インチキギャンブラー古明地   作:ナチュラル7l72

6 / 10
前回の内容を修正しました。何回も修正してしまいすいません
それにしてもこの小説むずすぎ。さっくりした奴目指してるのに…


ラウンド3,4

「はあ…はあ…はあ…。」

 

対話することすら厳しいのだろう。眼前の古明地さんは荒く息を吸って吐いてを繰り返す。既にラウンド4は終わりペナルティが今しがた実行され古明地さんの四肢は棒に貫かれた。

 

「…」

 

関節を固定したまま動く姿はまるで吊り人形だ。歩くたびに棒と肉の隙間から赤い何かがこぼれてくる。すぐに治療しなければ一生車いすに縛られることになるだろう。

 

だというのに古明地さんは止まらない。立ち止まり屈んでいるがその瞳は未だ光を放ち続けている。

 

「君は…。」

 

普通じゃない。異常である。古明地さんの精神はそんな言葉で締めれるような常軌の逸し方ではない。追いつめているはずの僕の額に汗が一筋流れる。

 

「…早く、()()のラウンドに移行してください。」

 

その言葉を発するや否やテディベアの足元から棒が()()()()転がり落ちて古明地さんの足に当たる。

 

「先攻は古明地、後攻は久保田だ。」

 

古明地さんは緩慢な動きでそれを掴み、持ち上げる。

 

「最後、かい。それは君のペナルティがあと一つで5つになるからか?」

 

「その一言で、貴方が状況を理解していないということが、わかりました。…貴方の負けです。」

 

途切れ途切れに発する言葉の理解ができず僕は思わず呆ける。僕が…負ける?こんな状況で?

 

「私の体には既に棒が4本刺さり、双方ともに勝ち点を得られていない。そして今回は私が先行。それが今の状況です。」

 

僕の思考を読んだように状況を説明する古明地さん。古明地さんの脳に血が送られず幻覚の類を引き起こしているわけではないようだ。わざわざペナルティを体に棒が、と形容する部分に違和感を感じるが概ね僕の脳内と同じだ。

 

「そして、心理戦を通じて結果の如何が決まる。前ラウンド同様状況は何も変わらないはずだが、」

 

「それが貴方の敗因です。」

 

古明地さんは実演するがごとく手に持った棒を動かない間接で何とか持ち上げて見せる。

 

「1ラウンド目、私は貴方と同じく心理戦のみのゲームだと思っていました。パターンは膨大だと貴方は嘯きましたが加える棒が2本のみな為そのパターンはあまり多くなく、要は先行は心理の隠密に努め、後攻は思考を暴かんとする。そんな()()()()()ゲームだと。」

 

その言葉尻はまるで次の言葉への反語のようだった。実際そうなのだろう。僕の想定が覆る音がする。

 

「しかし私は2ラウンド目で気づきました。行員の方が持っている棒の数が補充されず、使われた棒の数のままだということに。」

 

その状況を思い出す。2ラウンド目に僕に渡された棒と机に置かれた棒の本数は全部で3本。テディベアの体内になる棒と古明地さんに突き刺された棒を足せばその総数は5本だ。

そして棒の数は補充されない。それが示すことはつまり。

 

「棒は5本で固定…?」

 

「今回はたまたま不必要でしたが、私はペナルティ4つを獲得した上で体に4本棒を刺された状態の際先攻であるように調整しました。」

 

その言葉を聞き、僕は真意を覚る。

 

「ならば、君は、君は!2ラウンド始めの時点で四肢に棒を貫くという拷問に耐える覚悟があったと言うのか…!」

 

「こんなものは覚悟でも何でもありませんよ。貴方は強い。特に邪な考えを嗅ぎ分けるその能力は実に厄介でした。強敵を退けるに当たり前の犠牲を払っただけですよ。」

「そして聡明な貴方ならもう気づいているでしょう。貴方はもう、詰みです。」

 

 

「…ああ。そうみたいだな」

 

 

このゲームには勝利条件のほかに敗北条件がある。

『反則行為は対戦相手への暴力行為、棒を引く際にそれを故意に見る事、電子機器の使用、もしくは5分以上の遅延行為だ。』

先行の古明地さんの手には唯一まだペナルティに使われていない棒が握られている。そして僕がもし棒を入れようとするなら棒はどこから棒を手に入れなくてはならないのだろうか。

 

当然、それは古明地さんの体からだ。

 

がしゃんと音が鳴りテディベアの後ろからよたよたと古明地さんが歩いてくる。僕はそれを手で制し、立ち上がって古明地さんの前まで歩いて膝立ちする。

懐から新品同様の真っ白なハンカチを取り出し、右腕に刺さっている棒を丁寧に抜き出していく。開いていく傷口にはすぐさまハンカチを当て、なるべく負担のないように努める。

 

 

「久保田。お前のその行為は対戦相手への暴力行為に該当する。」

「お前の負けだ。」

 

 

その言葉を黙殺して僕はその赤黒い棒を丁寧に、丁寧に抜き出す。元はシルクのように白く繊細な肌だっただろう、今は鮮血と痛痛しい大きな傷跡で汚れてしまっていた。

 

「僕は君を勘違いしていた。君は強いし、既に汚れている。けど、それは醜悪を示していない。君は全く綺麗な勝ち方をするのだな。」

 

その男は手のみが対戦相手の血で汚れているが服一つ破れていない無傷の状態で敗北し。

少女は全身を刺突されながらも対戦相手を傷つけず勝利した。

 

「貴方もきっとそうなれますよ。」

 

その様子を見て伊藤吉兆は"使える"と判断し、昼間はそれを見て童心に帰る。

 

(欲しい。)

 

幼児特有の非倫理的な思考と若人特有の身に余る欲求。昼間は少女をただひたすらに見つめていた。




この作品上だとめちゃ強そうなさとり様。だけどたぶんジャケバン世界だと村雨以下なんだよなあ

次回結末
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。