極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して   作:kohet(旧名コヘヘ)

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閑話 CB部隊はアットホームな職場です。満足度100%(管理職除く)

コズミック・イラ70年5月29日、国連軍CB部隊によるモロッコ虐殺鎮圧から二日が経過した。

 

この頃には注目は国連軍CB部隊からザナドゥへ移っていた。クシーの行動によりあらゆる勢力が現状把握と対応に翻弄されていた。

MSジン相手に交戦したのが未知のMSという情報さえ霞んで消えていた。ザナドゥMSムシャシリーズが明らかになるのはまだ先だった。

グラハムはムシャシリーズを概ね気に入ったが戦闘機形態への可変機を希望していた。

クシーも戦闘機に変形させればあちこちぶん殴りにいけてお得だと思っている。

ヤバい組み合わせの奴らがやりたい放題することを夢見てワクワクしていた。

しかし、グラハムは核動力や化石燃料の知識で止まっているのもあり現在は世界情勢含めて勉強する羽目になった。

クシーはグラハムと話が合うだけに少し拗ねた。

空が飛べるディンを弄らせて貰うためにキャロルへお願いしに行った。

主はこれもう刺されないかとベラは思った。クシーは連日の徹夜でややハイになっていた。

クシーは定例の好感度調整を素でミスってもいた。一回刺された方が良い。

 

グラハムは士官教育を受けていた為、必要であると理解を示し律儀に学んでいた。

5月28日、ティターンズの最高司令に突然就任したジャミトフがグラハムの教育を引き継いだ。

爺がやる気を出した結果、シロッコはティターンズ代表の肩書まま実質的に地位が下がった。

クシーに反抗する為に裏で進めていたシロッコの計画が全部消えた。

シロッコは沸き上がる感情を抑えきれずベッドへ向かい寝た。……5分も経たずに叩き起こされたシロッコは現実を理解しほんの少しだけ泣いた。

 

士官教育に関して一番適任であろうムラノフ中佐は軍内通常任務に従事していた。

他に出来そうなザナドゥシンパの大半は前線等で戦っていた。傭兵部隊Xは月面で交戦しクシーから依頼された月面特殊金属回収等に従事していた。

……現在のザナドゥにはグラハムへの士官教育が可能な人材が足りなかった。ジャミトフは現状を憂いた。ジャミトフはだからこそ自分が、仕方がなくやるしかないのだと伝えた。

 

「今、本部にユリカ少佐がいるじゃん」

クシーはジャミトフへ返した。ユリカ少佐なら信用できるし頼んでも引き受けてくれるのはほぼ確実だった。

決してユリカ少佐の自身へのセクハラを辞めて欲しいから士官教育を依頼するわけではない。

 

「ザナドゥは全員が戦っているに等しい。現状いるのは技官や負傷兵、元テロリスト、自衛団上がりなどだ」

ジャミトフは小僧の戯言を完全に無視して熱弁を続けた。宿敵が蘇ったのならば最高の状態にしなければならない。

過去散っていったギレン閣下が浮かばれない。デラーズ達は本気で死ね、生き返らずそのまま死んでいろ。

 

かつてのクシーが作成したクソ映画『恋のハリケーン3 〜環境王子ジャミトフ怒りの老齢〜』は一部に関しては極めて正しい設定で作られていた。

……ラクスの補佐役アリスがジャミトフの内心を知れば噴出していただろう。

グラハムの再教育には物足りないと理由を並べ立てたジャミトフは嬉々としていた。

あのグラハムが一刻も早く士官教育を習熟する事を誓っていた。素晴らしい成果だとクシーは関心した。

クシーは次の機会があれば是非また任せたいとグラハムの心情を無視してジャミトフへ伝えた。

クシーは必要なら友人だろうが平等に割り切って対応していた。クソであると言わざるを得ない。

 

ちなみにクシーの最終学歴は中卒であったりする。コペルニクスでキラやアスランと学んだのが最後なので書類上はそうなっていた。

クシーは学生してみたいので学歴や資格を取らないだけであり、これまでの経歴や実績だけで大卒資格程度ならすぐにでも取得できた。

クシーはやや気にしているので中卒煽りされると間違いなくキレる。当然だが怖いので気づいても誰もやっていなかった。

グラハムは士官教育云々の際に事情を知った。グラハムはクシーへ流石にトップが中卒は不味いと意見した。

それとジャミトフの件とは関係ないとクシーは言っていたので関係はないはずである。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

救難活動や非人道兵器、捕虜等の扱いは同年2月、コルシカ戦時国際条約調印されていた。

引き換えとしてグレイブヤードの陽電子衝撃砲の撤去が双方からの条件であった。なお、グレイブヤードは国連加盟国として独立を宣言し着々と宇宙要塞化していた。

クシーは自衛の範疇として承認していたがアカネに定期的に報告を義務付けている。

クシーのお墨付きの厄ネタである人工知能がフレームによりアンドロイド化したりしている。アカネ達はどうやって誤魔化すかで忙しかった。絶対バレるので隠すのは無駄である。

 

コルシカ条約締結当時、戦争犯罪に関しての事項は後回しにされていた。両方ともに自分に都合の悪い事は勝った後に揉み消す気であった。

今回の戦争犯罪も本来ならば後回しにされた事案であり、実行犯の読み通り隠蔽されたであろうケースだった。

両軍が見ない振りをしていた戦争犯罪に切り込んだザナドゥは地球連合やプラントにとつて厄介であった。

しかし、国連軍は自衛組織を主張し地域の自治組織と連携していたので排除もできなかった。

エイプリル・フール・クライシスによって中央政府の影響力は末端に届きにくかった。

ザナドゥを排除するとインフラや治安も終わるというのは都合が悪いので誰も言わないが明らかだった。

アズラエルもザナドゥと本格的に敵対するにはある程度復興して貰わないと困るし、ザラ派も攻め込んで得られる物が足りないと侵攻作戦に影響が出た。

マスコミはこの状況をザナドゥは死の商人と指摘したがザナドゥ代表クシーもやりたくてやっているわけではない。

大人が全員憎しみで刃を向けていた。この情勢下でザナドゥの所属を堂々と名乗る職員は覚悟を決めていた。

……クシーが大切にしたい同胞から真っ先に死んでいっていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

モロッコ虐殺の犯人であるホール・パイソンを裏社会で悪名高きザナドゥ収容所へ移送したCB部隊は各地のテロ鎮圧に勤しんでいた。

 

コズミック・イラという地獄は世界中の人間の理性を取り去っていた。世界は憎しみの連鎖で満ちていた。

憎しみの連鎖を止める為に国連軍が再編されCB部隊が結成された。……というのが表向きの理由である。おおよそ間違っていない。

強いて言えば、現状の難解なザナドゥMSを扱える人材でお題目に従って戦ってくれる人を集めた部隊である。人格や経歴は見て見ぬふりをしていた。

クシーがCB部隊へいけるなら行きたいと思っているのはマシな人材が自分であると錯覚しているからだった。

クシーはCB隊の面々より自分が遥かにマシな人間だと確信していた。思い上がりも甚だしい。

 

犯罪者ホールの移送が完了したCB部隊は次の任務までの休憩を取っていた。

五人全員訳アリなのはうっすら分かっていた。共通する話題が中々なかったが一つだけあった。ザナドゥの代表クシーに関してである。

 

「カタルシス効果というものがある。心の中にあるネガティブな感情を表現する事でストレスが緩和する現象だ」

紅龍はクシーについての見解を述べていた。リューリク家から追放される前は良く知っている。

両親から唯一認められた芸術活動、感情全てをぶつけるような作品ばかりであった。

正直、紅龍には理解しきれないが妹もそう言っていたので間違いないはずである。

 

「クシーのそれは芸術活動で表現されていた。……いつの間にかそれはゲームに集約されてしまった」

紅龍は僅かに苛立ちを見せ端正な顔には焦りのような感情を見せていた。追放後に何故かゲームを作るようになっていた。コペルニクスへ行ってから突然作るようになっていた。

自分へ送られる大量のクソゲーとそれを見た妹の嫉妬は本当に勘弁して欲しかった。

 

「映画でその兆候はあったが個人的な作品で収まっていた。……本当に誰なんだ、ゲームなんて吹き込んだ奴は」

紅龍は吐き出してすっきりした。カタルシス効果を感じていた。妹は勿論クシーにも言いづらい。

今はもう他人なので家庭内の諸々はクシーには言えないと思っている。

 

「アレを止められないのはクシーの唯一の趣味でありストレス発散と周囲も理解しているからだ。……異性でも宛がうべきではと思うが女に嵌り過ぎるのも良くない」

紅龍はクシーの内情をよく考えずに分析して仲間に言っていた。

仲間だし大丈夫だろうという短慮があった。妹も大丈夫だと言っていたし問題ないはずだ。

なお、その妹はクシーに女を宛がっても気にしないから紅龍は働いて成果を出せという発破である。

紅龍は妹の言葉の裏を理解しきれていなかった。婉曲で分かりづらいのも悪い。

 

「私見だが、両親その他の家庭事情が酷かった反動かどうも一般家庭に情景を抱いている節がある」

紅龍は自分の知るクシーを述べた。コペルニクス行ってから余計に一般家庭に憧れているように感じる。妹にもこれは言っていなかった。

 

「……何故、貴方が知っているの?」

アズ中尉は紅龍に尋ねた。紅龍がクシーを本心から心配しているのを察した。

どう考えても身内レベルの話が含まれている。アズ中尉はクシーの事を殆ど知らないと改めて気が付いた。

迷惑かけられているが恩の方が大きい。紅龍に悪いが知れるなら知りたい。

 

「……」

紅龍は話過ぎたと反省した。クシーには必ず後で謝罪するがやらかしが大き過ぎた。

仲間とはいえ心を急に許し過ぎた。

 

「いっちゃあ悪いが軽率だよな。まぁ、気にしねぇし興味もないから良いが」

枯れ中年、ムラタは紅龍に心配すんなと暗に示した。この色男、身内にしては顔が違うので恐らくはと推測した。

クシーの婚約者の家族かと考えたが使えないので頭のごみ箱に放り込んだ。使うにしてもナンセンスなので直接ぶっ殺すのが礼儀だと考えていた。

 

「……ゲームって何?」

ベロニカは一部知らない単語が出て来たので尋ねていた。

映画や絵画は父から教わっていた。価値があるものは換金できるので叩き込まれていた。映画に出て来る銃等の小物はコレクターがいるので知識としてはある。

 

「いけませんな!無垢な少女にアレは劇薬過ぎます故」

カーキ色の軍服を羽織った男、クレランボーは警告した。ゲームに興味を持つにしてもいきなりアレは過激過ぎる。

クレランボーは心の中で代表に詫びながら旧暦の任〇堂ソフトを検索し出した。

同時刻、クシーは突然悲しくなったのでクレランボーの給与査定の見直しをしようとした。

 

「ちょっとアンタ!……私は違うのかしら?」

アズ中尉はクレランボーの言葉に嚙みついた。言葉に気をつけろとこの馬鹿共の前で示してもいた。

当然だが、こいつらは改めるわけがない。

 

「……アズ中尉殿、小官は貴方を破廉恥というか……金にがめついというか……無垢でないというわけ…」

クレランボーはアズ中尉にぶん殴られた。当然である。

クレランボー的にはアズ中尉を例える適切な言葉を探していた。こいつ結構図太いなとは思っていた。

クレランボーはアズ中尉に殴られている中で次はキチンと貴方は図太いですと言おうと決めた。

 

「初めて失言らしい事言ったなこいつ。ザナドゥといえばそうでなきゃな。……案外仲間ってのも悪くないな」

ムラタはクレランボーがボコボコにされているのを肴にタバコを吸っていた。

ムラタは個人のテロリストなので意外とこういう機会に恵まれなかった。

人種差別とかなんとかムカつく東アジア共和国の李国主を殺せなかったのは少し残念だが、コズミック・イラで紛争が終わったらキチンと殺しに行こうと決めた。

 

「そうね。……意外と悪くないわ」

マヌエラはボコボコにされるクレランボーを見ながら整備班から貰ったオレンジジュースを飲んだ。

 

クレランボーがボコボコにされ始める直前に席を立った紅龍が戻ってきた。

ムラタは紅龍へもうちっと隠せと思った。良い奴なのは間違いないが身内でなきゃ不味いかもしれないと後で自分なりにフォローする事にした。

 

「リンチ中に失礼します、隊長」

紅龍は見知った光景に口を挟んだ。二人とも仲良さそうなのは羨ましいとズレた感想を抱いた。

 

「トイレ掃除のヌエバからモロッコ虐殺で騒動を起こしかねない団体の報告があった。ティターンズが担当するらしいがCB部隊に協力を要請している」

紅龍は聞いた内容をそのまま伝えた。トイレ掃除のヌエバに疑問を持っていない辺りザナドゥに染まっていた。

 

「……何でトイレ掃除がそんな事を知っているのよ」

アズ中尉はツッコんだ。トイレ掃除が何故そんな事を知っているのかわからなくて当然である。

 

「ああ、そうか。アズ中尉は知らないのですな」

クレランボーは服のホコリを払いながら立ち上がり説明することにした。

言葉に詰まった事は反省していた。リンチの理由に関しては理解していない。

 

「ヌエバは聖なる大地という大規模テロをした組織の首魁で今はザナドゥ本部でトイレ掃除を担当しております」

クレランボーはまずヌエバ個人の説明をした。聖なる大地はそれなりの規模のエコテロリストである。国連軍のアズ中尉なら知っている可能性があるが、同一視出来ないかもしれない。

 

「……色々知っているのでクシーが小間使いにしていますな。テロリスト風情が羨ましい事で」

クレランボーはボソリと溢した。ハイライトの消えた目には狂気を感じるものがあった。

 

「悪趣味ね……ちょっと!それ良いの、絶対不味いでしょ!?」

アズ中尉は感想を溢しつつ、クレランボーの言葉にツッコんだ。聞いたけど納得できないくらい酷い。

 

「やったことは本当に反省しているのでクシーが取りなしたとの事。問題はありませんな」

クレランボーは表情を戻して断言した。クシー大丈夫というのだから問題ない。問題あったら消せば良いしそいつを殺せばよい。

 

「あー……なるほど、お前そういう奴か。まぁ、俺とかいる時点で慣れようぜ隊長」

ムラタは納得したので隊長を安心させるように少しふざけつつ言った。

……狂人が更に狂人に屈している。ムラタはこの事実に内心震えた。クレランボーはクシーがいる間は問題ない。

何ならこの部隊で苦楽を共にするような仲間には優しいと察した。歴戦の犯罪者は似て非なる狂人を看破した。

クレランボーはムラタがクシーを殺そうとしても許す。クシーが許すから。そしてクシーを殺したらムラタを躊躇なく殺しに来る。……ムラタはおお怖い怖いと頭を振った。

 

「……常識ある環境にいたせいか余計にツッコみたくなるわ」

アズ中尉はムラタの内心は知らないものの平静を取り戻した。

前所属していた国連軍も大概だったがザナドゥという組織を何となくわかった気がした。これ以上分かりたくないともいう。

 

「大変ね。隊長」

マヌエラは環境が変わって大変だというそのままを述べた。皮肉もなにもない。

 

「まぁ、これから敵を血祭にして隊長の気苦労を減らしてやろうぜ」

ムラタはこれからの任務へのモチベーションを高めるために発破をかけた。意外な事にこの血生臭い発言には悪意はない。

 

「そうですな。あの素晴らしい戦場の数々を最前線で見て来た、国連軍にいたお人。わが祖国の歌のように敵の血で畑を満たせばきっと喜ばれましょう!」

クレランボーは仲間の言葉に歓喜して次の任務へと足を運んだ。

 

「……勘弁してやれ。隊長は普通の感性だ」

紅龍は流石にツッコんだ。頭抱えている彼女の助けになるには自分の事で精一杯である。

無駄に抱えると破綻するのは妹の件で良く知っていた。

 

「ああ、もう!待ちなさい!!」

アズ中尉は勝手に出撃しそうな勢いのCB隊を止めに立ち上がった。

クシーには後で文句を言うと決意した。もう少しマトモな奴を寄こせ。

 

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