インチキギャンブラー古明地   作:ナチュラル7l72

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ちなみにまったく同じ場所の場合再抽選が行われます
追記:前話にてを表現少し変更しました。

今話にて、立ち上がった久保田は棒を一つ、『行員から受け取ると』テディベアの中に刺す。に変更


ラウンド1

ラウンド1。

昼間は説明を聞いていた段階では先攻後攻に有利不利は左右されないと考えていたが、いざゲームが始まるとすぐさまその考えを一転させる。

初っ端から、そのアンフェアさを目の当たりにしていた。

 

「ふむ…。なにも答えないか。けれど僕にはわかる。君は今罪悪感を感じた。心の隅で黒い何かが沸いてきたかのような、そんな感情を持っているだろう。僕の断言に大しての無言。それに対する罪悪感の発露は、君が選んだのは右上二つではないという証拠だ。」

 

先攻を選んだプレイヤーはその猛攻に為すすべなく殴られ続ける。そのパンチの一つ一つが確実なダメージとして蓄積している思えた。

 

「ならば左上はどうだ?」「左下は?」「右下は…いや、もうわかっているのに聞くのは止めようか。適切な距離感でいるのも、大人の役割だ。」

 

汗を一筋、古明地は流す。少女の第三の目から伝えられる情報は、こちらの情報が伝わっているという事。

 

「ならば僕は…ここにしようか」

 

立ち上がった久保田は棒を一つ、行員から受け取るとテディベアの中に刺す。先攻の刺した棒は既に回収されているようで後攻からは見れないようになっているようだ。

久保田は元の席に戻り、言葉を重ねる。

 

「君はまだ子供だ。後戻りはできるしそれを直すこともできる。けれど君たちは不思議なことに、それだけ贅沢な権利を持ちながらもその権利を行使しようとしない。」

「自分が如何に悪い事をしているか自覚していないから。」

 

「結果を発表する。」

 

「だから僕たちは君に体罰をもって、それを伝える。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

結果は、ポイント変動なし。しかし確実に試合は動き始めていた。

 

「今降参してももう遅いだろう。銀行は『テディベアが"ゴール"にたどり着いた時のペナルティだ』と明言しているからな。降参したとてそれは覆らない」

 

そこで久保田は一度息を吸い、続けて言葉を発する。

 

「痛みをもって悔え。二度とギャンブルなんてしないと」

 

「…まだ罰も下っていないのに、随分とおしゃべりですね」

 

カタリと椅子を動かし立ち上がる。その目には依然として恐怖はない。少女はテディベアに近づき腕を広げる。この少女はペナルティのデモを見たはずだが、それでもこの行動ができる少女の精神は既にいかれているんじゃないかと昼間は疑い始めていた。

 

「自主的に行動する人はいつかの弁護士以来ですね。最後まで協力的か賭けません?」

 

馴れ馴れしく賭け事を提案してくるキモガンギマリ男(昼間命名)を昼間は無視しつつベルトをその細い腕に付けていく。もしややせ我慢では、と思ったのも束の間。その腕はまるで震えておらず表情も毅然としたものだった。

 

「なんで…」

 

「…?どうかしましたか?」

 

「いや…」

 

なんでもねえ。その言葉を口の中だけでつぶやきベルトを四肢に付け終わる。少女は不思議そうな顔をしていたものの、一瞬の間をおいて納得したかのような表情になり顔を真正面に向けた。

 

「ペナルティ、実行」

 

「ッ、」

 

ぐしゃり

 

音と共に少女の右腕を棒が突き抜ける。血で染まったその棒の根元から沢のように血が溢れ出す。少女は傷を圧迫して血を抑えようとするが、それでも少しづつ垂れ流されていた。

 

「これでしばらくその腕は使い物にならなくなった。幼稚な意地によって今罰が下ったわけだが、降参するなら今だ。」

 

貫かれた腕をもう一方の腕で抱え、勝負の場に再び少女は座る。その目はまだ対戦相手を見ていた。

 

「いつ勝敗が決まったんですか。月並みな言葉ですが、まだまだ勝負はこれからですよ。」

 

そんな少女の殊勝な姿に対し、久保田は非常に冷めた表情で少女を見下ろしていた。

 

「何故、今回どちらもポイントが変動しなかったのかわかるか。」

 

少女はなにも答えない。知っているが故に話者に話を続けさせる。

 

「5回ペナルティを貰ったら強制敗北。5回という、3ポイント先取のゲームにしては多すぎるこのペナルティの数は()()しなければまずこのルールが適用されることはないだろう。」

「つまり、このルールは僕のような考えの者に用意されたものということだ。」

 

久保田は手の指先を少女の右脚、左脚、左腕と続けて刺し、そして心臓に向ける。

 

「降参しないのなら、これから僕は君をあと四回刺す。そして最後は心臓に棒を刺し、君を殺す」

 

これが大人の役割だ。そう久保田は確信していた。

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