、ジョット」
「……ああ」
ゆっくりと頭を上げると、エレナはいつもの優しい笑顔ではなく、厳しい顔をしていた。デイモンもだ。
……やはり、俺を恨んでいるのだろう。
「ジョット。私は怒っています。でもその理由、あなたは分かっていないよね?」
「……いや。ちゃんと理解しているよ」
「本当に?」
「ああ。恨んで当然だ。俺の決断ミスで君は命を——」
「ほら、何もわかっていない!」
「え?」
再びエレナの顔を見ると、エレナは一歩前に出て、俺の肩に手を置いた。
「私は、エレナはジョットを恨んではいません。あの時のあなたの判断は、間違っていなかった。私はそう今も思っています」
「! し、しかし」
「いいえ。間違っていなかったと言ったら間違っていなかったのよ。あなたは私の愛するボンゴレのボスとして、最適な判断をした」
「そのせいで、君は命を失ったのに……」
「……きっとあれが私の寿命だったのです。誰も悪くない。あなたも……そしてデイモンもね」
「! ……エレナ」
エレナはデイモンに向かって優しく微笑んだ。
「2人とも私が死んだことでずっと悩んできたのよね。長い付き合いですもの。それぐらい私にもわかります」
「……」
「……」
「でも悩むだけならまだしも、2人には少しがっかりしましたよ?」
「え?」
「ど、どうしてです?」
「ジョットはボンゴレが変わってしまうことを分かっていながら過激派な男をⅡ世にするし、デイモンは私の為とか言いながら、ボンゴレを変革する為にとても永い間現世にしがみついて、いつまで経っても私の所に来てくれないし!」
「す、すまない」
「寂しい思いをさせました……」
俺に並んで、なぜかデイモンまでも頭を下げる展開になった。
「……ま、過ぎたことはもういいんです。私の愛したボンゴレ、デイモンの守りたかったボンゴレ。そしてジョットの目指したボンゴレは、 I 世の後8代を経てついに完成しようとしているのだから。……そうよね? アルコバレーノさん」
エレナに問われ、リボーンが口を開く。
「おお。ジョットの想いは、10代目であるツナがちゃんと引き継いでいるぞ」
「ほらジョット、あなたの想いはきちんと子孫に受け継がれている。小さな自警団から始まったボンゴレは、今や世界中の弱き者を守れるような正義の組織になれる可能性を持っているわ。それもこれもジョット、あなたの大切な人達を守りたいという強い想いがあったからなのよ。やはりあなたは私の知る中で……いいえ、世界で最も優れたリーダーよ」
「……エレナ」
「フフ。だから、そんな顔をしないで。あなたには常に前を向いていてもらわないと」
エレナがいつものように優しく微笑む。すると隣で、デイモンが口を開いた。
「…… I 世。正直私は、あなたを恨んでいました」
「……ああ。当然だ」
「私はエレナの愛したボンゴレを守り抜くべく、永い間水面下で動き続けていました。それがエレナの為、エレナに対する唯一の贖罪であると信じていました。でも、あなたの子孫である沢田綱吉の言葉で、私は自分の間違いに気付きました」
「Ⅹ世の言葉?」
「ええ。まぁあれは彼のついた優しい嘘、でしたがね。彼はエレナが私に感謝している、ボンゴレの超直感でそう感じるんだ。そう言っていました。その言葉は、私が最も欲していたもの。いや、いつかエレナがあの世でそう言ってくれるように、ずっと必死でやってきたのでしょう。たとえ嘘でも、エレナのその言葉を聞けたことで、私は緊張が解けて、やっとエレナの元へ行くことができました」
……そんなことがあったのか。
すごいな、Ⅹ世は。
「あら、それは嘘じゃないわ」
「え?」
「だって、私はお空の上で本当にそう思っていたもの。だから嘘じゃないわ」
「フフっ、そうですね」
嬉しそうに、頬を赤らめて手を繋ぐデイモンとエレナ。
その様子を見ながらも、俺はまだ吹っ切れずにいた。
すると後ろで、リボーンが再び口を開いた。
「……俺がツナに教えた言葉に、こういうものがある」
「?」
「死ぬ気とは、迷わないこと。いとわないこと。そして自分を信じること——ってな」
「! その言葉は……」
「ジョットが言った言葉らしいな。俺は9代目から聞いたんだ」
「……そう、だったな」
昔、確かに言った気がする。自分で言った言葉なのに、俺は今真逆のことをしているようだ。
「ほら、思い出したかしら? 思い出したのなら、後悔なんかしてないで前に進むのよ。ボンゴレ I 世!」
「……そうだな。下を向いている暇はないよな。今は、Ⅹ世を目覚めさせることを第一に考えよう」
「そう! それでこそジョットよ!」
今日1番の笑顔を見せるエレナ。
すごく元気をもらった。ありがとう。
「私も沢田綱吉には借りがあります。ボンゴレを守るためにも、彼には生きてもらわなければね」
「そうだな。ボンゴレの完成には、Ⅹ世の力が必要だ」
「そうね」
「……よし。じゃあ皆。Ⅹ世を目覚めさせる為、力を貸してくれ!」
『おお!』
守護者達の力を借り、俺はⅩ世を救い出す為ことを改めて誓った。
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