猫の命も9つまで!    作:継木

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** **:ライジング?※

 

 

 

 ねこは『エネルギー効率』で、燃費こそよくなったけれど…それでもおおよそ3日に一度ほどはマトモな食事をしなくてはいけなかった。

 ひとえに6つの――…『個性』と(特に『転送』と『超再生』!)、極限まで代謝を抑えているものの。されど絶えずねこの思考に沿って造り変わる肉体(このからだ)…

 そ(・)れ(・)を維持するのにも、代謝を抑えるのにも、エネルギーが要る…!

 

 どこか壊れてしまったのか、それとも元からだったのかは分からないけれども――物流すら滞るいまの状況で最適な補給(エネルギー)源というのが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――っヒ、………ぁ。いや、嫌…食べないで。食べないで……」

 

 

 

 人間(ひと)だった。

 

「――私を、わた、しを…好きだと。愛っ、して、ると…言ってくれたの…。…醜い、わたっし、を………」

 

 

 ある程度の質量が確保されていて、足さえ潰せばほとんど身動きがとれなくなるので楽だし…。

 

「化物だって、言われ…た、わ――たしを……唯一…あいし、てっ…くれて…」

 

 

 柔らかかったり(脳や内臓に脚や腕)、硬かったり(指先や肋骨など)するとこもあるので食べてて飽きにくいのもある。持つ『個性』によってはちょっとしたアクセントになったりするのだ。

 

「―――ぅう、……ぁ。やめて、やめ、てっ…よう……」

 

 

 異形型と分類されるような『個性』は、雑(・)食(・)だからか味はそこまで似通っていない。発動型とかはそれに合わせた身体の…電気とかそこら辺なら肉に弾力があって、骨を噛み砕くと…神経の辺りがパチパチ弾けたりする。

 

「食べっ…ない、でよぉ……っ。やめ、――やめて……」

 

 

 ねこの好みは増強系だ。体感、雑味が少なくて締まっている感じがするし――年(・)を(・)重(・)ね(・)れ(・)ば(・)重(・)ね(・)る(・)ほ(・)ど(・)熟成しているようで味に深みが出ている。ような気がする。

 

「――〜〜うっ、うう゛〜〜……!な、んで私っ、……ばけもの、なら――、こん、こんな時…ぐらい…………」

 

 

 

 

 逆に嫌いなのは細かな毛の生えた――丁度、ねこが食べている…その後ろで地面をガリガリ掻いている青緑のやつ(異形型)みたいなのだ。細かな毛は口の中でちくちくするし、それに大きな身体だとなぜだか味が薄いような。淡白と言えば聞こえはいいけど…良くも悪くもぼんやりしている。

 

 

 ねこが目覚めてからもう2、3週間ばかりになるけれども――依然として足取りは掴ませなかった。今回のように、食事(エネルギー補給)で街に出ることはそこそこの頻度であったけれども全(・)く(・)知(・)ら(・)れ(・)て(・)い(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。

 

 それは何故か?勿論、『転送』だってあったけれどいちばん大きな要因は…ねこが視認されるような機会は食事中以外に無かったということ。燃費がいいにしても、ヒト数人分は食べないといけなかった。つまりだ、目撃者は全てたいらげてきたからこそ見つからなかったわけだが…

 

 

 

「――…飽きた。なんか。…お腹もいっぱいだし、…」

 

 ねこは飽き性だった。コソコソちまちまやるのもにゃんとなくでやってたけど飽きが来る。いちいち見られたのを食べるのも…、今ガジガジしてた大腿骨も飽きが来る。そもそもねこは犬(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)し。

 

 

 後ろから振りかぶられたコンクリート片の勢いのまま、ねこは黒い液体となって溶けた。

 後に残ったのは夥しいまでの血痕。腹部を中心として――獣に喰い荒らされたような無惨な死体がひとつ。それと血塗れの――異形型の『個性』(ばけもの)の、被害者と…一般人とあくまでも言い張る一般女性(バケモノ)ばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰るなり早々に着替えてきなさいと言われたねこは…大人しくあいつのオトモダチの家を借りて身体を綺麗にし、着替え直した。

 己の口の大きさよりも大きいものを食べることになるので必然汚れるのだ。噴き出る血もあって…白くなったことでより念入りに落とさなければ目立つようになったこの髪と、腕と、あとは顔周辺を重点的に。耳の中とかは、イカ耳反らししてるのであまり汚れない。血が残ったままだと臭いがキツくなってしまうから…。

 

 

 そういえば、今の死柄木弔の肉体との定着率はだいたい92%ほどだそうだ。当初は38日…5週間ほどかかると、タルタロス襲撃(目覚めたての)時は予想していたそうだけれど。でもこの調子ならあと1週間ほどで、当初の予定よりも1週間前倒しで動けるかもしれないとあいつはウキウキしていた。

 ねこの見解としてはやっぱりもう少し手間取るんじゃにゃーかとも思っていたけれど、まあ、喜んでいるところに水を差すような趣味もない。

 ねこ達の入っていた、あの培養槽(カプセル)のような施設が無い割には順調らしいのだけれど…『AFO』と弔は今すごい境界(さかい)があやふやだ。

 

 僕の事を「ねこ」と呼んでやわらかく笑うこともあれば、気まぐれなのか分からないけど崩される時もある。

 棘々しく、アザミのように全てが憎いと宣った口で身体を掻き毟る手で乱暴に撫でられたりくしゃくしゃにされたりだ。

 

 

 

 あいつが「もう一人の僕」と呼んでる死柄木弔の肉体のうちは天地開闢の前の渾沌(カオス)だった。混線して混濁して、境界が曖昧になり始めの。

 瞼をはじめて開ける前の、あのぬるい闇をひと足先に覚醒した意識が…寒い。暑い。痛い。何もない。…と伝えてくるぐらいのような――そんな様子が、しなだれかかった先の死柄木弔の身体のうちの『ねこ(猫)』から伝(つた)ってくる。

 

 

 

 ねこは、僕は――見ているばかり。ずっと見ているだけで。

 

 

 

 

 あいつのような夢(・)も、弔のような憎(・)悪(・)も、荼毘のような想(・)い(・)も、トガのような孤(・)独(・)も、スピナーのような諦(・)念(・)も、スケプティックのような熱(・)情(・)も、

兄さん(緑谷出久)みたいな誠(・)心(・)も、意思も、なにもなにもない。

 

 

 ぜんぶない。

 

 

 僕(ねこ)は中立(ニュートラル)にしては曇りすぎていて、正義(ヒーロー)に寄るには、悪(ヴィラン)に寄るにもなにもなかった。

 

 流されるままに、雄英に入って。

 言われるがままに、16年(これまで)を置いてきた。

 促されるままに、一線を越えた。

 彼(AFO)の意向だと、死線を潜って。

 それだけだ。真実(ほんとう)なにもない。

 

 

 

 断絶と――…崩壊。姿も形も、能力も…僕からとうに規格は喪われた。

 決定的に分かたれた。その大きすぎる差異はきっと、当初からあったんだ。

 

 緑谷出久(兄)には夢があった。最高のヒーローになるなんて夢。未来を、『無個性』だからありえないなんて未来も捻じ曲げるほどの夢――希望を宿した、あるはずもなかったはずの…『最高のヒーローになる』なんて夢物語(希望)。

 僕(猫)に――お前(ヒーロー)の手は要らないよ、兄さん。いらないんだ、ヒーロー。そんな――…大きな差異(ちがい)さ、姿かたちこそ似通っていれど。でもけしてねこが理解しえない…人(・)を(・)救(・)け(・)た(・)い(・)と(・)思(・)う(・)気(・)持(・)ち(・)。手を伸ばそうとすらせず――かえってその眩しさに、光に手を翳(かざ)すような。

 兄(ヒーロー)の、無条件で分かり合えるという傲慢。其れを――それに、ねこは畏(おそ)れ、手を除けた。

 

 

 

 みなのような激情(おもい)が、理解できない。だからあいつ以外を排斥し(のけ)た。

 ね(・)こ(・)は(・)人(・)間(・)の(・)こ(・)と(・)が(・)分(・)か(・)ら(・)な(・)い(・)。話し合って解決だなんて、そんなの――話すこともできなければ。意味がないだろうに。分からない。わからない…

 ねこには――人間(ヒト)の言葉が分からない。

 全くもって、理解が出来ない。

 

 

 あいつの、夢なんて。空虚(曖昧)なものですら、虚ろ(空っぽ)なものですら…親近感しか抱けない。根本(生物)的に違うんだから…真に共感なんてありえなかった。

 

 猫じゃないねこには、寝子でもない僕には…僕は――がらんどうだ。

 で(・)く(・)の(・)ぼ(・)う(・)よりひどい、う(・)ろ(・)だった。

 

 

 

「**(ねこ)、****(大丈夫か)?**(おい)、…**(おい)!」

 

 

 

 改造を、『個性』を受け入れたことでねこの内面(うち)にも変化はあった。面影というには…あまりにもくっきりとしたそれは――心象風景。

 

 

 いつかに見た――不思議な夢。オール・フォー・ワンの称する転移という現象。幻覚ではない、白昼夢や明晰夢の方が近い……………

 夢というのは睡眠中に持つ幻覚だとの言がある。記憶の整理、あるいは無意識的な…自覚的ではないもののその願望の顕れと。

 

 い(・)つ(・)か(・)見(・)た(・)よ(・)う(・)な(・)ミルククリームの壁紙、何の変哲もない飴色の扉。部屋の中にはいくつかのクッションと何も映さないスクリーンに投射機。机の上はおにぎりだけあって(中身は四つとも鮭だった)、隣には白いマントと黒い髪を結わえた――口元に*(弔)と同じ黒子のある女(人間)。

 何も映っていない。ぶつぶつとノイズだけを映すスクリーンを、それだけをねこ達は気付いたら見ていた。

 これは――隣の女は、かつて少年を殺した人間の形のこの人影は。片割れ(出久)の『OFA』の急速な成長により明確に顕現した『浮遊』の個性因子の欠片に呼応して、ねこのほか『個性』のうち『浮遊』のみ――志村菜奈の『個性』だったもの――が唯一『猫』(こ)の中で個を持って、輪郭をかたち作ったものだ。

 

 転移だ。個性因子(『浮遊』)に宿った『個性』(志村菜奈)の意識が、ねこの心象風景であるこの部屋の中に顕(あらわ)れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「おまえ―――っ、…おまえは何だ」」

「かつて君を殺した女(ヒーロー)だ」

 

…

 ねこの声と――…もうひとつ。ボーイソプラノが重なっていたために、一瞬躊躇(ためら)ったんだった。

 

 

 

 

「「僕(ねこ)を殺した――?」」

 

 てんで心当たりがない。何の話をしているんだ、これは。心当たりが――全くないっていうのに。…無いはず、なのに。

 部屋が崩れる。壁に大きな穴が空いて、黒(・)が射し込んできた。弔の、崩壊が…ジリジリと流砂みたいに侵食してくる。

 

 

 

「***(AFO)!**(コレ)っ、******(大丈夫なのか)!?」

 

「―――――**(ふふ)、**(いや)。…******(経過を見よう)」

 

「*(は)!?***(だって)、**(これ)…***(二人が)……********(融合してるように)――っ」

 

 

 

 

「「おまえ、おまえは……………」」

 

 志村菜奈さ。と空いた洞(あな)から声がする。ど(・)っ(・)ち(・)でもなくて、ど(・)っ(・)ち(・)でもある声が。

 死人。『浮遊』の元の保有者。『AFO』/『OFA』につられて――輪郭を帯び、個を得たんだろう…『OFA』の歴代保有者の一人だと。声が聞こえた。

 

 

「「かつて、僕を……?」」

「おばあちゃん…」

 

 

 ねこと、弔とが解(と)ける。融(と)けて――輪郭もあやふやになる。ねこも、弔も遠くなって。枠(・)すら超えて、深く落ちてったねこは…弔も、『AFO』も、女もなにもかもを置いていって。躰(うつわ)もおいて――…意識だけがおちて、沈んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 猫は、子どもの近くに居た。近くに居て――いっぱいの手を、蹴りながら、跳びながら。落ちながら――しがみついて。爪を立てて、落ちないようにしながら――…傷をつけながら。

 

 子どもの、黒髪の子どものほっぺを舐めた。

 

「猫(ねこ)――?」

 

 猫はそのボサボサとした長い毛を持つ尻尾でもって疑問にこたえた。ちょっとだけサビの味がするほっぺをザリザリ舐めて、くすぐったいと目をつむる子どものそばに居た。

 

 

 

 

 弔(・)と(・)ね(・)こ(・)が(・)解(・)け(・)あ(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)様子にスピナーはめちゃくちゃびっくりしていた。

 うずくまる死柄木弔にねこがもたれているようになって1日か2日ぐらいで、ずっとその体勢なものだからチラチラ気になってはいたけれど…。そしてオール・フォー・ワンはニヤニヤしていたものだから放っておいたけどもさすがにしなだれかかったね(・)こ(・)と(・)弔(・)が(・)溶(・)け(・)て(・)い(・)く(・)の(・)は(・)見逃しようもなかった。いや、見逃すことができるわけも無い!明らかな異様異変に仰いだ判断は静観で。…………これを一体どうしろと?

 猫は液体だとか言うがねこと弔は人間(ヒト)だ!いや、AFOが言うには既存のヒトをも超えたマスターピースだとかアーキタイプだとかよくわからん事になってるらしいけれどだとしてもおかしい!これが人間を超えた先だとしても異(・)形(・)じゃないのか!?

 AFOの埒外にもあったみたいで、しかしこれは手を出してどうにかなるものでもないのだから放っておこうと。

 

 

「片栗粉と水とが混ざったようなものさ。混ぜた当初は白濁して、ふたつに分けようとしても分けられるものじゃない。」

 

 ダイラタンシー現象を知ってるかい?と問われても…

「だいたら、?何だそれ」

 

 AFOが言うには、ゆっくり触ると液体のように柔らかく。勢いよく…混ぜたりだとか、触ったりすると固形のように固くなるという現象だそうだ。死柄木らの肉体は今そのような状態にある…と。

 

「放っておけば勝手に分離するだろうよ。だから今はそうっとしてあげてくれ」

「あ、あぁ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 沢山の人の腕で囲まれて、猫の落ちてきたところも分からないぐらいにギュウギュウだったので。猫は子どもの傍に居た。子どもも、身近には犬(モンちゃん)しか居なかったので。猫は――テレビぐらいでしか知らなかったので。そのひと抱えもある猫を抱いて、くふくふ笑った。

「あったかいね。あったかい…」

 

 ぎゅうぎゅう抱きしめて、でも猫は崩れないでいたものだからうれしくて!抱き枕みたいにぎゅうと抱いて…猫も暖かくて、狭くて心地がよかったので。ふたつは互いのぬくもり(体温)と、目蓋の裏にいつでもある薄暗闇に意識を溶かした(くったり寝てしまった)。

 

 

 

 

 

 

 

 だいたい二人が肉(ひと)塊になってから3日が経つ頃。ヌルッと裸でねこが成形されて、残った肉をねこは踏み捏ねてまとめて…気付いたら死柄木弔が居た。

 洞窟のずっと奥の方で赤いボロ布の上にあったふたりは何を言うでもなく…ねこが弔の手を引いて、明かりもなく暗い闇の中を歩いた。緋色になった布を巻き付けて、でスピナーにきゃあって叫ばれて…………暫く経ったぐらいにふたりの寝起きぼんやりは覚めたんだった。

 

 

 

 聞けば、緑谷出久(兄さん)が雄英に戻ったそうだ――。しかも雄英は移動要塞になったって!何層もの独立した防壁に、小分けになって移動できるシェルター。にゃんだそのロボアニメ的な機構!現実にあるんだ!

 これらもお友達から聞いたらしい。奪われた黒霧も――セントラル病院まで搬送されてるそうだ。それとトガ達とも連絡はとれてて、スピナーの携帯越しに顔を見たけど案外に元気そうだった!

 

 死柄木弔の肉体との定着率は98%ほどらしい。もうほとんど完成に近いそうだけど、ねこと融(と)けて身体のデータ(サンプル)をある程度まで共有できたのが大きいそうだ。アレでいちどきに進んだと…。あの原因は分からにゃんだが遠因ならばわからなくもなかった。

 懸念点もほとんど消えて…あとは完成を待つばかりだけど、ただそのほとんどに含まれない懸念点がひとつ迫ってきているそうだとあいつは語る。

 

 

 

 

「ここが正念場だ。分かるかい?ねこ…」

 

 男の膝にくたりと頭を乗せて、ごろごろ分からにゃあと曖昧に首を振る。

 

「脱獄囚(ダツゴク)が好きに暴れてくれたおかげで――警察とヒーローは手一杯。僕らに全力を裂けるはずもないから…この小さな島国でのかくれんぼも…」

「僕らの勝ち?」

 

 そうさ。そしてこの後の賭けにも勝てたら――と息巻くそいつの手は、ねこの耳の付け根をなぞるように撫ぜる。と、同時にねこの身体はひとつ大きく蠢いて…また少し成(・)長(・)した。

 

 

「………国外へ逃げてても勝てた。」

「んー。前(・)提(・)が違う、かくれんぼに勝つのは短期目標――。『OFA』(おとうと)を手中に収めるのが中期目標さ、」

「最終じゃねえのか」

 

「僕は長〜い人生設計を立ててるんだ。……ねこ、起きなさい」

「…はっ。寝ていた、だと…」

 

 

 

 オール・フォー・ワンの膝の上ですっかり寝ていたねこはしかし、緩くぽすぽすと頭を触られ微睡みから目覚めた。爪を立てないようンーっと伸びて、聞いといてほしいらしい話にしっかり耳を立てるんだ。

 

 

「僕には世界中に友人が沢山いてね――日本ではオールマイトが組織犯罪を撲滅したが、海外じゃあ…そういうワケでもないんだ。彼らに暴れてもらえば必然的に、各国が自と他を秤に乗せるほかなくなるだろう。」

「ここからが本題か?――にゃあ…」

「うん。ここが、最大の壁にして…好機(チャンス)だ。」

 

「――壁にして好機って、何だ?」

「ス(・)タ(・)ー(・)ア(・)ン(・)ド(・)ス(・)ト(・)ラ(・)イ(・)プ(・)。最強の女だ、まったくデタラメな『個性』だぜ。

 ――アレに介入されたら面倒なんてもんじゃないが、彼女の『個性』を奪れたら…!!あとは全部消化試合さ!酷いギャンブルにはなるけれど、多少のリスクは付き物だろう?」

「ああ――それで、僕(ねこ)が保険になれと」

「飛んでお行き。もう僕(弔)は脳無と向かっただろうから…、ただ、ギリギリまで手を出さないように」

 

「わかった。じゃあなトカゲ」

 

「――…おう」

 

 

 

 

 

 

 ここからは、ねこも聞いていない話。たとえば、荼毘がトガヒミコの家を燃やしたような。残党(レムナンツ)と呼ばれている、超常解放戦線の埋火が――ここに至るまでの連なりの。

 

 

 歪みの――種。

 

 

 

 かつての全面戦争での言葉を引用するなら…過去何世代にも渡って守れなかったモノを見ないフリして。傷んだ上から蓋をして…浅ましくも築きあげてきたその根本(もと)。

 

 其の小さなちいさな積み重ねで――腐って、蛆の湧いた――…基盤に生まれてしまった歪み。黙認されて、年を、代を重ねるほどに積もり積もった小(ちい)さな歪みは母数(『個性』)の膨張(蔓延)によって同様に膨らみ――暴発を興して。

 トラフィック・ジャムさ。血栓だ。規格を失って、その規格を失った只中にあっても『人間(ヒト)』であろうとした『異形(人類)』を…タルタロスのとある看守は人の形をしているだけの、規格を失った人類に紛れてしまった悍ましいナニカと称した。

 

 それらの意思が、想いが!環境を変えたい。だなんて普遍的な(ありふれた)――願い(夢)がいま、スケプティックによってまとめられて…超常解放の名の下に熾火(おき)て敵連合(かれら)の手に委ねられていた。

 

 

 

 真の解放者か否かは今(・)と(・)な(・)っ(・)て(・)は(・)ど(・)う(・)で(・)も(・)い(・)い(・)。祀れ、奉れ!事実は、歴史こそは、ただ勝者に寄り添っているだけなのだからと。

 今はまだ偽りでもいい、それに伴うのは行動(革命)のみなのだから。

 

 

 大富豪だって革命が起きる。四つ揃った手札でいま――覆されようとしていた。







 今回めちゃくちゃな解釈といろんなエッセンスを汲み取り頭を捻ってました。毎日毎日「これはAFO夢!これはAFO…夢?」とハテナを浮かべています。一般女性さんの夢女夢男いたらごめんなさい
 感想・評価――誤字報告!ありがとうございます!!!!
4.3追記:39話『革命』をこちらに繋げました。
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