GT悟空はヒーローガールの片割れとして転生するようです   作:のぞむ

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大変お待たせいたしました!

それでは本編をどうぞ!


近づく別れ

「…断るべきでした」

 

エルの初めての靴を買って家に戻ってきたクウ達。そんな中ソラがこんな事を口にする。

 

「それって、あのばあちゃんの事だよな?」

 

「うん…きっと何か事情があったんです…なのに私…未熟です!」

 

少しの間俯いていたソラだったが急にその場から立ち上がる。

 

「こうなったら、あの人に靴を返しに行きましょう!」

 

「えぇっ!プリンセスはどうするんですか!?」

 

「そ、それは…」

 

「それに返すって言ってもエルちゃんあの靴を気に入っちゃってるし、そもそもあの人をどうやって見つけるの?」

 

「気を探るって手もあっけど、今から探しても時間がかかって夜になっちまうぞ。探すんなら明日からにして今日は休もうぜ」

 

「…わかりました」

 

クウ達の話を聞いたソラは渋々家で休むことにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時、ヨヨの部屋から大きな物音が聞こえてきた。

 

「な、なんだなんだ?」

 

「おばあちゃんの部屋からだよ!」

 

「行ってみましょう!」

 

クウ達はヨヨの部屋まで向かっていく。

 

「ヨヨさん!」

 

部屋に入ったクウ達が見たのはミラーパッドから現れている大きな穴だった。

 

「これは…」

 

「クウさん、ソラさん、約束通り、スカイランドへ通じるトンネルを完成させたわ」

 

そう、これこそスカイランドへ行く為のトンネルなのだ。

 

「ひゃ~!このトンネルでスカイランドに(けぇ)れるんだな!」

 

「そうよ。これから王様達と王妃様にも知らせるから少し待っていてちょうだい」

 

そう言ってヨヨはエルを抱っこしてスカイランドにいる国王と王妃との通信を始める。

 

「やっとエルをスカイランドに帰せてやれるんだな!…ソラ、ましろ、どうしたんだ?」

 

「…へっ?そ、そうだね!」

 

「う、うん!これでエルちゃんもパパとママに会えるね!」

 

そう口にするソラとましろだったがその表情は沈んで見えていた。

 

『おおっ!それは真か、ヨヨ殿!』

 

「はい。ですが安全の為、少しばかりミラーパッドを調整する必要があります」

 

『どれくらい掛かるのです?』

 

「えぇ…明日の夕方には」

 

ヨヨはクウ達に目線を移しながらスカイランドに帰れる時間帯を告げる。

 

『そうか!では頼みましたぞ!』

 

『プリンセス、待っていますよ』

 

「える!」

 

国王と王妃との通信を終えたヨヨはクウ達を見て話を始める。

 

「みんな、聞いてちょうだい。アンダーグ帝国はこれからもエルちゃんを狙ってくるでしょう。戦いの舞台はソラシド市からスカイランドに移る。でも…ましろさんはスカイランドでは暮らせない」

 

ヨヨの話を聞いていたましろは一瞬表情を変えてしまう。

 

「ソラシド市で学校に通わなくちゃいけない、勉強もしなくちゃいけない。それに…」

 

「ラ、ランボーグがエルちゃんを襲ってきたら、私もトンネルを使ってスカイランドまで助けに行くよ!」

 

「そうね…そうしてあげて。でも一つ屋根の下で暮らすのは明日でおしまい。寂しいけれど…後であげはさんも呼んで、夜は御馳走にしましょう!」

 

「御馳走だって!?」

 

「えぇ。とっても美味しいお料理を用意するわ」

 

「やった~!」

 

クウは嬉しそうにしていたがソラとましろの表情は沈んでいるままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、あげはを加えた一同は豪勢な料理を堪能し、それぞれ女子と男子で分かれて就寝していたが。

 

「ぐが~!」

 

あげはの大きないびきのせいでクウ、ソラ、ましろは眠れずにいた。

 

「う~!あげはの奴いびきがデカくねぇか?」

 

「怪獣みたいですね…」

 

「あげはちゃん、学校忙しいし、毎日車で通って大変そうだし、最後に顔出してくれて本当にありがとうだよ」

 

「最後…」

 

「…ぐが~!ぐが~!!」

 

あげはは先程より大きないびきを出し始める。

 

「もう!これじゃ寝れないよ~!」

 

そう言ってましろはベッドから起き上がる。

 

「…クウ、ましろさん」

 

「うん?」

 

「どうした?」

 

「ちょっと、外の空気を吸いに行きませんか?」

 

ソラは二人に外へ出ようと提案してくる。

 

「そうだね。このままじゃ眠れそうにないし…」

 

「オラはここに残ってっから、オメェ達だけで行ってこいよ」

 

「え?クウも一緒に行こうよ!」

 

「いいからいいから!ほら!」

 

「わ、わかったから押さないで~!」

 

クウはソラとましろの背中を押して二人を部屋から出す。

二人が部屋から離れていったタイミングを見計らい、クウはあげはのそばに近づく。

 

「なぁあげは、オメェ起きてんだろ?」

 

「…バレてた?」

 

あげははそう言って目をパッチリ開ける。

 

「なんかわざとらしいいびきだったからさ、実は起きてんのかな~って思ったんだよ」

 

「アハハ…クウちゃんも一緒に行かなくてよかったの?」

 

「ああ」

 

「…寂しくないの?」

 

「オラは寂しくねぇな。トンネルを通っていけばまた会えるんだしよ。とはいえあいつらは寂しいと思ってるはずだし、今は二人で話した方が良いと思ったんだ」

 

「…クウちゃんって意外と大人だね」

 

「へへっ!まぁオラ、中身は大人だしな」

 

「そういえばそうだっけ…ねぇ、失礼かもしれないけど、クウちゃんって前世だと何歳まで生きてたの?」

 

「ん~っと?確か…52歳だ」

 

「へぇ、結構若かったんだね…」

 

「そうか?孫もいたしそんなに若くねぇと思うけんど…」

 

「いやいや、私的に52歳って若い…えぇっ!クウちゃん、孫いるの!?」

 

「ああ!パンっちゅう名前の孫娘だ。結構強ぇんだぜ」

 

「そ、そうなんだ…」

 

 

 

 

 

『じいちゃ~ん!』

 

『ようパン!早ぇじゃねぇか!』

 

『じいちゃんに会いたくて急いで来たの!』

 

『そっか!じゃあじいちゃんといっぺぇ修行すっか!』

 

『うん!』

 

 

 

 

 

クウは前世の出来事を思い出していた。

そう、幼い孫娘のパンと過ごした記憶である。

 

(パンの奴、今頃どうしてっかな?)

 

「クウちゃん?」

 

クウが急に物思いに耽っているのを見たあげははクウに話しかける。

 

「なんでもねぇ。さて、あいつらどうしてっかな?」

 

クウは外で話をしているソラとましろの様子を窓から覗く。

 

 

 

 

 

 

 

「…初めてこの世界に来た時は、魔法の世界かと思いました」

 

「フフッ、そんな事言ってたね!」

 

「でも、今はなんだか、ここがもう1つの故郷のように思えます」

 

「ソラちゃん…」

 

どこか寂し気な表情のソラを見てましろも同じように寂しそうな表情になる。

 

「…あっ!ご、ごめんなさい!またすぐに遊びに行きますから!」

 

「う、うん!」

 

「え、えっと…明日!靴を譲ってくれた人を探しに行きませんか?トンネルが開くまで時間がありますし!」

 

「う、うん!そうだね!」

 

ソラとましろの会話はどこかぎこちないものだった。

 

 

 

 

「寂しい筈なのに…良い子すぎるよ、二人とも…」

 

クウと一緒に二人の様子を見ていたあげははそう口にする。

 

「あいつらならでぇ丈夫だ。じゃあ、あいつらが戻って来る前に寝ちまおうぜ」

 

「…そうだね」

 

クウとあげははソラとましろが戻ってくる前に布団に潜って就寝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

「クウ!行くよ!」

 

朝食を食べ終えて修行を始めようとしたクウにいきなりソラがそう言ってくる。

 

「え~っと…どこにだ?」

 

「もちろんあの靴をくれた人を探しに行くんだよ!」

 

クウが感じている疑問にましろが答える。

 

「…もしかして、オラも行くんか?」

 

「もちろんだよ!」

 

「でもオラ、今から修行してぇしな~…オメェ達だけで探しに行ってくんねぇか?」

 

「「そんなのダメだよ!!」」

 

クウの言葉にソラとましろは大声で反論する。

二人の声を聞いたクウは思わずビクッと反応する。

 

「クウも一緒じゃないとダメだよ!もう三人一緒にいられないんだよ!?」

 

「私もクウちゃんと一緒に行きたいよ!お願い!」

 

「オメェ達…」

 

二人の想いを聞いたクウは少し考える。

 

「…しょうがねぇな~!一緒に探しに行くか!」

 

「クウ!」

 

「ありがとうだよ!」

 

二人は嬉しそうに笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三人は街へ行き、靴をくれた女性を探していたが中々見つけることが出来ずにいた。

街中を一通り探した三人はショッピングモールまでやってきていた。

 

「見つかんねぇなぁ~…」

 

「そうだね…」

 

「…ツバサくん、大丈夫かな?」

 

ましろはこの場にいないツバサの事を心配していた。

 

ツバサは家に残ってエルとカカロットの遊び相手をしながら靴の事をエルに悟られないようにするという大役を担っているのだ。

 

「まぁでぇ丈夫だろ」

 

「…クウ!ましろさん!あそこにいました!」

 

ソラが指指した先に靴を譲ってくれた女性の姿があった。女性はスマホを通じて誰かと通話をしているようだ。

 

「そういうわけやから…気をつけてな」

 

女性が通話を終えたタイミングで三人は女性に話しかけようとする。

 

「オッス!」

 

「あ、昨日のお嬢ちゃん達やないか」

 

「こんにちは」

 

「こんにちは。それでどないしたん?」

 

「実は…」

 

 

 

三人は靴を返しにきた事を女性に伝える。

 

「そらご苦労さんやったなぁ…でもお金払ったのはそっちやし、それにあの赤ちゃん、この靴気に入っとったやん。そっちこそ大丈夫なん?」

 

「大丈夫…ではないです。正直なところ…」

 

「なぁばあちゃん、昨日はなんで『これで良かった』って言ったんだ?」

 

「あ~、心の声が漏れてまったか。おばちゃん恥ずかしいわ~…この靴な、孫に買うてやろと思っとったんや」

 

「お孫さんにですか?」

 

どうやらあの靴は女性の孫にプレゼントする為に買ったファーストシューズのようだ。

 

「子供ってホンマに可愛いなぁ…未来しかない…でもなぁ、仕事の都合で外国に引っ越してしまう事になってな…空港まで見送りに行って、そこで渡そうと思ってたんや…でも、こんなん渡したらおばちゃん絶対泣いてまう…そしたらおばちゃんも息子も、みんなしんどい気持ちになるやろ。だからこれで良かったんや…」

 

女性はそう口にする。

 

「ホントにそれでいいんか?」

 

「え…?」

 

「難しい事はよくわかんねぇけどよ、あんたがそう思っててもさ、息子と孫の方はそう思ってねぇんじゃねぇか?あんたもホントは息子達に会いてぇって思ってる。違ぇか?」

 

「それは…」

 

「…あの!」

 

次にソラが発言するつもりのようだ。

 

「私は…ちゃんと本当の気持ちを伝えないといけないと思います!」

 

「私もそう思います!嫌だって、寂しいって、ずっと一緒に暮らしたいって言っても良いんです!」

 

「泣いたって良いんです!駄々をこねたって良いんです!そうしたらその後は、本当に笑ってお別れが出来る筈です!」

 

ソラとましろは自分の胸の内を明かしてるかのようにそう口にする。

 

「…ありがとうな…でももう遅いんや、じきにテークオフや…だからその靴はあの赤ちゃんにあげてほしいんや」

 

そう言って女性はこの場から離れようとする。

 

「ちょっと待ってくんねぇか?」

 

「え?」

 

「ソラ、ましろ、オメェ達はどうしてぇ?」

 

「…私は、このまま放っておくことはしたくない!」

 

「私もだよ!」

 

「じゃあやることは一つだな!」

 

クウは女性に近づき、背を向けてしゃがむ。

 

「ど、どないしたん?」

 

「今から空港っちゅうとこまで送っていくぞ!オラに掴まれ!」

 

「ちょ、ちょっと待ってや!どうやって…」

 

「急いでください!時間がありません!」

 

「わ、わかったわ…」

 

ソラからそう言われた女性はクウの背中に乗る。

 

すると三人は舞空術を使って宙に浮かぶ。

 

「う、浮いとる!?」

 

「振り落とされんじゃねぇぞ!それ~!!」

 

「ひゃあぁぁーーー!!」

 

クウは女性を背負いながら猛スピードで飛んでいく。ソラとましろは女性を心配しつつクウについていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく飛んでいると大きな建物が見えてきた。

 

「あそこやわ!」

 

「わかった!」

 

クウ達は人目のない場所に降りて空港の中に入っていく。しばらく探していると女性の息子一家と思われる人達を見つける。

 

「…行ってください」

 

ソラに言われ女性は息子夫婦元へ歩き、息子の名前を呼ぶ。

 

「お母さん?」

 

「どうしたん?さっき電話で急用が入ったって…」

 

「ばぁば!あい~!」

 

女性の孫が嬉しそうに手を伸ばす。女性はプレゼントの靴を差し出した。

 

「これ、プレゼント…ファーストシューズ…」

 

そう言ってプレゼントを渡す女性の目から涙が零れ落ちていた。

女性の息子が女性に寄り添う。

 

「一件落着だな!そんじゃあオラ達も帰る…」

 

クウがソラとましろを見ると二人は涙を流しながら手を繋いでいた。

それを見たクウはソラとましろの頭にポンっと手を添える。

 

「クウ…っ!」

 

「クウちゃん…っ」

 

「でぇ丈夫。オラ達、また会えるさ!」

 

そう言うとクウは二カっと笑みを浮かべていた。二人はクウに寄り添って泣きじゃくってしまう。

 

クウは特に何も言わず、二人の頭を撫でたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「える!えるぅ~!」

 

「お似合いですよ!プリンセス!」

 

エルはあの靴と同じ物を履けてご機嫌のようだ。

あの後三人は空港からの帰り道にある靴屋を片っ端からチェックし、やっとの思いで同じ靴を買えたのだ。

 

 

 

そうしている内にミラーパッドの調整が終わり、いよいよスカイランドに出発する準備が整った。

スカイランドに行くのは故郷へ帰還するクウ、ソラ、ツバサ、エルと観光へ行くましろ、カカロットの面々である。

 

「ヨヨさん、本当にお世話になりました!」

 

「ありがとうございました!」

 

「ばあちゃん、元気でな!」

 

クウ、ソラ、ツバサがヨヨにお礼を言う。

 

「ミラーパッドのボタンを押せば、トンネルが開くわ」

 

「ソラ、オメェが押してくれ」

 

「うん!」

 

クウに言われ、ソラがミラーパッドのボタンを押す。するとスカイランドのトンネルが開かれた。

 

「ましろん!お土産よろしく~!」

 

「うん!」

 

「気を付けていってらっしゃい」

 

 

 

こうしてクウ達はトンネルを潜り、スカイランドへと向かっていったのだった。




次回はいよいよクウ達がスカイランドへ!

次回も楽しみに待っていてください!
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