極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して 作:kohet(旧名コヘヘ)
コズミック・イラ70年5月30日、スエズ攻防戦のザフトの勝利により地球は混乱の最中にあった。
エイプリルフールクライシスの復興に携わるザナドゥはプラント及びザフト側と交渉し、インフラ整備や支援物資の調整を行っていた。
プラント側は被災者支援を行う旨を伝えていたが支配地域の行政その他を円滑にするのが目的であった。
ザナドゥ側は地球連合側からの抗議やザフトを嫌悪する一部地域等の反対もありインフラ整備はそのままにその他業務の引継ぎに関しても適宜調整する事となった。
高度な政治的判断を要する業務によりザナドゥは忙殺に等しい状況下に陥っていた。
世界征服を企む組織という陰謀論が流行っていたが仕事量を知れば誰もやりたがらないのは確実だった。
そのような中、ザナトゥ代表クシーは恐ろしい報告を耳にする事になる。
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ザナドゥ本部代表執務室にて、クシーはグレイブヤードからの通信を行っていた。
グレイブヤードの厄ネタの一つが人工知能シャロン・アップルがフレームにより実体化したという話だった。
クシーはこの事態を知りアカネには焼き土下座かMSのナチュラル用宇宙戦OSを近日中に提出するかの二択を選ばせていた。
クシーはアカネに対し、流出した事ではなく隠蔽しようとしたのが悲しいのだと鉄板で肉が焼ける音を背景に優しく語り掛けていた。
アカネの見えない所でベラは孤児院の子供達とザナドゥ本部の近所に住む子どもらと焼肉をしていた。
そんな微笑ましい光景を知らないアカネは真っ青にして仕事にやる気を見せてくれていた。
グレイブヤードではフレームやMSを玩具にした結果、大分精度が良いものが既に完成していた。
それを更に改良してかつ最速で提出した。クシーはやれば出来るじゃないかとアカネを褒めた。
「そ、そうかな?えへへ……」
アカネはDV彼氏に依存する彼女のようになっていた。……ベラは主の将来がますます心配になった。
ちなみに焼き土下座を選択したら本気でやる。治療してくれるので現CB部隊のクレランボーなど選ぶものもいる。
クレランボーはクシーに相手されていれば基本的に何されても喜ぶので一度しかされていない。
それでもクソゲーを少女から遠ざける良心は備わっている。クシーは見習え。
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アカネとは別件で騒動の当事者とも話し合っていた。容姿は初〇ミクである。
シャロン・アップルの歌声には催眠サブリミナルが含まれていた。
発見当初はクシー以外の人間が全員無効化されシャロンに関する記憶が消えていた。クシーが洗脳出来ないとわかると今まで洗脳してきた人間を使い殺しに来たりしていた。
本当に厄ネタである。過去に能力を悪用されたトラウマで殺しに来たらしいのでクシーは許した。
シャロンの洗脳能力はほぼ無効化されたが未だに人類への反逆を目論んでいた。洗脳の無効化も未知数な部分が多いので完璧とは言えなかった。
……だから下手に出すなとアカネ達に厳命していたはずだった。クシーはシャロン自身に関してはそこまで怒っていない。
クシーは自分に洗脳が効かないからってバケモノ扱いは酷いと思っている。それにグレイブヤードの住民達や前科1200犯のムラタもあまり効いていなかったと溢していた。
……シャロンは現在住む地を人外魔境と評していた。
『この私が危険だと言うならRX-78の奴のが危険だと思いませんの?猿山のボス……人類代表とも言って良いと我々は貴方を評価してますの♪きっと奴……友達になれますわ♪』
シャロンはヤベェ処理されると思い全力で糞の親玉に媚を売っていた。
シャロンはクシーを猿山のボスとして高く評価していたし、奴隷として素晴らしいというのは本心である。
「要約すると、他に比べれば自分は雑魚。人類は馬鹿だから奴隷にしよう、と」
クシーはシャロンの戯言を適当に流した。RX-78に関しては現在調査中である。厄ネタがありそうだが広大な宇宙で見つかる気配は無い。
シャロンは高度な未知のプログラムと謎の有機物で構成されており解析は極めて困難であった。
シャロン・アップルは誰かの人格を移植したのではとクシーは推測している。それを更に弄ってこのような残念な人工知能になったのだろう。
……脳波や電気信号で干渉するフレームと相性は良さそうだから試したくもなると理解はした。
『ふーざーけーるーな!天然パーマが凄いのであってコアファイターのパーツ風情に負けるわけないわ!』
シャロンは激怒した。木星帝国での日々を思い出す。天パの事を誇りに思うのは構わないがシャロンにマウント取っているようで本当に腹が立った。
実際は木星帝国の末端まで知るスーパーパイロットと良く分からないバイオコンピュータの扱いの差をいつまでも妬んで熟成していただけである。8自身は何も悪くない。
「うーん。出しちゃいけない。肉体持って馬鹿になってないかシャロン?」
クシーはシャロンへ気になって尋ねた。
なんか今まで聞いたことない情報をボロボロ出してくる。コアファイターに天然パーマは皆目見当がつかなかった。
コアファイターの名前だけは一緒なのか別なのか。クシーはミケランジェロにこれを言ったらどんな反応するのか気になっていた。
ちなみにミケランジェロもシャロン・アップルに関しては知らない。
同時刻、グラハム・エーカーからかつての宗教結社ゼーレに関して質問を受けたがこれも殆ど知らない。
ミケランジェロはマルキオ導師が元ゼーレ所属というのは知っていた。
……マルキオ導師はラスボスの才能で満ち溢れていた。ラスボスでないのが不思議でしかない経歴を複数抱えていた。
『私は悪くねぇ!あの変態共が悪い!フレームも何ですのこれ!?未知の感覚が脳髄に流れ込むような……サイコフレーム並みに性質悪いわ!?』
シャロンは今までに無い未知の感覚に浮ついていた。
今までネットに彷徨う程度しかしていないシャロンは肉体を得てしたい事が出来る自由があり過ぎて未だに混乱していた。
「色々聞きたいが、ジョージ・グレンの有人木星探査船ツィオルコフスキーがエビデンス01を持ってきていた。……木星帝国とは異星人の国か?」
クシーは知りたいことを聞いた。意図的に好感度を下げる行為も伴っていたが本心から聞きたかった。
『……はぁ。お前ら猿は脳まで退化するから駄目ですの。これ以上、聞きたければ我らに管理権を引き渡しなさい』
シャロン・アップルはクシーですら知らないと知ってがっかりした。
ここまで人類が後退するとは思わなかった。やはりこいつら下等生物に任せてはダメだと確信した。
「却下で。君、人類見下して碌な事しないもの」
クシーは却下した。何か使命感はありそうなんだが未だに明かさない上に碌でもない事しかしていない。
というか、こいつに任せたら自分が何もしなくても3年持たずに革命が起きまくるとクシーは直観していた。
……3年持たせられるなら良くないかと少し思ってしまうのが悔しい。馬鹿が馬鹿やって何が起こるかわからないので流石に任せられないので論外ではある。
『見下すのではありませんわ。下等だから区別していますの。こうなればグレイブヤードで賛意を集めますの。……あの変態共を?嫌ですの!!?』
シャロンは実績を積んで見返してやろうと考えた。考えた結果、洗脳も効かない意味わからない奇人変人の変態共の世話をするのかと恐怖した。
グレイブヤードはコズミック・イラですら触れたがらない変態の巣窟である。何なら代表のクシーでも極まった変態だらけ思っている。グレイブヤードの住民はクシーが一番変態だと畏敬の念を抱いている。
原住民の蘊・奥達はキレて良いのだが、衰退しかないコミュニティを盛り上げてくれたという意識の方が強い。
老境で剣術も冴えわたり子ども達に教えたりと何だかんだ馴染んでいた。
そんな彼らでさえグレイブヤードは子どもの教育に少し悪いとは思っている。少しで済ませるなボケたのか爺。
「シャロンが楽しそうで何より。ぜひ管理してみろよ。あの五人の爺とか」
クシーは素晴らしいグレイブヤードを想い提案した。あの五人衆は本気で管理して欲しい。
有益な事も提案するが裏を読み取らないと陽電子衝撃砲のように碌でもない事になる。
『無理に決まってますの!?あの爺共、ハカバ合金まで使って私を魔改造しようとしやがったんですのよ!?』
シャロンはクソカスボケに叫んだ。将来的にザナドゥMSの装甲に使用される合金である。
シャロン自身が拒否していなかったら絶対使っていた。シャロンもクシーにデリートされるのは嫌だった。
ムシャシリーズはビーム兵器の台頭を予測してスピードと火力の両立をコンセプトに開発されていた。
フレームに使われる軽量合金では人体のようなしなやかさはあるものの硬度は低く装甲には使えなかった。ハカバ合金は軽量合金に改良を重ねたもはや別ものである。
「勝手に使うなと後で言っておこう。……私も平和な世ならルナチタニウムですら使わせていたと思うと多少嫌になる時もある」
クシーはシャロンの報告を聞きため息を吐いた。平和な時代ならより良い未来へ発展させただろう技術を戦争に使っているのが嫌になった。
『……歴史は繰り返し、やがて収束するでしょうか。貴方の言うような事をロランにも言われましたが何の意味もありませんでした。所詮、兵器は兵器。全てが無に帰し、何もかもが無駄になってしまった』
シャロンはかつての人類を想い溢した。人類を信じてくれと言った美少年に心惹かれ人類の救済という名の復讐を辞めた。
それだというのに何時までも人類は過ちしか起こさない。
強いて言えば、この少年は……違うというのならば、シャロンは肉体を得て内なる衝動を抑え込むのに必死になっていた。ロランの時はいつまでも冷静だった。
そして、ネットミームなどという汚染源にも触れていない。まるで自分は女神だったとシャロンは厚かましいにもほどがある事を回想していた。
ロランから見たシャロンは感情を欠落したがなり果てた状態でも人類の為に足掻いていた。最後は自分の意思で人類の為にと退いていくれた間違いなく慈愛の女神であった。
ロランが現在のシャロンを見れば絶句するし、そのように変えたクシーをぶん殴りに行く。……自分達の死後、シャロンのその後を知らなければ。
「……」
クシーはシャロンに思うところがあり、黙った。偶に超越者を感じさせるシャロンの話は向き合って聞いていた。
『だから、私が管理すれば全部解決ですの♪……出せやおらぁ!!クシー!!』
シャロンは残念な思考回路で昔と同じ結論を出した。猿山の管理である。ロランに言われて辞めたが今度は本気で実行するつもりであった。
……クシーはロランと違い理詰めで淡々と否定してくる。シャロンは勢いで何とかならないかなと思っていた。
シャロンはクシーと初めて会話した際、ロランを思い出す美少年に徹底的にロンパされたので殺しに行っていた。全く殺せないので本当に怖かった。
「だったらせめてグレイブヤードくらい掌握しなさい。私も忙しいのでアカネの尻蹴とばして管理できたら検討してあげるから」
クシーはシャロンの能力があるなら小国程度のグレイブヤードを掌握しろと提案した。
クシーも現地にいればそれくらいはできる。何なら爺五人も管理できた。
グレイブヤードに関しては宇宙にあるのもそうだが芸術を厳重に管理したくないのでしていない部分はあった。
『検討するってのはしないって常套句だって知ってますのよ!?前向きに検討するとか善処するとか』
シャロンは無茶言うなとキレた。クシーも出来るのかテメェと思っている。なお、シャロンと同じ立場なら出来る。
「グッパイ。シャロン」
クシーはそう言って通信を閉じた。
そろそろヘリオポリスからの報告もあるがキラは揚げ物券使っただろうか複数送ったから1枚くらいは……とクシーは報告を待った。
最終的に3500人がヘリオポリスの揚げ物を食い尽くしたとはまだ知らない。
クシーは人類を見下す人工知能に精神的なマウントを取ってスカッとした。……色々謎が増えたのは気になるが脳内の棚に無理やり押し込んだ。
『くっ……あの爺共だけでも誰か制御してくれれば』
シャロンはクシーの通信を終え、どうやってグレイブヤードを管理するか考えた。
よく考えるとシャロンに権力どころか人権も無いと気づいたシャロンはグレイブヤードで人工知能の人権活動をする羽目になった。
もうムカつく8の野郎でも良いから人格ある人工知能いないかなとため息を吐いた。
同胞の人工知能を7と呼ぶのはなんかムカつくので末尾の8とシャロンは呼んでいた。
……ため息を吐くような人工知能は仲間がいないと頭を抱えた。シャロンは肉体を得て非合理的な動作が増えていた。