(渋られはしたものの、)ドクター…ジョンちゃんに転送してもらって
「えーっ!
「本当にな!大したことないぜ!」
「
荼毘はまだ「俺に関係あんのか?」とぶつくさ垂れてて…でもまあこうして一緒に来ている時点でそこそこ。なにがしかは思ってるんだろうね、荼毘以外はみなボロボロの風体で駆け抜けることはや1時間もないぐらい。泥花を望む山肌についたのはマキア時間(マキア時間というのはマキアが起きるまでを基準とした時間のことだ)で1時間と40分、The・地方都市然とした
で、案内役を仰せつかったと語る
補修痕の見える色の違うアスファルト。規則正しく絡まった電線や工事現場、住宅街を七人は歩き一人は滑る。郊外から歩いてきて分かるのが生活感のある…まるで
「人がいねぇ」
「…………、ヒーローならさっきから見るがにゃあ」
「この町全部…」
「私の管轄は別だが、今日は特別さ!」
「――その通り!ここは泥花市、
「(名前ださ)」
「遠路はるばるようこそお越し下さいました!本日は記念すべき日だ――…
途端襲い来る人の波。飛び交う衝撃波に拳や炎、凶刃をひたすらに凌いで――…まず始めに先走ったトガが分断された。
「ブローカーなら最高指導者と共に彼処でお待ちです!」
「来たら返すって――」
「とりあえずタワーだ」
避け行くうちにねこも分断されて、なんとか逃げつつ言ってたとおりタワー方面に向かうねこだけども――
「なんか多くなって――…!」
急な方向転換にも難なくついてきて、むしろ人まで増えてきた始末。文字通りあらゆる方向から襲い来る猛攻からねこは只管避け続け、逃げて避けてくぐり抜けて…嵌められた。完全に、包囲された。
その人の輪の中から一人出てきて…あとは等間隔でねこの周りをそいつらは囲んでいる。
「ちょっくら通せェ…ありがとよ。サテ!お前さんが
「ねこを通せ…よッ」
「危ねぇナァ!随分血の気も多い事で――お前らは手ェ出すない!先ずオレに
飛び掛っても避けられて、くるくる器用に絵を描きながらソイツはねこの攻撃を躱す。
「オレァお前を測りたい!何故って
「は?」
「オレはリ・デストロに
「自己紹介だぜ緑谷寝子!名を
言うだけ言って引っ込んだソイツはいいぞ!コイツに掛かれ!と一気にけしかけてくる。圧倒的物量で押されて避けるのすら厳しくなってきていたけれど…『個性』をかいくぐりながらねこは若干ムカついてきて。なんだよアイツ。ねこをはかるって?
「相手は一応
誰を、なにをはかるって?
だんだん切れ始めた集中力に、空腹で頭も回らない。
それでもねこの体は操り人形みたいに生きていて、でも囲む輪は変わらず…ねこの目には…ひとが映らなくなっていた。
いや、ギランのためにも殺さない方が
ひとは殺しちゃいけないって道徳の――
一発当たってからはもう脆い、痛みが足を引っ張ってねこの足はもつれた。
「スッカリボロボロだナァ…、ウゥンそこまでつまらなかったか?マ、
「……………」
殴られた背中が、腹が、少し焦げた足が痛い。尻尾の感覚がない。
「
なぜだか、ねこの霞んだ視界には
ジャケットも握りしめて、爪を立てて丸まったねこをソイツは無言で描いている。呻き声ひとつさえあげないねこを
「………」
あの部屋の幻覚はねこを苛んだ。知らない記憶で編まれた茨の冠がズキズキと頭を刺して…気が狂いそうになるがねこはずっと正気だった。
満足いくまで描けたのかスケッチブックをパタリ閉じてそいつは遂に
「
「恨みはねェが死んでくれ!緑谷、…?ね―――」
「――おなか、すいた」
ねこは、自分そっくりの姿から伸ばされたその腕を
「お前、俺の腕を――?!」
「ドッペルゲンガー氏をよくも……!!!」
「あ――………………もういいよぜんぶ全部。
「
フラフラの身体を吊り上げて、ねこは自身の中にある
神野区での離別――その際に渡された『個性』は『浮遊』のみではなかった。以前の持ち主はその好奇心が祟って飼っていた鳥から、猫から…犬から。人から祖父から妹から父から母から食べてついには連続猟奇殺人・遺体損壊事件の指名手配犯として手配され、遂には己の好奇心を呪い…
ソレは、ただ食べるだけの『個性』。ゲテモノ食いぐらいの、たかだか虫やら
好奇心は猫をも殺すと、そういうけれど――『悪食』の本質は何でも食べられることでは無い。忌避感をマヒさせて、あらゆるものをエネルギーに変換する。
ねこの、三日三晩の痛苦。ただ『浮遊』を与えられただけならきっと――頭痛だけで済んだ。
――――つまり。
「ッ、人間を…喰ってる!?」
「嘘だろ…」
空腹なのもあって、ねこはすっかりこの味に陶酔していた。返り血でワインのようにシャツは染まり、そのあまりのおぞましさ悼ましさに解放戦士も逃げ腰だ。腹を満たすためにねこは餌を追って――
身体に活力がどんどん湧いてくる。束の間の全能感と――鼠を屠る優越感、踏み躙って絞り出た悲鳴すら讃美歌のように思えてきて――――勝利の
…しかしそれは案外直ぐに終わりを迎えた。
「まず!ま、不味い………口の中べちゃべちゃする…って、いっぱいのトゥワイス!」
「おう!」「ねこちゃん血塗れだな!」「喰い殺してたのか?」「改めて助っトゥワイス参上だぜ〜〜〜!!!」
「ねこちゃん!」「傷だらけだ!血塗れだろ?」
「気にしないで、
「足踏むな!」「もうリーダー達は塔に着いてるはずだぜ」「あそこだ」「あっちだ!」
ねこはトゥワイスの指さす方を一緒に見てみる――と、
「塔、無くなった…!」
「マジか」「おい後ろ!」「え!」
「あ!あいつ――――!!!!!!!」
「「「ギガントマキア!」」」
「もう起きる時間か?」「早い!」「まだだろ」「寝起き良いんだな!」
「ねこもあの塔まで運んで!」
「「おう!」」
ねこが着いた頃には全て終わっていた。ギガントマキアのすぐ隣、ねこは運んでくれるトゥワイス達が崩壊し始めたのを見て慌てて後ろまで退いたけど――そこが奇しくも
デカブツは微動だにせずただ目の前の光景に魅入られていた。崩れて塵になった
ほかの有象無象も沈黙を保ち、ただ楽しそうに笑う
「お前社長だから金あるよな!」
特にやることもなく、しいて言えば療養ぐらいの一週間は思い思いに過ごしていて。荼毘などはフラッと『転送』されてたり、ねこは『浮遊』に加え『悪食』の発現でドクターに呼ばれていたりだった。
以下ダイジェスト。
「――おまえの身体には今や三つの『個性』が宿っておる。という訳でちと解剖させてもらうぞ」
「待て待て待て待てドクター研究は!?ねこまだ内出血とかあるんだけど!!!」
「その異様なまでの治癒能力も気になるでの、何。ワシをもう一人増やして貰ったし全身麻酔をかけるから気にするな。骨折も治っておるか診るから――」
「
「――え?終わった?何があっ痛゛痛゛だだっ!」
「まだ起き上がらん方がいいぞ、鎮痛剤も点滴しとる最中じゃ。…全く興味深い」
「し、知らにゃあよ…なんか治癒系の個性とか無いの…」
「無い。が、面白い事が分かった。」
「何…」
「まあまず
…
「…飲んだな?それは
「…スミス?」
こくこくと頷く
「おお来たか、早速今日も調べるぞ」
「ねこが寝てから…どんくらい経った?」
「
「二度寝」
「の前に実験じゃ。」
「…ス、スミス……!!信じていたのに…!」
裏切り者ー!と羽交い締めにされたねこは少し広めの部屋に投入され、そのまま身体記録を簡易的に測った。前回の記録…雄英入学当初の個性把握テストで出した、辛うじてまだ覚えていた記録も伝えて…レッツゴー測定!
全体的に記録はやや伸び。体重は2kg前後軽くなって…身長はというと166cmまで伸びていた。視力は変わらず聴力は良くなり、持久力の上昇が主に見られた。絶対追いかけっこのせいじゃん!
そして、
「
『ハッハッハ、それが
「もちろん一発でも当たったら…」
『内臓ぶちまける程度じゃあねこちゃんなら大丈夫じゃろ。さあ行け脳無!』
「やだァーーーっ!!」
なんとか食べ尽くして、後から
「ドクター、このふつふつ泡を立てている液体って…」
「
「
「言っておくが…飲まないようであればその腕輪から超電流を流して気絶させた後にスミスに飲ませるぞ。最悪
「飲みます。」
舌を口内を喉を焼いてなんとか
たかだか六日間だってのに、ねこは
「寿司美味しい…!寿司美味しい…!久しぶりにまともなご飯…!!!生きているって素晴らしい…………!!!」
「ねこはどこ行ってたんだよ…」
「あー…?氏子さんのとこ行ってたぞソイツ。なんでももうひとつ『個性』が出たんだと」
「へー……、へぇええ!?!?!」
「知らなかったのはスピナーだけだぜ、いや全く…解放軍のことと言い雨降って地固まるとはこういう事だね」
「何もしてなかっただろ」
「ハッハ抜かせ!ちゃんと逃げ回ってた」
「荼毘は食わねえのか?」
「あァ、魚嫌いなんだ」
「こんなに美味しいのに………
「
「ヤッター!」「あっちょ、ねこ俺の分…」
「…うっうっ、トガちゃんゴメンなぁ…!トガちゃんが血を分けてくれなかったら今頃トガちゃんは…」
「
「塩居るか?案外美味いぜ」
「かける!かけすぎた!でも美味しい!」
「ああ〜〜〜!!足が勝手に!何してんだ足!――ボク悪い子…ぶたないで、――ええ!?何言ってんだ俺ァ!?」
「克服したんじゃ…」
「増えてねェか?」
「無理矢理な療法はかえって悪化を招くらしい」
「おい、時間だ。来い」
「「うるせー!まだ寿司食ってるでしょーが(にゃあ)!!!」」
「…今ある分も食べ終えたら、直ちに、準備をして、出て来い。」
「ブッチブチだにゃあ」「キレてるとモテねぇぞ!」「ゆっくり食べさせてくれる余裕もないのかここは」「美味しいです」「美味い」
「一度に喋るなーーッ!!いいか!!食べ終わったら直ぐに準備しろ!分かったな!?」
気怠そうに返された返事にスケプティックはまたキレてそのまま退出した。ねこはピンクじゃないけど
「――解放戦士諸君!!リ・デストロである!」
「…あ、中トロ食べたい。」「後で頼もうな」
「これより、異能解放軍は生まれ変わる!!」
「弔くんお手手全部壊れたんじゃなかったのですか?」
「ねこが
「どおりで無いと、トレードマークにする気ですね」
「――デストロの遺志を世に啓蒙するにあたって―――連合の存在は障壁であると!!私はあの日までそう信じて疑わなかった!」
「私の目はあまりに狭窄であった!!血に、教えに縛られていた私はあそこで
「デコ光り輝いてるにゃあ」「シーっ、シー…」
「――これは、
「――さァ、その名を!死柄木弔!!」
「『超常解放戦線』」
「
「又、
その
「まァ…名前なんて「こんな風に!」
当初はねこに塔までのアシになってもらう予定が……………無から幹部が生えました。なんで?7割くらい構想に無かったので難産だったー!!ここから展開は加速する――………なんて、素敵な(楽な)言葉ですね。
次更新の際に、ちょっとタグについてアンケートとらせていただきます。宜しくお願いします!