極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して   作:kohet(旧名コヘヘ)

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閑話 危険な配合

コズミック・イラ70年8月15日、ザナドゥ代表クシーは大洋州連合のティモテの子飼いイスラ・マイアと通信で話していた。

ザナドゥのナンバーツーのティモテへ定期連絡をしていた。イスラは聞こえないように待機していたが、ティモテが入れ替わる形で少し話そうとクシーから提案されていた。

 

ブルーコスモス過激派の暗殺者から転身した11歳のイスラには拒否権がないと感じた。

クシーは嫌なら別に拒否して良いと伝えていた。大洋州連合のフロス議員暗殺未遂はバレてないし問題ないと指摘した。

現在いる組織のトップに汚点を知られているので拒否できないのだとイスラは思ったがツッコむのを辞めた。

タメ口で良いと言われたイスラ視点での大洋州連合を語り、クシーはそれを聞いていた。

 

ザナドゥのゲーマーであるMAYUは元気だろうかとクシーは思い出した。

MAYUは10歳未満な気がするがザナドゥのゲームサーバーから個人情報を閲覧するのはクシーでも不可能に等しかった。

その性質からザナドゥゲーマーである滅殺のクロトの行方不明もクシーは対応できなかった。

クシーの目指す表現の自由を保障するには必要なセキュリティでもあるので不用意に設定を変更できなかった。

その代わり外部からのハッキングやテロ等への悪用が出来ない緻密なプロテクトとなっていた。

 

ザナドゥのゲームサーバーはグレイブヤード等が由来の旧暦の遺産とも言うべきプログラミング言語や一般的にはロストテクノロジー技術の類で守られていた。

あまりの複雑さとコズミック・イラの技術で解読不能な言語などによりサイバーハッカーM(メイリン・ホーク13歳)もクラッキングを諦める程だった。

メイリンはザナドゥ全体に使いたくとも使えない技術の類が複数あるのは推測できた。

ザナドゥゲームサーバーに存在する複数のセキュリティに気が付いて被害無く手を引けただけでもとんでもないことだったりする。

プラントでも未成年の少女メイリンの大犯罪はまだ誰も知らなかった。

万が一メイリンの諸事情を知られたらクシーが直接逮捕しに行くので彼女も怖かった。

 

メイリンはクシーが自分と同等レベルのハッカーを傍に控えさせていると認識していた。

メイリンはNJ前にやらかした際、逆探知されてお年玉をクシーのクソゲーに変換されていた。

メイリンは一方的にハッキングして相手を観察するタイプのハッカーである。

自分が個人技で蹂躙されかけた事に恐怖していた。メイリンは企業やザナドゥのようなシステムを作る側をあまり知らずに情報を抜いていたので守るのに慣れていなかったのも大きかった。

そもそもメイリンにとってはそれまでの相手は一方的に蹂躙できる程度しかいなかった。

メイリンは未知の脅威を実態よりも強大に感じていた。

 

この未知の脅威とは現在、兵器開発部の副主任として働いているルリの事である。

メイリンの警戒とは違いクシーはルリの希望を優先しているので頼る事は滅多にない。

 

その後のメイリンはオーブ首長国連邦のどこかのコロニーにいるらしいキラキラというのに勘づかれ逆探知されそうになっていた。

メイリンにとって予期せぬ反撃であった。

幸いにもザナドゥで脅威を経験していたメイリンはパニック陥らずにキラキラによる逆探知を回避できていた。

 

しかし、メイリンは二度の敗北感から自分が大したことないのではないかと不安になっていた。

メイリンは姉のルナマリアに勝てると自負する唯一の長所へ自信が無くなりつつあった。

打倒Mを掲げているザナドゥの方針はなんとなく知っていた。

万が一でもクシーに捕まらないようにザナドゥに近づかずに警戒していた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

 

コペルニクスの悲劇が無かった世界のメイリン・ホークはクシーに逮捕されていた。

 

メイリンはザナドゥ所属のルリを警戒していたが、ザナドゥ以外の外部協力者のキラキラことキラ・ヤマトに完全に嵌められた。

ザナドゥサイバー部門の想定外の成長速度もあり、メイリンは個人でも組織でも得意分野で負けてしまった。

逮捕時のメイリンの自己評価が最低になっていた。

 

その状態でクシー本人の口からメイリン・ホークことハッカーMへの評価を聞かされる事になる。

クシーはメイリンが如何に凶悪な犯罪者かを語り捕まえた事を勝ち誇っていた。

……少女メイリンにとっては求めていた全てに等しかった。

メイリンはクシーの罵倒をちょっと変わった刺激のあるプロポーズと解釈した。痘痕も靨とかそういう次元ではない。

 

もっとも、クシー以外ならばメイリンも痘痕も靨かと自覚してどこかで幻滅していたはずだった。

姉ルナマリアはシン・アスカの前に付き合っていた彼氏がアグネス・ギーベンラートに寝取られていた。

メイリンは男を見る目が姉より優れていた。

仮にメイリンがアスラン・ザラに一瞬ときめいても無自覚なパワハラに気が付き幻滅した。

これに関しては恋人のカガリに申し訳ないというメイリンの意識もあった。

どのみち恋人として論外と元婚約者のラクスへ言ってしまう程度にはメイリンは熱がすぐ冷める気質の持主だった。

このアスラン評を言うメイリンにもそれに同意するラクスにもドン引きするのがルナマリアである。

快活でコミュ強で真っ当な感性をしていた。ホーク家はルナマリア気質であるのでメイリンは異端だった。

 

他方、クシーは身内と認識すると大分甘くなり、相手の為に尽くす男だった。

幼馴染アスランと部分的に似ているが違うのは相手の立場を慮って対応する姿勢にあった。

しかしながら、クシーは大罪人だろうが元姉だろうが暗殺者だろうが元婚約者だろうが誠実に対応し過ぎていた。

 

その為、メイリンはクシーが異性にだらしないと一気に幻滅するのはあり得た。

実際、クシーはそのようなメイリンの冷めやすさを推測し、何とか幻滅させようとした。

しかしながらメイリンは目ざといのでクシーの振る舞いの違和感に気が付いてしまった。

 

この世界のメイリンは自分の事が嫌いだからやるのかとクシーにガン詰めして態と幻滅させる行為を辞めさせた。

そもそも仮にメイリンが幻滅しても面白い男を見る席を逃さないので一々演技する羽目になるのは面倒臭いとクシーへ言い切った。

あまりに図太いメイリンの発言にクシーは一種の感動を抱いた。強い。

 

クシーは異性に対して誠実に対応し過ぎると良くない勘違いされるというのは理解していた。

だからどうにかしてある程度嫌われるべく努力していた。酷い努力である。

基本的にクシーは異性へ無神経な対応をして幻滅させるようにしていた。

クシーは幼少期に両親から捨てられたため、嫌われる事にトラウマがあった。基本的に意識してやる必要があった。

 

バレないように自然体で赤道連合支部代表のフェイのように異性を幻滅させていた。

当たり前だがクシーは精神的に大分無理をしていた。

コペルニクスの悲劇以降は本気で辛いので大分ミスをしていた。

根本的に異性に対して変に気を持たせて不誠実になりたくないだけなので優先順位が低くクシーは気が緩んでいた。

 

コペルニクスの悲劇が発生していない世界ではメイリンのガン詰め以降ボロが出始めていた。

メイリンはハッカーなのもあり監視カメラなどからクシーのやらかしを見つけ出した。

また演技したと指摘して怒っていた。ついでに相手にもバラす。

この世界のクシーはプライベートが殆ど無かった。

クシーはベラの盗撮に気が付いても盗撮される方が悪いという非常識が存在していた。

クシーの非常識でメイリンの盗撮行為は見逃されていた。

メイリンへそれを教えたのはベラである。本当に碌でもない。

 

クシーが参考にしたアスランはメイリンのときめきを一瞬で正気に戻して論外判定させる男である。

メイリンはアスランを命懸けで助けるくらいには入れ込んでいたはずなのに数日経たずに恋人として論外判定させていた。

アスランはクシーが欲する能力を素で持っていた。恐ろしい。

 

クシーはアスランをある程度模倣しようとしたが無理だった。

アスランは知らないが本命以外のフラグを一瞬で粉々にする能力は父パトリックから受け継いだ最高の贈り物だった。

シーゲルはパトリックの息子ならば浮気しないと確信していたのでラクスと婚約させた。

アスランはラクスがなんか違うと認識し、恋心を抱かずに幼馴染のキラを基準にジャンク屋巡りさせていた。

シーゲルも流石にそうなるとは毛ほども思っていなかった。ラクスから特にクレームも無いし上手く行っていると認識していた。

後に知ったクシーはクライン家はまず親子でキチンと話せという感想を抱いた。

 

かつてクシーはキラにアスランのデートプランか遊びかは兎も角それで良いのかと尋ねた。

クシーは暗にアスランを恋人としてどう思うのかと尋ねていた。

キラは自分はジャンク屋巡りで大丈夫だけどアスランの恋人だったら可哀そうと言い切った。

クシーはアスランにキラを任せるのはダメだと確信した。

趣味は合うがそれだけになりそれ以上が見込めない。クシーから見てアスランとキラは仲良過ぎて駄目だった。

 

アスランの理想はカガリのように苛ついたら直接言いに行き、必要なら殴って修正する女性だった。

キラは基本アスランを面倒と思いつつなあなあで流してしまう。二人共に一緒に居て気が楽だがカガリのようなことにはなりにくかった。

カガリのようにアスランへ言い返すくらい我の強く、アスランを見て悪い所を直せるように導いてくれる女性でなければアスランと恋人以上にはなれない。

アスランはそのような母を感じさせるカガリのような女性が理想だった。

何かを感じ取ったクワトロ大尉が立ち上がろうとしたが頼むから座れ。

 

そんなアスランを恋人として論外なコペルニクスの悲劇が無い世界のメイリンに話を戻す。

メイリンはクシーに逮捕されて精神的に落ち込んでいた。

根底には快活で優秀で異性からモテる姉ルナマリアへのコンプレックスがあった。

ザナドゥへの数々のサイバー攻撃はメイリンにとって自己実現欲求を満たせていた。

その矢先に立て続けに失敗した挙句に逮捕及び連行されたのだから落ち込んだ。

 

クシーはメイリンの内心を一部理解した。姉シグネは論外だがメイリンとルナマリア程度のコンプレックスは良くあるだろうと理解した。

クシーはメイリンが姉のルナマリアと真っ当に仲良くて羨ましいと思った。

それとは別に世紀の大犯罪者Mを捕まえたのにこのような状態では面子に関わると認識していた。

クシーはメイリンの怒りを煽り立ち直らせようとした。

 

その結果、メイリン・ホーク(13歳)という人生エンジョイ勢が早期に爆誕しまうことになる。

一連の流れに関与したキラ・ヤマトはメイリンの件に関しての対応に落ち度がない幼馴染を叱れなかった。

クシーは逮捕するに辺り、メイリンの両親や姉のルナマリアには配慮していた。

ホーク一家は家族で協力してクシーを襲撃してきた。

一時的にメイリンを取り戻した。ザナドゥを知る者からすれば奇跡に等しい快挙である。

ホーク一家からすればメイリンがいわれなき罪で捕まったと認識していた。

クシーは愛ある家族に敬意を示し、丸腰で出向いて説得に向かった。

メイリンは聞いてはならないと叫んだがクシーはメイリンを無効化した。犯罪者のメイリンへクシーは容赦しなかった。

 

ホーク一家はメイリンが脅されていたにしても反応が被害者にしては妙におかしいと気が付いた。

冷静に考えるとこれまで一貫してクシー側は極めて誠実に対応していると理解した。

ルナマリア達はクシーへ警戒しながらも話を聞くことにした。

クシーはザナドゥの機密含めて開示してメイリンが何を仕出かしたか懇切丁寧に説明していた。

 

結果、メイリンは熨斗つけてクシーの下へ再度送られていた。メイリンは泣いた。

ホーク一家はこれまでの誤解による行為への謝罪とメイリンに絶対聞かれない位置取りでその助命を嘆願した。

クシーは処刑しないしメイリンが定期的に家族に会えるように手配すると約束した。

メイリンの働き次第では減刑できるようになるだろうと語った。

ホーク一家は奪還作戦でクシー側に被害出しまくっていたが死人はいなかった。

今後プラントとの交渉もあるので手打ちにするとクシーは言い切った。

寛大過ぎた為必要以上に感謝されたがクシーは揉め事が広まって一度奪還されたのはザナドゥも痛いと明かした。

 

クシーの計らいでなんとか双方が落ち着いた後、大人しいと思っていた娘メイリンが世紀の大犯罪者だった事実を知った父親は心労で寝込んだ。

クシーは素晴らしい家族を持ちながら馬鹿をやったメイリンに優しくしていなかった。

とはいえ、メイリンが愛されている理由をクシーは何となく理解できた。

バレなきゃセーフな犯罪だから歯止めが効かなかったのだろうとそこに関しては減刑できるように取り計らっていた。

 

クシーはメイリンに見えない部分で優しくしていた。

キラから見ても幼馴染の対応は間違っていなかった。

キラからしてもホーク一家が可哀そうなので加減するのは理解できたし、メイリンには辛らつに接しているように見えていた。

メイリンの反応が想像と真逆な為にキラも困惑した。

 

コペルニクスの悲劇が無い世界のクシーは世紀の大犯罪者Mことメイリン・ホークに異様に懐かれていた。

メイリンとの面会でその想いを聞いたルナマリアは複雑な過程はあったものの男を見る目があるのかと納得した。

父親は正直反対したいけど13歳だしなと楽観視していた。母親はメイリンの目が本気だと確信したが夫に言うのは辞めた。

 

メイリンは誰にも話せないコンプレックスを抱えていた。それが消し飛んだどころか肯定されていた。

現在のメイリン主観で幸せになる最短ルートは逮捕されてザナドゥに連行される事である。

メイリンが求める青い鳥は身近にいた。この女は滅茶苦茶過ぎた。

 

コペルニクスの悲劇が発生してしまった世界のメイリンは自分を普通だと思い込むようになる。

メイリン・ホークは普通の意味を辞書で引けという言葉がクシー以外に当てはまる稀有な人物であった。

現在、何も知らずにザナドゥ及びクシーを警戒しているメイリンだがクシーと波長が合っていた。

アスランと同じく危険な組み合わせであるが含まれる感情が違う。

ギリギリ成立しない事で現在の世界の均衡が保たれていた。

 

クシーは13歳の少女にどれ程才能があろうとも余程が無い限り危険な事に協力させない。

意思が固く変えられないとか罪を軽くするために必要などの理由が無い限り、子どもは危険から遠ざけようとしていた。

今現在、この世界のクシーにとってメイリン・ホークはハッカーMではなく、プラントで暮らすただの子どもだった。

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