極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して 作:kohet(旧名コヘヘ)
コズミック・イラ70年8月1日、ザナドゥ代表クシーが公式チャンネルにて演説をしていた。
ザナドゥとその関連組織やL4宙域コロニー群に発信された動画は後に授業演説と語られた。
クシーは18世紀の百科全書の一節からフランス革命を引用して暗にコズミック・イラ世界の現状を批判していた。
これまではクシーへの中傷や悪質な切り抜き動画や報道、裁判所も含めた公的機関による妨害により露悪的にされ伝わらない部分が多かった。
国連軍のアズ中尉による裁判からザフト過激派が絡んだりした結果、妨害行為が大分緩和されていた。
それでもプラントや地球連合、ロゴス等に煽られた世間一般からの印象操作と陰謀論は流布していたので厳しい部分もあった。
しかし、内容が話ついでに語られた無関係な歴史であることが露悪的な印象操作を逆に難しくしていた。
本来であれば歴史の解釈で幾らでも露悪的に改ざんする事ができていた。
しかし、コズミック・イラにおいて旧暦の歴史は学ぶが愚かな旧世界の人類の話という風潮があった。
コズミック・イラに生きる人間達が子どもの頃学んだ教科書から引用していた。
クシーが語る愚かしい人類と進歩の歴史はコズミック・イラ世界の価値観に則していた。
このような内容を印象操作するためには最低限クシー並みに歴史を把握しているような人間でなければならない。
リューリク家という旧暦の王族出自を持つクシーが、過去の王侯貴族を酷評するというインパクトも必要だった。
このインパクトに勝つにはあまりにクシーの出自が強すぎた。
クシーはリューリク家を利用していたが現在の当主である義姉シグネが文句を言わない限りは放置していた。
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クシーの実家、リューリク家現当主シグネは愚弟が自分の下という優越感から放置していた。
両親からすれば放逐した元息子とも言いたくない怪物がリューリク家を冒涜しているように見えた。
クシーは明言していないし抗議されても姉が当主だろうと思っていた。
クシーは6歳時の当主になっていた。その権限を使えば両親を逆に追放できたが出来なかった。
元両親はクシーの甘さにより追放できた。その成功体験がシグネへの認識に引き継がれていた。
格が落ちる他家からわざわざ養子にしてやったシグネへ恩を返せという傲慢な意識があった。
実際、シグネの実家からすれば扱いに困る余り物をリューリク家が引き取ってくれたという恩があった。
シグネからすれば関係ないので無視していた。しかし、それで義両親がつけあがるのは気に障った。
シグネの気に障ったと理解した元両親はリューリク家を存続させるのに必要なシグネとの関係を悪化させるのを恐れた。
元両親はシグネの婚姻が出来ていればと悔やんだ。廃嫡した息子の婚約破談が原因なのか中々うまく行かなかった。
シグネが自分で婚約を未然に潰していた。それを知らない義弟クシーはやや心配だった。
更にクシーの元婚約者の王留美はシグネが破談にしやすいように噂を流していた。
険悪な関係なのに互いに利用価値があると恩を売っていた。
シグネと留美が微妙に関係を繋いでいたせいなのだった。
リューリク家の部外者になっていた当時のクシーは何故、美人な姉シグネが結婚とか出てこないのか不思議だった。
シグネならば性格も取り繕って男を骨抜きにして乗っ取る事も容易く出来るだろうにとベラへ溢していた。
69年ベラは賭けで自分に負けた主へシグネ家を訪れろと命令していた。
同年9月の訪問の際、クシーはそれっぽい雰囲気になったらシグネを押し倒せとベラから無茶振りをされていた。
クシーがそういった機微にいつも以上に目を配った結果、シグネの複雑な心情を察した。
14歳のクシーは本気で面倒になったと頭を抱えたかった。どうして言葉にして直接言わないで溜め込むのかと理解に苦しんだ。
普通は言えないし言わないのだがクシーは自覚したら素直に伝えていた。
この男に良くも悪くも人が集まる理由でもあるのだが、本心から語り偽りなく振舞うので幾人もの人間が心揺さぶられていた。
これをクシーの教育係だったザナドゥ初期メンバーであるチトが見ていたら旧暦の恋愛指南書から紳士は寡黙であれと教えるべきだったと頭を抱えた。
それで救われる人間が多いのでどうなのだろうと思いつつフェイト・マツシマが軌道修正した。
チトとフェイトが生き残っていればクシーは異性に優しくし過ぎないという事だけは叩き込まれた。
シグネと王留美らのようにドロドロした過去は残るがそれは仕方がない。
アリサは恋人に裏切られた経験から絶対裏切らないクシーを諦めない。
まともに異性への接し方を教わっていてもヤバいのは残った。
この二人が生き残った世界のクシーは非の打ち所がない紳士である。気の毒に思う。
それまでのシグネはクシーへ純粋な殺意を向けていた。
シグネは暗殺者を送り込んで義弟の頭部を飾りたいと依頼していたと暗殺者からの情報でクシーは知っていた。
殺意なら分かりやすいとクシーはシグネを嬉々として揶揄っていた。
両親から殺意や悪意に晒されて生き残った子どもは姉の殺意を未だ興味関心を自身へ抱いてくれている家族として受け止めていた。
クシーはどう考えても壊れていた。ベラはクシーがそれで幸せだったとしてもその関係が続くのは良くないと賭けをした。
68年度中の累計暗殺者数がブルーコスモス過激派ジブリールが義姉シグネより多ければベラの言う事を聞いてシグネに会えという賭けである。賭ける方も乗る方も酷い。
69年4月に『恋のハリケーン3〜環境王子ジャミトフ怒りの老齢〜』というクシーが過去に制作した素晴らしい恋愛映画を一緒に視聴し、9月に雰囲気になれば押し倒せとベラから無茶振りをされたりしていた。
4月は姉と自分の危機意識の共有になったし、9月は対応を変えてなるべく向き合うようになっているとクシーは色々改善したと思っていた。
それでもシグネが倒錯した貴族趣味とも言うべきドロドロした感情を幼少期から維持していたと知ってクシーは引いた。
クシーが6歳で実家から別れた際、シグネへ自身への感情が異性愛か家族愛か同情心か嘲笑かと尋ねていた。
当主となったシグネがとっとと消えろとこれから廃嫡される弟へ命じたので下がった。
クシーはあの時にもっと強く聞いていれば良かったと反省していた。
何度も言うが9歳の義姉と6歳の弟の会話である。
クシーからすればもう過去の話であり、暗殺者を幾度も送り込むシグネがいつまでも引きずっているとは考えもしなかった。
70年2月11日、違法研究所からマリーとソーマという二人で同一個体という認識と特異な能力を持つ双子をクシーは保護した。
クシーからするとちょっと重い姉の気を逸らせると一瞬でも思ってしまった。
クシーは初対面の双子へ求めすぎていると気分を落ち込ませた。そう思うのも無理はない。
70年8月の授業演説の内容を知ったクシーの元両親はシグネにあのバケモノへ抗議するように懇願していた。
王侯貴族を馬鹿にする内容がリューリク家の意思ではないと対外的に示さなければならないと訴えていた。
「リューリク家の下という自覚があるので明言はしていません。……騒げばこちらの名が汚れるでしょう」
シグネは命令ではなく懇願なので両親の話を聞いてがあまりに酷いので適当に誤魔化した。
クシーの元両親は安心が欲しかったのでシグネの言い分を聞いて抗議していたと自分を納得させていた。
シグネはアレらが義弟の両親なのかと思ったが自身の両親も愚物なので納得した。
シグネは苛立ったが八つ当たりに使える者が出払っていたので仕方がなくカトルの姉の一人へ愚痴をこぼす事にした。
シグネはカトルの姉だが母性が強い友人に甘えていた。
シグネはクワトロ大尉には絶対知られないようにしていた。
知られたくない二番目はベラ、三番目は愚弟である。
友人に迷惑かけないようにとシグネは認識していた。実際、クワトロ大尉が知れば大分危うい。
クシーもカトルの姉が凄い事していると薄々勘づいていたものの、今のシグネの機嫌を下手に損ねたくないので深く探らなかった。
シグネは友人のカトルの姉に弟を取られると危うんでいた。
ちなみにベラが知れば喜んで悪用しようとするが、カトル姉の前だけ懐いた家猫のようにおとなしくなる。
カトルの姉はクシーへ興味を示していた。父と姉とカトルが世話になったと認識していた。
カトルの姉はシグネちゃんが嫉妬しそうだしどうしましょうかと思っている。
カトル姉は現在16歳なのでシグネちゃん(18歳)より年下である。
カトル姉はあのシグネをちゃんづけ呼び出来る時点で恐ろしい母性を有していた。
カトル姉はカトルへは姉弟として普通に接していた。
カトルが29人いる姉の話をクシーへしていても異常に気が付かなかった。
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後に授業演説と言われるクシーの演説を否定しようとすれば、悪目立ちしてしまった。
賢しい内容を反論しようとすればそれ相応の権威と教養が求められた。
世間一般の立場のある人間からすればクシーの語る内容は概ね正しく、現在への批判も筋が通っていた。
クシーの自爆芸とも言える授業演説はマスコミなど誹謗中傷が仕事の俗人ではインパクトも説得力にもかけた。
その為、従来通りにクシーへの誹謗中傷ではあまり効果がなくこれまでの露悪的な仕込みがバレる恐れがあった。
戦時中、各組織は信用を失うことを何よりも恐れていた。
戦争の為には兵士を繋ぎとめる大義名分も民衆からの一定の信用も必要だった。
ザナドゥのインフラ復旧は生活どころか生存に必要なので政府組織も否定できなかった。
政府組織はクシーという個人だからこそ明確に攻撃できていた。
クシーはザナドゥへ怒りの矛先が向けば数多くの人が死ぬと理解して人柱になっていた。
歴史上数多くの敵対組織を滅ぼしてきたロゴス等の手口をクシー個人に当てはめていた。
ロゴスはクシーが本気で怖かった。ザナドゥの将来性も怖いが攻撃するには自身の利益にもなっていたので躊躇うところがあった。
その為、ロゴスは攻撃し放題なクシーに目が行っていた。将来的な危険性を有するザナドゥという組織よりも責任者であるクシーを叩くことで弱体化すると思い込もうとしていた。
実際のところ、ザナドゥは根幹を支える幹部たちをコペルニクスの悲劇で喪失していた。
能力だけみれば優秀な人員は数多くいた。
しかし適切に人員を采配出来る幹部はコペルニクスの悲劇を引き起こした一族マティスのせいで消し飛んでいた。それをクシーという個人技で無理やり補っていた。
常識的に考えて、ザナドゥ程の巨大組織を一人で組織を支配しているとは誰も思わなかった。
クシーは自分が死んだ場合に備えてザナドゥのナンバー2であるティモテを大洋州連合へ避難させていた。
ティモテはクシーが死んでもザナドゥを軟着陸できた。代わりがほぼいないので戦時に台頭する人材を育成しようと無理やりクシーは動かしていた。
ある程度うまく行っておりクシーはセイラを見つけて国連宇宙軍を頼んでいた。このようなのは奇跡に等しい。
ロゴスは本心からクシーがザナドゥを支配しているとは思っていない。
それくらい常識で考えるとおかしかった。
何故、非常識なクシーを叩いているかといえばここまでしないとザナドゥが正当性を得たロゴスに成り替わると危惧していた。
ところがアズ中尉が裁判所へ開示請求を認めるというだけでほころびが見え始めていた。
世界が特定個人の尊厳を踏みにじる行為は裁判所が認めない腰抜けで辛うじて保たれていた。
何度も言うがクシーはザナドゥへ向くのを恐れ、個人に集中させていた。
しかし、クシーは色々把握した上でアズ中尉の行為を追認して託していた。
それはザナドゥがなくてはならない組織になったからだった。
今までも必要な組織だったがこれには政治的な文脈が含まれていた。
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まず、事実としてザナドゥによる復旧活動は4カ月経過していた。
クシーはアズ中尉の行為が無い場合、最低半年間は只管耐える方針でいた。
これはティモテやベラなどにだけ伝えていた極秘事項なので変更も有り得ると伝えていた。
クシーは国連宇宙軍という明確な第三勢力を計画していた。
ザナドゥは囮になるがクシーは明確な力を提示する必要があると認識していた。
その為にグラハムやトールギス、宇宙戦艦など適宜調整して用意していた。
クシーの中で特に大きかったのはセイラ・マスという逸脱した才能を有する個人と出会えたことだった。
クシーとセイラは互いに通じる異能のようなものを利用していた。
それがなくてもセイラは極めて優秀であり、兄のクワトロ大尉の許可など無視する形になってしまっていた。
セイラはクシーへ同意してくれていたが、クシーは流石に色々申し訳なく思っている。
ところがL4宙域コロニー群が戦争になるから避難しろと言っても想定以上に警告を聞かなかった。
守るコロニー群も人間も多すぎるが守らなければならないという余りに酷い状況が国連宇宙軍の早期設立へとつながった。
結果として、国連宇宙軍がL4宙域に留まるならばと早期に黙認されていた。
クシーはセイラやウツギ、アリサ等の素晴らしい仲間達に感謝していた。
この結果、71年1月にL3宙域コロニーであるヘリオポリスへの襲撃にほぼ対応できないという事に繋がっていく。
クシーの当初の想定の場合、国連宇宙軍の黙認が71年までかかるだろうと踏んでいた。
70年8月の段階で多くの事ができるようになっていたが、L4宙域から逸脱するにはまだ早かった。
明確な戦争犯罪であれば問題ないが中立コロニーではあるが戦争協力していたヘリオポリスというのが不味かった。
クシーの個人的な行為によりヘリオポリスへ国連宇宙軍を動かせば稼いだ信用が地の底へと転落した。
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アズ中尉の裁判が無い世界では71年1月、国連宇宙軍は一応黙認されていたが活動範囲がまだ不確かだった。
国連宇宙軍の活動がL4宙域なのか圏外まで波及する勢力なのか見極めようと各勢力が注視していた。
だからこそL3宙域コロニーヘリオポリスに進出してもそういう事をする程度である程度は納得させられた。圏外に出るという危険はある。
この世界のクシーは精神が大分摩耗していた。本来の世界に比べると約3%程能力が低下していた。
セイラはクシーが自分なりに耐えられると計算して耐えられることを理解した。
しかし、あまりに酷いのでクシーへメンタルケアを強く勧めていた。
この世界のクシーは心が消耗して能力を発揮できないのだが、L3宙域コロニーのヘリオポリスに介入の余地があった。
後始末は極めて大変になるがクルーゼ隊及びアークエンジェルやキラ・ヤマトと直接交渉が可能だった。
狂気に囚われているクルーゼでもクシー本人が直接来れば一応話は聞いた。
クルーゼ隊では新人のイザークが反対するが副官のフレデリック・アデスが全責任を背負うとクルーゼの行為まで引き受けるのでどうにかなった。
ヘリオポリスの戦闘で古い付き合いの隊員を悉く失って辛いはずのアデスの説得にイザークは引き下がった。
クルーゼ隊の新人はアークエンジェルとストライクガンダムの戦闘を重ねていないし、戦死した仲間も覚悟した軍人だったことが分岐となる。
これ以降だとクシーが強引に来ても揉めるだけで話は決裂した。
アズ中尉の行為がないL3宙域ヘリオポリスへ行ける大義名分がある世界のクシーは踏み込んで話が出来た。
クシーは地球連合のユーラシア連邦所属である以上は問題になるものの公人と私人は違うと何とか誤魔化しが効いた。
この世界のクシーはキラの幼馴染アスラン・ザラやラクス・クラインに土下座する勢いで頼み込んでいた。
この世界のクシーは大分消耗しているのでたがが緩む。クシーはパトリック・ザラへ縋る。
決してパトリックの亡き妻レノアを口には出さないがそう言っているのに等しい。
敵だけならともかくパトリック・ザラは息子アスランが異性への助命を懇願されることになる。
パトリックはアスランを見て過去の自分を重ねてしまう。
こうなると大分滅茶苦茶になり、クルーゼは大爆笑して引き下がった。
この世界のクシーはクルーゼこと絶望仮面からブルーコスモスの盟主アズラエルとのやり取りを全部報告されていた。
クルーゼは僅かな命がどうやっても助からないと思いつつ面白いものが見れたと表舞台から去った。
クルーゼは面倒ごとの後始末をクシーに丸投げしていたがそれくらいは引き受けていた。
パトリックはアスランがかつての妻レノアを助けたいならばと憎しみはそのままだがシーゲルに交渉し出した。
パトリックにとって妻レノアが世界の全てなのでアスランがそうならば自分の言う通りに命令を聞くだろうと思っていた。
パトリックの本心は別なのだがそういう思い込まないといけない程の憎しみで覆われていた。
この時点のキラは既にザフトの兵士を多数殺していた。
クシーはシーゲルとパトリックに交渉した結果、テストパイロットでザフトに所属する羽目になるが友人は監視付きとはいえ助かった。
マリュー・ラミアス大尉らは捕虜となったがアークエンジェルはアーノルド・ノイマン曹長による大脱走により地球連合のハルバートン提督に引き渡される。
これらの細かい調整の結果、クシーはプラント及び地球連合で指名手配される事になるがクシーは特に気にしない。
クルーゼと通じていたアズラエルはクシーに弱みを握られるのでストレスで倒れたりするが些事である。
アスランがキラを妹扱いするのを目撃し、婚約者ラクスにもキラにも不誠実だと息子へブチ切れるパトリックという光景が見れる。当たり前だがシーゲルもキレる。
クシーが指名手配されるのでザナドゥはティモテ・エペーが引継ぎ運営されることになる。
当然、管理しきれないので規模がかなり縮小する羽目になるが軟着陸していた。
一番怖いクシーが枷を外れて好き勝手し出すので地球連合やロゴスにとっては悪夢である。
プラントはクシーへ恩を売っているがクシーは地球連合のハルバートン提督に権力を握らせ平和交渉の席に座らされた。
プラントではハインラインを始め技術者が第三勢力を作り始めたりする。その設立の切っ掛けに関してはクシーの暗躍や意思はなかった。
だが、組織の性質からクシーとハインラインの組織は同一視された。しかもクシーは途中から参加したはずなのに何故かトップの椅子に座っていた。
出来レース過ぎてこれが狙いだったのかとパトリックはブチ切れた。
同時期のアスランは勘違いする父パトリックから逃げてオーブ首長国連邦で運命的な出会いをしていた。
クシーは腹抱えて笑った。
状況的に笑いごとじゃないのだがアスランは火中の栗を拾うのかとブーメランとしか思えない感想をキラとラクスへ溢していた。
こいつは背後に気を付けた方が良い。間違いなく七つの傷で済まないだろう。
この世界のクシーは好き勝手やっているように見えるが後手に対応して全て軟着陸させる羽目になっていた。
その為、世界規模のザナドゥが使えないのでクシーが本来未然に防いでいた幾つかの暗躍を阻止できない。
このアズ中尉の裁判が無い世界では最終的に5億人が死亡した。
クシーが居なければ地球連合のNJ被害だけで10億人死亡なので本来と比べると半分は防いだことになる。
それでも累計3億人に抑え込んでいる世界を考えればアズ中尉の行為は決して無駄ではなかった。
コズミック・イラは誰かを救うにはその分不幸になる世界だった。クシーは無意識に不幸を引き受け、受け止めていた。
どちらの世界でもクシーは時間をかけてL1~5宙域全体を自衛する組織として国連宇宙軍を計画していた。
この場合、中立国、オーブ首長国連邦のサハク家、が確実に邪魔をするので時間がかかると見込んでいた。
クシーは国連宇宙軍に関しては最悪戦後までかかる長期的プロジェクトに位置付けていた。
更に言えばヘリオポリスの襲撃が完全に落ち度がなければ介入できる余地もあった。
中立国のコロニーであるヘリオポリスで地球連合の兵器を作るとなると国連宇宙軍もクシーも積極的に介入できる余地がなかった。
避難民保護を名目にヘリオポリス襲撃後へ介入はした。
だが、アークエンジェルにキラ達は避難しまっていた。
結果を見れば、ザナドゥもクシーも国連宇宙軍もクシーの用意した全てがキラ及び避難民への介入に何の役にも立たなかった。
クシーが幾ら足掻いた所で運命は強固であった。
運命の種子となる物語はクシーが用意した器の外で英雄を育んだ。