極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して 作:kohet(旧名コヘヘ)
コズミック・イラ70年8月15日、ザナドゥ代表クシーは大洋州連合のザナドゥ支部にいるティモテ・エペーと会話をしていた。
ティモテを使い向かわせたクシーは元ブルーコスモス過激派少年兵の11歳の少女イスラ・マイアと会話をしていた。
ティモテが戻って来る間にザナドゥのトップが少女へ話しかけていた。
クシーは次世代への教育になればとザナドゥの理念を吹き込んでいた。
クシー自身も知らない相手への説明としてまだまだ無知な部分の多いイスラから学んでいた。
「今戦争中なのにサンゴ礁の再生なんてする必要あるの?」
イスラはザナドゥの首魁クシーへ疑問を溢した。
地元民のイスラからすればグレートバリアリーフは当たり前過ぎてそこまでのものとは思えなかった。
イスラはクシーからはタメ口で良いと言われていた。
それでも上司の爺ティモテが基本敬語なのに良いのだろうかと少しばかり気にしていた。
ちなみにクシーは相手によって言葉使いが大分変わるので安定しない。
幼少期から両親に躾けられた結果、クシー本人もどれが自分の素なのか分からなかったりする。
「ある。そもそもブルーコスモスとはそういう組織だ。大体、コーディネイターを迫害しろとか発足者全員考えてすらいない」
クシーはイスラの疑問に応えた。クシー視点ではグレートバリアリーフはその価値があった。
大きく見ればザナドゥもブルーコスモスの一派であるとイスラへ暗に言っていた。
「ザナドゥがこれまで取り組みである北極の環境保護や環境汚染の少ない発電技術開発も環境負荷の少ない土木工事も……ブルーコスモスが元来掲げる信念によるものだ」
クシーはブルーコスモスが掲げる信念に基づき行動していると明言した。
それなのにどうしてこうなってしまったのかと頭を抱えているのはジャミトフ達老人ホーム、環境保護派である。
分離した環境保護派であるコミット・ブルーコスモスもザナドゥはブルーコスモスの理念を引き継いでいると評価していた。
「コズミック・イラ前の再構築戦争により核で汚染された地球を清浄な世界にするというのが元来のブルーコスモスだ。ザナドゥはその理念の下で活動しているに過ぎない」
クシーは本心からそう思っていた。
隙あらば勝手に絶滅戦争やり始めるコズミック・イラ世界のせいでその範囲を広げる羽目になっていた。
クシーとしては結果的にブルーコスモスに悪意が集中しただけだと認識していたが余りにやらかすのでうんざりしていた。
クシーは生まれからは逃れられないと気づいていたので世界の荒波に対抗すべくザナドゥを作っていた。
陰謀論で騒がれているがクシーは間違っても世界を支配したいわけではない。寧ろ逆だった。
「あたしは暴れたい奴らを全員逮捕する為かと思っていたんだけど」
イスラはクシーの言葉を受けつつもテロリスト逮捕しまくっている現状を指摘した。
大洋州連合のブルーコスモス過激派の大半が程度の差はあれどザナドゥにより調べられ時には逮捕されていた。
事実、ブルーコスモス過激派による洗脳教育を受けたイスラはティモテに聞きだされていた。
今回の連絡も大洋州連合外で何かを知ったクシーがティモテを動かしているとイスラも気が付いていた。
イスラはザナドゥの大義名分を堂々と語るクシーに当てられそうになったが、諸々の活動の中には越権し過ぎではないかと思う事例が多々あった。
イスラはブルーコスモス過激派に洗脳されかけた経緯もあり物事に対して大分慎重になっていた。
「それは大洋州連合の仕事だろう。なんの権限があって部外者のザナドゥがやらにゃならんのだ」
クシーはイスラの言葉をスルーした。他国へ越権し過ぎではないかとイスラの疑問を一蹴した。
「えーと……あたしは?」
イスラはスルーするクシーを見て少し嫌だったが自分を引き合いに出した。
「そりゃ現行犯なら私人逮捕も出来るんだ。善良なる市民が罪を犯す前に止めるのは問題ない」
クシーはやりたくないけどやらなきゃ酷い事になると暗に言った。
イスラが自分の恥部すら引き合いに出せるならクシーが言いたくないの分かるだろうかと試していた。
「……大人になるって大変なのね」
イスラはクシーが言いたくないのを察した。イスラはザナドゥの詳細がまだ分からない。
だが、環境保護活動を掲げるのに破壊活動しまくるブルーコスモスとかクシーにとって本気で嫌なのだろうなとは理解した。
実際、クシーは本気で嫌だった。
クシーは未知の世界である外宇宙を目指すからこそ母なる地球を安定させたかった。
だからこそ地球連合やプラントの戦争は止めなければならないとクシーは足掻いていた。
クシーからすればコズミック・イラには革新的な技術が蓄積していた。
更にファーストコーディネイターのジョージ・グレンは外宇宙へ進出する為の技術を加速度的に進化させていた。
クシーは人類が未来を目指す技術が戦争で殺し合う為に使われている現状を嘆いていた。
クシー自身もラプラシアンシステム等を戦争に利用していた。
社会を変革させ得るザナドゥという組織を創ったが戦争被害からの復旧へと転用していた。
戦争を防ぐ事はザナドゥの目的でもあるので当初の理念に反しないが憂いていた。
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現在、イスラに携わって貰っている大洋州連合、オーストラリア大陸北東岸のグレートバリアリーフの再生プロジェクトはクシーとしては未来を残すためのプロジェクトだった。
ザナドゥによる環境保護活動はブルーコスモスが本来あるべき姿を内外へ示すものだった。
生物多様性の確保、地球温暖化抑制、海洋汚染防止と短期的には判断できない数世紀先への取り組みである。
クシー及びザナドゥの取り組みは人命よりも環境保護活動かと罵声を浴びせられていた。
だが、クシーも世界中で戦火に晒されている人々の状況をどうにかしたいと考えていた。
クシーは自分が出来る全力で取り組んでいた。ザナドゥも同様である。
地球連合の市民からは時勢に遇わない環境保護活動と評され、クシーの行動は偽善や不謹慎と叩かれていた。
しかし、どれ程喚こうが大洋州連合の僅かな取り組みを中止出来ない。
何より中止したところで騒ぐ人々の生活や状況も何も変化しない。
地球連合市民からすれば正にも負にも影響がないので叩いていた。
クシーは環境保護活動という目に見えにくいものは叩かれると覚悟していた。
だが、大洋州連合での取り組みは自身にとっても最小のダメージで未来への布石を打てると確信していた。
地球連合の裏に潜む者、ロゴスはクシー及びザナドゥがプラントと繋がっている事を期待していた。
ロゴスは地球連合が負けた場合の保険、次の寄生先を考えているとクシーは見抜いていた。
環境保護活動で大洋州連合と取り組む事でプラントが背後にいると誤認すればロゴスはクシーの環境保護活動を阻害しにくい。
実際、大洋州連合は事実上プラントに降りザフトが支配していた。
ザナドゥによる環境保護活動を警戒しているが中止までは命令されていない。
クシーはシーゲル・クラインが議長ならばまだ問題ないと踏んでいた。
クシーはクワトロ大尉伝手にプラントへ事前連絡をいれていた。
環境保護活動はブルーコスモス過激派への抑制にもなり得るので認めろという内容だった。
これがパトリック・ザラならばナチュラルの組織内の八百長など知らぬと却下する可能性が大いにあった。
シーゲルならばパトリックを宥めつつも容認してくれるとクシーは読んでいた。
ザナドゥの環境保護活動に関してプラントの一部は未だに警戒していたが、プラント友好国の大洋州連合が保証するという事で認可されていた。
色々手を回していたクシーだが、自分が生きている間には評価されないだろうし未来でも評価されないだろうと認識していた。
人類存続レベルの深刻な被害が出るとして、その前に防いでしまったら被害が無い未来から分からないだろうと理解していた。
それでも現在の戦争が終わり、人類が存続すると信じているクシーは未来が少しでも良くなればと見えない取り組みをしていた。
今回の大規模な環境保護活動、大洋州連合でのグレートバリアリーフの再生プロジェクトはクシー以外の誰もやらないしやれなかった。
クシーは自分の世代が起こした戦争による環境破壊で数百年先の人々へ迷惑をかけたくなかった。
クシーは自身の手で花の種を植える暇がなかった。
それでも出来る事を必死に考えてザナドゥの仲間へ託していた。
全て忘れ去られた遠い未来、サンゴ礁の豊かな海が誰かの想いへ応えていた。