極めて善良かつ中立的な私から見た後に英雄とか言われる奴らに関して   作:kohet(旧名コヘヘ)

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第8話 珈琲派なのに紅茶が最近多いのかって?最近世間話している女性がいるのだが…(殴打音)

コズミック・イラ65年8月、プラント最高評議会にて自由条約黄道同盟ZAFTが結党された。

元々プラント内で政権与党であった右派過激派の黄道同盟が躍進した結果である。

 

プラント独立運動はますます過激化していくことになるが世論はまだ楽観視している。

恐らく後世から見ればここが歴史の分岐点と語るだろう。ここでならば止められる。

 

だが、その決定権を握る者達は誰もそれを止める気がない。この世界は相手の善性を信じるにはあまりにも多くの憎悪が溢れすぎていた。

憎悪が憎悪を呼ぶ遥かに恐ろしい未来よりも今この瞬間の為に止めるわけにはいかない。

 

…最後の分岐点を止める必死の願いは踏みにじられ、歴史の闇に葬られていた。

 

 

私は結局は止められなかった。だが、それで諦める事も出来なかった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ヤマト家に遊びに来ていた私は例年のようにアスランとキラの夏休みの課題を手伝っていた。

アスなんたらはキラに甘いので叱りつつもやってしまう。

私としてはキラの自業自得なのでアスランがやりすぎないように茶々入れている。

…まぁ、なんだかんだで手伝っている時点で私もあまり人のことを言えないのだが。

 

 

キラは追い込まれないとやらない癖があるがそれでも大抵は出来てしまう能力がある。

その為、休みの期間が長いと課題を溜め込んで悪化させる。

 

やらなくて良いならばやらないでのんびりしている。

その癖興味のあることは他のことを放り出して集中して取り組む。

大抵は独学でやり込むのでスパゲッティコードのような自己最適化をする。

私としてはせっかくの才能と労力が勿体ないので適当な専門書等を与えていた。

 

 

「お前がキラに余計なことをするから課題をやらないんだろうが」

アスランがキラの本棚や電子データを見て私に苦言を呈する。

 

キラはアスランの小姑みたいなネチネチとした小言を言われたくないので課題を必死にこなしている。

前からその必死さの1割でもやっていればこんなことにはならないのだが。

 

「いや、まぁ…そうだな。やっぱりそう思う?」

私は反論しようにも現状の責任の一端はあると思ってしまったので言い淀んでしまった。

 

というかキラが私から借りっぱなしで困っていた。私も読むので返してほしい。

 

「…ああでも、これは勉強にはなる内容だな。キラ!何でこれを活かせないんだ」

アスランは私が素直に非を認めた事に出鼻をくじかれたのか方向を変えてきた。

ペラペラと中身を読んでいた。大体幼年学校の課題に合致することに気がついたようだ。

 

「…だって、課題は面倒なんだもの」

キラは拗ねたように顔を背ける。やらされるのとやるのではテンションが違うのはよく分かる。

 

しかし、私の苦肉の策でやった課題に取り組みたくなるようにする誘導が尽く無意味なのには少し凹む。

 

「はぁー…フフフ」

私は思わずため息を吐く。そして笑った。

 

二重生活みたいなことをしているが、世界がどうにも上手く行かないのはキラが面倒臭がるのと同じような感じならば可愛いものではないかと思ってしまった。

 

 

「お前、笑い事じゃないからな。今、俺達に被害が来ているんだからな?」

アスなんたらが私の感慨をぶち壊すような横槍を入れてきた。

ちょっと今良い感じに気分転換出来ていたのだからキラ相手にして欲しかった。

 

「課題の山だが、もうキラに不眠不休でやらせれば良いんでないか?」

私はキラの手伝いそのものを放棄することを提案した。

 

なお、カリダさんはキラの自業自得なのでスルーを決め込んでいた。

 

「ええー!酷いよ!」

キラが私の言葉に無慈悲で冷酷な奴だと非難の声をあげた。

 

私に責任が皆無とは言わないがキラの自業自得なのだから冷酷でも無慈悲でもない。

 

「それは…いや、流石に」

アスなんたらは同意しそうになるも流石に少女に不眠不休でデスマーチをやらせることは抵抗してきた。

アスランは最近キラを異性であると少しは認識したようだ。前ならば同意していたのだが。

 

だが、

「そうだそうだ!」

キラはアスランの発言に乗っかってきた。まるで私が悪人である。

 

「アスラン、慈悲を見せるとこうなるぞ」

私は自分を棚に上げるキラの反応を見せて言った。アスランがやってくれると思うから怠けるのだ。私ならば責任分はやるが後は自己責任でやらせる。アスなんたらは過保護なのだ。

 

「…」

アスなんたらは私に同意するのも嫌だが、かといってキラの振る舞いに思うところがあるのか沈黙を選択した。

 

「沈黙は金だな。雄弁で場をかき乱しても大抵は自分の状況は変わらない」

私はアスランの同意を得たと言わんばかりにキラに手を止めるなと圧をかけた。

 

「さあ、茶は用意した。本気でカフェイン中毒になるようなことになりたくなければ手を動かせ」

私は土産に持ってきた高級茶葉を丁寧に淹れた紅茶をキラの目の前に置いた。

状況を変えたければ自分で動かなければならない。

何、アスなんたらは甘いから頑張る姿勢を見せ続ければ手伝ってくれる。

 

 

私はコーヒー派だが紅茶にも詳しくなっていた。どこぞの姫様の話題に合わせる形ではあるが。

歌そのものは大変良いのだが、何となく違和感がある不思議な歌姫である。

平穏を愛する者がいることは良いのだが。もう少し年齢があればと思わなくもない。

 

 

…何故か私はキラから軽く叩かれた。理由はキラ本人にもわからないらしい。

 

アスなんたらは圧迫するからだとほざいて結局手伝い始めた。

 

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