戦闘機は急角度に旋回し弔を振り落とさんとする。取っ掛りもないので当然のように吹き飛ばされて――そこをねこが捕まえた。脳無を蹴っ飛ばしてタックルみたく突っ込んできて
「『尖爪』と『硬化』だ。」
「…オー、………めっちゃ伸びた!」
首を掴まれたままにわきわきプラーンと風に揺られるねこの爪は
と、死柄木らの感覚器官に何やらピクリと反応するものがある。脇に冷たい手を差し入れられたような、静電気が弾けるみたくにソウッと異様なものを感じた次の瞬間。
知覚できない、見えない
いたい。…痛い、痛い痛い痛い痛い痛い!気管支すら潰れ悲鳴ですらもあげられない。血塊の詰まった喉からはヒュウヒュウ、ごぽりと音が抜けていくばかりで。歯によって口元の肉は
いたーい!と内心涙目のねこは上裸だし、弔はスーツの胴体部が大胆にはだけてその上に緋色のボロきれだ。ファンキーすぎる。ただ、弔はその長髪で、ねこは脳無のように黒化し再生した表皮が体を這い侵食していたのでなんとか少年誌には載せられる有様なんだった。(そもそもがまないたなのは特記することでもない。)
べつに
根本的な肉体の原理が違うからこそできるんだけれども…でもなかなかに中途の姿はショッキング。試行した時は、荼毘すら目を背けトガはうへぇと苦笑い、スケプティックとスピナーは嘔吐したし死柄木弔すらもドン引きだった。なんせ一応は
うねりのありつつもボサボサとした毛。無機質に光をよく反射する、でも艶の無い無味乾燥さを感じさせる毛並。色素が抜けて
それで――いつかのように男の身体の上に登ったり、膝で丸まる。ごろまったり、時に生命維持装置のチューブが気になって噛んでいたりするとあいつに注意されたりだ。なんせ猫になってもその肉体性能は据え置きだったのだから。
つまり――ねこは死柄木弔の先達、
そう、肉体の恣意的な/無意識的な変質に関しては死柄木弔よりも死柄木ねこの方が適していて、かつ巧いということなんだけど…それは再生速度にもそのまま出る。
弔よりもひと呼吸ぶん早く身体の再生が間に合ったねこは
はたして――それは正解だった。
ベット額はここから更にハネ上がる、スターアンドストライプの『
見えないナニカに叩き潰されんとしていた、まさにまな板の上の鯉の状況なふたりはねこの咄嗟の機転でネギトロ状態こそ避けたけれども…
『
スターアンドストライプ――キャスリーン・ベイトは到着を待っていた。
『新秩序』も、レーザー集中砲火もダメージ蓄積すらも無意味な
一本に結束した超高出力レーザーによる持続圧迫で留めてはいられてるけども――これで倒せるならエンデヴァーが倒せなかったはずない!その熱量に蒸発した海水がものすごい勢いで蒸気となって辺りを白くし、そして剥き出しになった海底に死柄木たちと脳無は叩き付けられて留めおかれている。
まさに、遠くから見た者が居れば海面から光の柱が噴き上がっているようだとも称すだろう凄まじき猛攻はたかだか2人とひとつ。たった三体の化けもの達を足止めする為だけに奮われているのだ。
『スター』
「!アグパーさん!」
『君の身勝手も慣れたものだと油断していたよ。今回は免許剥奪どころじゃ済まないぞ』
「お好きに!――で!?準備は済んだ!?」
『ああ――一発サービスしておいた、日本にも連絡はついてる。もう着くよ』
「それは素敵ね!」
『ルールに縛られないその身勝手が――我が国を照らしてきたのも事実だ。』
『その
キャスリーン・ベイトは待っていた。「ティアマト」…新型超音速大陸間巡航ミサイルを!
「OKスター、超速再生を進行させないまま――間髪いれず超火力をブチ込むって事だよな!」
「そうさ!SHITTY GAMEの――押し付けあいだ。カウントお願い!」
「来るぞ――極超音速、触れられるか!?」
「ええ!けどレーザーを解約しなきゃだから――集中砲火で隙を埋めてくれ!」
「3!」
「2!」
「1!」
戦闘機から跳び上がって――スターアンドストライプは『
『
肘から先が消し飛ぶ前に一本でもルールを付与すれば上出来さ、レーザーを解約した結果結束が緩み――弾け飛んで。そして怒涛の勢いで海面に空いた穴に押し寄せる波の間隙を縫ってひとつ
なんせアメリカ側のオールイン*1だ!手札で言うならストレートフラッシュ、スターアンドストライプの赤白のマントは風をはらみ彼女自身も吹き飛んだ。
「どうだ!?」「流石に死んでろ…モンスターめ…!!」
されどその目は凹み抉れ…露出した海底を見据えている。そして視た。
何を?
――抉れた海底に空いた穴。そこから弾丸のように
ここで場面は数分前、――そう、
ねこの
弔はというと、ねこに抱きしめられながら――未だ慣れないながらもほぼ完全に…100%と言っていいほど定着しきったその身体は拙いながらも最適な形態を模索しこの状況下に適応しつつあった。
さっきのレーザー集中砲火じゃあ再生して終わり。つまりこの攻撃が効かない事も分かっているハズだが…畳み掛けのダメージをじわじわ回復しながらも展延した思考を彼は馳せる。そして記憶の隅から想起した!アメリカに住む友人からの
……まさか、…………いや。ある!一撃で僕らを粉砕できる超火力は確実にあるだろうよ!
――ねこ。ねこ、ここが分水嶺だぜ!?きっとこの後何か来る!
状況が変わるだろうから――
――その瞬間に潜ってやり過ごす。
クソゲーにはバグ技スタックで対応か、レギュレーションは
――RTAよりLoLの方が好みだったけどな
僕はコンシェーマー派。でもどちらにせよクソゲーの押し付けあいなのには変わりにゃあろ
――今度ゲームでもやろう!でも
ウン。一緒に。
超高出力のレーザーのただ中にあってねこはクスッと笑い、弔はより一層笑みを深めた。ねこの背中は今も尚焼かれ続けていて、近くの脳無も同様。表皮は溶けて…肉は絶えず再生し続けている。痛みを感じる機構は鈍麻させているのでまだ余裕はあって、………………
束の間の熱線からの解放。近くの脳無を投げ飛ばしてふたりは地下深くに『崩壊』を操り潜ってティアマトによる猛攻を凌いだというのがタネだった。
AFO側もハナからこの場に
「バグって処理落ちか?噛めない窮鼠は喰われるのを知らにゃあの?」
「脳無をデコイに…!スターを援護だ!!急げ!」
「すぐに陣形を戻せ!」
「スターの足場……ッ、ミドリヤが上に取り付いた!振り落とせ!」「ウワアアアッ、穴が、穴が空いた!」「嘘だろ…」
「俺が敵じゃなきゃ――…火力不足なんて言い訳せずに人生終えられたのにな」
海底から飛び出した弔は戦闘機…Xー66を足場に、その身体を再生しながらもスターアンドストライプに肉薄せんとしていた。ねこはというと…『浮遊』もあるので心おきなく(?)戦闘機の外装甲に『尖爪』と『硬化』によって硬質化した四肢を突き立て、解体していく。剥がして、引き千切り…銃弾も、脳無の爆発も苦にせずコックピットまで拓いて――………それで落ちゆく
ねこが戦闘機を陥落させている間に弔は随分と近付いていた。スターアンドストライプの援護をしようと近付いたのが仇となり、彼の足場になってくれたためだ。
「
「やれ!スター!!今の奴のダメージ具合なら――戦闘機の爆破で塵にできる!!」
ヒーローを志した切っ掛け…彼らを預かった日のこと、愛しい家族――それにブロスとの訓練…時に厳しくも優しいアグパー司令。
今までありがとう――。
そして冷静なヒーローとしてのスターアンドストライプは戦闘機爆破じゃあ間に合わない事を悟り、最悪…『個性』を奪われ全滅する未来を予期して、内心で呟いた。
『『
険しく寄せていた眉間を安らかに、余裕をもって微笑んだスターアンドストライプ――キャスリーン・ベイトの顔を死柄木弔の手が覆う。
「――賭けはァ………
『
ダメ元だったけれど………やはりソレは耐久力の強化上限に引っかかり、『新秩序』は今――死柄木弔の手に渡った!
「…馬鹿野郎ォ!!」
「「全く以て同意だね(にゃあ)!!」」
勝敗は決した。AFO側は『
「おまえ、っ!」
「何だ、トムラが…割れてる!!」
――何が起きてる?『個性』が破裂していく!!いや、反発している!
「ね、こ…来い!」
「『新秩序』かッ?!」
Ms.スターが課したのは恐らく…『個性』の同居を許さないルールだ!ねこが今持つ『個性』は9つ。その内必要最低限なもの――『超再生』『悪食』『猫』だけを残して奪い、『新秩序』を与えて――反発し合いはしたもののねこは………ねこの意識はしめやかにブラックアウトしたのだった。
更新停止中もちょこちょこ見ていただけていたようでありがたいです…!頑張ります!でもそれはそれとして嬉しいので評価!お気に入りとか…感想とか…ください!(なんか文ぐだっちゃってて申し訳ないの気持ち)