極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して   作:kohet(旧名コヘヘ)

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第24話 混乱と策謀①

 

コズミック・イラ70年2月15日、血のバレンタインの翌日、地球は大混乱に陥っていた。

 

プラントへの核攻撃による混乱である。

地球連合軍とザフトが戦い、地球連合軍が大敗北を喫したのは誰の目から見ても明らかであった。

地球連合はプラントの自作自演であると言うが信じる者は少なかった。

未だ緒戦とはいえ勝利したプラントが民間人を巻き添えに自爆したというのは無理があった。

 

反プラント、反コーディネイターのブルーコスモス・過激派は完全に開き直った。

サザーランド大佐によるプラントへの核攻撃という機密を知った一部は自分達は負ければ後が無いと全力になった。

攻撃や自爆関係なく、プラントを完全に制圧出来なければ絶滅戦争だと結論付けた。

現段階で公言すればプラント及びザフトは地球への核報復をしかねない。

或る意味、現状で最も冷静だった過激派は自派閥内で味方を集める為に奔走した。

プラントを滅ぼさなければ地球が滅ぶと喧伝した。実際、核報復で地球は滅亡しかねない状況であった。

……実に単純で分かり易い主張は破滅手前の状況で受け入れられ易かった。

それ故にブルーコスモス・過激派は自分で管理出来ない程になっていた。

 

……ブルーコスモスの盟主であるムルタ・アズラエルは元々多かった過激派の急増に対処していた。

同時にアズラエルも又、その主張に影響を受け始めていた。

自分に好意的な人々の主張を何度も聞いた結果、アズラエルは無意識に影響を受けてしまっていた。

 

ブルーコスモス・過激派やその取り巻きは核とはいえ宇宙での使用であるという見解を示した。

アズラエルも宇宙の核使用なので問題ないという見解は同じなので同調し始めた。

……アズラエルにも無断で核使用されたのが最悪であったがそれはそれとしてである。

 

「そうですよね。宇宙での核使用では『最後の核』の誓いとは別ですよね」

アズラエルは非公式の場ではあるが、過激派の一派にその様に言葉を溢した。

ザナドゥは一応はブルーコスモスである。非公式の場でもその様な言葉は即座にトップに届いていた。

 

結果、

『お世話になりました。ブルーコスモス抜けます』

ザナドゥ代表・クシーからアズラエルへメッセージが届いた。

冷水を浴びて冷静になったアズラエルは過激派に染まって来ている自分に気が付いた。

今、クシーが居なくなれば真面目にブルーコスモスの舵取りが出来なくなる。

アズラエルは無意識の影響は捨て切れないものの多少は正気になった。

アズラエルはクシーに核報復の危機である事には変わりない。過激派を取り込む口実だったと釈明した。

 

当然ながらクシーも今抜けたらアズラエルが困るし、ザナドゥも危ういと自覚していた。

然し、アズラエルが染まり過ぎていたので牽制しただけである。

クシーはアズラエルが変質しつつある事を悟った。それでも地球にとって必要な存在ではあった。

アズラエルには未だ理性があった。過激派の中でも過激派なジブリールが台頭しつつあった。

 

ジブリールは元々そうだったが、更に話が出来なくなっていた。

厄介な事にジブリールは政治的な能力、立ち回りが危機により上昇していた。

政治的な圧力を掛け、その場凌ぎの言い訳だけならばアズラエルに迫る能力を開花していた。

最も持たせていけない奴に能力が身に付きつつあった。

ジブリールはこのままだとブルーコスモス・盟主の後継者に成り得た。

 

クシーは地道にジブリールの邪魔をして行く事に決めた。

破綻したらその時はその時である。最悪でもバレなきゃ良い。

 

先ずクシーはアズラエルに連絡する事にした。

ロゴスは勝手に対立していると思い込んでいる。

クシーはアズラエルを言葉遊びで揶揄う程度で済ませる事にした。

 

 

『このままだとジブリールが貴方の後継者に成りかねないぞ?』

クシーはアズラエルにメッセージを送った。

アズラエルにとって、今のジブリールは成長している様に見えなかった。

只の金と権力だけがある有力な過激派の一人だった。

 

『えっ?いや、それは無いでしょう。……あの男みたいなのが私の後継者に成ったらプラントに騙され放題じゃないですか』

アズラエルはクシーのメッセージに返答した。そして、クシーが何が言いたいのかを察した。

アズラエル視点では未熟なジブリールであるが能力はある。……能力が中途半端にある。

 

ロゴスは時の大国の為政者達、アメリカ大統領等を操って来た。

……当然、それのみでは無い。だが、大国のトップを操れるのは分かり易い例だった。

そして、戦争を引き起こして来た。ロゴスは国の弱みを握る為には努力を惜しまない。

例えば、紙幣の発行権を握る為にロゴスは戦争を引き起こしてアメリカに資金を必要とさせた。

資金を提供する代わりに紙幣の発行権を少しずつ認めさせて最終的には勝ち取った。

 

アメリカが豊かになれば紙幣の発行権を利用してバブルを発生させる。

そして、崩壊後に底値で資産を買い取る『羊毛刈り』を幾度も行って来た。

それだけで世界を牛耳れた。理論上は戦争も何もかもが操れた。

金だけではなく歴史と権力があるロゴスはイレギュラーが有りつつも大勢には関与し続けて来た。

 

……アズラエルから見てプラントは地球の枠外にある存在故に失敗していた。

だからこそロゴスはプラントを管理する為に戦争をしたかったのもあった。

アズラエルもブルーコスモスとしてコーディネイターの管理が出来ると賛同していた。

 

『私は貴方を評価しています。……能力が不足している自覚が無く、声が大きい者の末路を貴方は私よりも詳しいのではないですか?……ブルーコスモスでは無い歴史の深い組織に居る貴方ならば』

クシーはアズラエルへ囁いた。クシーはロゴスの詳細を知らない。

……だが、勘付いていても不思議ではない。

アズラエルはこの少年の能力は最初から世界のバグの様だと知っていた。

だからこそこうして話をするし、引き止めもする。

 

『……アメリカ大統領は使命感がありましたからね。成る程、少し冷静になれましたよ』

アズラエルはクシーの言葉に乗った。嘗てのアメリカ大統領は使命感がある者が多かった。

 

A案にはロゴスの乗っ取りが、B案には記載されていない。そうするとB案に飛び付いた。

だが、記載がないだけで中身は同じ物だった。明言していない別の言い方で騙せていた。

 

……ジブリールはそれに繋がりかねない。中途半端に賢い者は利用され易かった。

プラントのコーディネイターは間違いなく脅威である。

そして、小賢しい。アズラエルは既に身に染みていた。

 

『冷静になれたなら何よりです。見返りを下さい』

クシーは厚かましい子供の様な事を言い出した。実際、子供ではあるが落差が酷い。

……何も聞かないで断ると面倒になりそうだとアズラエルは考えた。

 

一応、聞いてみる事にした。……聞いてみるだけである。

 

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