極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して 作:kohet(旧名コヘヘ)
コズミック・イラ70年4月20日、ユーラシア連邦ウラジオストク軍港に入港した傭兵部隊Xとマッド少佐はザナトゥの本部を訪れていた。
何故かザナトゥの代表クシーとカナードとの乱闘が発生したが割といつもの事であった。
4月1日のエイプリルフールクライシスのせいで忙しいクシーだったが時間を割いて彼らとギリギリまで話していた。クシーにとって現場の意見は重要でもあった。
流石に戦場に赴くわけにもいかないとクシーは思っている。……近くでテロが起これば嬉々としてカウンターテロをしまくるし、普通に戦闘行為もガンガン行っているがザナトゥでは気にしてはいけない。
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平和を愛する紳士と自任するクシーに関してザナトゥ職員達はどう思っているのかというと地味に面倒な事件が起きていたりもする。
こういう人だからと見ないふりやまともに対応すると面倒臭いので適当に流す、もう諦めた等の対応をするのが古参である。だが新参者はこうした落差への耐性がなかった。
……あまりに広範な組織となったのでクシーと直接話した事の無い者が増えてきた。
クシー本人はなるべく職員と接するようにしている。ザナトゥは性質上世界で発生している理不尽による被害者が多い。本来何しでかすかわからない被災者や元テロリストが大勢所属する組織である。
当たり前だがマスコミや地球連合、ブルーコスモス、プラントに至るまで警戒されている。
クシー本人も受け入れた責任があるので可能な限り全員の事を覚えていた。これまでの死者の名前も顔も文字通り全員である。
……そのせいで対面した職員は色々な感情を抱くが、クシーの普段の言動もとい怪電波によって脳がやられる職員が続出していた。
クシー本人は愛されるギャップ萌えなどとほざきやがるので余計に酷い。
同時にラクス・クラインが戦争に至りクシーの本質を悟れた程の強烈な仮面である。
一応8割は本心である。
そして、活動的に平和を訴える活動をするザナトゥと平和を訴える活動をしているプラントの歌姫ラクス・クラインと比較されるのは自明であった。
……マルキオ導師も凄い人ではあるのだがオーブ連合首長国の近くの群島在住の影響力が薄いユーラシア連邦に本部があるザナトゥ、コズミック・イラで宗教に属しない或いは忌避感を抱く者達には馴染みが薄かった。なにより大衆にとってラクスの歌というのは分かりやすかった。
芸術が与える影響力という点においてラクスが与える影響はそれこそ世界である。ラクスのそれは一人の少年が幼き日に求めた理想に近い極地であった。
皮肉な事に世界に影響を与えられる程の歌でも世界に絶望し憎悪する者や憎しみに囚われた者達には届かなかった。
なお、クシーはエヴィデンス01をモチーフにした宇宙鯨が人類と対話の為に作ったAIが人類に絶望して全力で滅ぼしに来るゲームを9歳で作るような奴である。本人は平和を訴える作品だと思って作っている。
エヴィデンス01は羽の生えたクジラのような宇宙生命体の化石であり、その存在が宗教の否定に繋がり宗教的権威が壊滅して世界中の精神的支柱を失わせた代物である。新しい時代への希望でもあったが人間を作るコーディネイター技術に対する倫理観を失わせてしまった存在でもある。
クシーはこれを発見したのがジョージ・グレンだったのが不味かったと思っている。善意で動くがどう受け取るかの悪意が足りない。
このようなヤバいゲームを出し全勢力に中指立てる事も辞さないクシーが平和の為に尽力し、社会的弱者である被災者やコーディネイター、環境保護などもしている。そうかと思えば地球連合軍への兵器開発もしている。
ザナトゥの内部ですらその落差に困惑する者は当然多かった。ザナトゥ全体で言えば戦災復興に大半を占めるのだが目立つ部分が目立っていた。規模でみればゲームは完全に趣味レベルであるがクソゲー開発部は宇宙に漂い陽電子衝撃砲まで持っていたのでかなり酷い。
クシー本人的には土建業が本業であるが魂はゲームという認識である。兵器開発は碌でもない兵器が作られてないかの監視も含まれている。仕方がなくやっているに等しいがコネは手に入った。
ユーラシア連邦内の兵器のある程度把握できているがコーディネイター過激派である大西洋連邦やオーブ首長国連邦等の秘密兵器開発は知りようがない。小国の兵器開発は不可能に等しいしザフトも同様である。
15歳の少年が作り上げた組織の情報網と考えれば凄まじいが神でもない彼が手の届かないところに運命はあった。
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ラクス・クラインの歌に関して話を戻せばコーディネイター差別意識が薄いザナトゥはブルーコスモスの傘下の癖にラクスの曲を聴くので余計浮いている。
勿論、個人的な忌避感はあるが代表クシーの存在がコーディネイターとナチュラルを意味不明にする。じゃあ、あいつなんだよとクシーに関わった誰もが思う。
そのように冷静になるとナチュラルでも何かおかしい奴がちらほらいると見え始めてしまう。ザナトゥに所属するものが誰もが通るショック療法である。元テロリストの多いザナトゥではマニュアル化されていた。クシー本人的には大変不本意である。
このようにザナトゥではラクスの歌程度で今更気にするものはいない。寧ろ堂々と聞くせいでラクスの歌はブルーコスモス穏健派で若干とはいえ流行りつつあった。これも遺伝子弄った曲と嘲笑するものもいたが。
当然、アズラエルはブルーコスモスでプラントの歌姫の曲が流行する兆候がある事にキレた。だが、ザナトゥ職員が代表クシーに関しての胃痛から癒しを求めたのがきっかけと知りわずかに同情した。
「……想いね。それを届けたいのはお仲間に、でしょう?」
アズラエルはラクスの新曲を聞いてこう呟いた。あまりに理想論である。
そして自覚していないが吐き捨てていた。今更なんだとイラつきはしたがこういう類のものはおおっぴらに禁止すれば余計に面倒になるとアズラエルは知っていた。
何故ならクシーという前例が現在進行形でいるからである。歴史的にそうだという知識と実物があるのだから禁止にすると絶対碌でもない事になると凄まじい実体験が保証してくれた。
アズラエルは自身の苛立ちが凄い嫌だという経験に置き換わった。……置き換わってしまった。
弱腰のアズラエルにジブリールらがキレた。そしてラクスの曲を禁止にしようと動き始めた。
「馬鹿野郎!!この忙しい時に……ふざけんな死ね!いや本気で殺してやろうか!!」
アズラエルは身内にキレた。ガチでやりやがった。想像はできたので辛うじて何とかなると計算した。
この忙しい時期のクシーはキレるがキレるだけである。ブルーコスモス内でだけならワンチャンある。アズラエルはクシーが芸術分野でラクスに負け続けていると知っていた。
自分なら許せない。コーディネイターのインチキさを実感しているアズラエルはそう自分に言い聞かせていた。
……クシーの性格を知るアズラエルは自分でも多分ないだろうと思ったが自分の精神安定の為に言い聞かせていた。どうやったらあんな面倒な人間になるのだろうか彼の両親に問いただしたい。
だが、
「ふざけんなテメェ!そんなことしてこの私が敗北者だとでもいいたいのか貴様!!」
当たり前のようにクシーがジブリールらにキレた。クシーがいつも唱える表現の自由である。
クシー個人への中傷はなんだかんだ見逃すがその分のストレスも入ってないかと疑う熱量である。
しかもクシーは自分の作品の売り上げがラクスの曲に全敗していると公的な場でほぼ認めてしまっていた。
「いや、そういうわけでなくてですね……ジブリールはどこへいった!」
仲裁役を渋々引き受けたアズラエルは回線ブッチして逃げたジブリールに叫んだ。
アズラエルは逃げまくって各地に迷惑かけそうなジブリールにキレたが急に冷静になった。
あのザナトゥの芸術部門に喧嘩を売っているに等しい。あんな狂人集団に誰も関わりたくなかった。正体不明で戦場で意味不明な事をし出すある意味クシーよりヤバい奴らである。
「……とりあえず控えるように注意だけしませんか?敵性音楽だからあまり良くないのはわかるでしょう?」
アズラエルは冷静に最適解を導きだした。真面目に戦争中である。正直困る部分はあった。
禁止にすると何するかわからない奴がいるので形だけでも控えさせる。
……これならブルーコスモスとしては認めないので一応禁止にしたに等しいと顔を立てられる。
そして今回、どれだけキレてもクシーは現状ではそこまで手が回らない。4月1日から凄まじい手腕で復旧作業を行っているが全然足りない。
アズラエル的にはこんな匙に気に掛ける事自体意味不明である。
「……個人で聞く分には気にしない方向なら」
クシーも渋々了承した。クシーはラクスへの個人的な感情が出てしまったと反省していた。
ラクスでなくてもキレるがここまでするかというと若干怪しいかもしれない。
「敵性ではなければ良いなら私のゲーム支店を地球連合本部に置きたいのですが。テナントみたいに空いてませんか?」
仕方がないから有益な申し出をすることにした。平和への歌が敵性というなら平和を歌うゲームを置いてやろう。
旧暦に存在したポケ〇ンを売れるのは本部くらいしかない。そのまま出したら即死である。
開発スタッフの生き残りをザナトゥ芸術部門は保護していた。彼らは地獄を見てもまだ売りたいという素晴らしい熱意があった。
クシーも流石に正統後継作品は出せないと思っていたが熱意に感動していた。ブルーコスモスと地球連合が保証すればワンチャンあるかもしれない。
クシーは大分疲れていた。だが3割くらいは本気だった。
「あー……何か疲れてない?君」
アズラエルは凄まじい嫌な予感がした。凄い不味いとは思うが一周してヤバい事を言うクシーを気遣った。自分も4月からずっと疲れているがよりヤバい相手を見て変な同情心が湧いてしまった。
控えていたベラはアズラエルを見てDV彼氏を気遣う彼女みたいだと思った。
そしてこの通信が終わったらカナードにぶん殴って寝させようと決めた。
当然であるがアラスカの地球連合本部に糞みたいな会社支店を建てる計画は破談となった。
カナードはクシーをぶん殴って寝させようとしたが躊躇う程度には落ち込んで見えた。
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なお、ポケ〇ンの内容は社会情勢を加味して作られた内容ではあった。
ナチュラルとコーディネイターの融和路線的に極めて真っ当な内容である。ブルーコスモスの穏健派やクライン派がまともにプレイすればこれは有りだと納得させられる内容となっている。
同時に現在問題となっているコーディネイターの失敗作を捨てられた等の社会悪も描かれたゲームではある。捨てられた子供が非合法組織で使い捨てられる等の描写はザナトゥの構成員の実体験が生々しい。
……とてもではないが第1次連合・プラント大戦、というかコズミックイラでは売れない。
クシーの芸術がラクスの歌と違って大衆受けしないのはこういう部分であった。