猫の命も9つまで!    作:継木

17 / 44


 

「テストまであと一週間!?全く勉強してねーーー!!!」

「体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねーー!!」

「確かに。」

「中間は範囲狭かったし特に苦労なかったよな」

「…!」

「期末は中間とちがって――演習試験もあるのが辛えとこだよな」

「峰田ァ!おまえがまさか10位だなんて…」

「あんたは同族だと思ってた!」

「お前みたいな奴は馬鹿ではじめて愛嬌でるんだろうが!」

「そうだそうだー!」

「どこに需要あんだよ」

世界かな

「アシドさんに上鳴くん!が…頑張ろうよ!」

「どうせ行くなら全員でだ」

「うむ!」

「普通に授業うけてりゃ赤点は出ねえだろ」

「言葉には気をつけろ!!」

「緑谷はふたり揃って同じ順位だろ?そこまで同じとかどれだけ仲いいんだよ…」

「えっ?でも、総合成績(トータル)だけだよ!」

「うん。ねこは理数」「僕が文系」

「とか言ってもどうせある程度の点数はあるんだろ!!羨ましいなチクショウ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時は過ぎ――ねこ達は互いの苦手科目が被っていないので教えあうことができ、しっかり予習復習し夜の12時までには寝るというのを六度繰り返して筆記試験が()()()()()()()()。そして今日は――演習試験だ。

 兄から聞くには対ロボットの個人戦らしい。職場体験を経て戦闘服のデザイン変更を頼んだものももう終わったらしいし、おそらく入ってるであろう()()があればなんとかはなると思うけれど…。

 

 

「それじゃあ――演習試験を始めていく。ここでも()()()()()()()()()。林間合宿行きたけりゃみっともねえヘマはすんなよ」

「先生多いな…?」

「諸君なら事前に情報仕入れてると思うが――」

「入試みたいなロボ無双だろ!?」

「花火ー!カレー!肝試し〜!!」

「残念!!諸事情あって今回から内容は変更しちゃうのさ!」

「校長先生!?」

「変更、って」

 

「これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実践に近い教えを重視するのさ!――というわけで諸君にはこれから二人一組(ツーマンセル)でここに居る教師一人と戦闘を行ってもらう!」

「先生と…!?」

 

 

 ねこのペアは切島。兄のペアは…アイツ(爆豪)だ。ねこ達はセメントスでアッチはオールマイト。早速学内バスに乗り込んで作戦会議だけれども―――

「いけるかねこ!?」

無理。全然わからん。」

「ぶっ壊しまくれば……」

「でもそれだと――――」

「本人が居るのに堂々と作戦会議なんて、やるね。」

「勝ち筋が見つからにゃんです」

「セメントス先生!弱点教えてください!」

「ははは。そろそろ着くよ。ついたら説明をしようか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございますリカバリーガール…」

 僕たちはなんとかオールマイト相手から逃げ切り…今は出張保健室で治癒を受けてぐったりしている。沢山のモニターにはみんなの演習風景が映し出されているようで、先にクリアしたらしい轟くん達は校舎まで移されるみたいだった。

 

「僕…ここで見てちゃダメですか?」

「フラフラだろう、妹の事が気になるのは分かるけどね…」

「あ、いや…!でもっ…その。大丈夫です!ねこのことも少しはあるけど、こんなじっくりプロや皆との戦い見れる機会あまりないので……」

「ん――――…まァ駄目とは言わんが無茶なさんな。ていうか機会はわりとあるだろ」

「ありがとうございます!もうアレです。その、半分趣味で!」

 

 

 この演習試験。テストと言いつつも意図的に各々の課題をぶつけているようだった。耳郎さん口田くんのところは分かりやすく音に纏わる『個性』で…それをかき消す相手にどう対処するか。蛙吹さん常闇くんのところは…それぞれ間合いの内に入ってくる敵の対処とそんな味方の僅かな欠点すらカバーできるか、だそうだ。

 ほかの組も続々とクリアして行っているみたいで、残ってるのは峰田くん&瀬呂くん、芦戸さん&上鳴くん、そして

「ねこ…と切島くんのとこも!?」

「決定打が無いみたいだね。ずっとこうだよ」

「そうか…!セメントス先生のところだと必然的に()()()を強いられる…!」

「やる気が途切れないものならともかく、チャンスがあるかないかでもあるねえ。ほら、コレ見なよ――」

「めちゃくちゃ諦めてる――――!!」

「ああなると厳しいかもねえ」

「そんな…人一倍執念を燃やしていた峰田くんが何故…」

「まァ、オールマイトとマイク…セメントス、そしてミッドナイトは特に難易度高いからねえ。人によっちゃ「詰んだ」と認識しても仕方ないよ」

 

 

 

 

 

「――――――なァねこ!!!この状況打破する術とか無いか!?」

あると言えばある()()キツイ!おまえに一旦全部任せる事になるが!!!!」

 

 襲い来るセメントを切島は己の体で。ねこは嵌めたメリケンサックで砕きながら叫び合う。少しでも気を抜けば圧死確定のこの状況ですらもうキツいけど、なんとか出来なくは…ない!

 

「もう若干周りをセメントが囲い始めてる!ここはおまえ(切島)に任せるよ――やってくれるか?!

「応!」

 

 ねこはセメントを砕く手を止めて、しゃがみこみ力を貯める。

 セメントスには見えないだろうからセメントの手が激しくなることも緩くなることもなく、ただ一人分割る手数が減ったということで足元のセメントの囲いは腰ぐらいになったけれど――――――ねこは跳んだ。

 足元では切島がセメントのドームに囲われ、中の様子は完全に伺えない。僅かにでも遅れていたら拙かった、と気を取り直してセメントスを見れば………って

 

「速くにゃあか!?!?」

「消耗戦に極端に弱い…と思っていたけれど、抜け出すことは出来たみたいだね。――じゃあその鼻っ柱、叩き潰そうか。

 

 

 

 

 

「アーッあれはもう…」

「!…もう時間さ。タイムアップ!期末試験これにて終了だよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 週明けは沈痛な面持ちから。ねこはあの後セメントスに足を固められてしまい抜け出せなくなってそのままタイムオーバー、ターンエンド。切島と仲良く赤点なのだった。

 

 

「ごめん…………兄さん………ねこはいけません………………………ねこはこれから学校で補習を受けることになるからだ………………………………………………」

「皆……土産話っひぐ楽しみに…ううしてる…がら!」

「ごめん…………………」

 

 ほかに補習確定のクラスメイトは…ひとりが芦戸真奈、もうひとりが上鳴電気だった。ねこは雄英の最寄り駅で降りてからほとんどこう――出久の背中に引っ付いてその肩をさめざめと濡らしていること――だった。染みは手のひら大くらいまで大きく、またねこがギュッと後ろから出久のシャツを握りしめていたために今日いっぱいはシワはとれないだろう。

 

「緑谷それ寄生されてる?」

()が新手のクリーチャーだ」

「あはは…いやでもさまだわかんないよ、どんでん返しがあるかもしれないし……!」

「緑谷そういう希望持たせること言うのはよくないぞ」

「フラグ…」

「いいか!?試験で赤点取ったら林間合宿行けずに補習地獄!そして俺らは実技クリアならず!これでまだわからんのなら貴様らの偏差値は猿以下だ!!」

「落ち着けよ長えよ!わかんねえけど俺もさ、峰田のおかげでクリアはしたけど寝てただけだ。とにかく採点基準が明かされてない以上は…」

「同情するならなんかもう色々くれ!!」

予鈴が鳴ったら席につけ。おはよう、今回の期末テストだが…」

 

()()()()()()()()()()。したがって…」

 

 燃え尽きるもの、祈るもの、諦めるもの、つっ伏すものがいた。補習地獄が確定してしまった今、やはりそれを覆すのは…

 

 

「林間合宿は全員行きます」

「「「「どんでんがえしだあ!」」」」

 

「赤点だが――筆記はゼロ。実技の方で切島・上鳴・芦戸・緑谷妹と、()()()()瀬呂が赤点な」

「ハイ!行っていいんスか俺らァ!」

「今回の試験、我々敵側は生徒に勝ち筋を残しつつどう課題と向き合うかを見るよう動いた。でなければ課題云々の前に詰む奴ばかりだったろうからな」

「本気で叩き潰すと仰っていたのは…」

「追い込む為さ。そもそも林間合宿はなんだと思う?飯田」

「エッあっハイ!強化合宿かと思われますが!」

「そうだ。赤点とったやつほどここで力をつけにゃならん

 

 マァ――合理的虚偽ってやつさ、と話を締めくくる相澤をよそにねこ達五人はわあい!と跳ね上がった。のも束の間。しおりを配りながら言った言葉は再び五人の顔に陰を落とす。

 

「――ただ、全部嘘ってわけじゃない。赤点は赤点、あいつらには別途で補習時間を設けている。…ぶっちゃけ学校に残っての補習よりキツいからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日。葉隠の提案でみんなしてショッピングモールに来ていた。各々が買いたいものがあって早々にバラけてしまい、ねこは特に買いたいものも無かったので兄と手を繋いで歩いていた。兄はTシャツと書かれたTシャツを着ていて、ねこは刺身と書かれたTシャツを着ている。これは母親の買ってきたものであって、けしてねこが選んだ訳ではないことを主張したい!

 雄英ってやっぱりすごいな!たまに人に話しかけられながら、ねこは思う。

 

 

「あー雄英の人だ、スゲー!サインくれよサイン、」

「にゃっ!」

「確か体育祭で変な登場した方とボロボロんなってた方だよな!?」

「それはねこで」「ぼろぼろなのは僕です」

「は――は……()()()()()()()()

 んで確か保須の時にヒーロー殺しと遭遇したとか?すげえよなあ。」

「よくご存知で」

「いや本当信じらんないぜ、こんなとこで()()会うとは!」

 

「………おまえ()

「――――…!?」

「ここまでくるとさ、さすがに何かあるんじゃって思うよ。運命……因縁めいたもんが……。まァでもおまえにとっては雄英襲撃以来になるか。なあ。お茶でもしようか?こいつの命が惜しければの話だけど………」

「…!」

「喉の皮膚から崩れ始めて、こいつは塵しか残らない。なあ、どうする?」

 

 ねこの首に手が掛けられていて、それを見た兄の顔は引き攣り強ばっている。で、結局こいつは誰だ。え?後でまとめて?…暴れるな殺すぞ?

 騒がず、落ち着いて、友人のように振る舞えと言うその男に兄は苦い思い出でもあるらしい。なんか五指触れたらそこから塵になるとかにゃんだの言っているけれど本当に話がしたいだけみたいだ。ねこを他所に話はまとまったらしくベンチの方へ移動し始めた。

 

 

 

「…………で、おまえ誰?」

「口の利き方がなってないなあ。これだからガキは、」

「こいつは(ヴィラン)連合の頭の…!」

「ははは、酷い嫌われようだね。本題に入ろう――」

 

 だいたい何でも気にいらないんだけどさ、今一番腹が立つのはヒーロー殺しだと言う()()()(名前は結局聞いてない)。子どもみたいに不満を語るこいつは。ヒーロー殺しに目がいってる、気に入らないものを壊していただけだろ、とかぶつぶつ垂れてるけど苛立ちボルテージと共にねこの首を掴む力も強くなってるから落ち着いてほしい。

 ねこは段々指のささくれが気になってきていたけれど…こいつは兄の言葉を真面目に聞いてるみたいだし、水をさすのも悪い。無言で爪をいじってたらそいつは兄の方に身を乗り出して何かをまくし立てているようだった。

 ねこの首もギチリとしめられ、シンプルに苦しいので爪を立てれば少し緩めてくれるけれど…兄の苦しそうな呼吸が聞こえる。両手でひとりずつ首絞めるとか無駄に器用だな!

 

 

「苦し、おま、絞めすぎ……」

「――――――――…!!」

「皮肉なもんだぜヒーロー殺し………対極にある俺を生かしたおまえの理想信念全部ぜんぶぜんぶ…!俺の踏み台となるんだから…」

 

 

「――――デクくん達?…お友達、じゃ…ないよね…?」

 

 

 

「――――手、離して?」

「なっ、何でもないよ!大丈夫!だから!来ちゃ、だめ…」

「なんだ!連れがいたのか。ごめんごめん。じゃあ行くわ……追ったりしてきたらわかるよな?

 

 

 

 

 

「何が?」

「は?お前――ああ妹の方?ははははは、()()()()()()のか。………少しなら話してもいいけど、雄英だろ?良いの?」

()()()ねこが聞きたいのはおまえが誰かってことと兄とどんな関係?ってことだけだよ」

 

 嘔吐(えづ)き咳き込む兄をおいて、ねこはそいつの手を掴む。

 かさついていて、ふしくれだっていて…今は夏の足音が聞こえるくらいなのに、ぞっとするほど冷たかった。

 ただ、気になる。それだけだけれども――そいつは銀メダルでも見せるみたいに口の端を持ち上げてわらった。

 

 

全部壊すんだ。全部!みんな!それで総てだ――――……。」

「……」

「なあ、改めて自己紹介でもしようぜ。…俺は死柄木弔。」

「…。――ねこは…………………、…ねこだよ」

「緑谷寝子。」

違う。ねこだ。」

 

「…ふぅん。次は追っかけたりするなよ…――じゃあな!ねこ!」

 

 






最近は会話劇のようなものが多くてグヌヌってなってます。でも一人称視点なんて書けるわけないからおしまいなのだ
 このままエタらずに最後まで駆け抜けられたらいいなって思います。林間合宿編超ウッキウキです。頑張ります。沢山見ていただいてありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。