極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して 作:kohet(旧名コヘヘ)
コズミック・イラ70年4月14日、地球連合軍がプラントの資源衛星へ攻め込む為に出発した。
地球連合軍第5、第6艦隊が月面基地プトレマイオスを出発、ザフトの資源衛星『ヤキン・ドゥーエ』を確保する事が狙いであった。
「第5艦隊はコンスコイ中将が戦死して現在の司令官はフォーク准将、第6艦隊・司令官はマケイン少将だよな?」
ザナドゥ代表・クシーはベラに確認した。正直、嫌な予感しかしない。
第6艦隊のマケイン少将はエイプリル・フール・クライシスでザフトのエースの斬首戦術で錯乱した将官であった。
第5艦隊のフォーク准将は戦死した先任のコンスコイ中将が口先だけだと警告していた者だったはずである。
士官学校時代の成績は首席であるが、ブルーコスモス・過激派のシンパである。不安でしかない。
「そうですね」
ベラは主に同意した。……ベラは自分の格好の反応を伺っている。
ベラは何故かバニーガールの姿で仕事をしていた。クシーが放置しているので誰もツッコまない。
「それにしても第5艦隊と第6艦隊を派遣するとか地球連合軍は気が狂ったのか?フォーク准将が余計な事を言ったのだけはわかる。巻き込まれる兵士達が可哀想だと思わないのか」
クシーは地球連合軍の愚かな軍事行動に愚痴を溢した。クシーは戦いの結果、民間人が死ぬとかでない限りは地球連合軍の軍事行動に基本的に口出しはしない。そもそも忙しすぎてヤキン・ドゥーエの人事にまで気が回ったのも先程だった。
地球連合軍に何を言おうが中々聞いてくれないし、そもそもザナドゥは部外者である。……今回の軍事行動も牽制と思えば評価出来なくもない。
ただ、牽制にしては規模が大きい上に人材に難がある。これではザフト及びプラントを徒に警戒させるだけであった。
「……そうですね」
ベラは主が余りに反応が無いので拗ねた。
昼休憩の時間になったので業務用ポテトチップス(200グラム)の袋を開けた。コーラを飲みながら主が出した最新作のゲームをやり始めた。
なお、ベラはゲームではバニーガール姿の自分をキャラメイクで作成してハンマーを持たせている。
「昼はちゃんと食べろ。後、そのポテトチップスもコーラも私のだ。……せめて許可を取れ」
クシーはベラが拗ねて自分の菓子をまた勝手に食べ始めたので注意した。
ちなみにヨーグルト味のポテトチップスである。日本から届いたゲテモノフレーバーである。
ベラは太らないどころかクシーが初めてあった時から殆ど容姿が変わらなかった。
……絶世の美人であるベラの全身を観察したクシーはベラの策略にハマったと頭を抱えた。
バニーガールの全身を観察するとか変態であるとクシーは自分を恥じた。……そう言えばベラは美人だったなと認識してしまった。
「意外とイケますねこれ」
ベラは二重の意味で感想を溢した。
主にバニーガール姿で動揺させる事に成功した事、ヨーグルトフレーバーとかいう日本産のポテトチップスに対してである。
クシーはザナドゥのロンドン支部長のメアリ・クリスティの暗殺しようと日本で活動している敵対組織の人間、松田というエージェントを極稀に観察していた。
……忙しいのでメアリに判断を丸投げしているし、断片的だけである。クシーは母方が日本人の家系という事もあり、日本の街には興味があった。
クシーは世話になったラーメンハゲには落ち着いたら再会したいと思っている。ハゲが無謀な作戦に協力してくれたお陰でザナドゥの兵器開発部は人材が増えた。
まだ人材は足りないがアレがなければザナドゥもここまでやれていない。
クシーは松田が買わなかった1つ50円で投げ売りされていたヨーグルト味のポテトチップスが気になって取り寄せていた。
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ザナドゥはユーラシア連邦大統領の無茶振りによって軍艦を作るようになっていた。水上艦艇とはいえ新造艦である。
4月2日に行われたザフトのカーペンタリア制圧戦にユーラシア連邦が参加した結果、水上艦艇が大分消耗したから作れという話だった。……どうも大統領は地球連合、大西洋連邦に依存したくないらしい。
私がならばザナドゥのMSを承認しろというと言葉を詰まらせる。……MSに関する圧力はまだ強いと理解した。
『民意や軍での賛同が得られないとMSは作る事すらキツイんだよ。本当に』
昨日、大統領は私にそのように溢した。
大統領は出来るところから地球連合、背後にいるロゴスの影響力をユーラシア連邦から取り除きたいと理解した。
「取り敢えず軍艦から何とかしていますが、何れはMSも必要です。……覚悟してやりきってください」
私は大統領に発破をかけた。キツイだろうが、大統領は最悪の賭けに勝った。現在、地球上の海上覇権を握っているのはユーラシア連邦であった。……ユーラシア連邦の潜水艦の八割は既にザナドゥ産の非原子力潜水艦に置き換わっていた。
ロゴスの影響力の排除は私と共有出来るところではあったので協力を約束した。
旧式艦から脱却したザナドゥ製の新造艦は『ウラジオストク級強襲揚陸艦』と名付けた。旧暦の戦艦から名前を拝借した。
……宇宙母艦ではないが軍艦建造の利益は莫大だった。ユーラシア連邦の要求する分だけであるが馬鹿みたいに儲かった。
既得権益がザナドゥを邪魔するわけを察したが、金があっても動かせる人が足りない。
私的には儲からなくても良いから復興の為に人が欲しかった。
現在、被災して職を失った者に声をかけている。恩義を利用する形になっているがそれでも足りなかった。
……ロゴス等は簡単に人を集められるのが理不尽で仕方がない。
それだけならまだしも、改造人間等で碌でもない事を仕出かすのが地球連合各国の中枢を裏から支配している。
エイプリル・フール・クライシス以降、孤児達が行方不明になる事件が多発していた。
地球連合の暗部が動いていた。それだけでなく正式な手続きを盾に孤児達を堂々と物のように回収していく。
私がそいつ等を責めようが知らぬ存ぜぬだけでなくザナドゥを攻撃して来ていた。
……私やザナドゥは保護出来た人々だけでもその手から守り通すだけで精一杯だった。
せめて人として扱うように牽制しているがどこまで通じるかわからない。
私は割と限界になってきていた。……忌々しい事に誰かに依存、甘えたくなるような衝動を自覚していた。
そんな個人的な事で悩むよりはと徹底的に仕事をしていた。寝ないとメアリに怒られるので1日30分は寝ている。
……オーバーワークでもしないとこの世界の業の深さで頭がおかしくなる。私は予想していたとはいえ、何億人亡くなるのか不安で仕方がなかった。
そうして生き残れた者達も改造人間等で悲惨な末路になるとか嫌だった。……ザナドゥは神ではないので救える者しか救えない。
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ユーラシア連邦軍が保有するザナドゥ産のウラジオストク級強襲揚陸艦は特徴として発進装置によりスピアヘッドやMAセイバーフィッシュ、ドン・エスカルゴ等が即座に発艦できた。
また、ザナドゥ産のMSゴッグや複製ジンも搭載可能である。
対空ビーム砲や海底へのフォノンメーザー砲等の兵装は何れ来るザフトの空中用MSや水中用MSに対抗する為に武装されている。
地球連合軍が現在開発しているタワラ級はザナドゥ製のウラジオストク級の下位互換になるだろう。
既得権益の横槍が煩わしいので基本的に日本の造船会社で建造していた。既存の企業と提携することでザナドゥへのヘイトを分散させていた。
なお、姉の寄越した会社なので実質的にはザナドゥの傘下であったりする。防諜部の活動により何とかバレてはいない。……ザナドゥがそのまま作るととにかく外野が煩い。
ユーラシア連邦の大統領という錦の御旗で躱しているがそれでも止まない。
ザナドゥもそこまで人的余力はないし、二カ国で移動させる事自体が非効率であるが実績を作っていた。
最終的にはザナドゥが権利を移譲した形で傘下の日本企業で作れないかと考えている。地球連合軍で水上艦艇であるタワラ級が量産されたらぐらいを考えている。
日本で基礎を作り、最終的にユーラシア連邦のザナドゥ工廠で改修及び武装を取り付けている。
艦艇を輸入する際、ついでだからと物資や菓子等も乗せていた。フェイクで誤魔化している。
また、ザナドゥ産の水中MSゴッグや水中用MAボールに護衛させている。
MSゴッグはザナドゥの潜水艦技術により開発された厚い装甲と強靭な機体構造を持つ水中用MSである。
ビーム兵器は残念ながらまだない。フォノンメーザー砲で代用している。ゴッグの装甲もビーム兵器が開発されると大分不味いので対策の為に開発しておきたい。
現在ザナドゥが保有するビームシールドである陽電子リフレクターは大きさが無いと効果があまりない。
アクタイオン・インダストリー社がザナドゥに対抗してMSを開発しそうな可能性がある。
ザナドゥのMSは存在を無視されているのでガチで対抗心剥き出しにされても困るのだが熱心である。
私としてもアクタイオン・インダストリー社の技術は気になっていた。
多分ロゴスが株主の企業なのでMS作れる技術者を引き抜けたら良いなと考えている。
現在、アクタイオン・インダストリー社には元暗殺者の陽気な黒人枠に探らせている。
アイツは暗殺者の中でも自分はレジェンドだと言い張るので任せていた。
アクタイオン・インダストリー社もザナドゥに産業スパイを送りつけるのだからそれくらいは報復しても良いと思っている。
……開発部のルリが私にやり返せと言ったのだから問題ない。
低電力高出力ジェネレーターが開発出来ればMAやMSにビーム兵器を持たせる事も可能なのだが上手くいかない。
……私の知る限り地球連合軍ではマリュー・ラミアス技術士官が開発出来そうである。
今何処に所属しているのか知らないが間違いなくナチュラルでも有数の天才であった。
忙しい私だと開発にまで手が回らないが居てくれると助かった。まぁ、ラミアス技術士官は軍に勤めているので引き抜きは不可能だろう。
家電製品に使用しているラプラシアン・システムを応用すれば小型のビーム兵器が出来そうではあるのだがそこまで調整するのは時間的に厳しかった。
開発部のルリに依頼しているがラプラシアン・システムは非常に繊細なので難航しているという報告を受けていた。
なお、開発部主任のロリコンを良く殴る方はビーム砲として『メガ粒子砲』を提案してきた。発想は凄いが一から研究しなければいけないので今回の戦争中には無理だった。
他の作業も多いルリに任せたのでビーム兵器は今年に開発出来れば良い方だと思っている。
……私の勘でしかないがラミアス技術士官ならば私の考えを投げれば半月で出来そうな気がする。
やはりあのゴリラ……もとい女性士官は大分バグっていると思った。
真面目に今は何処いるのかわからないが、私が軽く探しても見つからない辺り地球連合軍か大西洋連邦軍の極秘プロジェクトに参加していると思われる。
「上手くいかないな。どうも」
私はこれまでを総合して愚痴を溢した。ベラはバニーガール姿で横に立っているが見てみぬ振りをしていた。
……間もなくザナドゥ本部長のティモテが来るのだが、その格好のままで出迎えるつもりかと私はツッコむか否か悩んだ。
「……ふふん」
ベラは柄にもなく動揺している主を見て大分満足していた。
ベラはこのまましばらく過ごしてザナドゥ内部で噂にしてやろうと決めた。
……これで他が焦るのが一番良いのだがまぁ良いかとベラは先程食べたポテトチップスの袋を片付けた。