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ねこから魂が抜けて見えるような、ピクシーボブときどきほかキャッツにもモフモフされ続けておおよそ十数分。勢いは衰えず頬擦りも加速、このままだと摩擦でねこはすり減りキャッツの間で発火する。
――そんな時に、
まだ頬擦りされていたねこはしかし、突如としてピクシーボブを突き飛ばした。
「何この、焦げくさいの――――…ッ、」
「どけッ!」
「ねこ!?」
「遠くに黒煙…」
「――あら、外しちゃった。」
「危…ッ!ねこちゃんナイス!」
「何で…。ば、万全を期した筈じゃあ………!」
「飼い猫ちゃんが邪魔ね。」
「――何で、何でここに
「――――…!!!」
現れたのは推定
まるでトカゲみたいな外見の敵と、サングラスをつけ軟派な印象を受ける
アホなのか?と思いつつも
「逃げるなよ、…ヒーローが、聞いて呆れるなあぁあ…」
「ッ
逃げようとする一団――口
「コイツぅ、
「…?」
「キティ!構わず逃げて!ここは私の『
彼女の作った土のドームはしかし、僅かな振動の後に瓦解した。土煙に噎せながら敵はそろりと歩みを始めて…一気に加速。ねこの目には、見えなかった。しかしピクシーボブが前に出てソレを受け止めたのでねこは無事だったけれど…彼女の腕は早くも赤く腫れはじめる。
「まあいいかぁ…痛めつけて、持っていけば変わらないぃい…。」
戦闘が各地で始まり。肝試し待機場には未だ退避できず、かといって戦闘許可も降りてないため戦闘の余波や飛んでくる攻撃を交わすしかないねことキャッツのうち3名、そして
飯田が引率で田のつく三人は施設まで向かったけれども、ねこは綺麗に分断されたので逃げ切れず…かといって下手に動くのもマズい。ピクシーボブと闘っている敵がこぼすには、ねこか兄――もしくは両方がなんらかの標的らしいので今孤立して叩かれてもアウト!八方塞がりなんだった。
戦況も中々変わらず膠着状態!段々焦り・疲れ・その他もろもろが積み重なってくるヒーロー側の方がキツイっちゃキツいだろうけれども、ねこはソレに首を突っ込む事も許されなかった。だって、標的かもしれないし下手したら死ぬ!
ねこのその、
「しつこ…っ」「いのはお前だニセ者ッ!とっととシュクセーされて…えぇっ!?」
「マンダレイ!!洸太くん!無事…です!っい゛!!!」
「兄ッ!」
「それと相澤先生からの伝言です!テレパスで伝えて!!」
《 A組B組総員――戦闘を許可する!! 》
「敵の狙いの一つは――かっちゃんです!」
「爆豪勝己だ!…その怪我で何処に行く!なあ!」
抱きとめた兄の腕は両方ボロきれのようになっていて、内出血骨折筋肉の断裂etc…とにもかくにも酷い状態だった。見た感じだけでもこうなのだから中身はさぞグチャグチャだろう、どうせ『個性』を使ったんだ、100%で!だというのにひと息つく間もなくすぐに兄は飛び出していくんだった。
「伝達ありがと!でも!すぐ戻りなッ!」
「その怪我尋常ではないよね!速く、ゥ゛――ッ!」
「ピクシーボブ!…ッグ」
僅かなりとも出来た僅かな隙をついて、ピクシーボブがマグネに吸い寄せられ倒れる。さすがに
「ちょッ、何やってんの!?優先殺害リストにあった…方よ多分!」
「そりゃ死柄木個人の意思だろう」「何しに来たのよアンタ!」
「とりあえずさぁあ…気絶してくんねえかなぁ…」
「無、理に決まってるじゃにゃあか!」
見ていた感じ個性は振動とか揺らす系のやつ、多分手の接触だ。
あからさまに頭部を狙いつつもフェイントや足払いなども掛けてくるので気が抜けない。頭に触れられたら脳震盪で一発アウト、顎でもカスったら終わるけれども大抵大振りの体格任せ。…こんなの、――こんなの、オールマイトや虎に比べたら遥かにヌルい!
「誰がぁああヌルいってえ!?!」
「おまえの攻撃だよッ!」
脳筋め。べーっと舌を出して木の幹に着地、それでいざ飛び掛かろうとして―――
ここで全体の状況説明と、何があったかだ。――避けた先にあった木の幹に着地
だが、そこで異変が起きる。マンダレイと虎は黒いモヤに視界を閉ざされ…鬱蒼と繁る森の中に居た。
同じぐらいに爆豪も常闇も圧縮され、例のワープの『個性』で拉致されようとしていたものの青山のビームを受けて常闇は奪取。しかし――…
「来んな、デク。」
完全敗北。
一方の
雄英高校の会議室は今回の被害者…ヒーロー科一年を主に担当しているヒーローとオールマイト、それから根津校長の五人で埋まっている。各組の担任は事情聴取を受けているため不在、教師陣は知らず知らずのうちに平和ボケしていたという事実に打ちのめされていた。
「――これ程執拗かつ矢継ぎ早な展開…『オールマイト』の台頭以降組織立った犯罪は、ほぼ淘汰されてましたから……仮に認識していたとしても防げていたかと言われると。」
「己の不甲斐なさに心底腹が立つ…。」
「
「続けての襲撃に加え、今回は生徒が
「生徒のみならず、我々ヒーローへの信頼すらも奪ったんだ。」
「そう、現にメディアでも雄英の非難でもちきりさ。爆豪くんは体育祭で彼の粗暴な面が周知され…寝子くんは期末試験の後日に死柄木弔と接触していたそうだ。」
「何ッ!ねこくんが!」
「もし、もしも仮に彼らが敵に懐柔されたら――…」
「ミッドナイトッ!」
「教育機関としての雄英はお終いだ。それで――」
《
「すみません電話が、」
「会議中っスよ!電源切っときましょーよ!」
「着信音…」「…ぷッ」
「…………ハア…」
《来た!
平和の象徴という、ヒーローというのに何だこの体たらくは!不甲斐なさで震える拳を握りしめ、彼がとった電話はこの状況において唯一の光明だった!
『
「……………、―――私は…素晴らしい友を持った……。奴らに会ったらこう言ってやるぜ、」
「――私が反撃に来た…ってね。」
そしてまた少し時は飛び、会議からさらに翌日。
緑谷出久は合宿所近くの病院に運び込まれて、二日間気絶と悶絶を繰り返し高熱に魘されていた。彼がまともに意識を取り戻したのはあの完全敗北を喫してから二日経った日の昼で、その間――リカバリーガールからの治癒や訪ねてきたらしい警察――のことは何一つ覚えちゃいなかった。
横を見れば『起きたら食べて電話して下さい』との母からの
「あー緑谷!!目ぇ覚めてんじゃん、テレビ見た?学校今マスコミやばくてさー」
「オールマイト就任時の比じゃねー」「メロン!みんなで買ったんだ、食えよ」「迷惑掛けたな…」
「んん聖徳太子…僕の方こそ迷惑掛けちゃったごめん!A組皆で来てくれたの?」
「いや、耳郎くん葉隠くんが敵のガスによって未だ意識混濁状態。八百万くんは頭をひどくやられてここに入院していたがひと足先に意識が戻ったそうだ。」
「だから来ているのは――」
「14、人…だよ。」
「爆豪と緑谷
「ちょっ轟」
「……」
「…………オールマイトが、」
「…?」「いい、聞こう」
「オールマイトがさ…言ってたんだ。『手の届かない場所には助けに行けない』って、だから手の届く範囲は助け出すんだ。って、あの時僕は何処にいた?」
「――手の、届く場所にいた!
視界が歪む。不甲斐なさと、己の無力さでジワっと何かが込み上げてきて…目元が熱い。相澤先生が測定テストの時言った通り、僕は一人助けて木偶の坊になっただけだった!
あの時だって、
「じゃあ今度は救けよう。」
「「は?」」
「実は昨日も俺と轟さ、面会に来ててよ――…」
八百万は発信機を敵に付けていたらしい。それでその発信機の受信デバイスを創ってもらって、爆豪を、寝子を救けに行こう――と。
当然諭される。戦闘許可は解除されてる…感情で動いていい話じゃない…冷静になれ、その行為は敵となんら変わりがない…。
かつて
「んなもん分かってるよ!!痛いぐれえに!…でもさァ!何っも出来なかったんだ!!」
「ダチが狙われてるって聞いてさァ!何も出来なかったしなかった!!だから!ここで、動けなきゃ俺ァ…
「皆が正しいのは分かってる!分かってるけどよ、なァ緑谷!!――
切島の心からの――魂からといってもいいぐらいの叫びは緑谷に深く響いた。幼馴染に、大切な家族…それらを失って空っぽの出久の胸に、身体に響いてずっと反響していた!
それから昼のお見舞い…面会は、なんとなく解散し…洸太くんからの手紙、そして今日しかないチャンスとで覚悟を決めた
―――次にねこが目を覚ました時、目に映ったのは