その後保健室に一緒して運搬されたねこは、オールマイトとともに出久の語るモヤモヤをふんふんと神妙な顔で
「全然…笑えなかったです」
「ウーム…、まァ…心操少年の叫び、
「……でも、――――――」
「?、なんだ。」
「いや…、
ちらっとねこを見た
「ヴッ…
「…そうだ、オールマイト!僕幻覚が見えたんです」
「コネコチャン、モップお願いね」「にゃう」
タオルで口元を拭うオールマイトの足元をねこは手早く綺麗にした。
「――そのモヤを払うかのように幻覚が浮かんで、それで瞬間的に辛うじて指先だけ動いたって感じで……。オールマイトのような髪型の人も居ました。あれは…
「「怖ぁ………何それ……………」」
「ええーーーーーッ!?」
「頭打った?大丈夫か?」
「いや私も若かりし頃見たことはあるさ。
「?」
続いた言葉が、ねこの頭の中でずっとぐるぐる回っていた。
「――そこに意志どうこうは存在せず双方干渉出来る類のものではなくてね、つまり…」
「僕の想いが
「そう!彼の『洗脳』に指先だけでも打ち勝ったからこそ面影が――――」
「ありがとうございました!僕たちもう戻りますね…ほらねこも!」
「……………」
『個性』。それは未だ完全には未解明の超常。
しかし兄の受け継いだ『個性』というのは面影が染み付いているらしい。ソレに基づいた幻覚――幻影、面影…………思念?…人格、…?個性が先で、それに面影が焼き付いているのか。それとも人ありきで個性があるのか…。初めて聞いた話だ、どころか関連性のあるようなものがひとつたりとて思い当たらない!
――マ、ねこが考える必要はない。ので、…そっと奥にしまいこんだ。
ねこ達が観客席に戻る頃にはもう試合は始まる直前だった。兄を暖かい目で迎えた2人はしかし――ねこにはなんでここにいるんだ?って目を向ける。
「なんでねこくんはここに居るんだ?」
言った。
「えっ…」
「居てもいいだろ」
「よくないだろう!だって君――
反論しようとした兄は…しかし
「
「ぐえっ!や…………やられ、た…」
「緑谷くーーーん!!!」「そんな…」
『――――――START!!!』
そんなことをよそに試合ははじまる。
「ねこはねこの好きなようにやる。」
開幕から速攻即決とばかりにセロテープを巻き付けて場外に出そうとする瀬呂をテープごと、
自然とわき起こったどんまいコールは先程のものよりも遥かに大きく、妥当だろうものだった。
炎熱系やMt.レディのような増強系…それと
『ステージを乾かして次の対決!!――スパーキングキリングボーイ!上鳴電気!!対!
――――アレッ?緑谷双子の妹の方…緑谷寝子は…どこだ!?』
さすがに行かなきゃダメ?ちょっとぐらい寝たって別に…あっはい今すぐ行く。行くからマタタビ没収はやめて〜!と友人兄等に背中を押されてねこは観客席から飛び降りる。
ぐるぐるぐると空中で四、五…八回転!スタッと五点接地からの倒立、直立を披露して
『観客席からの乱入はご法――――緑谷妹ォ!?コイツ
クラウチングスタートのような姿勢でグッと身を竦めて、彼女は
「緑谷、ごめん。…多分速攻で決まるわ。」
「…」
『…START!!』
――はたして、速攻で決まった勝者は緑谷寝子だった。
合図が終わった瞬間に肉薄し、そのまま下からカチ上げて浮かす。浮いた上鳴の身体を靴の鉄鋼の入った
『瞬・殺!!――瞬殺だ!!!緑谷双子、ヤベーな!』
「上鳴くん場外!二回戦進出はねこちゃん!」
勝利のピースサインを兄に向かって送る、けど全然気付かない。ノートに突っ伏してるみたいにして書き込んでたけど、お茶々…?ウラウラ…?みたいな感じの隣のやつに肩を押されて気付いた。遅いよ……………
兄がパッと笑ってガッツポーズしてきたのを見届けて、ねこは寝た。
「ネコチャン!早く起きな、もう出番さ!」
「うにゅあ…………あと五分…五分だけでいいから…」
「これから手術もするんだ!早くお行き!」
リカバリーガールに引っ立てられたオールマイトに首根っこ掴まれてねこは簡易ソファから出場口まで移動したんだった(これはお見舞いにも動じず、治癒が終わっても動じず寝続けていたからである、
『来たぜ緑谷――ァー…やっぱ見分けつかねえ!たぶん妹!緑谷寝子!!対!
――速さで勝てるか!?飯田天哉!!』
ねこは先程のように構えるわけでもなく、極めて
『――――……STARTッ!』
――開幕から来るであろう、飯田のスタートダッシュを!
「なっ…ねこくん、君真面目にやる気は」
「無いにゃ〜ん」
社交ダンスの様相からそのままパッと手を離したことで尻もちをついたメガネに何をする訳でもなく、ねこは場外へ向けて歩き始める。まるで一回戦の時の
「眠いんだよにゃ…」
『緑谷妹どうしたーーッ?飯田のラッシュを交わしせっかく体勢を崩したってのにステージの外に歩き出したぞ!!?』
『緑谷妹はよく分からん』
「待っ、――――」
――そんな勝ちは、ズルみたいな勝ちは認められない!!なんて言おうとしてようやく目の前に誰もいないことに気付く。上から声が聞こえてきた。そしてその姿を再び視認すること無く、
「
「、飯田くん――…場外!!仔猫ちゃんが準決勝進出!!!」
『WOAH!相手の性格も利用して場外に押し出し勝利だ!こんなんありか!?――え?何?あ、OK?……ありだそうでーーす!!!』
「クッ………この飯田天哉、不覚をとった。ねこくんは僕よりも一段上だったようだ」
「匿名希望の
「ピースて口で言う人初めて見た!」
ふたりともさしたる怪我も何もなく終わったので(珍しく!)、そのまま素直に観客席でポップコーンを食べているわけだった。ちなみに
「そういえばねこちゃんとあんまり話したこと無かったかも!ほら、いつも…」
「兄さんとばかり?それは間違ってないにゃあ」
「ふたりともすっごい仲良いよねえ!あれって家でも?昔から?」
「どちらも――Yes。部屋も同じだし―ベッドも同じかにゃ〜」
ぱくっと放り投げた塩味のポップコーンを口で受け止めて、何気なく、さらりととんでもないことをねこは口にした。
「部屋!?ベベベベッドォ!?!?」
「?、ウン。」「緑谷!それマジか????」「ずっとこうだが……」「マジかよ緑谷兄の方羨ましすぎるだろ………!!」
「いや、でもよく考えてみれば同じ顔同じような身体同じような声だぜ…?」
「うん、ねこと兄はほとんど変わらん。」
「それを自分に置き換えて考えてみろ………女子と一緒のベッドで添い寝というよりも…」
「自分そっくりのマネキンと添い寝………?」
「想像つかねえ、…変な感じだな」
「ねこはねこ、兄は兄。だけどほぼほぼ同じだからにゃ〜……」
「えっ!服とかどうしてるの!?」
「サイズが同じだから共用前提で買う。」「きゃーっ!」
「だからたまにそれと知らず兄はレディースのLを着てることも全然あるぞ。逆もあるけど。」
「私一人っ子だから全然そーいうのわかんないんだよねー!ねえ、そういう感覚って――――――」
「…ふぅ。行ってくる。」
「私の分も頑張ってきてねー!」
準決勝。ベスト4だ。さすがにねこでも緊張する。残念ながら兄が先に敗退したためにこの場で闘う…なんて出来なくなっちゃったけど、敵討ちのつもりで…!
『準決!サクサク行くぜ――緑谷兄の敵討ちだ!行けぇ!緑谷寝子対轟焦凍!!』
あなんか言われると急に萎えてきたな
結論だけ言おう、
轟は、なんかもごもご言っていたけれどそれよりも速やかに退場したねこは(千切れた尻尾も一緒に)出張所へ来て、「先っぽの神経のないとこだけさね」と言い渡されていた。でも初めて尻尾がちょっと無くなったというショックが大きかったものだからシクシク泣いてるんだった。
あまりにショックすぎて表彰式は何故か代わりに出久が代役で出ることになったんだった。
「それではこれより――表彰式に移ります!」
「何アレ…」「起きてからずっと暴れてんだと。しっかしま――………、締まんねー
表彰台にあがっているのは上から――拘束具を取り付けられ柱に縛りつけられ言論弾圧すらされている
「三位には常闇くんと〜あとはこねこチャンがいるんだけど、尻尾ちょっと千切れたのがショックすぎて帰ってきません。代役の緑谷出久くんよ!」
「さあ――メダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人! 」
「わーたーしーがー!」
「メダルを持って来「我らがヒーローオールマイトォ!!……カブった」
そのあとの事までブツブツじゃなくてペラペラペラペラペラペラペラペラと兄が気持ち悪いくらい細かく、仔細まで語る。母親が録画していた体育祭を
ねこが知ってるのは、お疲れ様でしたと勢いよく言ったオールマイトや兄のことを励ましたオールマイトや戦い方などを分析した評を貰っていたこと(ねこの分は後から電話で直接来た。兄も。)や
兄はもう予定を入れたらしく、よく出来るにゃ〜なんて思いながらねこは公園で日向ぼっこしたりお昼寝したり寝たり寝たり寝たりをしていたら気付いたら明明後日になってました――――――!!!
ちょっと駆け足気味になっちゃいましたが体育祭編終了です!わ〜………………はやく研修(と書いて100%くらいオリジナル編)書きたァい…いや書きたくない…………
評価・お気に入りほかマジでありがとうございますー!!!!超嬉しいです!!!