ユーリ達はバウルに乗りヒピオニア大陸を目指す。
ユーリ「あれか!?」
ユーリの見ている方向を、仲間たちは見た。空の上からでも分かるほど土煙が立ち上っており、人の姿を視認するのは難しい。
カロル「すごい土煙だよ。あれ全部魔物!?」
ジュディス「アスタルが死んで統制を失った反動らしいわ。大陸中の魔物が殺到しているみたい」
おそらくバウルから聞いたのであろうそれに、皆息を飲む。
エステル「本当にあのどこかにフレンがいるんです?」
多分なと、ユーリは答えた。
レイヴン「どうすんのよ?まさか全部倒してくつもり?」
パティ「平気なのじゃ、二日ほどあれば、全部倒せるのじゃ、たぶん」
双眼鏡をのぞいてパティはいう。
カロル「二日ってそんなのんきな」
と、カロルはつっこむ。できないと言わないのは彼が成長しているからか、それともやるしかないと覚悟を決めているからか。レナは、ノール港の宿屋でリタがにらめっこしていた道具を思い出した。
レナ「ねぇ、リタ、例のリタ製
突然の提案に、仲間たちはレナを見つめた。
レイヴン「星喰みぶっ飛ばすみたいに魔物蹴散らすってか?」
レナはレイヴンを見て頷く。リタは、そうね……と呟いて考え出す。
リタ「精霊の力に指向性を持たせて結界状のフィールドを展開し、魔物だけを排除、か……出来るはずよ」
理論がまとまったのだろう、彼女は告げた。
ジュディス「でも、それは星喰みに対するためのものでしょう?」
いいのかしら?と、ジュディスは眉にシワを寄せる。
カロル「けどそれしか何とかする方法思いつかないよ」
パティ「今使うか、後で使うか、悩ましいところじゃの」
ユーリ「使わせてくれないか。頼む」
エステル「わたしからお願いします。
リタは、物を取りに行き、ユーリに手渡す。
リタ「そうね。これぐらいバーンと出来ちゃわないと星喰みになんて通用しないわ」
レナは首を縦に振り、それにと続けた。
レナ「試用しておいた方が、改善点見つかるかもだしね」
リタは納得するように頷いた。
ジュディス「そう。ならそうしましょうか」
レイヴン「ユーリのあんちゃんがわがまま言うのも珍しいしな」
カロル「たまには聞いてあげないとね!」
二人は笑って茶化す。ユーリは少し照れくさそうに、茶化すんじゃねぇってのと、ツッコミを入れた。
ジュディス「それで、具体的にはどうするの?」
リタ「魔物が一番集まってるところで起動、これだけ。簡単でしょ?」
あの大群を見ておいて、そう言えてしまうのだからリタはすごい。
ユーリ「簡単だな」
と、乗ってしまうユーリも、ユーリだと思うが。レイヴンが、呆れ混じりにおいおいとつぶやく。
カロル「ねぇ、せっかくだからその装置、名前付けようよ。リタ製
リタは、はあ?と不満げに漏らしたが、好きにすればと放った。
カロル「うーん、うんとね、うん!明星壱号!どう!?」
レナ(まぁ、いいんじゃない……?)
精霊の名付けの時よりかは、随分とマシにである。
リタ「……やめればよかった」
リタは、はぁとため息をつく。
ユーリ「まぁいいんじゃないか?シンプルで」
ジュディス「バウルでも下手に近づくと危険ね。少し離れたところで降りるわ」
ユーリ「よし、いっちょ行くか」
少し離れた森のところにバウルは降り、ユーリ達はフレン達がいるであろう魔物の群れに向かった。ユーリ達が駆け着くと、それはもう混乱状態のようなかんじであちこちに魔物が襲いかかり騎士団がなんとか持ちこたえている状況だった。民間人は魔物から逃げるのに必死になっている。それに、リタが、すごい状態……と呟いた。
カロル「あの中に突っ込むんだ……」
カロルはぐっと、手をにぎりしめる。
エステル「見て、あそこ!」
エステルが指をさして叫ぶ。その指の先に目を向ければ、魔物に囲まれているフレンの姿があった。フレン!とユーリが声を上げる。
レイヴン「おいおい。相当追い込まれてるぜ」
瞬く間に土煙が舞い上がり、姿が見えなくなる。
ジュディス「急いだ方がよさそうね。思い切って突っ切りましょう」
ユーリ達は武器を構えて、ユーリの行くぞ!はぐれるなよ!という掛け声で魔物の群れに走る。近づくとさらに酷く、もはや陣形を立てている隙すらない。各々、襲いかかる魔物を蹴散らしながらフレンの元へ急ぐ。フレンが騎士達を鼓舞する声が聞こえる。しかし、魔物に突破されてしまう。その時、矢を放つ音と共に魔物が爆散する。ユーリ達がフレンの元に辿り着いたのだ。フレンの前をラピードが走り抜ける。
ユーリ「生きてるか?」
フレン「ユーリ!どうしてここに!?」
ユーリ「上官想いの副官に感謝しろよ」
フレン「ソディアが!?そうか……だが、こんな状況だ。このままではいつかやられてしまう」
レイヴン「切り札は我にありってね」
先程の魔物を倒したレイヴンが言う。フレンがなんだって?とレイヴンを見た。
ユーリ「こいつを、敵の真っ直中でスイッチポン。するとボン!ってわけだ」
明星壱号と名付けられたそれをフレンに見せてユーリはニヤリと笑う。
フレン「敵の中心で、か。この数だ、簡単じゃないよ」
ユーリ「簡単さ、オレとおまえがやるんだぜ?」
頷くようにラピードがワン!と吠える。フレンは、フッと笑って、頷いた。
フレン「分かった、やってみよう!」
ユーリ「みんな、こいつの起動はオレたちがやる。ここは頼んだぜ!」
リタ「あんたらだけで行く気?!無茶でしょ!」
詠唱しながら振り向いたリタが止める。
フレン「ここの守りを手薄にするわけにはいかない。ここを守り抜かねば僕たちが魔物を退ける意味すらなくなるんだ」
カロル「魔物を倒すためじゃなくてみんなを守るためだもんね」
カロルは再び武器に力を込める。レイヴンが、そゆこと、と同意した。
エステル「わかりました。ここは任せてください!」
パティ「うちらは適当にがんばるのじゃ」
ニコリと二人は微笑む。ありがたいと、フレンはお礼を言った。二人の後ろにジュディスが立つ。
ジュディス「がんばってね、二人とも」
レナ「気をつけて行ってらっしゃい」
ユーリとフレンは一気に駆けだす。ラピードも続いた。民間人を守りながら、襲いかかる魔物たちをレナ達は倒していく。
レナ(……数すごいな。ジュディスはともかく、カロルとレイヴンがそろそろきつくなる頃かな。なら)
レナ「……聖なる雫よ、降り注ぎ、我に力を…………ホーリィレイン!」
光の雨が魔物群れに降り注ぐ。大量の魔物を一掃した。少しの間なら、カロルとレイヴン、ジュディスに回復の時間を持たせられるだろう。
レナ(カロルの傷を治そう)
レナは、息が上がっているカロルに駆け寄り、治癒術をかける。
レナ「……清浄なる水の乙女よ、彼の者にその恩恵を与えよ……リフレッシュドロップ」
薄い水色の美しい女性が浮かび、その両手から雫をカロルへと落とした。瞬間、カロルの傷が治る。彼女のオリジナル技だ。
カロル「助かるよ、レナ!」
レナは頷くと、レイヴンの傷をカロルと同じように治した。
レイヴン「もうひと踏ん張りしましょかね」
再び数が増え来てきた魔物を睨み弓を構えた。そろそろ、ユーリ達が明星壱号を発動させてもおかしくない頃だ、とレナが思った時、眩しいくらい青い光が広がった。光がおさまり目を開けると、魔物は一匹も残っておらず跡形もなく全滅していた。
レナ(これは、凄い威力……)
他の仲間たちも、その威力に驚いているようだった。
それから、徐々に落ち着きを取り戻し夜になる頃には体を休められるほど野宿の準備が出来ていた。エステルとレナは傷を負った人達に治癒をかけて治していた。リタは明星壱号を持って考え事をしている。そこに、ユーリとフレンが来た。
ユーリ「あんまり無理するなよ」
と、エステルとレナを見て言った。
レナ「だって、エステル、あとは私がやるから先に休んでたら?」
ユーリ「いや、おまえにも言ってるんだけどな」
呆れたように彼はつっこんだ。エステルはふふっと笑う。ユーリはリタが持っていた明星壱号を見る。
ユーリ「明星壱号、壊れちまったか。悪いことしたな」
リタ「うん……
フレン「すまない、僕らのために」
申し訳なさそうな彼に、リタは大丈夫と返した。
リタ「
そこに、ジュディスとパティが合流する。
パティ「思った以上にけが人が多いのじゃ」
ジュディス「エステルとレナのおかげで、みんな命は取り留めたけど、すぐには動かさない方がいいわね」
フレン「しばらくここで守り抜くしかないか」
それならここを砦にしちゃえばいいんじゃない?と、どこかで聞いたことのある女性の声がした。
レナ(この声は……やっぱり、船団って
歩いてきたのは赤い髪の女性……カウフマンと、そのメンバー達。
カウフマン「お久しぶりね、ユーリ君。
フレン「いえ、ギルドも今混乱しているでしょう。ご助力感謝します」
カウフマン「お詫びと言ってはなんだけど、ここの防衛に協力するわ」
ユーリ「あんたが戦うってのか?」
戦えたのか?と意外そうな顔をするユーリ。
カウフマン「まさか。私は商人よ。まぁ見てらっしゃいな」
ニヤリと笑ってカウフマンたちは去っていった。入れ替わりのようにウィチルとソディアが駆けてくる。
ウィチル「フレン隊長、無事でよかった!」
嬉しそうな顔から、少し険しい顔に変わる。
フレン「ウィチル!……なにかあったのか」
ウィチル「はい、例のアスピオの側に出現した塔ですが、妙な術式を周囲に展開し始めました。紋章から推測するに、何か力を吸収してるようです。それにあわせてイキリア全土で民が体調に異変を感じ出しています」
話を聞いていたリタが口を挟む。
リタ「吸引……体調……それって人間の生命力を吸収してるってことじゃあ……」
ユーリが、デュークとつぶやく。
リタ「生命は純度の高いマナ。……それを攻撃に使うつもり?」
レイヴン「人間すべての命をと引き換えに星喰みを倒すってのはこういうことだったのね」
レナ「人間に制裁をっていうのもあるんでしょうけど……彼のやり方は許されない」
レナ(……たとえ救われたとしても空虚だよ)
その声には少し怒りがこもっていた。
ウィチル「術式は段階的に拡大しています。このままいくといずれ全世界に効力が及ぶ可能性が……」
エステルがそんな……!と声を上げる。
ユーリ「ウダウダしてらんねぇな」
リタ「でも、思った通りこのままだと精霊の力が足りないわ。明星壱号を修理してもそれだけじゃ駄目ね」
明星壱号を見ながらリタは言う。
カロル「ええ?あんなにすごい威力なのに!?」
リタ「星喰みの大きさからすると、あれの何百倍もの力が必要になるわね」
レイヴン「何百倍〜?そりゃまた……」
果てしないわねと言いたげな、げんなりとした表情をする。
パティ「やっぱり災厄相手ともなると途方もない力がいるんじゃの」
ユーリ「……やっぱ
レナ「そうだね、星喰みに打ち勝つにはもうそれしか……」
仲間内で話が進む中、事情を知らないフレンが待ったをかけた。
フレン「待ってくれ、僕らにも分かるように説明してくれないか」
ユーリはフレンに振り返り、そうだなと頷く。
ユーリ「ちゃんと話そうと思ってた事だ。なぁ、フレン。ヨーデル殿下やギルドの人間にも聞いてもらいたいんだ、ここに呼べねぇか?」
張り詰めていた空気が一気に緩み、フレンが笑い出す。カロルも笑いながら、も〜ユーリとつっこむ。
カロル「皇帝をこんなところに呼びつけようって言うの?」
フレン「君はホントに君のままだね」
レナ「それでこそ、ユーリよね」
ユーリ「なんだってんだ?」
本人はいたって真剣なため、みんながふっと力を抜いて笑っているのを不思議に思い、ユーリは首を傾げる。
フレン「フフ、わかった。なんとかしてみるよ」
まだ笑いながらもフレンは首を縦に振る。
フレン「その代わり、ユニオンや
わかった、とユーリは返す。
ジュディス「なら、ダングレストとノードポリカね?」
ユーリ「ああ。またひとっ飛び頼む」
ユーリ達はフレン達とわかれ、ダングレストとノードポリカへ向かう。その前に、走ってきたソディアにユーリが呼び止められた。
ソディア「ユーリ……殿。隊長を助けてくれて、その……感謝している…………」
言いにくそうな雰囲気を感じとったユーリが、仲間たちに先に行っといてくれと頼む。
十数分後、ユーリが船に帰ってきた。
レナ(……大方、ザウデでのことを話したんだろうな)
あの件に巻き込まれに行ったからこそ察せる。そのまますぐに出発し、ダングレストに向かった。
ダングレストにつくとユニオン本部に行き、ユーリとレイヴンが中心になって事情を話す。
男「……それで、その片田舎まででていけってのか?」
何時ぞやの言い争っていた
男性「ここではダメなのかね」
ユーリ「ああ、ザーフィアスもここもだめだ」
レイヴン「そういうこった。どっちにも勘ぐられないようにしないといかんのよ」
ハリー「重要な話らしいな。帝国、ギルド関係ない……」
ハリー「わかった、オレが行く」
レナから見れば面倒事を押し付けるように二人はハリーに行かせようしている。ハリーもきっと少しわかっていて受け入れているような感じだ。そんな三人に、ユーリ達の後ろで控えていたカロルが、もう!と口を挟む。
カロル「重要な話なんだよ!そんな適当で良いの!」
ユーリ「ならそれでいいさ。じゃあ天然殿下の都合がついたらまた来る」
わかった、とハリーは頷いた。
次に、ユーリ達はノードポリカに向かった。今、
ナッツ「承知した。じゃあ、そちらの手配がつくまで待ってるとするよ」
エステルは、ありがとうございますとお礼を言った。ナッツはそのままギルドでの仕事に戻っていく。
レイヴン「ナッツ、話が早くて助かるわ」
リタ「あっさり了承したわね」
ジュディス「彼は世界の移り変わりを目の当たりにしているようなものだから、囚われない心を持っているのね」
感心したように彼女は言う。
カロル「ユニオンと
レナ「なれるよ。だって、同じギルドなんだから」
エステルがそうですねと同意する。
エステル「今はわだかまりを捨てて力を合わせるべき時ですから、きっと仲良くなれます」
パティ「のじゃ、いがみ合った後にこそ、お互いを深く知ることができて、真の友情が生まれるのじゃ。うちらが海の上の架け橋になるのじゃ!」
カロルは、そうだね!と元気よく言った。
リタ「あとは天然殿下ね」
エステル「フレンたちのところに戻ってみましょう。進展があったかもしれません」
ユーリ達は一度、フレン達の所に戻った。
少し留守にしていた間に、野営のような街だったのが家が数軒出来ておりすっかりと街らしくなっていた。その様子に、唖然てしてユーリは、すげぇな、と感心する。
エステル「短期間で街がここまで……信じられません」
それは、他のみんなも同じようだ。
レイヴン「どうやら魔法じゃないみたいよ。ホレ」
レイヴンの視線の先には、疲れきった顔で眠る人達がいた。
リタ「完徹で燃え尽き〜、ってかんじ」
ジュディス「騎士団も頑張って戦ったようね」
ジュディスの目線の先にも、同じように眠る騎士達がいた。
カロル「みんなで力を合わせたらこんなことさえできちゃうんだね」
パティ「人は、いざという時、釣り糸を引くシイラのごとくすごい力を発揮するのじゃ」
レナ「そうだね、この状況をみたら、人の力って侮れないよね」
広間で見て回るユーリ達のところに、フレンとカウフマンがやってくる。
カウフマン「どう?お気に召して?」
ユーリ「正直、脱帽だ」
フレン「ユーリ、どうだい?そっちの方は」
ユーリ「ああ、話つけてきた。あとは殿下の都合がついたら迎えに行くと伝えてある」
フレン「わかった。殿下にも連絡がついたよ。来ていただける事になった。船でこちらに向かわれている」
話を聞いていたジュディスが、まぁのんびり屋さんねと言った。
ジュディス「バウルにお願いして連れてくるわ。ハリーもナッツも、ね」
レナ「いいの?バウル、怒らない?」
少し驚いた表情で首を傾げるレナに、ジュディスはにこやかに言う。
ジュディス「一刻を争うんでしょう?バウルもわかってくれるわ」
フレン「そうしてもらえると助かるよ」
ジュディスは頷くとバウルの元へ行った。
フレン「……もう時間は残されていない」
エステル「ついに世界の首脳陣が集まるのですね」
カロル「あとはわかってもらえるかどうかだね」
パティ「とことん話しあってそれでもダメなら、殴り合いなのじゃ」
レナ「みんな、色んなことを乗り越えてきた人たちだから、大丈夫だよ。きっと分かってくれると思う」
ジュディス達を乗せたバウルが街に戻り、厳粛な雰囲気の元話し合いは行われた。一通り、ユーリ達からの話が終わる。
ナッツ「精霊……星喰み……デューク……」
カウフマン「世界中の
ヨーデル「……途方もない話ですね……」
今は理解することだけで精一杯といった形だった。
ユーリ「信じがたいだろうけがな。これが今オレたちのぶつかってる現実だ」
フレン「
レイヴン「でなきゃデュークか星喰みにやられて一巻の終わり」
レイヴンの言葉にハリーは頷く。彼はもう受け入れているようだった。
ハリー「選択の余地はないが……果たして受け入れられるか?」
ハリーは下を俯く殿下を見つめる。
エステル「誰も破滅の未来を望んでいないと思います。つらくても生きていれば前に進めます」
レナ「そう、だって人間は支え合うことができるから」
カロル「うん。だからボクたちはやるんだ」
三人は殿下の答えを覚悟の灯った目で待つ。少しの沈黙、ヨーデルはみんなの意見を聞いて口を開く。
ヨーデル「……人々の混乱を防ぎ、明日へ導くのは帝国の務め。今こそ人々の治世を敷く時なのですね」
どうやら話を受けいれたらしい。
フレン「我々も忙しくなりますね」
ヨーデルはフレンに頷く。
カウフマン「人々の生活基盤を整えて
次のことを考え始めているようだ。
ナッツ「結界なしで魔物を退けるための方法も考えなければ」
ハリー「傭兵ギルドや魔狩りの剣だけじゃまかなえねぇしな」
ヨーデル「騎士団の再編をギルドと合同で行うというのはどうでしょう?」
カウフマン「おもしろい試みだけど、すんかりいくかしら?」
ユーリ達は様子を見て、大丈夫だろうと会議から抜けた。
フレン「最後まで立ち会わないのか?」
外に出たユーリ達を、フレンが引き止めた。
ユーリ「ああいうのはオレらの仕事じゃねぇだろ」
リタ「そうそう。お偉いさんがまとめれば良いんじゃない?」
ジュディス「彼らが思うよりも人々は今の生活から離れなれないと思うけれど」
レナ「そういうことを整えるのが、あの方達の仕事。私たちの仕事は……」
ユーリ「星喰みをぶっ潰してデュークのヤツを止める事」
パティ「うむ、うちらにはうちらの出番が待っておるのじゃ」
そうかと、フレンは頷いた。
ユーリ「すまねぇな。面倒なことは全部おまえらに回しちまって」
そんなことは無いとフレンは言う。
フレン「こっちの台詞だ。いつも一番つらいところ君たちに任せてしまってすまない」
カロル「さぁ、ボクらもがんばらなくっちゃ!」
カロルは気合を入れる。
リタ「でも世界中の
ウィチルが、それなんですけど……と口を挟む。
ウィチル「アレクセイやバルボスの残した研究成果の中に、
リタはバッとウィチルに振り向く。
リタ「本当!?それ今どこにあるの!?」
ウィチル「えっと、僕の私物と一緒に運んできました」
リタはウィチル達が使っている家に駆け出していく。
ウィチル「あ、ちょっと、ねぇ、人の荷物勝手に見る気ですか!?」
と、ウィチルは慌ててリタを追いかけた。
エステル「あ!わたしも行ってきます」
エステルは二人を追いかけていった。
レナ「……行っちゃったね」
パティ「相変わらず、
パティは楽しそうな表情をして言った。
カロル「それがボクらの流儀なんだよ」
レイヴン「少し、望みが繋がったようね」
ジュディス「ええ。あの子がああなったらきっと答えを見つけてくれるわ」
もう見えなくなったリタの背中を見つめながらジュディスは言う。
ユーリ「だな、期待して待っていようぜ」
気がつけば陽が海に入り始め、辺りは夕焼け色に染っていた。ユーリとフレンは街の入口近くに出ていき、他のみんなは休んでいたりやる事やっていたりしている。レナは、発展していく街を見て歩き時間を潰した。ちょうど広間を通りかかった時、ユーリが帰ってきて見つけたエステルが嬉しそうに駆け寄っていたのが見えた。その後ろからリタが、いけるわ!!と興奮気味に言っていた。
リタ「精霊たちと
ウィチル「僕が見つけたんですよ」
ウィチルもリタと同じように胸を張っている。
リタ「この装置と各地の
いつの間にかみんな集まって聞いていたが、カロルには難しかったようで困惑している。
パティ「リタ姐の話が、タコの足よりも難解すぎてカロルが理解しとらんのじゃ」
カロル「今の、パティわかった?」
カロルはムッとして聞くと、パティは首を傾げた。どうやら分かってなさそうだ。レイヴンがやれやれと首を振る。
レナ「……簡単に言えば、
リタ「だからそう言ってるじゃない」
エステル「さすがです、リタ!」
尊敬を込めてリタを見つめる。
リタ「問題は時間がないことね。
どうするか、とリタは顎に手をついて考える。
ウィチル「ネットワークの構築は僕がします。アスピオからの避難者もいるし」
ウィチルはリタを見上げて、任せてくださいと笑った。
レイヴン「学者たちだけじゃ護衛が必要だろ。魔物も星喰みも結構やばいぜ」
フレン「そこは騎士団がやりましょう」
ラピードと共に帰ってきたフレンが言った。隊長の帰りを待っていたソディアがフレンに歩み寄りながら言う。
ソディア「命に換えても守り抜きます」
カウフマン「足りない分はギルドが援護するわ。技術者だっていない訳じゃないし」
カロルはユーリに駆け寄って、なんとかなりそうだね!と笑ってみせた。
レイヴン「けど……肝心の明星壱号は直ってんの?」
リタ「それはまだよ。
それなかなか見つからないのだろう。いつから話を聞いたのか、ヨーデルがリタに提案する。
ヨーデル「それならいっそ、新たに作ってしまってはどうでしょう?今ならここにも人も資材も豊富にあるはずです」
カウフマン「あらいい案ね。ネットワーク構築の前哨戦ってとこかしら。どう?」
リタ「確かに……それができるならその方が早いかも」
二人の提案にリタは乗った。
カウフマン「決まりね。あとは人を集めるから詳しい説明をしてちょうだい」
カロル「星喰みに挑む武器を、みんなで作るんだね」
パティ「この街を作ったようにじゃな」
ジュディス「そう考えると不思議な感じね」
リタ「あとは精霊の力が確実に星喰みに届くようにできるだけ近づいて、明星壱号を起動させるだけよ」
ユーリ「つまりあそこだな」
と、ユーリはアスピオの上に浮かぶ建物を見上げた。その場にいた皆が同じように見た。
ジュディス「……タルカロンの塔、ね」
レイヴン「デュークの根城か」
エステルはタルカロンの塔から目を離し、ユーリの方に向く。
エステル「戦うことになるんでしょうか」
ユーリ「どうだろうな。けど、タルカロンをぶっ放させる訳にもいない」
カロル「避けて通れないんだね。あそこに行くのは」
ユーリの隣に移動したレナが、そういうことだね、と頷いた。
リタ「それじゃ、あたしは明星壱号の修理に取り掛かるわね」
ユーリ「頼むぜ。できれば明日には出発したいからな」
その後、皆明日のために休息をとったり準備をしたり気がつけば夜になっていた。