極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して   作:kohet(旧名コヘヘ)

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閑話 ちょっと待て!私はここまでとは聞いていないぞ!コラ!写真を撮るな!ちょ、お父様!?待って!ああぁー!!?

コズミック・イラ70年6月12日、無敵要塞ザイガスに向かう道中のザナドゥ代表クシーはオーブ首長国連邦へ通信を行っていた。

ウズミ代表の娘カガリに送ったプレゼントがクソゲーだという根拠の無い酷い罵倒をして来たので適当に相手をしていた。根拠しかない。

クシーは相手にしつつもカガリの語るもんじゃ焼きの店が気になったので今度オーブ首長国連邦に寄ったら案内してと約束を取り付けていた。

……クシーはカガリとは仲良くなり過ぎないという自分のラインを素でミスっていた。

 

次の通信が入った。オーブ首長国連邦でザナドゥ関連企業の職員として働いているケン・ノーランドからだった。

オーブ首長国連邦の下級氏族スセ家の人間であった経歴がある。未亡人のケンの母は母子が生きる為にスセ家当主の愛人となったらしい。

ケンの母親が病気になりスセ家は見放し、母を抱えたケンはザナドゥに身を寄せて現在に至っていた。

ケンの母は病床に伏しているのだがNJさえなければ研究の過程で病気も完治していたかもしれない。その為かクシーは母子を気にかけていた。

というかケンが有能なのでこんな逸材を手放したスセ家はアホなんじゃないかとクシーは思っている。

情報工学の才能が顕著だが人命を尊ぶ姿勢から医者が向いているのではとクシーは思っていた。

ケン曰く医学の才能はそこまでないとのことだが、才能ではなく心根が向いている。

クシーは才能がまるでないのは流石に勧めない。だが、やりたいことが出来るならやる事が大事だと思っている。

そうでなければ世界中の批判が来る中でゲームなんか作っていない。

世界でも有数の素晴らしいゲームを作る才能があったと自負するクシーへ世界中の人間が石を投げてもおかしくない。

 

クシーはラクスやニコルが評価するように芸術一つ一つの才能が極めて高い。

だからこそそれが纏まったはずの作品であるゲームの内容の酷さがダイレクトに伝わって来ていた。

エビデンス01が敵の親玉で手下のAIが愚かで下劣な人類を滅ぼしに来る等全方面に喧嘩を売っていた。

ゲームから要素だけ抜き出せば素晴らしいので音楽等が売れていた。

自身のゲームと裏腹に儲けまくる音楽配信サービスにクシーは常にキレている。

ゲームの為に作ったのであって音楽権利団体に寄付したわけではないと認識している。逆恨みも甚だしい。

大体その音楽配信会社から報酬として受け取った金で新しいゲームを作っているのだから逆に感謝しろとなど言えば恐ろしい未来がありそうである。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「先ほどカガリ様が代表の本名を罵倒と共に叫んでいましたがどうかしましたか?……まさか、例の件がバレたので?」

ケンは挨拶もそこそこにクシーへ尋ねた。ケンはスセ家の養子だった関係で政治に通じている貴重な人材であった。

気が付けばカガリに近い立ち位置になっていた。ケンは母親やクシー以外に基本毒舌なのでカガリに良くキレられている。

カガリが今のケンの発言を聞いたらお前、カガリ様なんて呼びしない癖に猫被っているのかとキレる。クシーに通じている事に怒らないのはどうなのだろうか。

ケンはクシーに現状を隠していないが何か出来る立場でもない。本当にカガリの近くで働く機会が他より比較的多い程度である。

 

ケンは表向きザナドゥ所属ではない。関連企業に席を置くが兼業出来る程度の業務量にされていた。母への看病その他でクシーはケンへ配慮していた。

ケンはハーフコーディネイターであるので業務量がナチュラルよりも体感少なく済んでいた。

母は大分回復していたし、クシーへの恩義もあればスセ家への恨みもあったので政治的使いやすい小間使いという形でも働いていた。クシーもそれ以上は求めていない。

強いて言えば緊急時のホットラインとして使えたらお願いしたいと思っている。ケンを放置できる程現実は優しくなかった。

政治的野心があるならばクシーはそれを利用する事を躊躇わない。クシーは無条件で甘いわけではない。

 

「例の件?ええとすまん。具体的に頼む」

クシーはケンに聞き返した。どれがバレたんだろうと少し不安になった。

ケン視点ですら色々やらかしているがクシーは普段の言動行動から全て伏線張っているので更に多かった。人間技でない自己管理能力が成せる技である。

 

「失礼を。錐もみ回転で放物線を描きながらプールへぶち込まれるウォータスライダー。オープン初日までカガリ様に隠し通してその場の勢いで乗せる計画です」

ケンはクシーがフレームの件を絡めて提案してきたプールに関してだと告げた。

カガリの無様な姿を拝めるならケンとしても楽しみだった。

 

「それは大丈夫だ。もう既にウズミ代表に了承を得た」

クシーはなんだその件かと安堵してケンに伝えた。カガリの父親に取り付けていた。

こうすればもうカガリは逃げられない。ああ、きっと面白い光景だろう。この男はクソである。

 

「それなら問題ないですね。代表がオーブにお越しになれないのが残念だ」

ケンはクシーに同調した。ケンは周囲からクールなキャラだと思われているが馬鹿やるのに意外と乗る男だった。

ケンの場合、青春が無いような人生なのでクシーのやらかしは青春を取り戻すような感覚になっていた。

 

「全くだ。何もかも戦争が悪い。先日ウズミ代表に話した際、娘に何しようとしてくれんだという反応されたが、市民の人気取りに良いんじゃないかと言えば快く許してくれた」

クシーはケンの言葉を聞き、ため息を吐いた。

ウズミは娘カガリが水着で公共の場に出て求婚者が続出したらどうするのかとクシーに言って絶句させた。

市民の人気はあった方が良いだろう、皆から愛される庶民派で売ったらどうなのかと提案したら簡単に乗った。親馬鹿にも程があるとクシーは思った。

なお、無茶苦茶な軌道の無様を晒すウォータースライダーとはウズミに言っていない。クシーは普通のプールにあるようなウォータースライダーだとウズミへ説明していた。

 

「ウズミ様にも納得頂けたら安心ですね。安全性を配慮しつつ初見のカガリ様がほぼ確実に無様を晒すような素晴らしい設計は代表の案ほぼそのままになりました」

ケンはクシーの言葉を受けてほっとしたように言葉を続けた。

糞みたいな内容を淡々と熟すのは糞野郎クシーの悪影響を受けていた。

 

「ですが、想像を現実に落とし込む事が我々の仕事。……このようなご時世に機会を与えてくださり感謝します」

ケンはクシーへ心からの感謝を述べた。戦争の最中でオーブも緊張感で張りつめていた。人心が安らげばオーブも良くなるだろう。

不謹慎と喚くものも多かったがいざ作り始めると期待する声も多くなっていたとケンは実感していた。

実際、ケンもクシーからの提案に当初は不謹慎ではと思っていたが皆言えないだけで心の底では求めていたのだと分かった。

他のほぼ全職員が同様の事を思っているのは間違いないとケンは確信していた。

クソゲーしか作らないがエンターティナーとして一流だとケンはクシーを評価していた。ケンですらクシーはアレなゲームを作る奴と認識されている。

 

「気しないでくれ。私こそ感謝する。不安だらけのこのご時世だからこそ娯楽は大切だと確信している」

クシーはケンの言葉を受け止めて感謝し返した。昼休みに突発的に思いついて書き留めたのがきっかけとはいえ、楽しめる何かが必要だとは内心思っていた。出来るところがあるならば良い。

今回の事例で完全な実益を言えばフレームを利用する人が楽しんだ分水中用MSの一部がマシになるかも程度である。

人の心が荒むと碌な事がないとクシーは知っていた。現在進行形で自分が体験している。

心があるうちに何かを挟まないと人の心を見失いそうでクシーは怖かった。

 

「……平和になっても楽しめる物のない世界など苦しい。だからオーブにはそうであって欲しいと私は考えている」

クシーは心からの言葉を述べた。キラがヘリオポリスで平和にやれていると知れば自分はその平和を世界から取り戻したいと願えていた。

オーブがそうであるならクシーはまだまだ戦えた。

サハク家の双子は何仕出かす気かとか他の氏族が何しとんねんとかは思っているが今は無視している。

ウズミ代表も問題なくはないのだが他が酷過ぎるのはどうなんだオーブと口に出さないクシーは大人であった。

 

「代表……」

ケンはクシーの言う通りの国だったら良かったのになというのを控えた。

ケンは下級氏族に一時期いて今はカガリの近くの小間使いをしているのでクソカスゴミがいるのを知っていた。セイラン家とかクソだと思っているが言わない。

ケンもまた大人にならざる負えない子どもだった。

 

「オーブの理念、『他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない』は私も尊敬に値するものだ。友好国とは友好的でありたいものだ」

クシーは言葉を締めくくった。これ自体は良いのだが終末戦争手前で何もしませんってならないかと不安であった。

クシーは何もしないなら何もしないで接するが他の勢力の動きでオーブにも干渉する事もありうるので正直無理じゃないかと思っていた。

 

「……そうですね。我らも必ずやカガリ様を阿鼻叫喚にさせて見せましょう。オーブの為に」

ケンはこの場は言葉通り受け止めて皆が笑えるイベントについて述べた。

ケンもまたオーブの為にと言って泥を被れば仕出かしても許される系オーブ国民だった。

 

ちなみに該当プールで販売される予定だった『カガリ様のウォータースライダー体験』写真集はカガリの差し止めで破棄された。一部の熱狂的オーブ国民は嘆き悲しんだ。

……ザナドゥ代表クシーの秘密書庫に保管された物を除く。

かなり未来、クシーの秘密書庫に潜入しようするアスランの姿があった。

メイリンが協力してくれないので一人でアスランは全力で立ち向かった。

だが、圧倒的アドバンテージを有するクシーの秘密書庫にはアスランすらも入れなかった。

……セキュリティの癖をある程度把握しているメイリンと組んでいれば可能性があった。

その場合、ハッカーMの正体は看破されるし、気づいたクシーの手でメイリンは逮捕される。

メイリンからすればアスランは既に少し錯乱している状態を見れるのはとても面白そうだったがどんな形でも協力は不可能であった。

 

 

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