極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して   作:kohet(旧名コヘヘ)

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閑話 見なさい双子、規模は大きいが根本的にはみみっちい嫁いびりという奴ですよ

 

コズミック・イラ70年2月23日、世界樹攻防戦で地球連合軍が敗北したニュースは世界に衝撃を与えた。

 

何せ、地球と月の間にあるコロニー群である世界樹が戦場である。核戦争になったら地球連合だけでなく地球も終わるので又しても騒ぎになった。

……前に一度騒いだのである程度落ち着きがあったが、その為にブルーコスモスのコーディネイター脅威論が民衆に益々浸透し始めていた。

 

地球在住のコーディネイター達は更に肩身が狭くなっていた。

コーディネイターである事を隠せている者達もザナドゥ関連の企業に転職を考えるようになっていた。

……万が一のリスクを考えるとザナドゥに所属するのも選択肢として有りになって来ていた。

消去法で乗り気でない理由でも優秀な人材の加入は常に人材不足であるザナドゥでは歓迎であった。

これまで苦労して来たザナドゥ構成員の大半と比べると、ゆとりのある彼らが直接関わるのは精神衛生上宜しくない。だが、距離を取る手段も確保していた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

クシーはゆとりの未だある新規のコーディネイターである彼らの事情も考え、表向きザナドゥとの関係が低い民間企業に受け入れを開始した。

2月20日、カナード達が来た際に姉が手土産に持って来た資産価値の薄い企業等である。

一般企業としての経歴があるのでペーパーカンパニーをでっち上げるよりも良かった。

 

時は少し前、クシーとカナード達がザナドゥ本部の特殊孤児院前で直接会話する直前までに遡る。

 

「どうせ近日中に世界樹は落ちる。……私は好かんがザナドゥには日和見のコーディネイター達が遣って来るだろう」

リューリク家の現当主であるシグネ・アペッナ・リューリクは弟に予測を伝えて来た。

シグネは超人機関の双子と戯れるクシーを見たカナードの脳破壊を見て大いに満足していた。

 

「お前が用意しているであろうペーパーカンパニーよりは実態のある企業だ。……私に利益を半分寄越せばくれてやる」

シグネは使えない企業を活用出来る弟に提案した。

……不良債権手前の企業を押し付けつつ、将来の利益の半分寄越せという滅茶苦茶な提案である。

 

だが、

「半分は暴利……とも言えないな。然し、そのままだと勿体ない。……提案があるので其方も聞いて貰えないだろうか?」

クシーはシグネの提案に賛同しつつ軌道を修正する事にした。

姉の遣り方は価値の無い物を価値を作れる者に売り飛ばすだけだ。……余りに勿体ない。

 

「核シェルターを売却した際、金銭的に余裕の無い資産家から巻き上げた企業でしょう?その人らに利益を還元……というか巻き込めないだろうか?」

クシーは姉に提案した。今後の戦争次第ではあるが、これらの企業の元の所有者である富裕層達はほぼ没落する事になると予想された。シグネから渡された企業の元の持ち主達の名前等をクシーは自身の記憶と照合していた。

現在ザナドゥが取り組んでいる世界的な有線通信整備事業に投資する余裕の無いような人々が居た。富裕層というのはコネがあれば助け合いで或る程度の連携が取れる生き物だ。同時にコネの無い者には冷淡である事が多い。……金があろうが全てを救えない人間の処世術だった。富裕層は金だけで買える機会を基本的に見逃さない。

 

「有線通信のインフラ整備は或る意味で社交界のチケットとなっている。富裕層なら最低限の金額でも投資している。その機会を手放しているのは彼らに余裕がな無い証拠だ。……純粋に興味が無い可能性もあるが」

クシーはシグネの名簿と自分の顧客を比較、推測して言った。

社交界のチケットを購入出来ない程度の富裕層でも今ならば地域に影響力はあるだろう。

今更有線通信に投資すると借金をする事になりかねない。若し、社交界のチケットとして欲しければ企業の将来の利益で肩代わりする事で契約しても良い。

 

「……今なら恩は高く売れる、か。真の狙いは、コーディネイター達を勧誘する為のリスクの分散辺りか?……ザナドゥという名では未だ嫌煙されるだろうからな」

シグネは弟の提案に眉を顰めたものの、理解を示した。核シェルターという恩を売り、更に利益まで提案するのはシグネに取っても利益になる。

……愚弟の言動はシグネ的には少し不快だが、今回は許せた。理由は単純である。

 

「……まぁ、良い。こういう事は小娘には出来んだろうよ」

シグネは未だ脳破壊されているカナードをチラッと見て微笑んだ。悪意のある笑みだと弟は引いた。上がった好感度が下がって元に戻った。

 

「カナードちゃん?おーい、気を取り戻して。……しっかりした方が良いよ?マジで」

遠目に見られている事を察した少佐……ではなく未だ大尉のマッド大尉は嘲りの視線を看破した。マッド大尉はこういう負の感情を察するのが非常に得意であった。

女の情念は流石にマッド大尉も知らない。だが、シグネというのがザナドゥ代表の姉な事くらいは把握していた。

尚、シグネが血の繋がりの無い養子縁組であり、義理の姉というのまでは知らない。其処まで知っていたらお前ら何のエロゲだとマッド大尉は叫んでいただろう。

 

「何言っているのか聞こえないけどさ、あれは嫁いびりって奴でない?」

マッド大尉はカナードの琴線に触れるワードを偶然だが呟いた。……『嫁』いびりである。

 

「……そうだな。済まん、恩に着る。少し行って来る」

カナードは再起動した。マッド大尉に感謝の言葉を述べた。……今、クシーは自分の為に時間を割いてくれたのだ。

クシーの姉を騙る暗殺者が何を考えているかは知らないが、今は自分の為に時間を割いてくれている。大事な事だったので気分を入れ直した。

 

……カナードが再起動した結果、今度はシグネが軽く脳破壊される羽目になる。

……それはシグネの自業自得だった。クシーも一々姉に構っている暇は無いのでカナードを優先していた。

早く双子を止めていれば好感度的に構って貰えただろうにとベラは思った。

ベラは主の好感度のパラメーターを大凡把握していた。シグネは大概一時の感情で全てを台無しにしていた。

シグネは勝手に男が寄って来るものだと思っている節が抜けない馬鹿だとベラは見抜いていた。

双子のついでに主に買って貰ったアイスクリームを食べながらベラは思った。

 

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