極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して   作:kohet(旧名コヘヘ)

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第69話 幸いなるオーストリアよと言って世界平和にならないのだから次は言わないでください

コズミック・イラ70年6月21日、L4宙域新星でザフトと地球連合軍が衝突し、戦火が周辺コロニー群へ飛び火していた。

6月14日から突然発生した国連宇宙軍が戦火から民間人保護を掲げて介入を開始し始めた。

ザフトや地球連合はMSジンやMAを持ち出してくる第三勢力に混乱した。

国連軍が戦闘そのものには介入しないという宣言を遵守していたので無視して殺し合う方向に移っていた。

国連軍側もザフトと地球連合軍とまともにやり合えば勝てないと十分理解していた。

 

地球側の国連軍CB部隊等は入念に準備して投入出来ていた。

しかし、国連宇宙軍創設の時間は足りなかった。

クシーも本当はしたくなかったがMAトリアエーズをL4宙域に住んでいた避難民達に作らせた。

クシーは最低限の道具と材料で製造可能な戦闘機を元ハービック社の面々の意見を取り入れつつ図面にしていた。

兵器の現地開発は宇宙海賊等に流出する恐れもあった。最低限の対策でゴーサインを出すくらい余裕がなかった。

クシーが放置すればL4宙域に居残る2300万人が死亡するので必死だった。

メビウスは軍用へ卸しているので国連宇宙軍に持ち出す為にはカバーストーリーの準備が必要だった。

トリアエーズはミストラルよりマシ程度の量産機であり知識も技術も不足している避難民でも作れるMAだった。

ミストラルを圧倒しているのは生存性くらいであり、クシーは脱出装置の搭載を義務化していた。

脱出装置の搭載はトリアエーズの生産性が若干低下したが大量に配備する気は最初から無かった。

実際、トリアエーズは半年以内に全て機種転換されることとなった。

ここで得た兵器製造のノウハウは国連軍にとって大きな意味を持つことになる。

トリアエーズは何も無い人々に職を与えていた。

日銭を稼ぐ為に取り合えずやってみたら兵器製造や整備の才能があったと判明するケースが多数報告された。

 

クシーはそう簡単に才能なんて分からないだろうと思ったが報告が事実なので飲み込んだ。

マルキオ導師はあまり好ましくない活用であるがこの時代では否定出来ないと嘆いた。

マルキオ導師は黒幕にしか見えないが純粋に平和と人類の革新を願う宗教家でもあった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

コズミック・イラ70年6月21日、ザナドゥ本部にて代表クシーはスカンジナビア王国の然る方と秘匿通信をしていた。

スカンジナビア王国は立憲君主制であり、選挙で選ばれた国務大臣が国王の補佐を務めるという形で実務を担っていた。

国王が政治を独占する事も理論上は可能な政治体制である。

慈悲深い国王陛下は民衆に権限を委譲してから一度も起こっていないという事になっていた。

 

実際、国の運営を独占はしていないのでクシーは食えない人だと通信相手を評価していた。

スカンジナビア王国の貴族とはNJ前に優先通信網構築の際にやり取りをしていた。

その縁でスカンジナビア王国で一番偉い人がクシーに通信してきていた。

クシーは国王と何度か会った事はある。しかし、殆ど会話らしい事をしていなかった。

国を左右する話であっても大臣クラスで大体終わっていた。クシーも王にまで踏み込んだらスカンジナビア王国の国民が黙っていないので自分からは触れなかった。

スカンジナビア王国で未だに支持される王政は実態は兎も角、国民に対しては清廉潔白でなければならない聖域だった。

 

クシーの認識ではスカンジナビア王国はプラントとも利権を保有するプラント理事国とも関わりつつ上手くやれていた。地球連合になってもそれは変わらない。

シーゲル・クラインの故郷であるスカンジナビア王国は裏でクライン派と繋がっていたが表に出さずに地球連合の協力にもある程度対応していた。

中立国として国内の氏族を統制出来ていないオーブ首長国連邦よりもかなり安定感があるとクシーは評価していた。

安定感があるというが比較してであり、コズミック・イラにおいては簡単に吹き飛びかねない危うい均衡でもある。

真の支配者は国連軍が気になったのだろうとクシーは理解して対応していた。

 

「国連宇宙軍に関しては公式HPをご覧ください。うちの広告塔が避難民を守る為にジンを撃破したシーンは感動物ですよ」

クシーは国王がどこまで把握しているか確認した。試すには無礼過ぎる相手であるがクシーは今更気にしない。

 

「彼女はナチュラルではなかったかね?3年前、君が言っていたと記憶しているが」

スカンジナビア王国の国王はクシーの試しに返答した。王の器を試すのは若気の至りか万能感か自信か野心か見定めていた。

アリサ・ロッサの件はザナドゥ代表クシーとして表舞台に本格的に進出してすぐの事件だ。

国王はクシーが自身に関してあまり怒りを見せないが身内だと怒りを露わにすると認識していた。

若気の至りとするには酷な内容でもあったとその怒りならば納得しかない。国王はクシーの評価を次に回した。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

勿論だがアリサ・ロッサとクシーは国王が邪推するような関係ではない。

当時の二人は初対面の赤の他人である。アリサは想い人に助けを懇願したがブルーコスモスに売られていた。

アリサは不運にもコーディネイターを想起させる身体能力だったので逃げきれた。

アリサの両親は娘を救う為に盾となり殺され、誰も彼もいい加減で頼れないとアリサは絶望していた。

当時のアリサはいい加減な男が嫌いだからいい加減な優しさを見せるなとクシーを激しく拒絶していた。

だが、クシーは理不尽な迫害にキレたのでアリサがどう思おうが関係なかった。

 

「私のいい加減さを舐めるなよ。……何ならお前が小汚いおっさんでも扱いは変わらないと知れ」

クシーはアリサに言い切った。恋人だかなんだか知らないがそいつは後でお話しよう。

アリサが自暴自棄になろうがクシーは勝手にやる事にした。

常人のいい加減さとは格が違う事を教えなければならない。

護衛の『雲』として隠れているユーリの目が怖いとクシーは思った。

アリサにバレないように丁寧に殺意を向けているような気がする。

親友の死から笑わなくなっていたがユーリも感情が出ているのは良い事だとクシーは現場猫をキメていた。

 

ちなみにユーリはコペルニクスの悲劇で死ぬ直前にクシーを刺しに行った。

ユーリとしても本気で殺す気はなかったが全力で刺しに行った。

強くなったクシーにユーリの刃は容易く防がれた。ユーリはこれなら他の誰に刺されても心配ないと考えてしまい思わず笑ってしまった。

ユーリは親友チトの死以降、5年以上もの間一度たりとも笑わなかった。

クシーが何をしても無理だった。それでも一瞬笑った姿をクシーは見た。

会議の後で話そうとユーリは別れを告げ、コペルニクスで死んだ。クシーはあの時聞いておけばと後悔していた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

クシーは命懸けで娘を守り切った会った事も無いアリサの両親に敬意を評した。

心の中で冥福を祈ったクシーはこの件に関しては守り切ると勝手に誓った。

勝手でも約束は守って来たとクシーは極めて真面目に対応していた。

飽くまでこの件だけである。無責任に助けるなと生前のチトに言われていた。

確かにその通りだなとクシーはザナドゥで最も常識のあった亡きメンバーの言葉を噛みしめていた。

当たり前だがチトがいればそういう意味ではないとツッコんだ。

当時約9歳のクシーに異性愛を説くのは早いと常識的な対応をしてしまっていた。

クシーに関してはチトを暗殺したブルーコスモス過激派が悪い。クシーは例えるなら性教育を独学したような状態だった。

独学がカンストレベルなので情操教育が足りないのは気が付けない。

 

「は、はぁ!?……落ち着きなさい私。この私、アリサ・ロッサは容姿も才能も人並み以上のものを持って生まれた。そう私は美少女なのよ!」

自分が小汚いおっさんと同列に扱われたアリサはキレつつも事実を並べていた。

アリサは自信を取り戻した。……アリサは恐怖が和らいだ。

 

「美少女だからなんだ。22世紀にロッサ「アリサ!」……アリサと同じ血液型がいたがアイドルで戦闘機パイロットだぞ。属性過多でないと昨今のゲーム市場で売れないんだ……」

クシーはロッサをアリサと呼ばせられ、属性過多な史実に現実のゲームが敗北したショックでへたり込んだ。

アリサはクシーの意味わからない落ち込み方は兎も角、クシーは美少女程度では動じないのだと若干誤解した。

 

「……リアルと、ゲームを、混同するな」

見ていたユーリはぶちのめしたブルーコスモス過激派達の関節を外しながらツッコんだ。

アリサ達には気取られないがデビルイヤーは地獄耳などと自称しているクシーの耳には入るだろう。

クシーはユーリの言葉に一理あると思ったので部分的に反省した。クシーは反省しないゲーム脳に汚染されていた。

 

その二年後にアリサに再開した際は病室であり、死にかけだった。

クシーは必要な血液や材料を集める過程でプラントに依存しない義肢技術のフレームが臓器として使える事を発見した。

アリサはミケランジェロの協力の下、骨髄の一部をフレームに置き換えられていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

話はスカンジナビア王国の国王との秘匿通信に戻る。クシーはアリサの件に触れていた。

コーディネイターを想起させるアリサのMS操縦はもはや秘匿不可能だった。

アリサには悪いがMS操縦できるナチュラルという事実で路線を押し切る事にした。

事実なのに言い訳に見えるのが酷いが国連軍として推す事で過激な連中をある程度抑制できた。

クシーは無責任に助けるなというチトの教えとアリサの両親へコーディネイター関連なら守ると誓ったのを両立しようとしていた。

クシーの行動に関してチトが生きていれば仕方がないけどなんだかなぁと呆れ、ユーリは刺されても死なないと私が確認したから大丈夫だよとズレた事を言う。

 

「血液型が特殊なだけのナチュラルですよ。同じ血液型で22世紀の戦闘機パイロット系アイドルも似たようなものでしょう。あちらの方がおかしいと思いませんか?」

クシーは真面目に事実に敗北を感じた経験を語った。アイドルの戦闘機乗りで人類初の血液型とか意味わからない。

クシーが教えを請いたいレベルの属性過多である。ゲームの為にもタイムマシーンが存在すれば過去の本人へ取材したい。

 

「……それは置いておこう。ナチュラルでもMSを使える人間が稀にいるという報告は聞いていた。偶々なのだろう偶々」

スカンジナビア国王は半信半疑を隠さず理解を示した。

ザナドゥが匿うとなれば迂闊に手は出せないので国王は手を引いた。

イシュタリアのアウラ・マハ・カイドゥが取引を持ちかけていた。

スカンジナビア王国ならアイドルのアリサ・ロッサを招いてアウラの手の者が誘拐するという話だった。

アウラは誰も知らないはずの政府高官の汚職を取引に持ちかけていた。子どもにしては老獪過ぎると国王は訝しんでいた。

国王は清廉潔白な自身が汚職を公開する事でアウラの目論見をご破算にする事に決めた。

そういう意味でもクシーの介入は言い訳も出来たし助かった。アリサの血液が何かあるのかと思うがアウラへの最低限の義理立てとしてクシーには秘めておくことにした。

アウラが高度な諜報組織を有している国王は判断していた。クシーに言って自身や国が危ういと思えば言えなかった。

……どれだけ優秀だとしてもまさか考えの読めるアコードの存在に思い至るわけがない。

 

「ザナドゥではない国連軍ではナチュラルでもMSの適性検査を受けるらしいですよ」

クシーはアリサがMSの適正検査を勝手に受けたのを全体に適応した。

実際、やる気でいたので間違ってもいないのだが一言欲しかった。

アイドルに箍緩んでんじゃないとキレた。クシーは手が足りないので一部業務を外部に委託していた。

地球連合からザナドゥだけで色々やり過ぎだというクレームがあったので委託してみた。

そこからアリサがザナドゥの機密を抜いてきた。国連宇宙軍やMS適正検査等である。

アリサは別に悪くないとクシーは気にしていない。

利用する姿勢は好感が持てる。その程度の被害で済んでいたのは理性的だと評価していた。

アリサはクシーの好感度を稼いでいた。ただし、異性としてではなくやり手の営業としてであった。

クシーは戦争の危険性がある限りザナドゥの関連組織や信用できる提携先しか使えないと嘆いた。

地球連合側もせっかく懐柔出来るところだったのに身内の馬鹿が馬鹿やって余計に悪化させたと激怒した。

 

「ザナドゥならやるだろうな。いや、それこそどうでも良い。国連軍も建前だと仮定して君が思いつくものを話したい」

国王はクシーが話す内容が嘘でも真実でも意味が薄いと看破した。

なので、クシーを試す言い方を試みた。今後の取引や関係を見極める意味でどこまで開示するのか機転を見極めたかった。

……国王はクシーがザナドゥの全てを支配しているとは考えていなかった。

スカンジナビア王国国王はクシーを対等の王として対応していた。

相手が優秀過ぎて誤認したと国王は思い、言葉を誤ったと反省した。

 

だが、

「……中立維持。グリマルディ戦線で大量の尉官以上が戦死し、今回の国連軍騒動。地球連合がL4宙域から強奪する“はず”だった食料等の物資の不足で不安になりましたね」

クシーは国王の真意を看破した。国王は聞きたい事を全部見抜かれた。

クシーは心を読んだかと一抹の恐怖を抱いた。クシーは別に読んでいない。

メアリなら考えるまでもない。クシーは国王が自身を対等と認識していたので答えていた。

 

「分かっているなら……すまないあまりに軽率だった。この場だけであるが謝罪する」

国王は言いかけたのを辞めた。飢えた獣がL4コロニー群を食えなかった。

だったら飢えた獣である地球連合はスカンジナビア王国を食うのではないかと恐れていた。

国王としては避難しない宇宙移民を気取る愚か者よりも自国民を守りたかった。

クシーが彼らの王ならば交渉できる。スカンジナビア王国の偉大な王は光明を見出した。

 

「いえ、国を動かす身ならばそれは当然の反応です。そして、国連軍は国連なので人命を最優先に行動しているだけです」

クシーは美辞麗句を述べつつも自分のミスを察した。

国王は自分を『王』として見ていると即座に看破した。……冗談ではない。

 

民主主義の博愛の精神で殴り合う優しい世界を考えていたが無理だとクシーは知っている。

クシーの理想の民主主義は酷過ぎるがコズミック・イラよりは遥かにマシだった。

……腐敗も差別も貧困も殴り愛で分かり合うので大部分が解決できる世界ではある。

病人や弱者の事も考えハンデを設けたりしているが思春期の妄想に過ぎないし本気にしてはならない。

 

「……地球連合のエンデュミオンクレーター基地が消滅したという真偽不明の情報を信じるならば地球連合は何かで補充すると我々は推測している」

国王はクシーが守りに入ったと察した。……同じ年齢の頃の国王自身では比較にならない。

国王は心情を含めて吐露する事にした。クシーが聞き流すなら見込み違いだが、聞き流せないだろうと踏んでいた。

老獪な立憲君主制の王は本心から自分の抱く理想の王を演じていた。

スカンジナビア王国はサイクロプスに関しておおよそ見抜いていた。

宇宙を観測すれば何かがあったとわかり、資源は何が眠っているかもわかる。恐ろしい兵器であった。似たような物に巻き込まれたら国が終わりかねない。

地球連合加盟国にとってスカンジナビア王国は他国で他人である。味方を巻き込んだ大量殺戮をするような相手が恐ろしい。

スカンジナビア王国はそうやって分析した結果を下に足りない部分は対話で誤魔化して生き残って来た。

……それが通じない理性無き野獣の時代になりつつあった。

 

「我々を併合した場合、戦火は拡大するだろうさ。何か側も状況次第で軍門に下る用意はしている。だが、濫りに広げたくないのは国連軍も志は同じものと信じている」

国王はクシーに締めくくった。国連軍はどうするのかと暗に述べた。

 

「関係ない前提条件を挙げましょう。スカンジナビア王国はバイオケミカル発電により原子力発電への依存が少なかった。結果、NJ投下の被害が少なく済んでいた」

クシーは汚いが正しい国王の狙いを敢えてずらすことにした。聞き流してはいない。

前提条件という耳障りの良い言葉で少しずつ紐解いていく。

 

「スカンジナビア王国の食料自給率は今でさえ推定170%。そしてプラントは農業コロニーであるユニウスセブンを喪っていた」

クシーはアスランの母レノアを思い出し、子ども達を抱えてボールで脱出したアズ中尉を思い出した。

地上侵略はプラントの食料不足もあった。プラントへの食料輸出を禁止したプラント理事国も悪いがそれは一旦置いておく。

 

「プラント側の目的に関して調査により食料確保も含まれていたと判明している。スカンジナビア王国側も中立でいる為に大変だなと思いました」

クシーは国王に国連軍を巻き込もうとしているが、スカンジナビア王国もプラントに頼っているじゃないかと逆に問いただしていた。

クシーは感情的に揺すぶられても判断が付かないなら話に乗らない。クシーは聞き流していないが聞き返していた。

 

「スカンジナビア王国も大変だ。地球連合が攻めてこないか不安で仕方がないでしょう。連合のガス抜きにされかねない」

クシーは心配するように言った。現に物凄く心配していた。

スカンジナビア国王は被害者で可哀想な中立国であったはずの立場が逆転していた。

クシーが強者である国王を健気にも心配する弱者となっていた。

国王になって以降、1対1の腹の探り合いからの心理戦で初めて負けた。

 

「…………国連軍は戦争犯罪で動いている。今回のL4宙域でも必要以上の介入はされていなかった。国連軍は中立国への侵略に介入するか否かを問いたい」

国王はクシーに敗北を認めて正直に尋ねた。

見事なまでに追い詰められたので見込み違いどころの話ではない。

 

「正直に言います。国連軍は飽くまでも自衛の範囲で動いています。地球連合側も馬鹿ではないので南アメリカ合衆国のようなケースを警戒しているでしょう」

クシーは正直に答えた。こればかりはどうしようもない。

だが、南アメリカ合衆国のピアソラ大統領と違って自分で用意できるだろうと返していた。

ピアソラ大統領は李国主を魅了する程口が上手いが八方美人になりがちであり実務がダメだった。

 

「……参考になった。感謝する」

国王はクシーの言葉の真意も含めて理解した。あまり酷ければ協力するがある程度は自力で何とかしろと非公式とはいえ聞けただけでも価値がある。

だが、今、最も価値のある者は目の前にいた。

 

「ところで本当に関係ない話をして良いか?」

国王はクシーへ問いかけた。アリサが邪魔だが排除すればクシーは気が付くしやりたくはない。だが、どうにでもなるだろう。

国王は王として悪くない提案を持ちかけていた。立憲君主制なのである程度は自省していた。

 

「何か嫌な予感がするのでな…」

クシーは国王が無茶苦茶言いそうな気配がしたので話を切ろうとした。

 

「中立国との平和な縁談は世界を変えると思わないか?」

国王は正々堂々持ちかけていた。娘でダメなら誰かいたかと考える姿は王族の悪い所が出ていた。

 

「平和ってつければ何でも喰いつくと思ってませんか、アンタ」

クシーはキレて吐き捨てた。国王は個人の意思を無視し過ぎであった。

……クシーは平和的な融和であれば多少は聞くので国王の話を少しは聞いていた。

国王はクシーが平和とつければ大体何でも喰いつくと察した。

 

クシーに婚約者はいたかと聞かれたが6歳で追放された際、向こうの家から婚約破棄されたと言った。

国王は勿体なさ過ぎる馬鹿な家だと本心からの言葉を溢した。

 

実際、クシーは実家を追放されなければ恋とか考えないで結婚していたかもと思ったが義姉シグネが蛇蝎の如く嫌っていた。どう考えても絶対面倒になる。

CB隊に元婚約者の兄、紅龍がいるが自身と同じく廃嫡されていた。

紅龍に妹はどうしているか聞いていなかったなとクシーは今更思い出した。

世界の全てが不満そうな少女だったと思い返すもののクシーは良い印象はあまりない。

クシーが負の方向に拗らせたらあんな感じになるのだろうかと思いつつ他山の石としていた。

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