極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して 作:kohet(旧名コヘヘ)
コズミック・イラ70年6月11日、クシーはザナドゥ本部の執務室にてカミーユ・ビダンとクワトロ・バジーナ大尉と面会をしていた。
昨日は仕事をしながら女性陣に謝罪行脚を行っていた。
好感度下げるのはバレるので今回はなるべく控えていた。バレなければやる気だと見抜かれていた。
特にメアリやセトナにはバシバシ言われまくっていたが違和感を抱いたクシーは真剣に対応していた。……クシーは異性相手に真摯に対応し過ぎていた。
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6月10日の謝罪行脚はルリの件が落ち着いてすぐに開始された。
距離の関係から遅くなるが対応出来次第すぐにでも始めた。謝罪可能までの待機時間に仕事を挟んでいた。
クシーはメアリがサイクロプスを伝えた事に自分へ罪悪感を抱いている事を察していた。
まず、クシーはメアリから自分が聞きだしたのだと再度伝えた。
「それは分かっているのよ!」
メアリは激高した。抑えていた感情を引き出しに来るクシーに思わず当たってしまった。
クシーはメアリが泣き止むまでただただ待ち続けた。
「自分が決めた事であり、メアリが気に病む必要はない。何より、私はエイプリルフールクライシスで引っ叩いて発破をかけてくれた事に感謝している」
クシーは気に病むメアリの腕を取り優しく丁寧に語って聞かせた。
「だから、今回は私が引っ叩いたと思って欲しい。メアリが気に病むならばそうなった時……ああ、その……」
クシーは最後を男のプライドが邪魔をして言い切れなかった。クシーは様々な葛藤から伝えられなかった。
メアリは口の動きで看破した。『助けて欲しい』である。
自分の至らなさをメアリに伝えるのはこれ以上なく恥ずかしかった。
何よりクシーの立場、ブルーコスモスの一派である事実とコーディネイターであるメアリに安々と言えるわけがなかった。
そして、メアリはその葛藤を簡単に推理出来た。
この男は本気で刺されたいのかとメアリは怒りでクシーにビンタをした。メアリは赤面を隠して後にした。
クシーは微妙に読み切れず困惑した。謝れたなヨシ!現場猫で次へ向かった。
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あーあ、もう知らないとメアリへの対応を見ていたベラは一時撤退した。
あんな感じに自分への謝罪をやってくれると期待した。
だが、
「ああ、うん。これ終わったら次の用事あるから少し待って」
クシーはベラには適当に返した。そもそも今回の事でクシーベラへ謝る理由がない。
寧ろ勝手に利敵行為をしたベラがクシーに叱責される立場だと指摘された。ベラはキレた。
適当に相手しつつもクシーもベラが献身的に働いてくれる事に感謝していた。
「ベラに関しては普段の行いが悪い。ベラは私をちょくちょく裏切るし報復しているので他の面々とは違う」
クシーはベラの理不尽な怒りを宥めながら伝えた。何でいつも変な事でキレるのか。
コペルニクスに行く前からずっとこんな感じである。クシーはベラへ悪意があったわけではないと伝わるように言葉を重ねていた。
それでも言うのが裏切る報復するというのはどうなんだろうと思い、言いなおそうか考えた。
「……ええ、そうですね。主」
ベラはここで止めた。主が自分をそのような位置に置いていると確認できた。
計画通りとも言いたげなしたり顔でベラは去っていった。
ベラは色々やらかす主に自分が特別な立ち位置であると示せたので満足した。
メアリに関してはダメだろうと思うが言わない。八つ当たりである。
ベラは少しの間、機嫌よく仕事をした。折衝等もいつもよりスムーズになった。
クシーはベラにやらかしたか考えたが考えたら負けた気がして世界中から来る膨大な仕事にエネルギーをぶつけた。すぐに終わらせて何とか次に行った。
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クシーは予定が合ったセトナと対面していた。
クシーはセトナへちゃんと話すのが大分遅くなった事への謝罪から始めた。
「忙しかったとは言い訳にもならない。私がセトナをザナドゥに招いて起きながらこれはなかった」
クシーは膝を折り、セトナに目線を合わせて本心から謝罪した。
クシーからすると10歳前後にしか見えないのだが、セトナは16歳と主張する。
クシーとしてはどの程度の目線で接するべきか微妙に悩んでいた。
一方、セトナは大分子どもの癇癪みたいな事をしたと反省していたのでクシーの謝罪が心に来た。
セトナは冷凍ポッドにいた期間を含めれば現在大体15歳だが、セトナは見栄を張っていた。この見栄がクシーを混乱させていた。
偽る年齢と実際の年齢に齟齬があるのに更に偽っていた。嘘を嘘と見抜く術に長けたクシーだからこその混乱していた。
クシーはセトナの年齢頃のラクスを知っているというのも加わる。
更にシーゲルからの情報でラクスが新人類として作られたという情報も追加された。もう誰だって混乱する。
「これは他に言わないで欲しい。セトナを信用しているから正直に言う。……私はセトナにラクス・クラインと重ねる事があった。私は君と同じくらいの年齢の時のラクスと会った事がある」
セトナはラクス・クラインに似ているとクシーの口から初めて言われた。
他から言われた事は既に何度か経験していたので気にはしない。
クシーはラクスを知っているとセトナへ打ち明けた。
割と不味いので二人だけの秘密にして欲しいと前置きした。
セトナは思わずそのラクスとどういう関係か問いただした。
「ああ、いや違う。そういう関係ではない。ラクスには婚約者がいる。……ああ、すまない。嘘じゃない。そもそも公表しているのではなかったか?」
クシーはラクスには婚約者がいるからそういう関係ではないと伝えた。
セトナは間が気になったもののクシーの言葉に偽りが無いと確信した。
セトナは本来芽生えなかった才能を覚醒させいたが誰も気が付いていない。
クシーはセトナの追及を幼子の嫉妬だと感じ接していた。……背中を刺される性癖でもあるだろう。
そして、セトナもクシーの認識に最初から気が付いていた。だからこのように機会を得ていた。
セトナはクシー忙しいのを理解していた。理解していたがつい甘えてしまっていた。
「寂しい想いをさせてすまなかった。私は信用される為にセトナ自身を見ると誓おう」
クシーはセトナと目を見て伝えた。甘えるのも理解した。
クシーは自分の親がしてくれなかった悲しみをセトナに与えたのだと認識していた。
クシーは距離感がバグっていたが、セトナがラクスの件で怒っているのも含めて過去の自分と同じ感情であると推測していた。
クシーはセトナに共感し過ぎていた。だが完全に間違っていないのでセトナも否定できない。
クシーはもう完全に余計な事を言っていた。セトナは鼓動の音が激しく鳴り響くのを感じていた。
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クシーは好感度下げるような事を意図的に長年やり続けいた。
そのせいかクシーは素で一般的な感性からすると変な事言う癖がついていたことをそれなりに自覚はしていた。
そんな今でもクシーは素で異性に対応すると碌でもない事になる。
クシーはまだ自覚が足りなかった。
根本的には両親から愛されないで育ったのに自分は両親を深く愛していたのも原因である。
気が付けてしまったクシーは今でも両親へ季節の贈り物をしていたが開けもせずに捨てられていると知っている。
クシーは捨てられたら勿体ないので回収するという意味不明な事をしていた。
賢しい子どもが取り繕っていた。少年の愛は壊れていた。壊れた子どもを何一つ理解出来ない両親は恐怖していた。
今では義姉シグネが確保するようになっていた。義父母への配慮を見せて安堵させていたが、シグネにはこのような義父母への愛は微塵も無い。
シグネはクシーが解決できない悩みへ黙って対処していた。
……こういう配慮を稀に見せるのに目の前に弟が現れた瞬間カスみたいな対応をする。
ベラはシグネがどうしてそう残念になるのかとダメだししていた。
クシーは分かりやすく言えば恋愛経験値の低い恋愛強者という意味の分からない状態である。
愛は言葉にしないと分からない。クシーは幼少期のトラウマからしていた。
言葉にする事そのものは正しいのだが程度がある。
しかし、その愛故にコズミック・イラで傷のある者達はザナドゥに集い、クシーの為に死んでいった。クシーは死にゆく者達を全員覚えていた。
今も尚、クシーが自分を知らないと思い込んでいる末端の者達まで全員覚えていた。
本心からの誠意を見せれば良いというものではない。
訂正できるのはまともな感性で接する事の出来る人間に限られていた。
そして、クシーという人間に集まる者達の中にはいなかった。
唯一の例外がコペルニクスのヤマト家であった。どう考えてもイカれまくったクシーに対応できた奇跡の一般人家庭である。
今でもヤマト家とクシーが定期的にやり取りをするのはキラの父、ハルマ・ヤマトがクシーへ君は一人ではないから頼れと言い切ったからだった。
ハルマは薄々、クシーがキラの出自に気が付いていると察していた。
圧倒的恐怖クシーという歯止めが存在しない何でもありのブルーコスモスから血のつながらない娘のキラを引き取り、隠れ住み不自由なく平和に養育させていた。
ハルマの覚悟と行動力は尋常ではなかった。クシーはハルマをこれ以上なく尊敬していた。
ハルマにとって万が一、頼めるならばアスランよりクシーかも知れないという打算もあった。
ハルマはクシーの実家、リューリク家に真っ先に気が付いていたが誰にも言わないでいた。
ハルマはクシーと関わるうちに実家と疎遠である事も察して憐れみを感じていた。
後に明るみになるザナドゥとクシーを知ったハルマは自分達が出来る事はないかもしれないと溢した。
しかし、ハルマは秘密結社ザナドゥの無名時代のクシー相手に言い切っていた。
ハルマ・ヤマトは打算に値する物が無いに等しい状況のクシーに誠実に接した『父』だった。
現状、ザナドゥは危険なのでヤマト家は何が何でも遠ざけなければならないというクシーの意見にベラは反論できなかった。
……悲しい程に正論過ぎた。自身も恵まれた家庭環境ではない。故に気持ちも痛いほどに理解出来てしまったベラはそれ以降、世界より主を取っていた。
キラがこの場に居たら間違いなくクシーは母カリダと共に説教されていた。
キラは幼馴染のこういう部分を幼い頃から察していた。
キラは自分の持つ和傘の件からも理解していた。幼馴染のこういう部分はアスランより性質が悪いと確信していた。
政治的な事柄はキラは知らない。だが、クシーではなく幼馴染の性質を誰よりも把握していた。
暫く後になるがセトナの引き合いにされた事実を知ったラクスはキレた。
クシーに悪気が一切ないので余計に酷いが思いやりが痛い程優しいもので理解出来てしまえた。
キラの言う通りだったと思ったラクスは彼女のアドバイスを実行した。