今回ちょっとだけグロいかもしれないので、小説のタグにR15を追加しました。
バランスを崩してよろける弔をねこは支える。さすがに一週間じゃあ全身の傷は癒えない、当たり前だ。むしろ歩けているだけで余程だろう。
「おつかれさまでございました――!!何かお飲み物でも!」
「失せろ」「うるさッ」
「喜んで!!失せるぞトランペットッ!」
ねこの耳には去りゆくハゲのサポート機器の駆動音と「こんな姿見たくなかった…」という微かな呟きがしっかりと聴こえていた。
薬指と小指だけが無い左側で松葉杖をつく弔だけれど…やっぱりコケた!
「ああやってのし上がってきたんかな…」
「だからねこは背負うと…ほら、乗れ。」
「……あァ。」
「弔は生きてるのが奇跡レベルだったんだってさ、よくやるよなぁ」
ザザッと僅かにノイズが聴こえる。
「!」
ドクターから貰った通信機からだ、
『仰々しい名前じゃのう――まあ
「ゲーっ…」
「氏子ドクターか!」
「マキアは従えた。あんたの言ってた最低限の格はついたと思うぜ…」
『…うん。記憶も戻り、『個性』も含め本来のおまえに戻った。約束通り――…』
「…あ、ちょっと待って」
『――…』
「コンプレス、
「?…、………………。」
ねこが弔を背負ったままに指さしたのは後方斜め向かって右の方の天井――…そこには、
それを見てなにか
「あー、
極めて自然にソレを『圧縮』した。
ねこは戻って来たコンプレスにありがとうと頭を下げ、辺りを見回しても…不自然なものはほかにない。
「うん。もう無いと思うよ…ドクター続き!」
『いいな?…ウン――
「――死体運びィ?め、めんどくさ…」
『弔の身体だと今はきつい。ワシは論外、とすると自然ねこちゃんしか居らなんだで…とりあえず直ぐにジョンちゃんに『転送』してもらうからの、待っとれ』
「えっアッちょ、………………ねこってばいつもこうだよ!」
言に違わず。ねこ達は直ぐに『転送』されて…指示のとおりにねこだけで死体を運んだ。結構重かった!
「よォし無事見つからず帰ってきたな、身体を隅々まで清潔にしてきなさい。一応
「お風呂ー!やった〜!」
二畳ないぐらいの狭いシャワールームでねこは手早く丁寧に身体を洗い流して、めちゃくちゃ駄々をこねて…それはもう見苦しいぐらいに駄々をこねて置いてもらった…義爛通販(仮)で買った
「…速いな」
「ヘイドクター!」
『何じゃ、人の話はしっかり聞いておけ。特に年寄りの話はの…』
粗方の流れは予想していたんだろう。直ぐに通信が繋がった。
「一番風呂が良かった…………!!!!」
『それは今じゃなくても良かったのでないか?』
「ヤダー!一番風呂に入りたかった……!」
「そっちなのか…」
「おい弔詰めろ、ねこが入れないだろ」
「それでいいのか…」
「いい」
いいらしい。この簡易浴槽は横長なんだけど、弔がのびのびと浸かってるのを押しのけてねこも浸かる。当然お湯は
「にゃんかちょっとピンクだな、入浴剤入れた?」
「
「聞きたくなかった…」
もう最近こういうことばっかだ。でも肩ぐらいまでゆっくり浸かることができるのはいい。ねこは湯船に浸かるのは割と嫌いじゃない…むしろ結構好きな方。
「そういえば『個性』と記憶が元に戻ったって…どういうこと?」
「あー…話せば少し長くなるが」
「巻きで」
「忘れてた記憶が『崩壊』を弱くしてた。フルパワーで使ったら腕も割れた。以上」
「どおりで見慣れない
弔の右腕はバキバキ(暗喩)だった。筋肉じゃなくて、バキバキ(崩壊)だ。
『もうそろそろあがれぃ…待ちくたびれたでな』
「「はーい」」
肩まで浸かってしっかり10秒。ふたりして水気をすっかり拭いて、ねこは弔の分まで髪を乾かしたりなんだりで白のボワボワと黒(?)のボワボワが出来上がった。着替えは両方下しか無かったけどまあこのズボン。異様に頑丈。ねこの爪で引っ掻いても破れないほつれない。
「――準備できたか。」
「ああ」「うん」
「弔はそっち――ねこは、あっちの方だ。台に乗るがよい」
「あいよ」
「…さて、弔。――先の戦いで『
「へー」
「気が抜ける。ねこちゃんは静かにしとれ」
「聞くが。これ以上の力をなぜ望む」
ねこは言われたとおり口をチャックしてふたりを見守ることに決めた。
「そりゃ、くれるって言われたらいただくよ。――確かに、小細工は必要なくなった。…でもこの力が無敵の力かと言われりゃあ……ハゲ社長を見ろよ。今も立派に生きてんぜ?」
ほら――。弔は
「――
「相手の嫌がることに全力か!師が師なら、弟子も弟子じゃのう。――ねこはどうじゃ?」
「――僕?…ぁ、ねこは。…うーん、…………特にない!」
「元気に言い切りおった!」
「ついてきただけだぜ?
ブフッと噴き出したドクターは褒めてるのか貶してるのか分からない。
「――…この研究は元々おまえさんらの為に始めたものではない。オール・フォー・ワンのためのものじゃった。」
「何のために?あいつ…あー…いやまあ確かに、
「
「
「そうだ。世代を経るごと混ざり、より複雑に…
「ドクター、その話長くなる?」
「…ほっほ。まるでクリスマス前の子どもじゃの」
「そうさ、夢と希望と」「愛…」「は無い」「でミチミチなんだよ」「「
ひと足先に…弔の方から改造手術に取り掛かるようで、独特の駆動音をたてて倒れた手術台をねこは見ている。これから、ねこも同じように手術を受けるそうだ。ただ…弔は『
「――
…あのワン・フォー・オールですらもな」
「ワン・フォー・オール…?」
「オールマイトの『
「ほう、ねこちゃんは知っとったか。そう、
「またオールマイトか、それに緑谷出久。…………いいよ。全部壊す」
「弔」
「なんだ」
「…おやすみ。いい
「――
「はは、おやすみ」
ドクターはご機嫌で、鼻唄なんて唄いながら
「改造しすぎてもいかんのじゃ、
弔の場合、『個性』が『個性』だから。まずは
「ドクターもゲームとかするのか?」
「弔はゲームが好きでの〜…どうしてもと言われて、かつ手が空いているような期間に少しだけ付き合っておったわ」
まあいい。そうして…何時間、もしくは一日?経ったのかは知らないけれど――ドクターが数度この部屋を出入りしたぐらいになってようやく第一段階が終わったそうだ。弔の手足は余裕がありつつもガチガチに太い拘束具で縛られていて、脊椎、腹には新しく太いチューブが埋め込まれている。あとその他色々…?
全身から血を噴き出しながらもこれまでの比じゃないぐらい大笑しているけれど、痛くないのかにゃあ、麻酔ないから痛いだろなあ……
「よし、じゃあねこ。おまえもこれから改造するからのう」
「はい!ドクター!」
「なんじゃ」
「不安になってきたのでせめて手順のおさらいしてくれ!」
「受けながら聞いとれ」
ねこちゃんの肉体にいますぐ新しい『個性』を埋め込んでも大丈夫か否かは分からんからの〜と、まずねこは身体の至る所に点滴のようなものを取り付けられた。さすがに腕はいいのか全く痛みもなく…スっと自然に差し込まれる針のもとは色々やばい色をしている。
「この点滴の色ってどう考えてもやばいやつ」
「ンなもん今更じゃろう、中身は
目視で数えて8くらいの点滴はいずれも生物に向け使っていいような色はどう見てもしてなくて。つまり蛍光色と言った方がよかった。確かにもうグルグル吸収されはじめて、ねこは
「痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイいたいいたいい゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ーーっ!!!!!!!――ッ!!!」
「うるさいの〜このぐらい我慢してくれ。年寄りの耳にはかなわん」
視界は赤く染って、呼吸も上手くいかない。吐くことすら満足にいかない今の状況で横隔膜もひきつれて痙攣していた。反射的に赤子のようにうずくまりたがるねこの体は弔よりガチガチに(点滴を沢山刺している都合上)拘束されているので、この
いや、全身が痛かった。何もかもが。
頭から走るビリビリが全身を貫いたみたいな衝撃を知覚する事も今の壊れたようなねこには難しかった。己の意志とは無関係にしきりに不規則に動く指に腕に手に目も眩んでつめたい拘束具とメスだけが辛うじてねこを現実と狂気の狭間で精神を縫い留めている。極彩色の点滴は静かに脳をおかしてねこは意識がずっと下に引っ張られているように感じているのかもわからなかった。
「*********ーーーーッ!!!――!***!!!!!ッ――!」
「そんなに暴れるなら拘束をもう一段階キツくするか」
「――――――***――!**――、*****、*、***――――!!!!」
激痛と言ってもおよそ生温い。耳の中に蝿が何匹何百匹と入り込んだ羽音のような気持ちの悪い耳鳴り、固形の嘔吐物ははじめの方で吐き尽くしてねこの意志とは反して叫び続ける喉を、繰り返し繰り返し逆流し続ける胃液は焼いた。
ねこの口元はすっかり血と胃液と僅かに残るな吐瀉物でぐちゃぐちゃで、
亀の甲より年の功、ドクターの執刀は実に正確かつ丁寧だった。内臓をしっかりと避けて…先日閉じた腹をいま再び開く。
歳の割にはよく鍛え上げられて…無駄のない靱やかな筋肉がその皮膚を切り裂かれ覗く。柘榴のように赤いソレを傷ませないように、暴れる動き痙攣するねこの身体を傷付けないようにこれまで培養してきた幾つもの個性因子…そのうち『超再生』、『エネルギー効率』、『転送』を慎重に埋め込んだ。
ただでさえAFOに渡された『浮遊』と『悪食』とで三つあったのだから、正直ねこがこれに耐え切れるかは
弔の方はいくつもの『個性』…とは言えども、『
無限の力を持つ、まさに夢のような…
拒否・反発し合って絶えず身体のうちで崩壊と再生、融合支配拒絶とがないまぜに在る弔と。『個性』同士が取り込みあって汚染され、絶えず熾る自己の否定と溶融の中に在るねこ。
取り敢えず、このひと山を乗り越えてくれと。ねこに絆されはじめていた彼はそう思わずにはいられなかった。
血を撒き散らしながらも笑い続ける弔は万事順調で想定より上振れているけれども、ねこはそもそも乱数の多さで想定自体が出来ていなかったのだ。
――ただ、安定してくれと願う。乗り越えてくれと。
連載はじめて1ヶ月!ほぼ日投稿できてて嬉しいです!やったーわーい!感想お気に入りしおりその他いっぱいありがとうございますたまげたなあ…
そういえばUAが20000行きました。2万!?、!?!、?!!?
タグについても少し悩んでいるので、アンケート答えていただけたら幸いです!がんばります!
追記 入れます!投票ありがとうございます
曇らせタグの追加
-
した方がいい
-
しなくていい