極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して   作:kohet(旧名コヘヘ)

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第65話 ラプラスの悪魔

コズミック・イラ70年6月11日、ザナドゥ本部にて秘密裡の会合が開かれていた。

ザナドゥ代表クシー、クワトロ・バジーナ大尉、カミーユ・ビダン。

若い彼らがどのような事を話し合うのかをザナドゥ内部に潜むスパイは探ろうとした。

スパイは泳がされているので普通に捕まって教育部屋送りにされていた。

スパイを取り締まると一部が隠れ潜んでしまうので把握が大変だった。

クシーはスパイ全員の本名・年齢・住所・家族・経歴の全てを把握して泳がせていた。

クシーはザナドゥや関連組織の職員達、仲間を全員覚えていた。

こんな理不尽をされてはスパイからすれば溜まったものではない。

クシーは愛故に仲間達を忘れないようにしていたのでこれは副次的な産物であった。

 

ザナドゥでスパイするのは最初から詰んでいた。スパイ自身の経歴や記憶を改ざんしてもクシーは違和感ですぐに気が付いていた。

仮に突破できても推理力でクシーを上回る頭脳を持つ元探偵メアリと元一族のミケランジェロの目を誤魔化せるわけがない。

そして今回はスパイを何かの計略に組み込む事をしていない。クシーは良くやっていたが今回はただ単に邪魔だから捕まえていた。スパイはもうザナドゥへ転職した方が良い。事実、ザナドゥはスパイ達にとって有力な転職先でもあった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

そんな可哀そうなスパイたちの悲鳴を気にしない面々は盗聴等がある会議室に移動して座っていた。

本題のビーム兵器の資料やらをざっと目を通しながら男3人は軽い会話をし始めた。

 

「今日は君を笑いに来たんだが、何か腹立つな」

クワトロ大尉は坊に告げた。ルリやセトナに叱責されたと聞いていた。

幼少期のトラウマから少女に母性を求めるようになったクワトロ大尉は醜い大人の嫉妬を向けていた。

 

「甘んじて受け入れよう。言い訳もしない。……どうも叱り飛ばしてくれる相手に私は弱いのだろうか」

クシーはクワトロ大尉の言葉を今回は許容した。気持ち悪い気配がするが。

クシーはクワトロ大尉にミン〇ーモモへ責任を取れと散々言ってきた。

女性関係の問題をクシーが起こしたのだから責める権利はあると耐えていた。

クシーは一般家庭に憧れ、恋愛するのも一人でそのまま結婚できれば良いなという無謀な事を考えていた。

それなら誰でも彼でも優しくするなと年頃になったキラが幼馴染の内心を知れば叱る。

 

「……母のような包容力が好みなのか。分かるぞ」

クワトロ大尉はクシーが大人しいのでついに理解したかと軽く感動して呟いた。

 

「アンタは毎回、気持ち悪いんだよ!」

カミーユはキレてクワトロ大尉をぶん殴った。気持ち悪い。

クシーは怒られて反省しているようだし一旦保留にした。

ルリは何かすっきりしていたしそれで良いならカミーユも言葉を控えていた。

ファ・ユイリィがその場にいれば辞めるなクシーを殴れとカミーユに激を飛ばす。

 

「……ぐっ!カミーユ、殴るならこっちだ」

クワトロ大尉は坊、クシーへ指を刺して言った。

この場を調子に乗った坊を煽れる会場として認識していたクワトロ大尉はこれ普通に自分が殴られる会場ではないかと恐怖した。

 

「ひっぱたいたぐらいで男が変わらないだろう!」

カミーユはクシーとクワトロ大尉へ吐き捨てた。

言いたい事はあるけどルリの面子で言わないでおくとクシーに示していた。

クワトロ大尉へは更に鉄拳指導してやろうかという脅しである。

カミーユは高度な表現技法を使用していた。

 

「……本題に入って良いかな?」

クシーは二人へ尋ねた。殴られるより言葉で耳が痛い。

元埼玉県民なのに京都人並みの口撃力のあるカミーユの叱責はクシーに効いていた。

カミーユは異性的な感性が足りないので惜しかった。

 

「(色々言いたいけど僕も本来の話をしたいから今回は)いいよ」

カミーユは本題を促した。色々言いたいがそれに固執するのも違う。

研究に固執し過ぎて遅刻した際、カミーユは言い訳して今は亡きザナドゥの仲間から引っ叩かれていた。

金は働けば良いが金では人の時間は取り戻せない。だからまず謝れと叱責されていた。以降カミーユも気を付けていた。

カミーユはザナドゥに向き合った結果、クシーの気持ちをより理解できるようになっていた。

辛いからほんの少しだけ離したいが異性だと変になるのだろう。

カミーユもこれに関しては具体的にどうしろというアドバイスは出来ないと自覚していた。人の道を誤り続けるクワトロ大尉レベルなら粛正する。

 

「私は別に続けても良いのだが。暇なのでな」

クワトロ大尉は空気を読まずに言い切った。この二人はややこしく考え過ぎだから話す機会があれば良いと思っていた。

それは二割である。残り八割は仕事したくないとか、責任取るようなことをしたくないとか考えていた。若きカリスマとして持て囃されるのは何か嫌だった。

 

「お前は働け。責任ある立場に居たくないのはわかるけどさ」

クシーはクワトロ大尉に告げた。クシーも働きたくないな嫌だなと思っているが言わないようにしていた。

働かないと大量に人が死ぬしそれを減らせる立場にいることを自覚していた。クシーは働くしかないので働いていた。

NJがなければザナドゥの重要性は低いがここまで忙しくなかった。

 

今朝、雑誌『木星ムー』の編集長をCB部隊ムラタが殺しに行こうとしていた。

クシーはムラタを止めはしたがこのような陰謀論や火種をばら撒く奴らが多すぎるので疲れていた。

木星ムーのクシー黒幕説特集はクシー個人への中傷がメインなのと内容が全く嘘というわけではないので否定し辛かった。

アズ中尉は殺すのはダメだが、表現の自由でもやり過ぎだとムラタとついでにクシーまで叱責された。

落としどころを探るから権限寄こせと主張していた。クシーは忙しいので許可はした。問題ないと勘は言うのだがクシーとしてはアズ中尉が心配であるので伝えた。

アズ中尉からお母さんかアンタはとクシーは再度怒られた。

国連軍時代から世話になってすまないとクシーは真面目にアズ中尉へ謝罪と感謝を伝えた。

……クシーは前日の影響でまだ素のままだった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

「クワトロ大尉は大尉なのが分かっているんですか?……佐官ですらない尉官がプラントと交渉するなら遜るように小間使いしなきゃいけないって聞きましたよ?」

カミーユはクワトロ大尉へ軽く嫌味を含んだ問いかけをしていた。

クワトロ大尉が不真面目なので少しは言いたくもなる。

 

ちなみに佐官、尉官に関しての知識をカミーユは無敵要塞ザイガスでエマ中尉から聞いた。

女子プロレス界で活躍していたエマ中尉はカミーユが元空手チャンプだと知っていた。

カミーユが通っていた空手道場である烏竜館から消えた兄弟子の目撃情報も教えてくれた。

カミーユは自分ではなく兄弟子が大会に出場すべきだったと今でも思っている。思い出のままであって欲しい。

カミーユは肉弾戦でMSを破壊出来るような存在を兄弟子以外ナチュラルでもコーディネイターでも知らなかった。

ちなみにクシーはジン程度なら他にバリーとアスランが行けるのではと思っている。

アスランは自分と同じくらいのことは出来るはずという目算である。無茶言うな。

 

「……カミーユが政治的な事を話すとは。誰かの入れ知恵か?はぁ……わかった。真面目にやろう」

クワトロ大尉はカミーユの成長か入れ知恵かに驚いた。成長した子どもを認めて大人の振る舞いをし始めた。

 

「技術者として分かるよ。医師になるのは諦めていないからな!」

カミーユはクシーの一連の行動に理解を示し言った。平和になったら今でもカミーユは医師になる気はあった。

クシーがカミーユの心変わりを止めるつもりはないのは知っているが世界が平和になれという決意表明も兼ねていた。

気恥ずかしいので若干伝わりづらい言い回しだが、無駄に頭の良い二人は理解していた。カミーユは変な言い方しない方が良かったかと後悔した。

 

「……父さんが残した資料にもMAに搭載可能なビーム兵器は難しいとあった。僕自身、ビーム兵器の開発を通してその困難さは知っている。それが出てきたら対策が必要なのは分かっていたさ」

カミーユは一旦間をおいて述べた。父フランクリンは親失格だが技術者としては間違いなく超一流だとカミーユは認めていた。

その父が残した資料から分かる通り、MAやMSが装備可能なビーム兵器はパラダイムシフトに成り得るレベルの技術革新だった。

 

「バクゥで使用された物も確認した。MSからのエネルギー供給式のビームサーベル。だけど維持できるわけではない。すぐに再起動する見せかけだ。エネルギー効率が物凄く悪い」

カミーユはバクゥが使用した試作のビーム兵器をボロクソに言う。だが、それでも脅威だった。

 

「ビーム兵器は大概の装甲を抜けるからな。ヒルドルブの装甲は例外過ぎた」

クワトロ大尉はカミーユの意見に横から口を挟んだ。

バクゥの奥の手としては悪くない。ザウートが撃破され火力でのゴリ押しが不可能ならばビームサーベルに賭けるのも一つの手だった。

ただ、ヒルドルブの装甲が桁違いに厚すぎた。

 

「坊はヒルドルブのバッテリーを巨大化していればイーリン中尉も帰還できたと考えているようだがそれでうまく行ったとしても前衛のソンネン少佐が戦死しただろう。どっちが正しいとかはない」

クワトロ大尉はこの際なので言い切った。さっき会って来たがソンネン少佐も同じ認識をしていた。

坊が聞けないが気にしていた。クワトロ大尉は憎まれ役を買っていた。……ソンネン中佐が以外にも話せる人物だったのでクワトロ大尉は拍子抜けしていた。

 

ソンネン中佐は経歴や活動だけ見ると反コーディネイター思想だった。

ソンネン中佐は戦車狂いであってコーディネイターはそこまで気にしていない。

ソンネン中佐は戦車(ザウート)乗りのコーディネイター達は強敵と書いて戦友とすら思っている。

その為、アズラエルの誘いにも乗らなかった。ソンネン中佐としては評価してくれていることと誘い自体は嬉しいのだが戦う相手を必要以上に貶したくはなかった。

これがイーリン中尉ならコーディネイターへ若干思うところがある。なので、クワトロ大尉へ文句を言う可能性はあった。クシーに尋ねられたら普通に答える。

イーリン中尉もソンネン中佐と似た意識の戦車狂いなのでアズラエルの誘いに乗るかは良くて半々である。

最初に戦死したスレェイ少尉はソンネン中佐より過激な戦車狂いであり、素晴らしい戦車を作れるザナドゥと敵対するようなアズラエルをガン無視する。

……ソンネン中佐はイカれた仲間二人を束ねる器があった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

クワトロ大尉の言葉にクシーは感謝しつつもすぐにビーム兵器の話に戻った。

 

「私のラプラシアン式だとサーベルだけで済む。私はビーム兵器をMSから供給するという発想に欠けていた。今回のバクゥのビーム兵器はカミーユのメガ粒子砲に近い」

クシーはビーム兵器を単体で運用するように開発していた。携行武器の延長である。

携行武器だと火力が弱くなるが、最高品質のラプラシアンシステムはエネルギー効率がほぼ100%になるので携行武器の大きさでも火力が高くなる。

流出の対策を考えていたのも停滞の理由だった。複製は不可能に近いがそれでも使い捨ては不味い。

 

「メガ粒子砲に関しては理論が良く分かっていないから1年以上はかかるかもしれない。……戦争がそこまで続いたら不味いんだっけ?」

カミーユはクシーに確認した。一年以上は不味いのでラプラシアンシステムでの運用を考えていた。

今建造中の戦艦フェイト・ノーチラス号の主砲などにはラプラシアンシステムも使用されていた。

ラプラシアンシステムは従来の兵器の延長ならば使用できた。家電などに使用されるラプラシアンシステムは廉価品のダウングレードであり、公開している範囲で使おうとすれば一瞬で壊れる。

ちなみにメガ粒子砲は既存の物理学とは別の現象が起こっていた。カミーユは意図せず経験で得られた情報を基にメガ粒子砲の開発を進めていた。

 

「……佐官教育を受けていたのだが、様々な技術が兵器に使われるようになっている。開発側も未知のテクノロジーを使ってみたいと危ない気配はしている」

クワトロ大尉はカミーユの疑問に補足するように絞り出した。

クワトロ大尉は地球連合軍大尉になったが、周囲から佐官教育を受けさせられていた。

 

「やっぱり尉官で足りないじゃないですか」

カミーユは思わずツッコんだ。

 

「まぁまぁ……ラプラシアンシステムとミラージュコロイドを補い合えば完成するよね?ラプラシアンシステムのみと比べるとエネルギー効率は落ちるけど」

クシーはカミーユに尋ねていた。ルリにも聞いたが確認である。

 

「作ってみないと断定はできない。……そもそもラプラシアンシステムだけで作ったら無茶苦茶に……もしかして根拠があるのか?」

カミーユはクシーに断言したくなかった。カミーユは無意識だが父フランクリンを超える為のラインとしてビーム兵器を設定していた。

軽々しく言えないと普段より頑なになっていた。ラプラシアンシステムだけのビーム兵器が可能であるのか分からないと言いかけた。

そして、カミーユはクシーが出来ない悔しさから言っているわけではないのかもしれないと気が付いた。

目算があるなら出せと思わなくもないが、量産性が皆無なのだろう。カミーユはラプラシアン式ビーム兵器の開発にも関わっていたので判断できた。

 

「それはだな!……坊、これ私言って不味いから黙るぞ」

クワトロ大尉は良い感じに叱って導いてくれそうな少女を語ろうとした。

言うつもりはなかったが、アレかと和傘を思い出していた。

当時のクシーは物凄い執念で開発していた。愛が重いとクワトロ大尉は軽く引いた。

 

「是非そうしてくれ。今後も言うな」

クシーはクワトロ大尉の軽率な発言に冷淡に告げた。

クシーはキラが成人しても言うんじゃねぇと本気で圧をかけた。

カミーユはクシーが本気でキレかけたので言語化しにくい感情を察した。

 

「昔、友人にプレゼントに使った物のデータだ。他言しないでくれ」

クシーは現物がないので証拠も無いと示しつつカミーユへ手渡した。

 

「……わかったよ」

カミーユは受け取り言わない事を誓った。

 

「……これは……出力が低すぎてそのままは無理だけど……現物あれば……」

カミーユは受け取った内容を嘘ではないと仮定して読み込んだ。どういうものか理解出来てしまった。

これを軽率に明かそうとしたのかこのグラサン。カミーユはクワトロ大尉への粛正を忘れて読み込んでいた。

 

「グレイブヤードで必要な職人を育成しているけど私の域に届く若手がまだいないんだ。私が教わった当時の先生は逝去されたし」

クシーは作れてしまったのを回想していた。頑張って作ったのに馬鹿にしやがってあのズラ。

クシーはアスランにどうやって勝つのか脳内でシュミレーションした。凄まじい加速で分身する5体のアスランがクシーの脳内で襲い掛かっていた。

 

「門外だから分からんがロストテクノロジー手前の技術なら誰も真似できないという事か?」

クワトロ大尉がカミーユの異常な行動を見て尋ねた。作れないなら驚くだろう。

クワトロ大尉はクシーへちょっと現実に戻れと軽く小突いた。

 

「……ラプラシアン式のビーム兵器を巷でなんて呼ばれているか聞いたことあります?」

カミーユはこれをちゃんと理解していない二人に尋ねた。クシーは自分で作ったから過小評価している可能性が高い。

カミーユは、これは自分が言わなきゃダメだと大人になっていた。

 

「知っていると思うか、カミーユ」「仕事で忙しいから知らない」

二人はカミーユの反応にただならぬものを察したが大げさに感じていた。

キラへの誕生日プレゼントがそこまで重いと思っていない。

 

「ラプラスの悪魔。プラントのハインライン設計局の誰かが言ったらしいです。……出来ているじゃないですか。……事実上の永久機関じゃないか、これ」

カミーユは二人に告げた。何てことやらかしているのか。

 

「……………………ああ!!」

クシーはカミーユの指摘に今気が付いた。

飽くまで可能性でより弄る必要はあるがそういう活用もできた。そんな意図で作ってないし、そもそもプレゼントの為に一心不乱に開発していた。

当時のクシーはより良い物を作る事しか考えていなかったし、カミーユのような考えは思いつくはずがなかった。

兵器転用したショックはあった。だから深く考えるのを途中で辞めていた。

ミケランジェロが何も言わないのはカミーユと同じく現物作っているとは思わない。

……他諸々を踏まえてもカミーユへの反論を提示できない。全てがクシーの中で整合性を取れていた。

 

ミケランジェロ、マティアスはラプラシアンシステムを止めない愚妹マティスに呆れていたが、流石に理論そのものに到達しかねない代物を作っているとは思わなかった。

マティアス、一族の把握する歴史ではグレイブヤードの技術はほぼ全てロストテクノロジーとなっていた。

一部の刀剣技術がMSに反映された程度しか一族は把握できていない。

全盛期の一族でもクシーのこのやらかしを事前に気づくのは至難である。それでもすぐに気が付いて止めるか交渉する。

現当主のマティスと違って全盛期の一族ならば今のクシーとも交渉が可能だった。

事実、歴史の分岐点で一族は暗躍しつつその時代のイレギュラー達と交渉し、より良い人類の幸福を追求していた。……現在は見る影もない。

マティアス達の母は一族への反抗に失敗し、その意思を引き継いだマティアスはよりによって妹のマティスに排斥された。

一族の残骸が今なお世界の裏側で君臨していた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

それでもクシーはカミーユの仮説を考えている間にこれは問題ないと自分への反論を用意して落ち着かせた。

キラは一般人だ。ヤマト夫妻も危ない事はしない。

 

だから、

「いや、大丈夫。だって中立国の一般人だよ?プラントの高官に保護されて持っていかれたとかでない限りりりりり……」

クシーは落ち着いて自分に反論していた。だが、言っている途中で問題があった。アスラン、テメェ。

 

「いや、あのハゲは間違いなくキ…保護する。うん。……マジで何もすんなよ」

クシーはこれまでになく取り乱しつつも結論がでた。

最悪でもキラが無事になる取引材料としての価値を期待した。戦争終わらせてキラと話さないといけない。

 

「ちょっと横になった方が良くないか?……私が見張っているから」

クワトロ大尉は坊の発狂と動揺するカミーユを見て提案した。

クワトロ大尉はちゃんと寝ていた事に感謝した。ちょっと聞かなかった事にした。

クシーとカミーユは30分程寝た。クシーが1日30分も寝たのは1か月以上前だった。

 

冷静に考えるとキラの和傘を調べるのってどんな変人だとクシーは落ち着いた。

極めて優秀な科学者が違和感抱いて調べるにしてもどんな確率だ。クシーは手に渡っても価値が分からないだろうと気にするのが逆に危ういと判断した。

本来であれば下手に言わなければ誰にもバレなかった。

後にフリーダムやジャスティスを開発するような奴の目に留まると想像するのはどう考えても無理であった。

しかもそれが兵器でも何でもない和傘である。目をつける奴がおかしい。

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