極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して   作:kohet(旧名コヘヘ)

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閑話 ニュータイプについて追求されなくて良かったわ。ホント危ないったらありゃしないんだからこの時代……

コズミック・イラ70年2月19日の夜、南アメリカ合衆国の一件が一段落したクシーはザナドゥ本部に戻っていた。

 

そして、戻って早々に2月11日に襲撃した東アジア共同体・中国湖南省にあった違法研究機関『超人機関』の資料を追加分も合わせて読んでいた。

 

 

「脳にマイクロ・インプラントを埋め込んでγ−グリフェプタンを投与する。脳内麻薬を過剰に分泌させる事で身体能力や反射神経を高める。……それで心理的なコントロールを加えると」

私は超人機関の研究者が追加で吐いたという内容を読んでいた。

双子の脳に埋め込まれた物の詳細がある程度わかった。

 

「マイクロ・インプラントが粗悪品の為、γ−グリフェプタンの投与を中止。……再構築戦争時の増強剤を元にした薬物の投与に切り替えたと」

私は実家とコペルニクスと実地でそれなりに医薬学を学んでいた。

それ故に研究がわかる。……あの研究所の双子達は雑な改造で助かっていた。

あの場で助からなかった者達はγ−グリフェプタンが投与されていて手遅れだった。

 

「γ−グリフェプタンは依存性が強く、脳や精神が汚染されてやがて廃人になるわ」

ミケランジェロは事実を挙げた。これはこのままではどうにもならない結果であった。

 

「……貴方の指示通りに効果を抑えている物を作っているけど参考となる資料が少なすぎるわ」

ミケランジェロは私に現状を再度伝えた。

超人機関から押収した物や人ではγ−グリフェプタンへの対策の参考になる物が足りなすぎる。

 

「このままだと末期の患者の寿命が数ヶ月伸びる程度よ」

ザナドゥ医薬学部門担当のミケランジェロはそう言い切った。

ミケランジェロがそういうのならばこの資料では足りなかった。

 

「……数ヶ月保たせてその間にというのは無理だろうか?」

私はミケランジェロに無茶苦茶を言っている自覚はあるが聞いてみた。

単純な解毒ならば私の方が知見がある。……数ヶ月では無理である。

 

「貴方の方が詳しいでしょう?」

ミケランジェロはそう問い返してきた。

彼は毒は私の方が専門という考えに同意しているらしい。

……自分の才能を誇る彼が認めてくれているのは本来は喜ぶべきだろうがこの場合は嬉しくはない。マトモにやればそれ以外の可能性がないという事である。

 

「半年保たない者に上手くいくかわからない物を投与する事になる。……駄目だ。予測が出来ない」

私は仮に主だった研究機関の資料を確保できたとして思考した。

仮定が多すぎて考察は論外だった。押収できたとして膨大な資料の中から有効な手立てを見つけるのは……。

 

「仮にだが」

私はミケランジェロに提案することにした。

……仮にではあるが前提を変えてしまえば或いは得るものがあった。

 

「何かしら?無理な事を言っても無理よ」

ミケランジェロは私に事前に警告してきた。……あまりに想像のつかない物を追いかける余裕はないと言いたげである。

 

「まぁ、仮に超人機関の連中が双子という特異点が見つからない状況だったら、主流派の研究をしないかなという話にならないか?」

私はミケランジェロにある意味で有益な技術を放棄する事を提案した。

双子という特異点を見つけて狂乱した末端の馬鹿どもである。それがなかったらどうしたか。

 

「……双子の実験をまだ隠していそうなあの連中の記憶を消去してしまえと?」

ミケランジェロは私の言う事を理解して繰り返して尋ねてきた。

 

「まぁ、正気ではないが。奴ら独自の知見を活用する必要性はないだろう?」

私はミケランジェロに提案した。奴らがこちらとの取引の為に有益な情報を隠し持っていようが関係なく消す。

 

「汎用性のない双子の研究だ。……彼女らは真っ当に育てる」

私は主流派から切り捨てられた奴らのプライドを評価に値しないと切り捨てた。

そして、双子達は真っ当に育てるつもりであり、闇におかないことを宣言した。

 

「……正気?この際だから正直に言わせてもらうけれども、超人機関の元研究者達、奴らの価値なんて双子の研究くらいしかないのよ?辛うじて改造人間のノウハウがある程度よ」

ミケランジェロも私の発想に戸惑いを隠さない。

超人機関の研究員達の双子の研究の記憶を消去してしまえば戻る保証がない。否、戻らせるつもりがない。

 

「双子を発見した以前のまっさらにしてどうするか聞き出した方が早くないか?今後の犠牲者を救うならば奴らの固定観念は邪魔だ」

私は超人機関の研究を邪魔だと言い切った。

だが、私は双子の研究もまた何時かどこかで役に立つかもしれないとも思っていた。

……それを知るには時間がない。ならばより多くを救う可能性を模索する方が良い。

 

「私達から見れば超人機関の連中は三流とはいえ……ああ、もう!」

ミケランジェロは研究者として憤慨した。だが、私の主張も理解しているようであった。

 

「……あいつらの記憶を消したところで得られるものが皆無な可能性の方が高いのを忘れないでね!?うちでは改造人間の製造なんてやってないんだから!!」

ミケランジェロはキレつつ、私の仮定を受け入れてくれた。

……私がミケランジェロに医薬学の研究を一任している以上、興味はあるはずの双子の研究をゼロにするのは惜しいのは間違いない。

 

「……ありがとう」

私は友であるミケランジェロに感謝した。

私はミケランジェロ程の才能からすれば見返りの薄い仕事でも働いてくれているのを知っていた。更にその恩恵を無くすような提案を行っていた。

……恩を返そうにも才能で全てを賄えるであろうミケランジェロに私は感謝しかできない。

 

「そう言われると調子狂うわね……あの子達、ニュータイプって言うよりも多分カテゴリーFだし、まぁいいかと思っただけよ」

ミケランジェロは私にそう言った。

……何だか双子以外に関しても色々知っていそうだが、私は聞かなかった事にした。

 

「ニュータイプってなんだよ」

私は言葉を漏らした。……ニュータイプとかカテゴリーFとかまるで意味がわからない。

 

「……アンタみたいなのよ」

ミケランジェロはそう言って研究に戻っていった。

 

……どうもわからない。勘の強い者達の事だろうか?

絶望仮面やフラガ中尉、ゲーマーのMAYUみたいな感じの者達は居た。

 

MAYUは私と交流するうちに勘が発達していた。彼女曰くゲームくらいにしか活かせていないという。

MAYUはコーディネイターであると私は彼女から聞いていた。私はそれを聞き、モビルスーツに乗れたら強いだろうなと思った。

MAYUは四方八方から即死の弾幕を張る破牢鬼帝を通常モードで対応出来るようになっていた。

破牢鬼帝を素で攻略できるのはコーディネイターとしても異常だと理解して普段は制限しているという話だ。

 

……では、素で完全クリアしたアスランは一体何だという話にはなる。やはり奴はおかしい。

それでこそ我が宿敵だ。私は鍛錬不足であると痛感した。制作者だからって完全クリア出来るわけではない。

私は何回かやって1回だけ完全クリアできた程度だった。まぁ、やり込むゲーマーに勝てるわけがないのはそうなのだが。

 

……私はどうでも良いことに思考を割いていた事に気が付いた。

一時間程ニュータイプとはなんぞやと考えていた。気がつけば夜中の3時だ。……20日の午前3時だった。

私は明日のカナードの来訪に備えて30分寝ることにした。一日それくらいは寝ないと脳がやられていた。

暴れるだけの戦闘では良い。だが、最近は頭を使うので睡眠不足は良くなかった。

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