GT悟空はヒーローガールの片割れとして転生するようです   作:のぞむ

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ツバサの過去と夢

クウとましろが学校へ向かっている頃、ソラはエルが眠っているゆりかごのそばで塞ぎこんでいた。

 

(…もしもあの時、エルちゃんのそばにいたのがツバサくんじゃなくてカバトンの仲間だったら…未熟…!)

 

どうやら昨夜の事を引きずっているようだ。

 

「…!?」

 

ソラがふとゆりかごを見てみると、その中にエルの姿がなかった。

 

「エルちゃん!!」

 

ソラは慌てて部屋を出てエルを探す。

しばらく廊下を探していると、壁に触れて何かをしようとしているエルを見つける。

 

「エルちゃ「シーッ!」っ!」

 

エルに駆け寄ろうとするソラをツバサが止める。

 

「あの…いったい何を…?」

 

「静かに」

 

「は、はい…」

 

状況をよく把握していなかったソラであったが一先ずツバサの言う通りにし、エルを見守る事にする。

 

 

 

 

「え~…るぅ…!」

 

なんとエルが壁を使って1人で立ったのだ。足を震わせているものの、初めて自分の足で立つ事が出来たのだ。

 

「エルちゃん…!」

 

その光景を見ていたソラは感激した表情でエルを見ていた。

 

「える…!」

 

しかしエルはバランスを崩して倒れそうになってしまう。

すぐさまソラとツバサが出てきてエルを支える。

 

するとソラがエルを抱きしめる。

 

「頑張ったね…諦めなかったね…偉いね…!」

 

そう言ってエルを誉めるソラの目から涙が零れ落ちていた。

 

「頑張ったわね、エルちゃん」

 

どこからともなくヨヨもこの場にやって来る。

どうやらヨヨもエルが立つ所を見ていたらしい。

 

「…ソラさん、ちょっといいですか?」

 

そんな中、ツバサがソラに話しかける。

 

「はい?」

 

「…一緒に、来てもらえませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツバサとヨヨに案内されたソラがやって来たのはこの家の空き室だと思われていた部屋であった。

部屋には飛行機の模型や飛行機に関する本がたくさん置いてあった。

 

「あの~、この部屋は?」

 

「私が用意したツバサさんの研究室よ」

 

「研究…ですか?」

 

「航空力学の研究です」

 

「航空?」

 

ツバサが言った航空力学と言う言葉にソラは首を傾げる。

 

「ソラさん。飛行機って知ってる?」

 

「はい。前にテレビで見ました」

 

「その飛行機を飛ばす為の学問の事を、航空力学って言うのよ」

 

ソラはヨヨから航空力学について教えてもらう。

ツバサは一冊の本を取り出してソラに見せる。

 

「これは、空を飛ぶ為に長い時間をかけて書き上げられた本です。それを僕は1年かけて勉強してきました。スカイランドに帰らなかったのは、その為なんです」

 

「あの…どうしてそんなお勉強を?」

 

「…約束してください。本当の事を言っても、絶対に笑わないって…」

 

「…はい!」

 

ツバサの言葉にソラは返事をする。

 

 

 

 

「…空を飛びたいんです」

 

ツバサはハッキリと、そして力強くそう言った。

 

 

「知っていますよね?僕達プニバード族が世にも珍しい、空を飛べない鳥だということを…」

 

「はい…大昔、人間に変身する能力と引き換えに飛ぶ力を失ったって聞いています」

 

「そうです…ある日、僕の父が王様の都で展覧会をすることになったんです」

 

幼い頃、ツバサは父親と一緒に鳥に乗って王都に向かっていた。

しかしツバサが乗っていた鳥から誤って落ちてしまった。

すると奇跡が起こった…父親が空を飛んで彼を助け出したのだ。

 

あれからツバサは空を飛ぶという夢ができ、毎日空を飛ぶ練習をしていた。

 

しかし、他のプニバード族はツバサの夢をバカにし、笑ったそうだ。

それでもツバサは諦めきれず、いつものように崖の上に行き、空を飛ぶ練習をしていたがやはり上手くいかずに落っこちてしまった。

 

「そんな時でした、クウさんが僕を助けてくれたのは…」

 

「クウがですか?」

 

「はい。今でもハッキリ覚えています…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うわぁぁぁぁぁーーーー!!』

 

今から約2年前、ツバサは崖の上からジャンプして空を飛ぼうとしたが失敗してしまい、落っこちていた。

 

 

 

 

『おっと!』

 

そんな時、クウが舞空術で空を飛んでツバサを助け出した。

 

『オメェ、でぇじょうぶか?』

 

『は、はい…えっ!?…そ、空を飛んでる!?』

 

ツバサはクウが空を飛んでいる事に気づき、驚いてしまっていたがそんなツバサに気づかず、クウは陸までツバサを連れていく。

 

『あ、あの…助けてくれて、ありがとうございます!』

 

『礼なんていいって!ところでオメェ、なんであんなとこから落っこちてたんだ?』

 

『そ、それは…』

 

”空を飛ぶ練習をしていました”…そう言おうとしていたツバサであったが、いつも里の者にバカにされている事を思い出してしまい口ごもってしまう。

 

『…言いたくねぇなら言わなくてもいいさ』

 

クウは何かを察したのか、これ以上詮索するのをやめる。

 

『…あの!』

 

『ん?』

 

『聞きたい事があるんですけど…』

 

ツバサはクウに何かを聞こうとする。

 

 

 

『あれ~?ツバサじゃねぇか!』

 

そこへガラの悪そうなプニバード族の子供が数人やって来る。

 

『何だよお前、まだ空を飛ぶ練習なんてしてんのかよ?』

 

『空を飛ぶ練習?』

 

『いくら練習したって無理なもんな無理だよ!』

 

『そうそう!諦めなって!』

 

そう言って子供たちはツバサをバカにするように大笑いする。

 

『オメェ、空を飛びてぇんか?』

 

『…はい』

 

『だったらよ、オラが空の飛び方を教えてやる!』

 

『え…?』

 

『何言ってんだよ?なんで鳥でもないお前が空の飛び方を教えるんだ?』

 

『ヘヘッ!羽はねぇけんど、オラは空を飛ぶ事ができんだ!』

 

『ダハハッ!だったら今ここで飛んでみろよ!』

 

『無茶言うなって、羽もない人間が空を飛べるわけ…』

 

子供の1人が飛べるわけがないと口にしようとしたタイミングでクウは舞空術で宙を浮かぶ。

 

子供達はしばらく唖然としていたが…

 

 

『えぇぇぇーーーーーーーー!?』

 

 

思いっきり大声を出して驚いてしまう。

 

『な、飛べただろ?』

 

『あわ、あわわ…!』

 

子供の1人がクウを指差しながら声を漏らしていた。

 

『オメェ達、出来ねぇって思ってる事も努力すりゃ出来るようになるかもしれねぇんだ。だからあんまし出来ねぇなんて言わねぇ方がいいぞ?』

 

『は…はいぃーーーー!!』

 

『あっ!待ってよ~~!!』

 

子供のリーダー格が一目散に逃げていき、他の子供達も慌ててその子供を追いかけていった。

 

『あれ?行っちまった…』

 

『あの…』

 

ツバサがクウに話しかける。

 

『本当に、空の飛び方を教えてくれるんですか?』

 

『ああ!オメェが本当に飛びてぇって思ってるならな』

 

『と、飛びたいです!僕に、空の飛び方を教えてください!』

 

『おう!でもさ、オメェ鳥なのに空を飛べねぇんか?』

 

『僕達プニバード族は、空を飛べない鳥なんです…』

 

『オメェら、空を飛べねぇんか!?変わった鳥だなぁ~!』

 

『でもその代わり、人間に変身することが出来るんです』

 

そう言ってツバサは人間の姿に変身する。

 

『どうですか?』

 

『ひゃ~!ホントに人間になったぞ!オメェスゲーな!』

 

『これくらい僕の仲間ならみんな出来ますよ。それより…』

 

『わかってる!空の飛び方を教えてほしいんだろ?言っとくけど、空を飛べるかはオメェの努力次第だ。いいな?』

 

『はい!』

 

『よし!じゃあ自己紹介しねぇとな。オラはクウ・ハレワタールだ!オメェは?』

 

『僕はツバサです』

 

『ツバサだな!そんじゃあさっそく…』

 

するとクウのお腹から大きな空腹音が聞こえてくる。

 

『メシ食わせてくんねぇか?オラ腹減っちまって…』

 

『え、えぇっ!?』

 

これからすぐに舞空術のやり方を教えてもらうのかと思っていたツバサは思わずズッコケてしまう。

 

 

 

 

 

その後クウは住み込みでツバサに気のコントロールと舞空術のやり方を教える事になった。

初日のツバサは気のコントロールを覚えるのに苦戦していたが、空を飛びたいという気持ちをモチベーションにしていたおかげか4日で気のコントロールを覚え、その3日後には気功波を撃てるようになっていた。

 

『やった~!やりましたよクウさん!』

 

『スゲーな!この7日で(てぇ)したもんだ!』

 

『それじゃあいよいよ…』

 

『ああ!いよいよオメェに空を飛ぶ技、舞空術を…』

 

『あの~…』

 

クウがツバサに舞空術を教えようとしたタイミングで一匹の鳥がやって来てクウに話しかける。

 

『もしかして、あなたがクウ・ハレワタールさんですか?』

 

『そうだけんど?』

 

『あなたのご家族から手紙を預かっています。それでは』

 

鳥はクウに手紙を渡し、飛び去っていった。

 

家族からの手紙を読んだクウは申し訳なさそうな表情でツバサに話しかける。

 

『わりぃツバサ。母ちゃん達がそろそろ帰ってこいって言ってっからオラ帰らねぇと…』

 

『えぇっ!?それじゃあ舞空術は…』

 

『わりぃけんど、今日でオメェの修行はひとまずおしめぇだ…』

 

『そんな~…』

 

舞空術を教わる前に修行が終わった事にツバサは落ち込んでしまう。

 

『でぇじょうぶだって!また旅に出て良いってなったらまたオメェのとこにくるからよ。それまで基礎を忘れずにちゃんと修行すんだぞ?』

 

『…はい!クウさん!今日までありがとうございました!』

 

『礼なんていいって!オラがそうしたいって思ったからそうしたんだからさ』

 

『ハハッ、クウさんは謙虚ですね…』

 

『ん?なんか言ったか?』

 

『いえ…クウさん!お元気で!』

 

『おう!オメェもな!』

 

そう言ってクウは舞空術でプニバード族の里から飛び去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…という事があったんです」

 

「そうだったんですか…クウらしいですね」

 

ツバサから話を聞いたソラは思わず微笑んでしまう。

 

「それから気のコントロールの修行を続けていたんですが、空を飛べるのか試してみたくなってしまって、嵐の晩に風に乗って飛ぼうとしたんですけどそのまま落っこちてこの世界に来たんです…でもある日、クウさんがこっちの世界に来てくれてとてもうれしかったんです!すぐにでも飛び出して、舞空術を教えてもらおうとしました!でも…」

 

「…もしかして、私とエルちゃんですか?」

 

「はい…やっぱり他の人に僕の夢を話す事に抵抗があったんです…ソラさん、今まで黙っていてすみませんでした!」

 

ツバサは頭を下げてソラに謝罪する。

 

 

 

 

 

「私もごめんなさい!!」

 

するとソラも頭を下げてツバサに謝罪をする。

 

「え?」

 

「私、ツバサくんの事情も知らずに、つらく当たってしまいました!」

 

「そ、そんな!頭を上げてください!」

 

ツバサは慌ててそう言う。

 

「ツバサくん!空を飛ぶ為に諦めずに努力するあなたはとってもカッコいいです!私もヒーローになる為に鍛錬を欠かさずやっていますから、とても気持ちがわかります!」

 

「ソラさん…」

 

「私もツバサくんと同じく、クウに助けられた事があるんです!だから私達、同じじゃないですか?」

 

「…そうですね」

 

「…ツバサくん。その…私と友達になってください!」

 

ソラはツバサに手を差し出す。

 

「…はい!よろしくお願いします、ソラさん!」

 

ツバサはソラの手を取り、握手をする。

 

「!…はい!」

 

 

こうしてソラに新しい友達が出来たのであった…




次回も楽しみに待っていてください!
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