GT悟空はヒーローガールの片割れとして転生するようです 作:のぞむ
「ソラ・ハレワタールです!改めてよろしくお願いします!」
ベリィベリーとの闘いからしばらく経って、青の護衛隊の隊服を着ているソラが隊員達に自己紹介をしていた。
「似合ってんじゃねぇかソラ」
「うん!正にヒーローだよ!」
この場にいるクウとましろはソラにそう言う。隊員達もソラを快く歓迎していた。
「私、青の護衛隊に入れてほしくて田舎から出てきたんです。入隊させてもらえるかなっていう不安もありました…そんな時にエルちゃんが攫われてるところを偶然見つけて、ソラシド市に落っこちて、ましろさんと偶然出会って、クウと偶然再会して、ツバサくんとも偶然出会いました」
「今考えたら、偶然ばかりだね…」
ソラの言葉にましろはそう口にする。
「でもよ、ヨヨのばあちゃんが言ってたじゃねぇか。出会いに偶然はねぇって」
「そうだね。人と人が巡り合う事はいつだって必然、運命だって…出会いから物語は無限に広がっていく」
そう呟きながらソラは三人を見る。
「ましろさん、ツバサくん、出会ってくれてありがとうございます!クウ、私と一緒に生まれてきてくれてありがとう!私達、これからもずっと友達ですよね?」
「もちろんだよソラちゃん!」
「はい!これからもずっとです!クウさんもそうですよね?」
「何言ってんだ?そんなの当たりめぇじゃねぇか」
クウ達はそう言って笑い合う。
「そういえば、クウちゃんはこれからどうするの?」
「う~ん…久しぶりにスカイランドに戻ってきたし、家に帰ろうかな」
「そっか」
「…クウ、本当に護衛隊に入らないの?」
「前にも言ったろ?オラは入る気ねぇって」
「そ、そうだよね…クウと一緒に護衛隊やりたかったな」
「ん?なんか言ったか?」
「う、ううん!何でもない!」
「そっか」
するとお約束かのようにクウの腹から空腹音が聞こえてきた。
「腹減っちまったな…じゃあオラ先に帰ってるな!」
クウはそう言って護衛隊の宿舎から出ていった。
「あむあむ…うめぇ~!」
クウは宿屋の帰り道、街の露店で買った大量のパンを頬張っていた。すでに夕暮れ時であるが夕食を食べられるのだろうか?まぁクウなら大丈夫だろう。
「うん?」
そんな中クウは街の階段に座り込んでいるベリィベリーを見かける。ベリィベリーの目からは涙が零れ落ちていた。
「あいつ、確かソラと戦ってた…」
何を思ったのか、クウはベリィベリーに近づいていく。
「オッス!」
「え…」
突然声を掛けられたベリィベリーは涙を拭って顔を上げる。クウの顔を見たベリィベリーは驚いてしまう。
「お前は!…ん?髪が短い…?」
どうやらベリィベリーはクウをソラだと思ったようだが彼女の髪を見てすぐに違和感を覚える。
「オラはクウ・ハレワタール!ソラの双子の姉ちゃんだ」
「あいつの姉…私を笑いにきたのか?」
「別に違ぇけど。何してんのかなって思ってさ」
「別に何でもない。放っておいてくれ」
ベリィベリーはそっぽを向いてしまう。
そんな時、空腹音が聞こえてくる。
「っ…///」
ベリィベリーが顔を真っ赤にしている所を見ると、彼女の腹の音の様だ。
「なんだ、オメェ腹減ってんのか?」
「う、うるさい!///」
「しょうがねぇな~。これやるよ」
そう言ってクウはパンを一つベリィベリーに差し出す。
「べ、別にいr」
ベリィベリーはいらないと言いかけたところで再び彼女の腹の音が鳴る。
「無理すんなって。腹が減ってたら力も出ねぇぞ?」
「…」
ベリィベリーはクウからパンを受け取って一口食べる。
「おいしい…っ」
ベリィベリーは食べながらそう口にする。彼女の目から再び涙が零れ落ちていた。それに気づいたクウは静かに見守っていた。
「ちっとは落ち着いたか?」
「ああ…」
しばらく経ち、ベリィベリーは落ち着いたようだ。
「…聞いてほしい事があるんだ」
「なんだ?」
「…私、小さい頃に腕が大怪我したんだ。そのせいで3年間入隊試験に落ち続けて…だから私は誰よりも努力をしてきたんだ。なのにソラには全然敵わなかった…どうして…!」
そう呟くベリィベリーは拳を強く握りしめていた。
「…難しい事はよくわかんねぇけどよ。一つわかった事があっぞ」
そう言ってクウはベリィベリーの方に手を置く。
「オメェは強ぇよ」
「き、気休めはやめてくれ!私は…」
「気休めなんかじゃねぇさ。ソラとの闘ぇはちっとしか見てねぇけど、オメェの動きは中々良かったぞ。あんだけ動けるって事は相当修行を頑張ったってことじゃねぇか」
「あ…」
「だから自信持て!他の奴らがオメェの努力を否定しても、オラは否定しねぇ」
クウの言葉を聞いたベリィベリーは再び涙を流すが彼女の表情は嬉しそうであった
「…ありがとう」
「へへっ!…さてと」
そう言ってクウは建物の方を見る。
「どうしたんだ?」
「…そこにいるのはわかってっぞ。出てきたらどうなんだ?」
「へぇ~、本当に人の気配を感じ取れるんだね」
建物の裏から現れたのは黒のジャケットを着た緑髪の男だった。男の頭にはバッタのような触覚が生えていた。
「オメェ、アンダーグ帝国の奴だな?」
「その通り!僕の名はバッタモンダー。よろしく、クウ・ハレワタール」
アンダーグ帝国の新たな刺客、バッタモンダーはクウを品定めするかのように見つめる。
「ふ~ん…あのお方が真っ先に始末しろって言うからどんな子かと思ったけど、大したことなさそうだね」
気を感じ取れないバッタモンダーから見ればクウは大して強くないと思っているようだ。
「なぁオメェ、見かけで判断すると痛ぇ目を見っぞ?」
「ハハッ、ご忠告どうも」
そう言ってバッタモンダーはクウとベリィベリーに近づいてくる。するとベリィベリーがクウを守るように前に出てくる。
「彼女を始末するつもりなら、私が黙ってないぞ!」
「…フフッ」
「何がおかしいんだ!?」
「ずっと1人で頑張って来たんだね…でも、もう頑張らなくても良いんだよ?君を傷つける君を傷つけるこんな世界、僕が壊してあげるから…」
バッタモンダーはそう言って手にアンダーグ・エナジーを溜めていく。
「カモン!アンダーグ・エナジー!」
「なっ!?」
あろうことかバッタモンダーはベリィベリーの武器でもあるグローブにアンダーグ・エナジーを注ぎ込んでしまった。
「ランボーグー!!」
グローブはランボーグになってしまった。
「うわぁぁぁぁーーーっ!!」
グローブがランボーグに変化した衝撃でベリィベリーは吹っ飛ばされてしまうが間一髪でクウが彼女を受け止める。
「ベリィベリー!でぇじょうぶか!?」
「あ、ああ。でも私のグローブが…!」
「クウ!」
「クウちゃん!」
「クウさん!」
そこへソラ、ツバサ、カカロットを抱いているましろが駆けつけてきた。
「オメェ達!」
「そうか、君達がプリキュアだね?」
「あなたはアンダーグ帝国の人間ですね!何者です!?」
「バッタモンダー」
バッタモンダーはソラ達に自己紹介をする。
「僕は弱い者を無暗に傷つけたくないんだ。だから今のうちにプリンセス・エルの居場所を教えてくれないかな?」
「絶対に教えないよ!」
「ましろさんの言う通りです!」
「ふぅん…後悔しても知らないよ?いけ、ランボーグ」
「ランボーグ!」
ランボーグは今にもクウ達に襲い掛かろうとしている。ましろはベリィベリーの元まで駆け寄っていく。
「ベリィベリーさんでしたよね?この子をお願いします!」
「え、ちょっと!」
ましろはベリィベリーにカカロットを預けてクウ達の元へ行く。
「行きましょう!」
ソラはミラージュペンを取り出してクウ達に呼びかける。それを聞いたクウは構えを取り、ましろとツバサもミラージュペンを取り出した。
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!!」
「天高くひろがる勇気!キュアウィング!!」
「「「レディ・ゴー!」」」
「「「ひろがるスカイ!プリキュア!!」」」
三人はプリキュアに変身する。
「プリキュア…?」
「あぅ~!」
ソラ、ましろ、ツバサがプリキュアに変身する瞬間を目の当たりにしたベリィベリーは声を漏らし、カカロットはやっちまえ!と言わんばかりに手を突き出す。
「…そういえばお前、何で尻尾が生えてるんだ?」
「あう?」
カカロットの尻から生えている尻尾に気が付いたベリィベリーはカカロットに問いかけるも、赤子であるカカロットには答えられる筈もなかった。
「って、今はそれどころじゃなかった…」
ベリィベリーはプリキュアとランボーグの方を見る。
「先手必勝です!」
まずはスカイがランボーグにパンチをし、ランボーグはそれを片手で受け止める。するとランボーグはもう片方の手に雷を蓄積させていた。
「スカイ!危ねぇ!」
それにいち早く気づいたクウが超スピードでスカイを助け出した。
「ありがとうクウ!もしかしてあのランボーグは…」
「ああ、あれはベリィベリーのグローブだ」
「やっぱり…」
「ランボーグー!」
ランボーグは間髪入れずに四人に雷を放つ。
『ハァーッ!!』
四人はすぐに気弾を放って雷をかき消した。
「ダリャーッ!!」
「ハァーッ!!」
「ヤァーッ!!」
クウ、スカイ、ウィングはランボーグにパンチをお見舞いし、地面に倒れてしまう。しかしランボーグは起き上がってしまう。
「へ、へぇ~、中々やるようだね。一つ教えてあげよう。僕は弱い者を傷つけない。でも…ランボーグはどうかな?」
「っ!?」
バッタモンダーがそう言うとランボーグはベリィベリーとカカロットを見る。ランボーグは拳を振り上げて二人に当てようとする。
「いけない!」
プリズムとウィングはすぐに二人の元まで行こうとするが間に合いそうになかった。
「っ…ごめん!」
「あう~!!」
ベリィベリーはカカロットをゆりかごごと遠くへ投げる、やり方は多少乱暴だがベリィベリーはカカロットだけでも逃がそうとしたのだ。
そのままランボーグのパンチがベリィベリーに当たってしまった。
「あ~、弱いってなんて悲しいんだろう…」
「ベリィベリーさんは…弱くなんてありません!」
「スカイの…言う通りだ!」
なんと、クウとスカイがランボーグの拳を持ち上げてベリィベリーを守っていた。
「お前達…」
「…ごめんなさい!」
スカイはベリィベリーに謝罪の言葉を口にする。
「シャララ隊長から聞きました…一人で苦しんでいた事、ずっと頑張ってきたことを…私、何も知らないのに『間違っています』なんて…!」
「ソラ…」
「スカイ!」
「うん!」
「「ヤァーーーッ!!」」
二人は力を合わせてランボーグを押し倒した。
「プリズム!」
「うん!」
「スカイブルー!」
「プリズムホワイト!」
「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!!」」
「スミキッタ~…」
ランボーグは浄化され、元のグローブへ戻った。
「あ?…ふざけんなよ!…おっと、僕としたことが…おめでとう、お互い良い戦いだったね。また会おう。バッタモンモン」
バッタモンダーはこの場から消えていった。
あれから青の護衛隊が駆けつけてきて、クウ達はこれまでの事をシャララに伝えていた。
「アンダーグ帝国の新たな刺客か…とにかく、よくやってくれた。礼を言う」
「礼なんていいって!今回のランボーグはそこまで強くなかったしよ」
「…クウちゃん、バッタモンダーって人はどのくらい強いのかな?まだ気を読むのに慣れてないからわからなくて…」
「その事なんだけどよ、あいつ自身はそこまで強くねぇ筈だ。気だって修行する前のカバトンより小せぇし」
「確かに、あいつから強い気は感じなかったですね…」
クウとツバサはバッタモンダーにカバトン程の強さはないと気を読んで判断しているようだ。
「ソラ!」
ベリィベリーがグローブを手に取ってソラの元まで駆け寄ってくる。
「ベリィベリーさん…」
「…ありがとう。ごめんね…ソラ」
「っ…私もごめんなさい!」
ソラがベリィベリーに謝罪すると二人は抱き合う。
「良かったな。ソラ、ベリィベリー」
それを見ていたクウは優しく呟く。
こうして二人は和解する事が出来たのであった。