GT悟空はヒーローガールの片割れとして転生するようです 作:のぞむ
「ん…」
クウによって家に運び込まれ、ベッドの上で眠っていた少女が目を覚ました。
「おっ、気が付いたな!」
少女が眠っていたベッドのそばではクウが椅子に座っていた。
「オメェ水晶の中で眠ってたけどよ、何で水晶の中にいたんだ?」
「…誰?」
少女は虚ろな目をしながらクウに名前を訊ねる。
「オラか?オラはクウ・ハレワタール!オメェはなんて言うんだ?」
「私?私は…」
自分の名前を言おうとした少女であったが、少女の口から名前が出てくる事はなかった。その代わり彼女の口から発せられた言葉は…
「私は…誰?」
この一言だった。
「オメェ、何言ってんだ…?」
これにはクウも少し動揺してしまっていた。
「わからない…自分が誰で、どこにいたのか…なにも思い出せない!」
少女は頭を抱えながら声を上げる。
「オメェ…記憶がねぇんか?」
「…」
クウの問いに少女は俯き。小さく頷いた。
「クウお姉ちゃーん!」
そんな時、レッドが部屋に入ってくる。
「あっ!お姉ちゃん目が覚めたんだ!」
「えっと…」
「オラの弟のレッドだ!ほら、あいさつ」
「こんにちは!僕、レッド・ハレワタール!」
レッドは元気よく少女に自己紹介をする。
「レッド、わりぃんだけんど父ちゃんと母ちゃんを呼んできてくんねぇか?」
「いいよ!」
レッドは部屋を出てシドとレミを呼びに向かった。
それからハレワタール一家は少女から話を聞いていた。
「つまりあなたは、眠っていた時より前の記憶が全くないの?」
「はい…」
レミからの問いに少女は静かに答える。
「なぁ、オラこいつを家に住ませてぇんだけんど良いか?」
「あっ!僕賛成!」
クウの提案にレッドは賛成の様だ。
「そんな!悪いです…」
「いいえ、私も賛成よ。あなたもそうでしょ?」
「ああ。君は今身寄りのない状態だ。そんな君を見捨てる事は出来ない」
「でも…」
シドとレミも賛成しているがそれでも少女は申し訳なく思っているようだ。
「じゃあ聞くけどよ、このままここ出てオメェにあてはあるんか?」
「うっ、それは…」
しかしクウからの問いに少女は言葉を詰まらせてしまう。
「子供が遠慮なんてする事はねぇ!甘ぇられる時はしっかり甘ぇとけ!」
「…君も子供でしょ?」
少女はそう呟き、考え事を始める。
「…そういう事なら、お言葉に甘えます」
少女はハレワタール家でお世話になることを決めた。
「おう!これからよろしくな!え~っと…」
クウは少女の名前を呼ぼうとしたが出来なかった。
「そういえば名前もわからないのよね…名前がないと不便ね」
「す、すみません…」
「大丈夫だ。君が気にする事はない」
申し訳なさそうに謝罪をする少女にシドがそう口にする。
「…あっ、スイってのはどうだ?」
そんな中クウが彼女の名前の案を出してきた。
「スイ?」
「ああ!オメェ水晶の中にいたろ?だからスイだ!」
「少し安直すぎる気もするけど…決めるのはあなたよ」
レミは自分の名前を採用するかどうか少女に委ねる。
「それで構いません」
どうやら少女は『スイ』という名前を採用するようだ。
こうして彼女の名前はスイとなった。
「へへっ!よろしくな、スイ!」
「うん、よろしくね…クウさん」
「クウで良いって!」
「う、うん…クウ」
クウとスイは握手をする。
そんな時、大きな空腹音が聞こえてきた。
「もうクウったら、さっきお昼食べたばかりでしょ?」
「えっ?今のオラじゃねぇぞ」
「えっ!?それじゃあ今のは…」
「っ…///」
クウ達がスイを見てみると彼女は顔を真っ赤にして俯いていた。
「もしかして、スイちゃん?」
「はい…///」
スイは恥ずかしそうに返事をする。
「フフッ、今何か用意するから待っててちょうだい」
「あ、ありがとうございます!」
「あむあむ!あむ!」
スイはテーブルの上に置いてある沢山の料理を物凄いスピードで平らげていく。それはまるでクウが料理を平らげているかのようであった。
「すごーい!クウお姉ちゃんみたい!」
「ハハッ!オメェよく食うな~!」
「そ、そうかな?」
「あなた…」
「何も言うな…」
レミが言いたい事を察したシドであるが、敢えて何も考えないことにしたのであった。
「ふぁ~…」
次の日、思いのほか早く目を覚ましたスイは気分転換をしようと外に出る。今のスイの衣装は水晶の中で眠っていた時に着ていた黒のドレスではなくスカイランドの住民が着ている服だった。
「私、いったい誰なんだろ…おかしな夢も見た気がするし…」
スイは昨夜の就寝中にある夢を見たそうだがどんな夢だったか彼女は覚えていないようだ。
「ヤッ!ハァッ!」
「クウ?」
そんな中、クウが家の前で修行をしている姿を見つける。
「おっ!おはようスイ!起きんの早ぇな!」
「そういうクウも早いね…何してるの?」
「オラは今修行してんだ!」
「修行?」
「ああ!オラ、身体を鍛えてもっともっと強くなりてぇんだ!」
「強く…ねぇ、どうしてクウは強くなりたいの?」
スイは何故強さを追い求めているのかクウに訊ねる。
「この世の中には、オラの知らねぇ強ぇ奴がいっぺぇいる!オラはそんな奴らと思いっきし闘ぇてぇんだ!」
「クウは闘うのが好きなの?」
「ああ!でも闘うんなら、どんな奴にも負けねぇようにしてぇ…だからオラ、もっともっと強くなりてぇんだ!」
クウは笑顔でそう口にする。
「…私、闘うのは好きじゃないかな」
一方スイは闘う事が好きじゃないと口にする。
「え?何でだ?」
「だって怖いし、人が傷ついちゃうから…」
「そっか…まぁオメェがそう考えてんならそれでいいさ」
スイの言葉をクウは否定せずに受け入れる。
「あっ、ごめんね…」
「気にすることはねぇさ」
「あっ!クウお姉ちゃん!スイお姉ちゃん!」
そこへレッドが家の中から出て二人のそばに駆け寄っていく。
「おうレッド!」
「おはようレッド君」
「おはよう!ねぇクウお姉ちゃん!今日は一緒に組手しようよ!」
「いいぞ!そんじゃあさっそく…」
そこへ空腹音が聞こえてきてクウがお腹を押さえ、スイは顔を赤くして恥ずかしがっていた。
「朝飯食おうぜ!オラ腹減っちまった…」
「わ、私も…」
「あ、うん…」
そんなわけでクウとレッドの組手は朝食後にすることになった。
それからクウとレッドはよく組手をしている修行場にやって来ていた。
「お姉ちゃん!今日は僕が勝つよ!」
「そいつはどうかな?」
二人は軽く体をほぐしながら向かい合っていた。
(クウもレッド君も笑ってる…)
この場にはスイの姿もあった。
元々スイは家で過ごそうと思っていたのだがクウから修行場に行こうと誘われたのだ。最初は断るつもりだったスイだがクウに見学だけでもと押されてしまい、結局クウの根気に負けて一緒に来てしまった。
「いくよ!」
「来い!」
そう言って二人は互いにぶつかり合う。二人は拳をぶつけ合う。
「凄い…二人とも凄く速い…!」
二人の闘いを見ていたスイは驚愕してしまっていた。
「ダリャッ!!」
「わっ!?」
クウの蹴りを喰らったレッドは吹っ飛ばされるが舞空術で動きを止める。
「ちゅ、宙に浮いてる!?」
スイはレッドが浮かんでいる事に驚いてしまう。
「どうしたレッド!そんなもんか?」
「まだまだ!これならどうだ!」
レッドは手に気を溜め、クウに向かって気功波を放った。
「よっと!」
クウはレッドの気功波を軽々と躱すが、気功波はそのままスイの元まで向かってきていた。
「ヒッ!?」
「ヤベッ!」
「スイお姉ちゃん!」
クウは慌ててスイの元まで飛んでいこうとする。
「…ハァーーーッ!!」
そんな時だった。スイが両手から気功波を出したのは…
「今のって…?」
スイは自分の両手を見て困惑していた。
「スイ!」
クウとレッドが彼女の元まで駆け寄っていく。
「でぇじょうぶか?」
「う、うん…」
「スイお姉ちゃん、ごめんなさい…」
「う、ううん。ビックリしたけど平気だよ」
スイはレッドにそう言って頭を優しく撫でた。
「なぁスイ、今のって気功波だよな?」
「気功波?…あのビームの事?」
「ああ。オメェ気の力が使えるんか?」
「気の力?…ごめん、無我夢中だったからわからないよ…」
スイは申し訳なさそうに謝罪をする。
「まぁわかんねぇんならしょうがねぇな!気にすんな!」
「そうだよ!」
「クウ…レッド君…ありがとう」
クウとレッドの気遣いにスイは礼を言う。
「なぁスイ。オメェさえ良かったら一緒に修行しねぇか?」
「えっ?」
「さっきの気功波を見てさ、オメェにはかなりの力が隠されてるとオラは思うんだ!しっかり修行すりゃ強くなれるし、さっきの気功波だって撃てるようになっぞ!」
「…ちょっとだけ考えても良いかな?」
「おう!」
スイは修行する事を一旦保留にしてもらう。実はスイ自身はハッキリ断ろうと思っていたのだが、先程自分の手から放たれた気功波が妙にしっくりきたみたいなのだ。とはいえ彼女自身は闘いが好きではない為ひとまず保留という判断に留まった。
一方クウはスイの方を見て考え事をしていた。
(気功波はいくら才能があっても素人が簡単に撃てるもんじゃねぇ…それにあの時スイから感じた気…気の根本違ぇけど、
(悟飯)
スイ
CV:内田真礼
水晶の中に封印されていた少女。封印されるより以前の記憶を失っている為その正体と出生は謎に包まれている。容姿は紅色のショートヘアにツリ目で瞳の色は黄色になっている。とても優しく、闘いを好まない性格をしている。クウからは前世の息子である孫悟飯ではないかと思われている。
次回も楽しみに待っていてください!