猫の命も9つまで!    作:継木

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やれることを

合格通知開封の翌日 夜8:00

 

 

「オ゛ール゛マ゛イトーーッ!!!」

 

「誰ソレ!!」

 

 双子は連絡を受けて海浜公園(ピカピカ)に来ていた。のっけからブワっと涙を流し喜んでいる(?)兄に肘鉄をいれたねこ。一方の待ち合わせ相手はというとブバッと血を吐き出している。

 

\オールマイト!?ウッソ!?どこ!?/

「馬鹿」

「リピートアフターミー!…グッ…ひ、人違いでした…!!」

 

「痛ァ゛ッ?!あ、………あっ…!人違いでしたー!!!

 

\人違いかー/ \なーんだ〜!/

 

 

 

 オールマイトの前で自主的に正座をしている僕は、ぐりぐりと執拗にねこにつむじを押されていた。

「いやちょっとちょっと、正座なんてしなくていいからさ」

「これは………ケジメとして…!」

「ほんとに絵面が酷いから!!立ってくれよ緑谷少年!」

「…うっ、で、でも…!」

 

「………。あ〜〜〜そういえばだが2人とも、合格おめでとう」

 

 おもむろに両手をあげるオールマイトの意図が図れず、ねこに引っ張り立たされたことでようやく分かった。ハイタッチしてそのままの勢いで僕たちは抱きつく。

 

「ねこ達からも」「本当に…!!」「「ありがとう!」」「少年はともかくねこくんはほんとにヒーローとしても私としてもあまり良くないから2人とも離れてーッ!

 ゴパッと吐血しながらオールマイトが言うので慌ててねこを引きはが…そうとしても出来ないので我慢してもらうほかに無かった。

「ごめんなさい…!」()()()()()()()()といって夏でも引っ付いていたから…。

 

「あう…」

「春からは教師と生徒だ。そうなると流石に看過できないからね?分かったかな、」

「にゃーん…」

「返事は?」

「なおーん…」

…………………(無言の訴え)

「…ウス…」

 なら良し!と首根っこ掴んで持ち上げていたねこをゆっくり地面に下ろしオールマイトは話を続ける。

 

「一応言っとくが、学校側に君との接点は話してなかったよ。そもそも私は審査やってないしね……君、そういうの気にするタイプだろ?」

「お気遣いありがとうございます…いやあハハハまさかオールマイトが雄英の先生だなんて…」

「ビックリしたよ」「本当に!だからこっちに来てたんですね…だってオールマイトの事務所は東京都港区六本木6-12-「やめなさい」

「公式的に発表されるまで他言は出来なかったからね。たまたま私が後継を探していた折に雄英側からたまたまご依頼があったというテイ…でもなく。まあ、あったのさ。」

「兄ではない可能性も?」

「無論そちらの方が高かった。」

 

「――――……『ワン・フォー・オール』、一蹴り、…たったの一蹴りで体が壊れました。あなたの言ったように。」

「ハハ、それは仕方のない事だ。今はまだ0か100か――…だが、調整が出来るようになれば身体に見合った出力で扱える!!」

「器を鍛えれば鍛えるほど――力は自在に動かせるんだ!

 

 こんな風にね。」

 いとも容易くスプレー缶をぺちゃんこにしたこいつはしかし、先程のことをスッカリ忘れてたんだろ。――案の定「オールマイトが居る!」と騒がれて……

「やっべ」

 3人で夜の砂浜を全力疾走することになった。

 

 

 

――――聖火の如く。譲渡した火はまだ火種、これから多くの雨風嵐に晒され大きくなっていく。

 

(そしてこっちはゆっくりゆっくりと衰え消え入り…役目を終えるのさ)

「ンン、…シブいね!」「ああ」「?」

 

 

 

 

 

 

「ねこ!出久!ティッシュ持った!?」

「「うん」」

「ハンカチも!?ハンカチは!?ケチーフ!ほら!」

「うん!!」

「時間ない。急がないと…」

「持ったから大丈ー夫!」

 

 ――――――春。

「ね、…2人とも!」

「「なァにィ!!!」」

「超カッコイイよ…!」

 

「「…………!行ってきます!」」

 

 それは高校生活の始まり!

 

 

 雄英高校。毎年倍率は300を超すヒーロー科のその正体とは………一般入試定員36名。18*2のクラス数のためだった。

 

「わっちょ、ねこ…!そっちは他学年の階だって、」

「でも、あっち陽当たりがいいよ、」

「お昼にねー!」

「今がいい」「まず教室ついてから!流石にこの階にはあると思うけど……」

「広いな」「うん。…あ、あれかな?」「ドアでかいなー」「バリアフリーか、…う、緊張する。ねこも同じクラスでよかったぁあ〜……………」

「離されるかと思っていた」

「うん…」

 

「あ!そのモサモサ頭は!地味め、の…。…?、??……?????」

「…?」「あ!…僕たち双子なんだ。」

「なるほど!!でも、どっちも受かってるって事は…えーと、……」

「たぶん兄」

「あのでっかい敵を蹴っ飛ばした…」

「僕だよね。あなたの直談判のおかげで…僕は、ぅ。その、…!」

「VTRで見せてもらって、知った。ありがとう」

「なるほどー!!プレゼントマイクの言う通りだったんだね!」

「ねこも、助かった。」「アハハ………(近い…)」

「今日って式とかガイダンスだけかな?先生ってどんな人だろうね緊張するよねえ」

 

 

 

「お友達ごっこしたいだけなら他所へ行け」

 

「ここはヒーロー科だぞ」

((なんか!!居るぅゥ!!))

 

 

「ハイ静かになるまで―8秒かかりました、時間は有限。君たちは合理性に欠くね」

 

「先生!?…てことは、この人もプロのヒーロー…?」

「見たことにゃあぞ、こんなくたびれたオッサンヒーロー」

((言うんだー!!!))

 

「…担任の相澤消太だ。よろしくね。

 早速だが…体操服着てグラウンドに出ろ、なるはやでね」

 

 

 「雄英ってすごいねー――…」「入学式とかガイダンスは――?…」面食らいながらも指示に従い更衣室へ向かう生徒達…の中で目立つとてもそっくりな双子――――緑谷兄妹がごたついていた。

 何故って?寝子が女子の方へ行こうとしたのを峰田実が必死で止めていたからだ。

 

「オイオイオイオイ緑谷よォ〜〜…オイラを差し置いてソッチに行くったァ許せねェよ………!!」

「で、でも峰田くん。ねこは…」

「そっちの緑谷は黙ってろ!!これはオイラとコイツ、漢同士の信念の――――」

「ねこはねこだ。だからいい」

「ハァ〜〜〜〜〜!?何にも良くねぇ!女子更衣室の覗きを入学早々するなんて……止めるしかないじゃんかよぉ!!」

「えーと。…」

「なぁ緑谷!!…、…………………………?」

「峰田くん、その…

   …………一応、ねこって僕の妹なんだ。」

「………………………。……………!?!?」

「ねこはねこだ。」

 

 目をカッ開いて顎が外れそうなくらい驚く峰田くんは、ねこと僕の顔を交互に指さし、そして交互に見比べている。

 

「だっ、…!…?!スラックス………!?」

「スカートが尻尾で捲れちゃうからやめにしようって話になってて…」

「楽。もういい?」

「うん、またね。……峰田くん急ごう!遅れちゃうよ!!」

「…………?!」

 

 

 

 

 

 

 で、何とかギリギリたどり着けた僕たちを待っていたのは…

 

「個性把握…テストォ!?」

「嗚呼そうだ。ヒーローになるなら入学式も、ガイダンスも、出る時間ないよ。

 雄英は“自由”が売り文句、当然生徒側だけじゃない。」

 

「………?」

 

「やってきてるだろ、『個性』禁止の体力テスト8種目。全くもって――合理的じゃない、文部科学省の怠慢だな。…爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだ?」

「67m。」

「じゃあ『個性』使え。円から出なきゃ何してもいい、思いっきりやれ」

 

「ほー――――――…ン、じゃまァ…

 

 ………………死ねェッッ!!!」

 

 

((…………………………死ね?))

 

「まず――自分の最大限を知る。………、705.2。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

「――なんだそれ…」「うん」

「スゲー………面白そう!」

「705mってマジか!」「『個性』思いっきり使えンの!?」「ヒーロー科ってすげえ!!!」

(マズイ!しかも8種目!!…)

「いきなり、こんな…」

(…)

「面白そう…?ンな腹積もりでヒーローになるまでの三年間過ごす気かい?……それならもっと面白くしてやろう。トータル成績最下位は見込み無しとして――――」

 

「除籍処分としようか」

 

 

「「「ハアアア!?」」」

 

 

(マズイマズイマズイ…!8種目もなんて…………!僕はまだ……0か100でしか…!)

 

「生徒の如何は先生の自由。ようこそこれが――――――

   ――――雄英高校ヒーロー科だ」

 

 

「最下位除籍…!?」「入学早々理不尽すぎる…!」

「はは…。自然災害、大事故…身勝手な敵たち…日本は理不尽まみれさ。いつどこから厄災が来るか分からないんだから。

 そーいう理不尽を覆していくのがヒーローだ。放課後マックで談笑?お生憎様、これから三年間…雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。」

「――――………」

 

「“Plus Ultra”さ。全力で乗り越えて来い。…以上。こっからが本番だ。50m走からだぞ」

 

「「………はい!」」

 

 

 

 第1種目、50m走。

 『個性』を活かして3秒台、4秒台も平気で出していくクラスメイトに僕は焦っていた。自分は――7.02。あと7種目もあるんだ、こんな普通の記録ばかりだと最下位になってしまうだろう。

 僕の『個性』は…1度使えば体が壊れてしまうピーキーな力。

 

「調整……調整…!!イメージは出来てるんだ…」

「ふん、頑張れ。」

「ねこっ!?いつの間に…って、あ………」

「次、握力だ。もう移ってる」

「……ありがとう。頑張るよ」

 

 

 第2種目、握力。

 卵が爆発しないような…イメージ…!

 

ピピッ

「56kgw。やるな」

「………くっ…」

 

 

 その後も第3種目、第4種目とどんどん続き…僕は、めちゃくちゃ焦っていた。

 

(調整、調整…って、ダメだこれ……!一朝一夕で出来るような簡単な話じゃない!――それはそうだろ、でも…皆ひとつは大記録を出してるのに……!!)

「……い、おい。………」

「ブツブツブツブツ…」

「戻れーー!!」

「あ痛ーーッ!?」

 

 スパコーーンと、ねこに頭をしばかれて自分の番が来たことを知る。

 

「やってこい」

「…。…ありがとう!」

 

 

(―このままだと、僕が最下位だ―――…)

「…ールマイト、ねこ、お母さん…!」

 

 僕は――――――絶対なるんだ……!!!

 

 

「46m。」

「…………今、確かに…使おうって…」

「『個性』を消した。…つくづくあの入試は合理性に欠く。お前みたいな奴も入学出来てしまう…。緑谷兄。見たとこ『個性』を制御出来ないんだろ?――…また行動不能になって、誰かに助けてもらうつもりだったか?」

「そんなつもりじゃっ、!」

「どういうつもりでも、周りはそうせざるをえなくなるという話だ――――」

 

 

 兄が担任に説教されてる間、ねこは手持ち無沙汰なのでうろうろしていた。――ら、オールマイトが物陰にいた。

「おまえ、どうした」

「…ねこくん…!ちょっ、ちょっとバレるからもう少しこっちに寄って…」

「にゃあ。」

「相澤くんが君たちの担任と聞いて見に来たんだ。私は彼と…ウマが合わないからね!それに、除籍処分になってもおかしくないんだ。去年は丸々ひとクラスそうだったらしいから…」

「うへ…」

「ただ、私としても緑谷少年は危ういんだ。これまでがこれまでだったとはいえ…玉砕覚悟の全力は、現場では命取り!」

「出来るかにゃあ…兄が。」

「それを信じているのさ。…ねこくんも戻りなさい、そろそろ怪しまれる。」

「またな。吐血注意だ、」

「……HAHAHA!」

 

 頭をひと撫でされて、ねこはやっぱり思う。なんか違う…

 それはさておき、さすがに居ないのがバレそうなタイミングでちょうどよく戻ってきたねこはソレを目にした。

 ――玉砕覚悟ではない、兄の全力を!!

 

「先生……!まだ……動けます」

「こいつ……」

「……どーいうことだワケを言えデクてめぇ!!」

「どうどうどう、アチッ、爆破するな!」

「猫野郎も邪魔すんな!」

「嫌゛」

「緑谷妹…」「あい」

「ングぇ!!…ンだこの布、硬…!」

 

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ捕縛武器。…何度も『個性』使わすなよ………

 

 ………俺はドライアイなんだ」

((『個性』すごいのにもったいない!!))

 

 

 そのままさっくりと全種目が終わり…結果発表。

「トータルは単に評点の総計だ。なので一括開示する」

………

「…あっ…」

 

「ちなみに除籍は嘘な。君らの全力を引き出すための合理的虚偽」

「はーーーー!!!?!?」

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない…少し考えれば――」

 

「そゆこと。これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから目を通しとけ――――――それと緑谷兄。リカバリーガールのとこ行って治してもらえ。…明日からはもっと過酷な試験が始まるぞ」

 

 …ねこは12位。長座体前屈と50m走、それに立ち幅跳びの結果がよくそこそこ行けた。教室に戻って、それから気付いたら初日の下校時間になり。

「疲れた…!」

「自爆特攻、それはそうだ。兄は無謀だな」

「う゛…!」

「指は治ったのかい?」

「わ!飯田くん…!リカバリーガールのおかげで何とか…」

「しかし相澤先生にはやられた。…まさか教師がウソで鼓舞するなんて…!!」

「去年はひとクラス除籍だったって、」

「「え゛」」

「おーい!三人とも〜!駅まで?待って〜!」

「ウララカ」

「∞女子じゃないか。」

「麗日お茶子です!えっと飯田天哉くんに緑谷…」

「ねこだ」

「緑谷猫くんと…デクくん!だよね」

「デク!?」

「え?だってテストの時…爆豪って人が「デク!」って」

「本名は出久で……!ねこも寝る子で寝子なんだ」

「兄の間抜けな方の名前が…」

「蔑称か」「え――そうなんだ!ごめんね」

 

「でも『デク』って、頑張れって感じで…なんか好きだ私」

「デクです」

「「緑谷くん!!」」




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