2人の先生のブルーアーカイブ   作:ブランチランチ

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短編1

ヒナの書いてたら先に出来てしまったミカもの。
まだ短編の思い付きです。


第1話

 

今までと違う部屋。

豪華だった自室は、埃の舞う物置の様になってしまった。

寝るのに最低限のベッド。ふかふかには程遠く少し硬いマットレスに萎んだ毛布。飾り気もなく白いだけ。

 

月夜に照らされる部屋には、他に光源がなく窓からの月光が差し込むのみ。

 

ギヴォトス中を巻き込んだエデン条約の事件と、その後のアリウス分校を巡る事件。その中心に居た私には甘すぎる処遇。

ナギちゃんやセイヤちゃん、それに先生が弁明してくれたお陰で今がある。

文句なんか無い。魔女の私を先生はお姫様って言ってくれた。こんなに幸せはことはない。それでも願ってしまう。

 

「先生に会いたいなぁ」

 

手にはスマホ、モモトークを開き先生とのコメント欄を開くが文字を打つ勇気がない。不甲斐ない自分に呆れつつ月を見上げながら呟き空は更ける。

 

 

ナギサに呼ばれてトリニティに訪れた私。

学校の生徒に要件を伝えるといつもの場所に案内してくれた。

ありがとうとお礼を言い扉を開けると、ナギサがお茶を飲んでいた。

 

「こんにちは!!ナギサ。元気だった?」

 

「はい、先生もお変わりない様で」

 

対面の位置にある椅子に腰掛けナギサと話をする。

 

「実は・・・」

 

 

噴水の縁に腰掛けながら、さっきの事を考える。

ナギサの話によるとミカが必要最低限しか部屋から出てこない様で心配してるとのこと。派閥のこともあり、ナギサ自身がミカの所に行くのは体面が悪いらしい。私は友達に会うのに小難しいこと考えなければいいのにと思う。

 

さて、どの様にアプローチしようか考えていると・・・

 

「せんっせい」

 

視界を手で塞がれ頭にムニっと温かく柔らかい感触が広がる。

 

「ハナコはいつも通りだねー」

 

「はい、私なりのスキンシップです」

 

エデン条約の件からハナコのスキンシップは遠慮がなくなっている。同性だし別にいい、良い香りと感触は素晴らしい。

ハナコは目隠しをやめて私の頭に顎を乗せて寄りかかってきた。

 

(肩も温いな、何がとは言わないが・・・)

 

「それよりどうしたんですか?そんなに集中して」

 

「まぁ、ねぇ〜」

 

「あーーーー!!ハナコあんた何て格好してるのよ!!先生もちゃんと注意しなさいよ!!先生なんでしょ!!えっちなのはダメなんだから!!」

 

猫が威嚇する様にシャーッと捲し立てて私を指差してくる。頬は赤く猫目になって可愛いなコハルは。

後、確認して無かったけど水着なんだろうなぁ。

だって噴水の縁に座ってるのに後ろから抱きつかれたんだし・・・。

今度ハスミに頼んでみようかな・・怒られるかな?

邪なお願いを頭の隅に追いやり思考を一旦切り上げる。

 

「とりあえず着替えよ?」

 

「あら、先生も水着になられるんですか?ふふふ」

 

「えっちなのはダメ!!」

 

「思いを伝えるって難しいね!」

 

少しだけ温もりを堪能して立ち上がる。

 

 

 

ハナコにはとりあえず制服を着てもらい場所を近くのカフェに移した。

 

各々にお茶とケーキが届いてから本題を伝える。

 

「なるほど、ミカさんについてですか」

 

「うん、最近どんな感じかな?」

 

「私はあんまり見かけないけど・・・」

 

「そうですね。私が見た時はかなり落ち込むというか?暗い感じでした。よく空元気の笑顔を見ることはあったのですが、サクラコさんも心配してました。デモも散発的にあるみたいですし」

 

「デモ?」

 

「あれよね、ミカ様に罰をーとか、魔女に鉄槌をーって、まったく迷惑よ」

 

「あ〜ん〜、わからなくは無いけど・・」

 

「そこは、仕方ない部分もありますが・・」

 

「でも、寄ってたかってあんな暴言をぶつけるのは良くないと思う!!罰は受けてるんだし、直接被害に遭ったわけじゃないんでしょ!!」

 

「セイアは許してたし、ミカも反省してたよ」

 

「それを知ってるのは少ないですし、面白半分の方もいますので・・・」

 

「そっちはすぐにはどうしようもないね。とりあえず、ミカは任せて、あんまり暗い話じゃケーキも美味しくなくなっちゃう。」

 

「ふふ、先生なら任せても安心ですね」

 

「頼んだわよ」

 

「まかせて、ん?」

 

にっこりと微笑むと、ハナコたちの後ろの窓からこちらを見つめる人物に気づいた。

 

ᓀ‸ᓂ

 

 

こちらを見つめるアズサにちょいちょいと手招きをして入ってくる様にジェスチャーをする。

 

「何変な踊り踊ってるのよ?」

 

「すぐわかるから」

 

カランカランと入店を告げるベルが鳴るとアズサとヒフミがこちらに来た。

 

「先生酷いじゃないか、私たちを、除け者にするなんて」

 

「アズサちゃん先生はそんなことしないよ」

 

「とりあえず、こちらにどうぞ」

 

「ありがとう、ハナコ」

 

「はいっメニュー、今日はご馳走するから遠慮なく好きなの頼んでね。ハナコもコハルも追加して良いからね」

 

「そんな、悪いです」

 

「まぁまぁ、気にしないの、それよりこの期間限定ペロロケーキとか良いんじゃない?」

 

「ペロロ様ですか!?見落としてましたこんな近場にそんなケーキがあるなんて!!」

 

「ヒフミ、落ち着くんだ2人で全種コンプリートしよう」

 

「ふふふ、2人であんなにくっ付いてメニューを見るなんて、先生?」

 

「うん、尊い」

 

「あんたたち何考えてるのよ!!」

 

補習授業部、特有の賑やかさに心癒されながらミカをどの様に励ますか密かに考える。

 

関係ないけどコハル、その体育座りみたいな座り方可愛いけど際どいよ?

 

優雅にティーカップに口をつけながら目に焼けつける私だった。

 

 

補習授業部のみんなと楽しくお茶会をし、すっかり寂しくなった財布を思う。

 

(ペロロが絡むとヒフミさんはファウストやで)

 

容赦なく全てのペロロ関連のケーキを平らげ、グッズもコンプしていた。しかし、アズサとキャッキャとはしゃぐ姿はプライスレス。コハルは相変わらず冷たい目をしてたけど・・・。

 

(さてと)

 

「もしもし、ナギサ?うん、私だけど一つ許可が欲しくて。うん、ミカの事でね。えっと・・・」

 

 

ベットで体育座りをして窓から月を見上げる私。暗い世界に光る光はか細い。暗い思考は「いっそ居なくなって仕舞えば楽になれるのかな?」といつもの様に私に問いかける。反省すると誓った。罰を受けると覚悟を決めたはずだけどその意志を砕こうと囁きが離れない。

 

「先生」

 

セイアちゃんとナギちゃんの仲を取り持ってくれて学園から消える事を防いでくれた恩人。

会いたい気持ちが高まる。しかし、同時にこんな私が先生に声をかけて慰めてもらうのはいけないと思ってしまう。悪い魔女が起こした自業自得。周りから責められても仕方ない。

この考えが心を縛り行動を阻害する。

 

モモトークの先生とのトーク画面「会いたい」と書くが送信する最後のタップができない。

 

「はぁ」

 

ピコン

 

「っ!?」

 

眺めていたモモトークにコメントが来た。

 

「せん・・せい?」

 

開いていた画面には「「ミカ」」とコメントが入った「「久しぶり」」

「「元気?」」立て続けに入るコメントに驚き何とか返書とするが指が動かない。

 

「「寝てるかな?」」

 

「先生っ!!」

 

モモトークが途切れそうな気配を感じて咄嗟に声が出た。

 

「「よかった」」

 

コメントの後にドアがノックされた。

 

「「開けてくれないかな?」」

 

「えっ!!」

 

ベットから飛び降りて扉の前に走り止まる。

深呼吸してからゆっくりとドアを開ける。

 

嘘じゃないよねと疑う心を押し殺して、ギギギと立て付けの悪いドアを開く。

そこには、いつものほわほわした笑顔の先生が立っていた。

 

「ミカ、こんばんは」

 

「っ」

 

「おっと」

 

とっさに抱きついてしまった。

先生は受け入れてくれて抱き返してくれた。

先生の胸の中で泣く私の頭を優しく撫でてくれる。

あったかくて優しい先生の手。

柔らかくて落ち着く先生の胸。

暗い気持ちが先生の一撫でごとに洗い流される様だ。

 

しばらくして

 

少し理性が戻ってくると恥ずかしくなってきた。

ゆっくりと顔をあげると、優しく微笑む先生。

 

「あの、えっと、入る?」

 

「うん、お邪魔するね」

 

2人でベッドに腰掛けて先生の肩に寄りかかる。

 

「ミカは甘えん坊だねー。いつもそれで良いんだよ?」

 

「だって、先生忙しいそうだし・・私なんかにかまってたら悪い噂とか・・」

 

「もう」

 

「キャ!?」

 

肩から頭を外されて膝の上に落とされる。

膝枕の状態になり先生と目が合う。

 

「お姫様なんだから我儘くらいが丁度良いんだよミカは、せっかく可愛いんだし笑ってて欲しいしね」

 

「でも、私は悪い魔女でみんなにも、先生にも迷惑かけて・・・」

 

「もう、暗いことばかり言う口は塞いじゃうぞー」

 

顔を固定されて近づいてくる先生の顔。

 

「えっ、ちょっと!えっ?」

 

早鐘を打つ心臓、近づいてくる顔に覚悟を決めて目を閉じる。

 

「??」

 

それが起こる事を期待しながら待つが来ない。

ムニっと頬を挟まれる。

 

「惜しい!!体が硬くて届かないや、可愛い顔だったよ」

 

「っっ!!」

 

悪戯が成功した子供の様に無邪気な笑顔に一気に恥ずかしくなる。

 

「先生酷い!!」

 

「先生は優しくて酷い大人だからね」

 

「もう、知らない!!」

 

布団を被り壁際に丸まるミカ。

 

「今日は朝迄居るから無駄だよ」

 

「え?ウソ?」

 

頭を出してこちらを向くミカ。

 

「ナギサとかに許可は取ったよ?」

 

先生は横に寝転がり欠伸を一つ。

 

「ミカに追い出されたら廊下で寝るけど」

 

「・・・」

 

「じゃあ、失礼して」

 

布団ごとミカを抱きしめて寝始める先生。

 

驚きは強いけど自然に行われた行為にあれこれ考えるのが馬鹿らしくなったので素直に先生の胸を枕に寝ることにする。

 

先生の匂いに包まれてここ最近では感じることのなかった安らぎを噛み締めながら眠りにつく。

 

トリニティ総合学園を朝から蜂の巣を突いた様な喧騒で幕が開けた。

 

 

「キャー、何あれ、何あれ」

「どうして魔女と?」

「ナギサ様に報告を!!」

「とゆうかあれ、シャーレの!!」

 

遠巻きの生徒たちを眺めながら渦中の本人達は

 

「ミカ〜すごい目立ってるんだけど〜」

 

「だって甘えて良いって言ったのは先生だよ?」

 

「うん、そうだけどね?」

 

腕を絡ませ恋人繋ぎで肩に頭を寄り添って歩くミカに、困り顔ながら振り解こうとしない先生は同性ながら恋人にしか見えない。

 

「ミカは恥ずかしく無いの?」

 

「だって私のやりたい事だし、先生も良いって言ってくれたらどうでも良くなっちゃった」

 

「そっかー」

 

「うん」

 

「あらあら、素晴らしい朝ですね。先生、ミカさん」

 

堂々と怖けずと2人に話しかけるハナコはナニがあったか興味深々で近づいてくる。おずおずとハナコに紛れてコハルも近づいてきた。

 

「なんで先生がミカ様と居るのよ!?」

 

「昨日、先生が深夜に突然来て一緒に寝たの」

 

「あらあら」

 

「えっ!!」

 

「ミカ!?、本当の事だけどなんかこう、オブラート的なのはないのかな!?」

 

 

「キャー、先生からヒソヒソ」

「ヒソヒソ、て言うことは」

「大胆ね、ヒソヒソ」

 

遠巻きで見ていた生徒たちからは黄色い声が上がりヒソヒソと騒ぎ出す。

 

頭をスリスリ擦り付けるミカと

 

うふふと笑うハナコに

 

「エッチなのはダメ!!死刑!!」

 

と騒ぐコハル。

 

(ナギサに怒られるんだろうなぁ)

 

遠い目で空を見上げる先生。

 

 

 

ᓀ‸ᓂ

 

「ヒフミ、先生の周りは賑やかだな」

 

「あ、あはは」

 

今日も楽しい1日が始まる。

 




おかしいな、ミカに赤ちゃんプレイさせる気だったのにイチャイチャして終わった。ヒナちゃんには変態先生をぶつけよう。
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