猫の命も9つまで!    作:継木

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レッツゴー林間合宿

 

 

 

 ばいばーい。ってそのままショッピングセンターの入口でアイツ(死柄木)と別れたねこは…なんか入る(戻る)ことも出来なくなったのでそのまま家に直接帰った。…え?因縁?恨み節?ごめん、ねこだからよくわからにゃんです。

 兄が言うには――ねこがフラッと消えたあとにウラララ(麗日)の通報でショッピングモールの閉鎖&捜索がされたらしく。特に、ねこが見当たらないからすごく焦ったらしい。ねこ自身もうっかりしていたので『いま家にいます』とだけ送って二度寝した。

 

 

 

 母親と兄が揃って帰ってきて、まずしたことはねこの安否確認だ。「無事だったんだねぇ!」とか「あの後大丈夫だった!?」とかなんか、色々…。確かにちょっと抜け(うっかりし)てたとこもあるけど鬱陶しい!

 この事もあって林間合宿先は当日まで分からなくなった。

 入学からこれまで。USJの敵襲撃、体育祭、職場体験に期末試験!あまりにも濃すぎるこの前期は、校長先生の長い話を聞いて締めくくりを迎えた。林間合宿まで指折り数えてもうその日になるけれど、ねこは何故かサブイボがたっていた。

 バスのなかはワイワイキャーキャーしてたけど、ねこは変わらず車酔いして死にそうだったのでずっとぐったり。途中からぐっすりし、起こされたところは建物のたの字もない拓けた場所。

 

「ねこ、大丈夫…?」

ぜ〜んぜん…前よかマシになったけど…

「休憩だ――…」

 

 

 単なる休憩なら別にねこは降りなくていいだろ、と思ったけれどもなぜだか担任(相澤)は兄に背負わせてまで降りさせた。すっかりグロッキーになってしまって…ぐったりしているねこの耳に聞き馴染みのある()()()が届く!

 

「よーーうイレイザー!!」

「ご無沙汰してます」

 

「――煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ(!!)」」」

「はっ…口が勝手に」

「緑谷妹はよく知ってるだろ、――今回お世話になるプロヒーローの『プッシーキャッツ』の皆さんだ」

「ねこちゃんは久しぶり!まだ乗り物ダメみたいだね」

 

 

 

 兄にぐったりもたれ掛かったままのねこは緩く手を挙げて応えたけれど…やっぱり気分が悪かったのでまだもたれかかる。うっすら分からなくもにゃんだったけれど林間合宿はプッシーキャッツの下でやるということを勘づいてたねこは、更に嫌な予感がするにゃ〜なんて思いながら耳元でブツブツ言うので普通にうるさい兄の口を覆い大人しく続きを促す。耳はぺったり反らしていた。

 

 

「ここら一帯は()()()()()()なんだけどね。あんたらの宿泊施設はあの山のふもと。

「「遠っ!!」」

「え?じゃあなんでこんな半端な…」

「バス…戻ろうか……。な?早くさ…」

 不協和音が流れているみたいに、マンダレイが話すごと空気が硬く重くなる。彼女が指したのは遠く連なる山々のうち一番手前のもの。…でも、少なくともここから見積もってもかなりある。森もあるし、足場が悪いので全力疾走も出来ないだろうことは容易に想像がついた。

 

今はAM9:30。()()()()ぁ…12時前後かしらん

「ダメだ…………。おい…」

「戻ろう!早く!」

 

12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね

「バスに戻れ!早く!!」

「――――わるいね諸君。合宿はもう――始まってる

 

あの(職場体験)時は見せれなかったけど…これが私の『土流(個性)』だ!見てなよほら()!着地注意ね!」

「「え」」

 

「私有地につき『個性』の使用は自由だよ!」

 

 

 

 1ーAを巻き込んで。もちろんねこ達も巻き込んで、体験中はついぞ見れなかったピクシーボブの『土流』がみんなを掬いあげて。あるいは襲いかかってくるみたいに、…遠くから見れば富嶽三十六景のかの絵みたくうねって断崖の柵のそのまた向こうへ滑り落ちる。幸いにも空気を多分に含んだ土がクッションになって、大きな怪我(細かな擦り傷などは仕方ない)もなく土煙に塗れて汚れるくらいで全員が無事に着地した。

 3時間でこの森を抜けろと。『魔獣の森』を踏破せしめ山の麓までおいでと『個性』でしっかりテレパスしてくれたマンダレイはちょろっと身を乗り出して、それでねこにガッツポーズを送ると直ぐに居なくなってしまった。

 

「『魔獣の森』って…」「ドラクエめいた雰囲気(あともすふぃあ)

「雄英ってずっとこういうのしてなければダメなのか?マグロなのか?」

「文句言っても仕方ないわよ。やるしかないの」

 

 

 一抜けて人権喪失の回避を図った峰田が少し離れた木陰に移動しようとしたまさにその時。それは現れた。

 土気色の体躯、感覚器官の露出が伺えない異様なまでにのっぺりした体表には木の枝がくい込んでいる――異様、としか表現出来ないその魔獣は声のない雄叫びをあげて立ち上がる。

「魔獣――――――!?」

静まりなさい獣よ静まるのです

 

 口田の『個性』を全く意に介さず自重と共に倒れ込む魔獣はしかし――一拍をおいて四散する。その身を土塊と還しながら。

 

「恐らくですがこちら…ピクシーボブさんの『個性』で動いているものかと」

「土だ…」「峰田!?おい峰田ァー!!」

「ねえ八百万さん。コレを創って――――」

「皆!あまり散らばらず着実に――」

「――――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

――――…

 みんなヘロヘロ。ねこは野生に還りメガネはガス欠。みなくたびれて…だけどどちらかというと進む際に仕方なくついた汚れの方が多いその死屍累々は、カラスも山に帰る頃になってようっと宿泊施設施設についたんだった。

荒ぶる獣よ今人の理を思い出すのです…

「シャーッ!シャーッ!」

汝の同胞(はらから)は此処に…今ひとたび人の理へと還るのです…

「フーっ!………………」

 

 歯を剥き出しにするのをやめたねこを口田はそっと抱いて出久へリリースする。『いきものボイス』で自身も生物である事を思い出したのだ。感動的だね…。

 野生本能を想起した事でかえってケロッと(ねこだけど)してるねこはヨーシヨシヨシとピクシーボブに撫でられている。何を隠そう彼女の好きなものは:猫!CAT!!職場体験の時もことあるごと撫でくり回されその勢いでねこは前後左右にガックンガックン揺れていた。

 

「――あ、えと僕、雄英高校ヒーロー科の緑谷出久。よろしくね――――ッ!!」

 一方の兄はというと的確に食らった急所(金的)への正拳突き(クリティカル)で崩れ落ちていた。

 

「お前ら――茶番はいいから荷物降ろせ。各部屋に運んだら夕食入浴就寝だ、本格的なスタートに備えろ。」

「「……っハイ!」」

 

 

 

 女子は女子部屋に、男子は男子の大部屋に。それぞれ荷物を運び終えていざ食堂に着くと山盛りのおかず…青椒肉絲!焼きザカナ!ケチャップの掛かったハンバーグにごろっとした具材の黒酢あんかけ…!その他いっぱい和洋折衷フライドチキンからポテトサラダまで、お味噌汁は寸銅で!

 まだまだあるからオカワリ気にしないでね!の言葉で理性は消えた。

 全員が言葉も目線のひとつもなく、窮屈にならないくらいに席を詰める。奇妙な連帯感からひとつの生き物みたいになって動いて、はたしてその無言の間は一言で晴れた。

 

 

「「いただきます!!」」

「うまっ…うま………!」「美味しい!美味しい!!身体が求めている!!」「山海の幸にたくさんの米…贅沢だぜぇ!」「美味い」「ピッチャー寄越せやコラ」「へぇ女子部屋は…」「男子の大部屋見たい!後で見に行ってもいい?」「おー来い来い」「米米魚!そしてオカズ!米肉肉オカズサカナ!」「あーちょっと醤油とって…二つも?ありがと」「色々世話焼くのは今日ぐらいだし、おかわりも全然あるから遠慮しないでねー!!」

「「はーい!」」

 

 和気あいあいと卓を囲んで食べ始めたけれど、ねこにとっては実に雑然としていて…つまりシッチャカメッチャカの室内で耳をパタンと伏せながらねこはモグモグ食べていた。

 すぐ隣に座る兄はバランス悪いよ!とか魚とか肉ばかりじゃなくてちゃんと野菜もとりなよ〜なんてねこの皿にのせてくるので、ソレもしっかり食べた上でサカナてんこ盛りにして食べていた。

 

「デクくんめっちゃお兄ちゃんしとるね!」

「ねこってほっとくと一つのものしか食べないんだ。あはは、偏食なんだよね…」

「はーい追加の唐揚げだよ!」

「ウオオオッ!カラアゲ!カラアゲ!」

「美味しい!!米美味しい!!」

「五臓六腑に染み渡る!!ランチラッシュに匹敵する粒立ち!!」

「いつまでも噛んでいたい!」

「――――――土鍋?」

「土鍋ですかッ!?」

「うん。つーか腹減りすぎて妙なテンションなってんね」

「すみません!白米のおかわりなどはありますでしょうか!」

「あああっちの方だよ」

「ナイス飯田!」「よくやったッ!」

「食べれるだけ食べなさい!今日ぐらいは!あ、洸太そのお野菜運んどいて」

「…フン。」

「…………」

「兄。食べるなら食べるでちゃんとしようか」

「……うん、そうだね!」

 

 

 

 

 

 

 おかわりの分までもペロリと平らげた高校生の食欲、恐るべし…!ボリュームもだけどちゃんと美味しかった。ねこはご飯二回おかわりして、兄は三回はおかわりしていたと思う。兎角満腹で眠かったけれど汚れは落とさなければならない。…風呂だ。

 

 汚れもしっかり落として、肩どころか口元まで浸かって泡をぶくぶくしていたねこは結構うとうとしていた。いの一番に飛び出したねこに続き、ゾロゾロと纏まって温泉まできたほか女子達も「すごーい!」「温泉あるなんてサイコーだわ」とか色々言いながらめいめいがゆっくりと浸かる。

「ねこさんは温泉平気なのね」

「ずっと気になってたけど尻尾とかどうなってるの?」

「ねこは肩まで浸かる派にゃ。そして今は…ねむい。」

「ねこー!お風呂で寝ないでねー!!」

「デクくんほんと心配性!!」

 

 

 ねこが耳をピルピル震わせながらゆっくりと温泉を堪能する一方、出久側……つまり男子側では性欲の権化(峰田)が暴走していた。

 

まァまァ…、飯とかはね、ぶっちゃけどうでもいいんスよ。求められてるのってそこじゃないんスよ、…その辺分かってるんスよオイラ。

――求められてるのは()()()()()()()なんスよ。」

「峰田くん…」

 

 壁にぴったり耳をつけてまでして何とか壁の向こうを伺おうとする峰田は実に醜く、気高かった。

 

いるんスよ…ほら。今日日男女の入浴時間ズラさないなんて事故…そう、もうこれは事故なんスよ…

「峰田くんやめたまえ!君のしていることは己も女性陣も辱める恥ずべき行為だ!」

「…そっ、そうだよ峰田くん!覗きはよくないよ!」

やかましいんスよ

 

 壁とは超える為にある!!Plus Urtla(更に向こうへ)!!!校訓を穢すんじゃないよ!!はえーなゴキブリかよ…。峰田はその『もぎもぎ』で壁を登り…しかしいざ向こうを臨む前にあっさり落ちた。

 

 

「ねこ!?!?こっち見ちゃダメだよねこ!!!!」

「ちっ(けだもの)が」

「緑谷ァアアァア!!?!?」

「…ヒーロー以前にヒトとしてやり直せよ」

 

 何かを察知したねこは頑張って壁を登り、そして丁度峰田が登ってくるタイミングだったのでその顔に十字の引っ掻き傷をのこして企みを阻止できたのだ。上にはもともとマンダレイの従甥…洸太が居たらしいけれど、もし仮に落ちていたらどうしようもなかったので結果オーライ。尻尾をうねらせねこは軽やかに五点接地、グッドラック!

 しかしそんな仮定も意味無く…

 

「やっぱり峰田ちゃんサイテーね」

「ありがと洸太くーん!」

「わっ…!」

「「あ…」」

 

 

 

 グラリと身を揺らした洸太はそのまま男子風呂の方へ落ちてってしまい…そこを兄が助けたそうだ。ねこもしっかり10秒数えてチャポーンと風呂からあがった。

 洸太の寝かされているソファの向かいでねこは兄の髪をワシャワシャしていた。ねこもそこそこ癖毛だけど兄はひどい。毛根から捻れているので一人だと自然乾燥に任せてしまうのだ。ちなみにねこは兄に髪拭いてもらうのは割とすきだ、耳の裏とかまでしっかり拭いてもらえるから。

 

「………兄、とりあえず服着てきたら?」

「えっ!あ……!そうだね!うん!すぐ着てきます」

 

 

 ねこはピクシーボブからもらった牛乳(ミルク)をチビチビ飲みながら兄を待った。職場体験の縁もあると思うけど、プッシーキャッツの中でもピクシーボブは殊更ねこに甘かった。

 その後は合流して…いつもみたく兄と一緒に寝ようとしてそういえば合宿中と思い出し涙の別れ…

 大の字に寝っ転がって一人の布団ってこんなに広いんだ……!なんて自由を噛み締めながらそのまま寝た。

 ビバ・広い布団

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。朝五時半には施設前の拓けた場所に集められ点呼も終わったねこ達だったけれども、一部の生徒は寝癖うねうねの頭ボンヤリ具合だった(ねこと兄は朝からのトレーニング習慣があったためにそこまで辛くはなかった)。

 そして相澤に試しに投げてみろとあいつが渡されたボールが出した記録は入学の時と殆ど変わらなかったらしい。

 

 

「――約三ヶ月間、様々な経験を経て君らは確かに成長はしている。だがそれはあくまで精神面や技術面、多少の体力面がメインであって…」

「『()()()()()()()()()()()()()。見た通りな、だから――今日から君らの『個性』を伸ばす。死ぬほどキツいが死なないように






 何故か分かりませんがお気に入り登録とUAが昨日ボン!とハネてビックリしてます!!何でー!?!?!!
 ここすき!や感想などもモチベーションになります!!ありがとうございます!!!このまま完結までアクセルベタ踏みで頑張ります!
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