そこから少し時は経ち――――一方のブラド率いる1ーB。彼らもまた同様に点呼をとり――説明を受け――A組のもとへ向かっていた。
「――筋繊維は酷使することにより壊れ…
「――――すなわち、やるべき事は一つ!」
――限界突破。
各々に適した
ある者は『個性』に由来する器官・部位を使って生徒同士の鍛錬や…己自身との闘いを。
通常であれば肉体の成長などに併せて行う過酷な訓練をいち早く詰む事でまさに限界突破、より強くならんとしていた。
「なんだこの地獄絵図……」「もはや猫かわいがりじゃないか………」
「私たちも入ると40人…そんな人数たった6名で管理できるの?」
「だから
「そうなのあちきら四位一体!」
「煌めく眼で――ロックオン!!」
「猫の手テダスケやってくる!」
「どこからともなくやって来る…」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!!」」」」(フルver.)
「あちきの『
「私の『
「そして私の『
「そこを我が殴る蹴るの暴行よ…!」
((色々ダメだろ))
「単純な増強型の者ァ我の元へ来い!
――我ーズブートキャンプは
((古っ))
「だから虎ぁー!もうソレっ、古いんだってにゃあ!」
「ねこはもっと必死になれ!お前は
「ギャアァア!!」
「返事!!」
「ニ゛ェッサ!!!」
虎が指し示す先には…揃って例のダンスを踊る緑谷双子。二人とも汗だくだくで…(多分)兄の方はひいこら言いながら歯を食いしばり踊っていたが、(多分)妹の方は今しがたその倍の速度で踊らされるようになった。
「さァ今だ撃って来い」
掛け声ひとつでピタッと(推定)出久は踊るのをやめ…「5%デトロイトスマッシュ!!」
撃ち込んだけれどぐねりと躱され
「よォォォしまだまだキレキレじゃないか!!筋繊維が千切れてない証拠だよ!!」
「イエッサ!!」
「声が小さい!」
「イェッサァ!!!」
「プルスウルトラだろォ!?しろよ!ウルトラ!」
「イエッサァ!!!」
「戻れ!」
((この人だけジャンルも性別も違うんだよなあ))
虎の我ーズブートキャンプはまだまだ続く。途中から虎の奇襲も入るようになり、ひとりだけ二倍速のねこはさらにひいこらゼイゼイ必死になって躱し踊り躱し…にゃんでこんな目に…(A.口ごたえできる余裕があったからです)。そして兄は途中から何かを決心したのか雄叫びをあげて殊更にキレッキレなダンスを踊った。
それを正気か?
「おいねこォ…集中を乱すなァ!!」
「ッサー!」
「お前ならもっとキレッキレに動けるだろう!!!」
「ィエッサ!!」
「一度我に撃ち込んでこい!」
「イェッッ……サァ!!!」
「まだまだイケるな!頑張れよ!!」
「イェッサァ!!」
(ノ…ノイローゼになる…!!!)
職場体験の時ってまだマシだったんだにゃあ…。今の方がよっぽどキツい、というかねこはどちらかというと異形型なのになぜ増強型の訓練に参加を?!
耳元にガッッチリ固定された異形型用イヤホンが地味に気になりつつもまたなにか増やされたら適わない!横から突っ込んできた虎の拳を上体逸らして躱し、ねこは周囲の倍の速度で踊る踊る踊る。
((ヒィ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!死ぬ!!!))
そしてPM16:15。施設の裏手側…キャンプ施設のような所に集められ…ピクシーボブ・ラグドールが言うには今からカレーを作れと!
「己で食う飯ぐらい己で作れ!カレー!」
「イエッサァ…………」
「アハハハハ全員全身ブッチブチ!?だからって雑〜なネコマンマは作っちゃダメね!」
覇気もなくへにょへにょ…へろへろの全身ブチブチーズはしかし、飯田の言葉でにわかに士気を取り戻した。
「確かに…災害時など避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのもまた救助の一環…!さすが雄英無駄がない!!世界一旨いカレーを作るぞ!皆!!」
「「ォ…オォー…!」」
(飯田便利…)
食料材料調理器具!ひと通り揃えられていたために生徒たちは速やかにチーム分けをして、お米炊き班やカレー作り班…数少ない点火役は米にカレーに簡易竈に引っ張りダコでその他器用じゃない感じの班は箸や器を取ってきたりだとか、水を汲んでくるなどとても円滑にカレーは作られていた。ちなみにねこはカレー作り班だ。猫の手にゃーにゃーで野菜も丁度よくカット!ゴロゴロ具材も好きなのである程度揃えて切ったら別の鍋の方に移動し、食べやすいけれど大ぶりなぐらいにゴロゴロニャンニャンカッティング
兎角全部の食材が沢山あるので、手早くトトトトトンと刻んでちゃっちゃか入れる。ねこは効率の鬼的側面もあるので動作の最適化や速やかに動ける動線の確保をしっかり意識して手際よく人参の山を崩す。
「人参班ー!もし大丈夫そうならじゃがいもの方に2人くらいくれ!」
「あ、はーい!私行きます!」
「ねこも行く」
「轟ー!こっちも火ィちょーだい」
「爆豪爆発で――…」「――――!」
「皆さん!人の手を煩わせてばかりでは――」
「――――」「――――――!」「燃えろー!燃やし尽くせ〜!」
「尽くしたらあかんね…」
「米の炊ける匂い…」
「よし!じゃあ…」
「「いただきまーす!」」
「店とかなら微妙かもしれねーけどこの状況も相まってうめーーーー!!」
「ヤボだな!」「言うな言うな」
「ヤオモモがっつくねー!」「ええ」
「おかわりはひとり2杯ぐらいなら余裕ありまーす!」「「はーい!」」
「私の『個性』は脂質を様々な原子に変換するので、沢山蓄えるほど沢山出せるのです」
「うんこみてえ」
「
「めっちゃ具材のサイズ違うな」
「な!食ってて楽しい!」
「
「……」
「兄?食わないのか」
「あ、うん。ちょっと……、」
「皿と席は確保してあるから」
「!…ありがとう、ねこ。」
「…デクくん!」「ねこだよ」「あう、ごめん…」
「気にするな。兄は小用だと」
「あー…」「おや!緑谷くんか!」「ねこだよ。
「うっ、すまない…。」「暗いと分かりにくかろう、ウラ…ウカ?も間違えてたし」「ねこちゃん惜しい!」
「まあ、でも――気にする必要ないよ。ねこと兄は、酷く似ている。」
ゆるんだ眦と口元はねこが不機嫌じゃなさそうだな、というのが如実にわかって…。少し遅れて兄の方も戻ってきた。そして同じようにわらって…
入浴も終わって消灯時間PM10:00。女子部屋の中から芦戸とねこの姿は消え………そう、補習だ。指定された部屋の中に入るとまだ誰も来ていないようでがらんどうの、室内灯の無機質な光で照らされるこれまた無味乾燥とした長机、パイプ椅子、ホワイトボードがあった。
なんかホラゲとかでありそうだなえっねこちゃんゲームとかするんだ意外かもコンシェーマーならするよとか、適当な席を選んで座りつつ時計の針を眺めていればすぐに担任がやってきた。上鳴、瀬呂、切島を捕縛布で引き摺りながら。
「お前らはしっかり来たな。コイツらはサボろうとしてたので連れてきた、実に非合理的だ。」
「忘れてただけですって!」「そーそー!」「すみません先生」
ギロリと睨みつけられた三人は大人しくパイプ椅子に座り、ノートと筆記用具を出す。
「じゃあ今日は戦略面からだ。今回の試験のように現場で突如チームアップする時もある、むしろ多い。そんな時はどのように――――――…………」
終わる頃には日付も変わってもう二時!ねこは夜型なのでかえって目が冴えてしまったけれど、布団に入ればすぐに眠気が襲ってきて………。
ねこは布団をギュッと巻き込んで、赤子みたいに丸まって寝た。起きた時には暑かったのか大の字になってお腹も出てたけれど……今日も朝五時から起床で、補習組はねこ含んでフラフラだった。もうフラダンスだった。
三日目の夜明けからもやはりねこは兄と一緒になって例のダンスを踊る事になり…(今日は初めから二倍速だった。)ねこは昨日よりも動きにキレがなく、また反応速度も鈍くなり掠ること断然多くなったので見兼ねた虎は「ねこは寝るのも大切だからな」と二時間一回15分の仮眠を20分に伸ばしてくれた。この15分というのはラグドールの『サーチ』でこれが最も連続活動をするのに適した時間だとねこと虎は伝えられていたので、そこは守っていた。
さすがに昼頃には明確にほか補習受けてた四人の動きが鈍くなっており、合間に目敏く相澤から苦言が飛んでいた。ねこに関しては……チラッと立ち回りのくだりで視線を送られたぐらいで、しっかりそれに気をとられたねこは虎に吹っ飛ばされて速やかな着地からの反撃をしっかりいなされ躱されだった。
「いくら担任の言葉だろうと気を抜くな!」
「ッサ!」
「腹から声を出せ!」
「ニェッサー!」
今は何故かねこだけ虎と組手…というよりだいたい何でもありの取っ組み合いのようなものをさせられていた。虎はそれをいなしつつも的確にほか生徒への指導も行うのだから凄まじい。ただ、ほか生徒は割と緩く(しかし全身ブッチブチになる程度で)踊っており兄なんかフラッと相澤に質問しにいけるぐらいの余裕があった。おかしい。
「ねこねこねこ…それより皆!今日の晩はねぇ…
「恐いのマジやだぁ…」「イベントらしい事もやってくれるんだ」「対抗ってとこがいいね」「闇の狂宴…」
「――というわけで、今は全力で励むのだぁ!!!」
「「イエッサァ!!!」」
「気を抜くなねこ!予備動作は最低限で悟らせるな!」
「ッ……サー!」
「お前の強みはなんだ!?靱やかな身体と筋肉も宝の持ち腐れだぞ!!」
「イエッサー!」
「何故お前だけ休憩をとっている!?その意味を踏まえて死に物狂いで喰らいつけ!」
「イ、エッ…サァーッ!!!」
「あそこだけなんか空気違くね?」
「シッ…」「おいそこォ!まだ余裕がありそうだな?」
「ウオオオッ!」「脇が甘い!…全体の速度1.5倍だ!しろよ!Plus Urtla!」
「「イエッサー!!」」
「声が小せェぞ!」
「「イエッサァ!!!」」
ほかはギリギリ動けるというのにねこは全身筋肉痛、ブッチブチ。ほかより猫かわいがりされているので一人だけ疲労の度合いが段違いだった。
「おかしい……おかしい……………」
「なんか緑谷妹だけ異様にかわいがられてるよな」「だからほっとけって」
今は最後の休憩タイムだ。そこそこの太さの枝に、洗濯物みたいに引っ掛かっておやすみ三秒のび○くん方式。タイマーが鳴ったら虎が木を揺らし、ねこはカブトムシの様にポトリと落ちて受け身から流れるように再開。装着しているイヤホンからは絶妙に判断を阻害されるコントと落語の二本が同時に流されているのだけれども、絶妙にツッコミどころがあってあんまり面白くにゃんだった。
数十本の内一本ぐらいはねこでも吹いちゃうものが混じってるのがよくない。ほんとに。
その隙を見逃さない虎も虎だ。そうして昨日と同じくらいに鍛錬は終わって…材料は同じなので肉じゃがなのだけれど……………
「む、むり……………………」
「猫野郎働けやァ!!」「爆豪くん包丁使うのうま!意外やわ…」「意外って何だコラ包丁に上手いも下手もねえだろ!!」
「………やるかぁ…」
「出た!久々の才能マン…ってねこも速ェー!爆豪より速くね!」
「俺の方が速ェわ!」
「みんな元気なのな………手ェ切んなよ…」
晩ご飯はもうねこが肉じゃがに頭を突っ込みそうな勢いだったので、出久がカパーと生気が漏れ出てるみたいに燃え尽きたねこの手にスプーンを握らせて、それを口まで運ぶ。みたいな甲斐甲斐しい
「腹も膨れた皿も洗った!お次は…」
「肝を試す時間だー!」
「その前に、大変心苦しいが補習連中は…――
「「ウソだろ!?」」
「芦戸ちゃん!顔、顔!」
うわああ堪忍してくれえ試させてくれえ!後生ですからー!ズルズルズルと捕縛布で引き摺られる補習連中の中にはもちろんねこも含まれていて……器用なことに引き摺られながら寝ていた。ね、ねこ…!
出久は見逃すのは心苦しかったけれども、しかし、ねこの為だ!片割れの為にも苦い思いをしながら見送った。
「――はい、というわけで脅かす側…先攻はB組。A組は二人一組で三分置きに出発。ルートの真ん中に名前の書かれたお札があるから忘れずに持って帰ること!」
「闇の狂宴…」
(また言ってる)(賑やかしメンバーが全員消えたから空気が神妙だ…!)
「脅かす側は直接接触禁止で、『個性』を使ってじゃんじゃんネタ披露してってね〜」
「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが優勝だ!」
「き、汚い…」
「なるほど!競争させる事でアイデアを推敲させその結果…――」
「A組キャラ濃いなー!」
「あれ?二人一組…って、20人中5人補習だから…」
「一人…………」
「だがしかし余らにゃい!」
「「ねこ!?」」
ガサゴソと音を立てて茂みから現れた人影…それすなわちキャット。相澤をその身体のボロボロブチブチ具合で説得(?)し、超猛ダッシュでここまで舞い戻ってきたそうだ(実のところは、ねこの欠点は交流不足から来る他人への信頼信用から来るものが主だったので交流を深めた方がいいと判断されただけ)。
実際急いでいたのは確かみたいで、そのパーカー、ジーンズなど全身に葉っぱがついており無事一人余るという運命を跳ね除けた兄によってボサボサの髪、土汚れを払われていた。
「まあ…そこなキティは…」「うむ。頑張っていたぞ、我は一発当てられた。」「それなら…」
「ねこねこねこ………ねこちゃんも、OK!」
ただし私にモフられること〜!うりうりうりと撫でられ頬擦り…緑谷双子は最後の組なのでかなりの時間モフられるんだろにゃ…なんて思ってねこは目が死んだ。出久はギュッて握られた手をゆるく握り返した。