猫の命も9つまで!    作:継木

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双子

 

 

 

「なあ、あそこにチアリーダーたち来てるだろ?午後は雄英の女子全員がああやって応援合戦しなきゃいけねえんだって!」

「聞いてないけど…」

「でも他クラスは着替える素振りなくない?」

「や、信じないのも勝手だけどさー――…」

 

 昼食の時間。息を殺し(盗み聞い)てたこいつ(爆豪)の耳を引っ張って配膳場に来たわけなんだけど、ねこの耳にもソレは届いた。

 

「何の話だ。」

「げっ緑谷…妹のほうか、いや〜ちょっと

「おいどうする?」「バカここまで来たらやるっきゃないだろ!」

「ええと…午後から応援合戦があるそうで…チアガールの格好をしないといけないらしく」

「…って、コイツらが言ってたんだけどね」

「…………」

「…そーそー!いや別に、信じねぇのも勝手だけどよ……相澤先生からの言伝だからな!

「おう!」

 じゃあなー!なんて急ぎ足で、チラチラとこちらを伺いながら人ごみに紛れてったふたりを怪訝そうに見て…何を言うでもなくねこは立ち去

 

 

「寝子さん!」

 ――ろうとしたけれど、八百万に引き留められて振り返る。

 

「どうかしたか」

「その………………。…10分前くらいに更衣室に来てくださいな!」

「わかった。」

早く離せや!

「うるさいにゃ〜…」

 

 こくりと頷いたねこは、そのまま――そのままというのは爆豪の耳を引っ張ったままということだ――適当にうどんを貰い、そそくさと辺りの人が少ないベンチに座った。

 

 

 

「ほい七味」

「………チッ。」

 

「盗み聞きは…ズルっ……あんまりよくにゃあ(ない)と思うが。」

「……」

 (いつも)キレそうな顔をした彼は渡された小分けされたセルフ七味15袋を全部掛けて大人しく食べ始めた。

「ねこは知らんが……ズゾゾ…」

「…食べながら話すなよ」

「………」

 爆豪は食事中はほとんど喋らない(意外にも行儀いい)ので(それとちょっと痛いところをつかれたので)ねこは黙って完食し(見習って静かに食べ)た。

「「ごちそうさまでした」」

 

 

 

「…で、盗み聞きはよくないぜ。おまえ…」

 

 指定のゴミ箱に捨ててきたねこは、まだそこに居た爆豪の隣に座って諭す。空を仰ぐようにして、広げた足の間で手を組んで。傍目から見ると単に休憩しているだけだとも見られるような体勢で話しかけた。

 

「……うるせえ」

「だってあれは、おまえに(ねこにも)向けられたものでない。」

うるせえ

「何を焦っている?にゃ()あ、爆豪(おまえ)。」

 

「入試一位だろう?僕らのような足元の石ころなんか見なければいい。」

うるせえっつってんだろ!!

 

 

 ボム!無気力に垂らしていた掌から目立たないくらいに爆風を起こして、ねこを睨みつける様子に手負いの獣を幻視した。チラと細めた目線だけ送っていたねこは、力強く掴まれた肩でようやく爆豪に意識を向ける。

 紅潮してる(眉根を寄せてる)のに、泣きそうで、導火線に火がついているようにジリジリと焦りの色を浮かべて。人混みの中の迷子みたいに眉を下げて。

 

 

「なんだ」

………………………………………

 

 

 

 

 そのまま、不快害虫(ゴキ○リ)でも見たようにくしゃりと顔を歪めて…立ち上がってどっか行った。まじでなんなんだあいつ。

 適当に日向ぼっこをしていたらアラーム(スマホ)が鳴ったのでそそくさと更衣室に向かうと、八百万がチア服を()()()()と出していた。

 

 

「一応同じようなものを出しましたが…サイズはほぼ一律ですわ」

ウオー!マジでチア服だ!!やっぱり『個性』(ヤオモモ)凄いね!」

「服用意されてなかったけど、さっきの本当だったのかな」

「ま、まあ!とりあえず着てこうよ!ほら葉隠ちゃんなんてもう――着替えるの早ッ!?」

「そういえばねこちゃんって女のコだったね!出久くんとそっくりだからあんまり意識してなかった〜」

「筋肉の方があるよ」

「「おお〜!」」

 

 早々に着替え終わったねこはその引き締まった身体にやや似合わないまでの筋肉を備えており身体を惜しげも無く晒していた。腹筋はシックスパックで背筋も綺麗に割れている。

 ボディビルダーのようにポーズを次々と繰り出し、麗日と芦戸に褒められて調子にのって力こぶをムンと出す。

「引き締まってるどころか…アスリートやない?」

「アタシもダンスやってるけどさ〜…ここまでムキムキなの初めて見た!凄いね!」

「ふふん。ねこもパルクールするんだ」

 

 

 耳郎は気取られない程度に周囲の胸を見て…己のソレ(ささやか)をぺたぺた触り…そして八百万(メロン)寝子のもの(洗濯板)を何度も見て、自身の慎ましやかな(それ)を見下ろした。

「格差社会だ…」

 ねこは筋肉の分くらいはあったけど、ほぼほぼ出久と変わらないくらいの体格だ。性別差…肩幅や腰周りはさすがに違うけれど…その『個性』と(猫の筋肉はアスリート並。)趣味によってカバーされるくらいの差で、つまり…

 

「でもなんか、…出久くんが女装してるみたいやね!!

クリソツ(一卵性双生児)だからな。」

 顎にピースをあててねこは言った。

 

 

 

 

 

 

最終種目発表の前に予選落ちの皆に朗報だ!!

あくまで体育祭だからな!()()()()()()()()()()()()()()()()()()!――本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……………アリャ?

 

 

 スっと遅れて出てきたねこ(1-A)達に衆目が集まる。周りを見てみると、うん。()()二人がサムズアップしていた。そして耳郎は手に持ったポンポンを音速より早く投げ捨てたんだった。

 

どうしたA組!!?

「峰田さん上鳴さん!!騙しましたわね!?」

 

「アホだろアイツら…」「何故こうも峰田さんの策略に…」「ケロ。おかしいと思ったわ…」「まァ本戦まで時間空くし、張りつめててシンドイしさ…――いいんじゃない!!?やったろ!!」

「葉隠さん元気!」「応援頑張りますかっ!」

 

 

 

 少し遅れて普通科、サポート科に経営科とゾロゾロと出てくるけど…やっぱりチア服を着てるのは居なかった。

 

 

さァさァ!みんな楽しく競えよレクリエーション!――それが終われば最・終・種・目!!総勢16名から成る…1対1(ワンオンワン)ガチンコ勝負(ガチバトル)だ!!

 

 

「――――それじゃあ組み合わせ決めの()()()()しちゃうわよ、全部決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!」

 あ、レクに関しては出場者の参加は個人の判断に任せるわ。なんて主審(ミッドナイト)が言ったところでひとつ手が挙がった。

 

あの…!すみません。俺、辞退します

「!!」

 わざわざ何で…!?やらザワついたけど、ミッドナイトの「静かになさい!」とのひと振るいで直ぐにそれは治まった。

 

騎馬戦の記憶…終盤ギリギリまでほぼボンヤリとしかなくて、多分『個性』とかなんですけど……

 

 

 あ、そういえばこいつ(尻尾)も一緒してたかもな。全然覚えてないけど!尾白が指さした先に居るあの紫髪は、一瞬目があったけどぷいと逸らしていった。

 

チャンスの場だってのは()()()()()その大事さも…!――でもさ!皆が力を出し合い争ってきた座に、わけわかんないまま並びたつなんて………――――俺は出来ない。

 

「気にしすぎだよ!結果で示そうよ!」

「そんなん言ったら私だって全然だよ!?」

違うんだ…!俺の、プライドの話さ……!――俺が嫌なんだ…あとなんで君らチアの格好してるんだ…」

 

 ぐりぐりと眉間を押すソイツ(尾白)に感化されてか、男らしいな!と涙を滲ませる出場者や判断に迷う解説――果たしてその処遇は、主審(彼女)に委ねられていた。

 

そういう青臭い話はさァ………

 

       ――――好・み!!!

 

 

 かくして欠員はB組のてつてつ…?が繰り上がり、くじ引きも終わった。

「兄は頭からか」「ねここそ3戦目!当たれるといいね」「勿論勝つ気で」「当たり前だよ!」

 レクリエーションのあいだ兄は情報収集、ねこはというと…()()

 動物とか、そういう『個性』のじゃなくて――八木(オールマイト)の方だ。メェ。

 

()()()()()()()()()

「えぇ〜〜〜…」

 

 突然襲来して、おぶれ!とばかりによじ登る少女(ねこ)に困惑しつつもその()()()()――オールマイトはねこを背負った。そして彼はどうしようか迷って――ねこは1度寝ると()()()()()()と思い出し――普通に間食を摂ったり、ほか教師と話したりして――もちろん驚かれたが割愛する――また間食を摂って…日向ぼっこをして、それからもうすぐ第1試合かなと思い出して緑谷少年のもとに向かい…

 

 

HEY少年!ちょっと遅れちゃったかな!?

「…オールマイト!」

 

 気さくに声をかけた。

 

 

「…ねこ!寝てる…んですか?」

「彼女、よく寝るだろ?…でも、今日はぶっ続けだったから」

「なるほど…!」

「ハハハ、気負わずとも時間になったら起こしてあげるから…。で、だ緑谷少年…、ワン・フォー・オール(『個性』)――掴んできたな!」

「まだ不安ですけど、温泉卵くらいには……!でも、足とかは全然だし…見ていただいた通りなんですけど、今の僕だとちょっとパワーが上がったくらいのにしかならない」

「うん――以前の0()1()0()0()か?という例えでいうなら、今の君だと5()くらいだね。」

5…!そう思うとほんとに、僕って縁と運に恵まれたって感じで」

「そこは「こなくそ頑張るぞ!」でいいんだナンセンスプリンスめ!――君の目指すヒーロー像はどんな顔をしてるか!?」

「ン――――…」

「いいかい?()()()()()()()()()――()()()()()()()()()()!!ここまで来たんなら虚勢でもいいが胸は張っとこうぜ!」

「ただ――忘れないでいてくれよ。君は、私が見込んだんだってこと!」

 

 

 

 

 オールマイトの激励を受け、少年は舞台に立つ。

一回戦!!――二人(双子)揃って最終種目進出!?兄の方なヒーロー科緑谷出久!!対!

 ――ごめん、まだ目立つ活躍なし!普通科心操人使!!

 

 

 オールマイトはここにきて若干緑谷少年のことを心配し始めていた(していたといえば元から僅かなりともしてはいたけれど…)。ここからだと少年の後ろ姿しか伺えないが、何かを話しかけられているようだった。

 

「…今は?」

「ねこくん起きたんだね!ちょうど一回戦さ」

 

 

―そんじゃ早速始めよか!!

 レディィィィィィイイ……START!!

 

「――――――――!!」

 

 

 合図と同時に駆け出そうとした少年は、しかしその場でたたらを踏み完全に停止した。

 

「!?」

オイオイどうした大事な初戦だ盛り上げてくれよ――!!アホ面でビクともしねぇ緑谷は()()()()だ!?

 

「あいつの『個性』か」「ええー…!?」

全っっっっ然目立ってなかったけどもしかして彼ってやべえ奴なのか!!!?

 

 

「――――――――――。」

 

 そのまま、クルリと振り返ってねことオールマイトの居るほうに歩いて「来ちゃダメーー!!!!!!」

「兄よ……まさかあんな個性(洗脳)に引っかかるなんて…」

「引っ掛かっていたっていうならねこくんもだけどね!?」

「怒りのねこパンチ。とぅ

 

 ねこも、オールマイトも、観客たちも、対戦相手ですら場外負けかぁ〜…なんて思いはじめ、どんまいコールが微かに聞こえ始めたころ。

 もう一歩でライン―――を越えて――しまう()()で――――――()()()()()()()()()()()

 

緑谷!!とどまったああ!!?

 

「アレは――」

「『個性』、の―暴発――――か?」

 

復活した緑谷!心操に駆け寄って…殴り合いだぁ!!緒戦にしちゃあ泥くせェな!

 

 

 

「嫌いじゃないわ!そういうの!――心操くん場外!!緑谷くん二回戦進出!!







今回ちょっとキリが悪いけどここで切らせてもらいます!感想・評価くれ〜!!!
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