「選手宣誓!!」
ピシャリと鞭を打って、主審である18禁ヒーローミッドナイトが告げた。
「18禁なのに高校にいてもいいものか。」
「いい」
常闇のつぶやきを峰田がしっかりとした意志をもって肯定する。
「静かにしなさい!!…選手代表――爆豪勝己!!」
「え〜〜〜かっちゃんなの!?」「あいつ一応入試一位通過だからなあ」「ありえん…」
「
トッ、とひと息で台に上がった爆豪はやる気なさそうにポケットに手を突っ込んでいた。
「…せんせー。
俺が一位になる。―――
「調子のんなよA組オラァ!!」「何故品位を貶めるようなことをするんだ!」「ヘドロヤロー!」「バカ!」「どんだけ自信過剰なんだよ!!この俺が潰したるわ!!」
おまけに
「自信…、違う…」「なんかあいつ変わったか?」「前なら、笑って言う。よね…」
兄の隣を過ぎる時にわざわざ肩をぶつけるのはやっぱりみみっちいにゃあってねこは思った。
「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう」
ヴン…と音を立てて空中にディスプレイが浮かぶ。そしてそれはスロットのように回りはじめた。
「雄英って何でも早速だね」
「フフ!いわゆる予選よ!毎年ここで多くのものが
「障害物、競走…!」
「計11クラスでの総当たりレースよ!コースは…おおよそ4km!」
「我が校は自由さが売り文句!コースさえ守れば手段は問わないわ!ウフフフ…」
パッ、と3つあるうちの明かりがついに残り1つになった。あれが消えたら走り出す…あれが消えたら走り出す…。ねこは先頭の方にいたので、地面に手をついて待った。
――どうせやるなら、頑張りたい。
『スターーーーーーーート!!!』
狭き門より入れ。その言葉に違わずスタートゲートは狭く、つまりここからもう――
「最初のふるいだ。」
パキパキパキパキ、と凍らせていく音が微かながらねこの耳に届いたけれど…それはすぐ聞こえなくなった。何故って、ねこは四つ足で走った方が速いからだ。
『おーーーッと緑谷妹速い!轟の凍結から逃げ延びたぞ?!あいつの『個性』…『猫』じゃなかったか!?加速系の個性は無かったはずだよなァ!』
『ああ。だから単純に――あの姿勢で走るとめちゃくちゃ速いってだけだろうな』
たったかたったか獣は走る。そのけものはねこだ。
『HAHAHA後続もドンドン来やがる…!さぁいきなり
『おいおいおい1ーA轟!
『それじゃあここで説明と行こうか!!第一種目は障害物競走!このスタジアムの外周をコースアウトさえしなけりゃ何でもありの残虐チキンレース!各所に設置されたカメラロボが、リスナーに興奮をプレゼントだ!!』
おい、だの俺いらないだろ、だのなんだかポショポショと混じっていた気がしたけれど多分気のせいだ。
ねこは襲ってくるロボの鉄拳・質量・攻撃をスルスルかわし時に紙一重ですり抜けて難なく進む。
『一足先行く連中、1ーAが多いなヤッパ!!』
『立ち止まる時間が短い。…各々が経験を糧とし迷いを打ち消している。』
『オイオイオイ第一関門チョロいってよォ!
『ザ・フォーーーール!!!』
落ちたら終わり?それがなんだ。それなら落ちなければいいだけだ。
『おっと未だに先頭を突っ走る1ーA
『――それに追従するように轟も今渡り始めた』
『ウーーーン後続は団子状態!サポート科の生徒もアイテムを使って喰らいついてきやがる! …実に色々な方がチャンスをつかもうと励んでいますねイレイザーヘッドさん。』
『何足止めてんだあの馬鹿ども…』
『上位何名までが通過できるかは公表してねぇから安心してつき進め!!――そろそろ最終関門か!速ェなぁオイ!かくしてその実態は――――』
どうやら後ろのやつらも追い上げてきてるみたいだった。
たったかたったか、四つ足の
僕が、来たって!知らしめないと!!!
『後方で大爆発!!?何だあの威力!?』
『偶然か故意か――後続の妨害をしつつ爆発で猛追してきやがった!!』
『緑谷
『俺は何もしてねえよ』
『序盤の展開から誰が予想出来た!?』
『無視か』
『ほかの生徒をごぼう抜きして…今一番にスタジアムへ帰ってきたその生徒が――――――!?!?』
「………あっ」
…あともう少しだってのに、兄がこけた。
「やっぱり
『オイオイ仲良すぎだろォーー!!!なんてこった!!
『なんて絆だ!!眩しいなお前ら!ところでどっちがどっちだ!?』
肝心な時にコケた出久を、寝子は手を引っ張って
『後続も次々とゴールインだ!順位などは後でまとめるから――とりあえずお疲れ!!』
「よかったな」
「ねこ…!僕を置いてけば良かったのに…!」
「いくら競走だからって――あそこで置いていくのは違く
「………ねこ……!」
感激のあまり号泣しながらねこに抱きついた兄の背中を、ねこは優しく摩った。
『――ようやく終了ね。それじゃあ結果を発表するわ。』
ミッドナイトの背後に大きく投影されたスクリーンに、顔写真付きで予選通過者が発表された。
「1位…が――…
「僕たち」「ねこ達」「「同率1位!?」」
『予選通過者は上位42名!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されているわ!…………そして次からはいよいよ本戦よ!キバリなさい!!』
『さーて第二種目!私はもう知ってるけど〜〜〜何かしら!?言ってる側から!!……………………コレよ!!』
ダラララッと回転して、映し出された第二種目。騎馬戦。
「主審!此度は一位がふたり居るが―――」
「それも…アリ!
「ええっ!」
「ウフフ――上を行く者には、さらなる受難を。雄英にいる以上何度も聞かされるわよ。下克上サバイバル!!これこそ…
「予選通過同率一位の緑谷出久くん!寝子ちゃん!持ちP…1000万!!」
「――それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!」
「兄、」
「…………ねこも頑張れ!助けてもらったけど…次は、
「ドジるなよ」「勿論…」
「ねえ、君が――」「何だ。」
それから先は、ねこの記憶には残っていなかった。
『――――位!鉄て……アレェ!?オイ!!!心操チーム!!?…いつの間に逆転してたんだよ!!』
「…にゃっ?」
「ご苦労―さま。ありがとう、…」
『四位!緑谷兄チーーム!!以上4組が最終種目へ…進出だああああああああーーーーッ!!!!!!!』
「……うるさ!」
「話って、何。…」
ねこは心底不思議だった。なんかよく知らんやつに呼び出されたかと思ったら、
「……なァ、おまえら――
「は?
「………?」
「………?」
「……………………?」
「……………………?」
「おまえは…緑谷…」「ねこだけど。」
「……………………………」
「お腹空いた。もう帰るよ」
「…………そうか、…色々とすまねえ。間違えた。」
「…ねこからひとつ。」
立ち去ろうとする轟を呼びとめて、ねこは言う。
「おまえの言っていることはよく知らん。が、
「ッ!」
「なんでバレてるの!?」
「ねこと兄を間違えておいてそのまま去るのは許さん。…ねこはもう行く。」
少しまえの事。ねこが轟くんに呼び出されていたので(緑谷と呼んでいたので僕も聞いてしまって構わないだろう…という考えのもと) 僕はそれについて行った。
(こんなの、コミックだったら主人公じゃないか…!本当に聞いてよかったのか!?)
――だってそれ程までの、あまりにも壮絶な背景。
個性婚による因縁。父親との確執。執着。決意。正直ビビる。…あと、用があったのは僕みたいだった、らしい…。
「、緑谷………」
「…ごめん、聞いてた。」
「そうか、なら
……時間とらせたな」
「あのさっ!…――僕は、ずっと救けられてきた。」
「…?」
「さっきだって。それこそ、障害物競走の時だって。ずっと、ずうっと…!――誰かに救けられてここにいるんだ…!」
「
「
「………」
「さっきの宣戦布告、僕からも…。