GT悟空はヒーローガールの片割れとして転生するようです 作:のぞむ
「はぁ~…スッキリしました」
ある日の深夜、トイレから出てきたソラが部屋に戻ろうと廊下を歩いていた。
「あれ?」
するとソラは少し開いたドアから明かりが漏れている部屋を見つける。
「あそこは確か、スイさんの…」
気になったソラはドアの隙間から部屋の中を覗いてみる。
部屋の中のスイはノートの上に鉛筆を走らせていた。
(もしかしてお勉強を…って、そうじゃなくて!)
ソラは部屋の中に入る。
「スイさん!」
「はいっ!」
急に声をかけられて驚いたのか、スイは思わず声を上げてしまう。
「…あれ?どうしたのソラさん?」
「どうしたの?…じゃありません!何時だと思ってるんですか!?」
「何時って…えぇっ!もうこんな時間なの!?」
時計を見たスイは現在の時間帯に驚いてしまう。
「あの~…もしかしてずっとお勉強をしていたんですか?」
「う、うん…勉強し出したら止まらなくなっちゃったみたい…」
「す、凄い集中力ですね…とにかく!今日はもう寝るべきです!これ以上徹夜したら身体を壊してしまいますよ?」
「う、うん、そうするよ…」
するとスイはソラの顔をジッと見つめる。
「どうかしましたか?」
「えっと…ソラさんってクウと正反対だな~って」
「あ~…確かにそうかもしれませんね。クウは普段強い人と闘う事か、強くなることしか考えていませんから…」
ソラは微笑みながらそう言う。
「それでは、私は部屋に戻りますね!スイさんも徹夜ばかりせずにしっかり寝てくださいね!」
「わかったよ。おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
そう言ってソラは自室へと戻っていった。
「ふぁ~…」
次の日の朝、いつもより遅く起床したスイはリビングに入ってくる。
「あ、おはようございます、スイさん!」
リビングのソファーに座っていたソラが挨拶をしてくる。
「あ、おはようソラさん」
「やっぱり寝不足みたいですね…」
「うん…あれ?他のみんなは?」
「クウとましろさんは二人でお出かけに、ツバサくんはエルちゃんとカカロットちゃんを連れて公園に、あげはさんは部屋で課題をしていて。ヨヨさんは乗馬クラブというところに行っているようです」
「そうなんだ…あれ?ソラさんはクウとましろさんについていかなかったの?」
「う~ん…私もついていこうと思ったんですけど、何故かましろさんとあげはさんから止められてしまいました…」
「そうなんだ。珍しいね…」
するとスイはある事を考える。
(そういえば私、初めてソラさんと二人きりになるよね…?)
これまでクウ達がいる中でソラと話した事はあったが二人きりになるのはこれが初めての事だった。
「そうです!せっかくですから私達も一緒にお出かけしませんか?」
「え?」
突然のソラからの提案にスイは声を漏らして唖然とする。
「はい!よく考えたら私達、二人で話した事がなかったじゃないですか?これを機会にどうでしょう?」
「…うん。いいよ」
「ありがとうございます!ではさっそく行きましょう!」
そう言ってソラはスイの手を持って歩き出そうとする。
「あっ、ソラさん待って!」
「はい?」
「…まず着替えても良いかな?」
「あっ…」
ソラはパジャマ姿のスイを見て『やってしまった』と言わんばかりに声を漏らしてしまった。
それからソラとスイは以前それぞれの服を買いに来たショッピングモールにやってきた。
「ここに来るのはスイさんの服を買いに来て以来ですね。ところで、どうしてここに?」
ソラの言葉から察するに、ショッピングモールに来る事を提案したのはスイの様だ。
「前にクウから聞いたんだけど、ここには服屋さんの他にもたくさんのお店があるんだって。せっかく出かけてるんだからこういった場所に来た方が楽しいでしょ?」
「なるほど…良い考えです!じゃあまずはどこに行きましょうか?」
二人は入口近くにあったショッピングモールの案内板を見る。
「そうだな~…ここなんてどうかな?」
スイが指を指したのはゲームセンターのある場所だった。
「ゲームセンター…確かクラスの男の子達が話してましたね」
「うん。ゲームセンターには遊べるものがたくさんあるんだって。どうかな?」
「それで大丈夫です!では行きましょう!」
そう言ってソラは先に走っていった。
「ソラさん!…こういう所はクウにそっくりかも…」
スイは苦笑いをしながらソラを追いかけていった。
「あ~!負けてしまいました~!」
ソラは悔しそうに項垂れてしまう。ソラとスイが遊んでいたのは髭の配管工や亀の大魔王等の色んなキャラクターがカートでレースをするゲームであった。
「でも楽しかったです!スイさん、もう一度遊びましょう!」
「いいけど、お金をたくさん持ってるわけじゃないからあと一回だよ?」
「はい!次こそは負けませんよ!」
そう言って二人はもう一度レースゲームをするのであった。
ちなみに勝利したのはまたしてもスイだったとか。
それから二人はショッピングモールにあるアイスの販売店でアイスを買い、近くにあった休憩用の椅子に座ってアイスを食べていた。
「う~ん!こちらの世界のスイアムリークも絶品です!」
「あれ?アイスクリームじゃなかったっけ?」
「こちらの世界ではそう呼ばれているんでしたね!スカイランドでもこれと似た食べ物をスイアムリークと呼んでいましたから…」
「フーン…スカイランドとこっちの世界だと呼び方が違うんだね…ソラさん、聞きたい事があるんだけど…」
「何ですか?」
「ソラさんってよくヒーローになりたいって言ってるけど、どうしてヒーローになりたいの?」
「そういえば、スイさんには話していませんでしたね…私が、本物のヒーローに助けてもらったからです」
それからソラはヒーローを目指す切っ掛けになった過去の出来事をスイに話す。
「そっか、クウとシャララさんに助けてもらって…」
「はい!私は、クウとシャララ隊長みたいな素晴らしいヒーローになりたいんです!…まぁクウは頑なに自分はヒーローじゃないって言いますけど…」
「確かにクウってそういうのに興味なさそうだしね。でも、私もクウはヒーローだと思うな」
「本当ですか!?」
自分の尊敬する姉をヒーローと言ってくれたスイにソラは嬉しそうにする。
「時々考えるんだ…もしクウが私を水晶から出してくれなかったら…私をクウの家に迎え入れてくれなかったらどうなってたのかなって…だから私、クウには凄く感謝してるんだ」
「スイさん…」
「ソラさん。今日一緒にお出かけして、話をしてみて、君の事が少しわかったよ」
「…私も、スイさんの事がちょっとだけわかった気がします」
そう言って二人は笑みを浮かべる。
「…ハハッ、ソラさんってば、口元にアイスが付いてるよ」
スイはそう言いながら顔を近づけ、ソラの口元に付いているアイスを拭う。
「っ…///」
スイに口元を触れられたソラは突然の事で驚いたのか固まってしまう。頬も少しだけ赤く染まっており、しばらく動けずにいた。
「ソラさん?」
「ひゃ、ひゃい!」
「ひゃい?」
「あ…な、なんでもありません!///」
そう言ってソラはスイから目を逸らす。
(わ、私、どうしてこんなにドキドキしてるの?…どうしたんだろ、私…///)
ソラは自身の胸の高鳴りの意味がわからず困惑してしまう。
ソラがこのキモチの正体に気づくのはもう少し先の話である。
クウにはましろという素晴らしい相手がいますからね。ソラにも相手がいないと不公平というものですよね?